(関連目次)→妊婦さんと感染症
(投稿:by 僻地の産科医)
鉄はアツいうちに打て、と申しますし、
せっかく行かせていただいたので、大野事件は気になるところですがとりあえずご報告を上げさせていただきます。
演題は以下の通り
日時:11月30日(金)10 : 10~12 : 10
「HIV母子感染予防対策の20年」
-現在の医学的・社会的問題点とその対策-
座長
塚原優己(国立成育医療センター周産期診療部産科
関矢早苗(東京都立駒込病院看護部)
妊婦HIVスクリーニング検査
矢永由里子 エイズ予防財団 研修・研究部
感染管理の視点でとらえた「HIV母子感染予防対策マニュアル」 HIV感染妊娠の自然(経膣)分娩 HIV感染妊婦から出生した児の成長発達支援 女性HIV陽性者の妊娠・出産支援 まずは、「妊婦HIVスクリーニング検査」より行きますo(^-^)o!! 妊婦HIVスクリーニング検査 妊婦HIVスクリーニング検査で、もっとも問題になっているのは、偽陽性の問題。拠点病院で、妊娠初期のスクリーニングテストで陽性だったうち、58例を調べたところ、真の陽性例は6件でした。また。スクリーニング陽性患者中、陽性的中率は10.3%。一般病院の場合は、陽性的中率は更に低く、3.8%。 検査実施前に、スクリーニングそのものの考え方と、 現在、偽陽性率が高いのは、今現在のHIV罹患率が低いせいで。 検査について、妊婦さん固有のとらえ方があって、 一番最初に医療機関で、スクリーニング陽性が出たときに、
内山正子 新潟大学医歯学総合病院 感染管理部
喜多恒和1,3)、稲葉憲之2,3)
1)帝京大学医学部産婦人科
2)濁協医科大学産婦人科
3)厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)
「周産期・小児・生殖医療におけるHIV感染対策に関する集学的研究」班
外川正生1.3)、稲葉憲之2,3)
1)大阪市立総合医療センター小児医療センター小児救急科
2)獨協医科大学産婦人科
3)厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)
「周産期・小児・生殖医療におけるHIV感染対策に関する集学的研究」班
大金美和 国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター
矢永由里子 エイズ予防財団 研修・研究部
偽陽性もありうるけれど、それは本物を探すためだから、
というお話をしておく必要がある。
偽陰性がほとんど出ない設定の検査だから仕方ないのですが、
妊婦さんのスクリーニング検査 エイズ検査について
妖婦HIVスクリーニング検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ
参考までに値を添えておくと、最近5年間の検査件数
10万件あたりのHIV感染妊娠例数は8.5(167/19.64×109)
です。
検査待ちまでの間に、そういうことを知らないと、家族中で泣き暮したり
ばっと夫にしゃべってしまう、または誰から感染させられたのか。
家族内で不信感がでてきたり、大変な騒動になることがあるようです。
「偽陽性が出うる」「
「エイズじゃない可能性が大きいですよ、まずはきちんと調べましょう」
と声をかけていただけるとありがたいです。そしてすみやかに拠点病院など専門の病院へ送っていただきたいと思います。
また外国人の場合、言語的にもかなりハンディがあるので。
ネットからも情報を得られないので気をつけてあげてください。
感染管理の視点でとらえた「HIV母子感染予防対策マニュアル」
は、細かいことなので省略。私には参考になりましたが。
HIV感染妊娠の自然(経膣)分娩
喜多恒和1,3)、稲葉憲之2,3)
選択的帝王切開で母子感染した7例中、しかし妊娠中から判明し管理された例は一例だけでした。
経膣分娩では今まで25例が感染していますが、このうちHAARTを受けていた人はいませんでした。
経膣分娩で母子感染しなかった25例では、妊娠前から感染が判明していた5症例が含まれているということです。
で、これまでの症例は、日本ではまだ症例が少なすぎて、帝王切開ではなく、経膣でもいけるのやないやろか、というお題をいただいたのですが、なにせ症例数が少なすぎること、それから薬物療法をされていない方のほうが多い経膣分娩群など、そのまま比較することはとてもできないので、文献を挙げていきます。
ところで、昨年度の感染率 選択的帝王切開(0.6%)
緊急帝王切開(7.1%)
経膣分娩 (22.7%)
↓
今年の感染率 選択的帝王切開(0.5%)
緊急帝王切開(5.9%)
経膣分娩 (20.8%)
良くなってますねo(^-^)o ..。*♡
Cochrane Database Syst Rev 2005:
帝王切開における有用性については不明、とあります。臨床試験が必要だそうです。
Clin Infect Dis 2005;
ヨーロッパで4525例のHIV合併妊婦さんを集めて大規模なスタディ。
母子感染のリスクファクターは妊婦のウイルス量が高いこと、あと選択的帝王切開。HAARTによってウイルス量が低く抑えられている場合、経膣・緊急に比べて選択性帝王切開は母子感染リスクを90%低下させた。
ところがインドでは、
J Trop Pediatr 2006;
という報告があって、222例に過ぎないのに、「経膣と帝王切開は同等の効果」
などといっちゃってる。
Int J Obstet Gynecol (BJOG) 2006:
オランダからの報告では、HAARTを開始した感染妊婦は早産傾向にある。
HAARTを行っていれば、CSである必要もない、という報告もあり、
しかし現在の日本の状況を考えれば、
帝王切開でうまく抑えられていますし、それでいいのでは、という感じです。
産科的なHIVの扱いがどうなっているのか、簡潔にわかりました。ありがとうございます。
麻酔科だと、、、手術室にくる症例しかみてないので、全体像が見えませんから。
投稿情報: 麻酔科医 | 2007年12 月 1日 (土) 06:51