(関連目次)→十年後の姿を無責任に考えてみる
(投稿:by 僻地の産科医)
今月の愛知県医師会報がとっても面白かったので(>▽<)!!!
いいたいことはわかるけれど、SFみたいですw。
産科医じゃない人は、
「おいおい、産科医が絶滅危惧種だとおもって好き勝手いってるよ」
って読んでおもわれるのでしょうけれど、産科医には違う..。*♡
はっきりいって、実現性のまったくない、SFでも読んでつかの間の気晴らしするか。
という趣向。だから楽しんで読んであげてくださいませ~。
おもしろいですよっ(>▽<)!!!!!
若い医師の視点で今後の産婦人科医療を考える
名古屋第二赤十字病院 産婦人科 倉内 修
愛知県産婦人科医会報 平成19年11月5日 第401号 p1-3
最近、周産期医療の問題点から発生する様々な事件がマスコミで取り上げられ、産婦人科勤務医の過酷な勤務実態が報道されております。今後は改善策が提唱され、将来的には待遇改善が図られるのではないかと甘い期待をしている今日この頃です。こんな中、不思議に思うことは、日本の分娩の約半数を担っている産科診療所医師の過酷な勤務実態というニとが全く話題に上ってこないことです。出産を取り扱ってみえる開業の先生方は、365日拘束の状態で、心の休まる暇も無く、夜中も働き、翌日も通常の外来をこなしてみえます。確かに我々勤務医に比べ、はるかに高収入を得であられると思いますが、頭の下がる思いです。しかしながら、当院の研修医をみておりますと、このような産婦人科医師の実態に全く魅力を感じることはなく、将来産婦人科を選び開業を目指そうとする者は皆無です。賢明な彼らは、産婦人科医になれば、将来にねとし)夜中も働かなければならない現在の産科医療システム(言い換えれば、開業するには分娩を取り扱わわなければ経営が成り立たない構造、ただし不妊治療は別)に明らかにノーの裁定を下し産婦人科を敬遠しています。彼らの感覚からすれば、お金はあっても心の余裕がない産婦人科開業医の生活は完全にout of date なのです。私は、以前、研修医は我々勤務医の姿をみて産婦人科に進まないのだろうと解釈しておりました。勿論、一因ではありますが、それよりも将来自分が選ぶことになるだろう産婦人科の開業医の姿を見て産婦人科に進まないのだと最近は感じています。一方、日本産婦人科医会は、看護師の内診問題を解決し、無過失補償制度に期待し、診療所でのお産を守るべく努力されてみえます。 この動きは、現時点では仕方のないことでしょうが、もはや産科を開業しようとする若手医師がいないのですから、早晩診療所での出産は無くなることでしょう。事実、診療所での出産が生き残っているのは、先進国では日本だけだと開きます。 この現状を打開するには、出産を専門に扱うバースセンターをいち早く実現させ、分娩を扱わなくても安心して開業できるような医療保険制度に変えていくべきであろうと考えます。以下私が思い描く将来の産科医療の一端です。
西暦201X年、全国に先駆けて愛知県N市に愛知県立バースセンターが開院した。当センターは愛知県産婦人科医会が政府に働きかけ、N市東部地区を産科医療特区として承認を受け、愛知県が設立母体として誕生した。現在は東京を始めとして、全国の大都市圈を中心に同様の施設の建設が進んでいる。センター職員の身分は公務員であるが、特区であるため給料は経営状態により決定されている。数年前に産科医療点数と分娩料の大幅な再引き上げが行われたため、経営状態のよい当センターは他の県立病院医師の2倍が支給されている。若手産婦人科医師Aは当センターに2年前より勤務しているが、現在の生活に不満はない。産科常勤医師15名、非常勤医師5名、麻酔科医師5名、新生児科医師5名の医師で運営されており、産科医師は常時4名(プラス1名のオンコール医師)が二交代あるいは三交代性で勤務し年間4000件の分娩を取り扱っている。常勤医師15名のうち7名が女性である。開設当初医師募集を行ったところ、勤務体系に柔軟性をもたせたことから、休職中であった予育て中の女性医師の応募が予想外に多くあり、医師確保に大いに役立った。ある子育て中の女性医師は、当センターは、オンオフがはっきりしているので、結構働きやすい職場であると感想を述べている。また非常勤医師5名はバースセンター開設前までは、周辺地域で分娩を取り扱っていた開業医師である。全員がセンター開設にあわせて分娩取り扱いを止め、妊婦検診を中心に診療を行っている。妊婦検診料の度重なる増額のため、現在の所得に不満はないが、分娩に対する捨てがたい思い入れがあるため、週1回夜間を中心にバースセンターで働いている。同じ勤務になった常勤若手医師の指導は結構楽しみでもある。
バースセンターは、基本的にはノーリスクの分娩を取り扱っており、ハイリスクや早産例は、近くの総合病院に併設されている周産期母子センターが引き受けている。Aの父親はN市で長く産婦人科医院を開設していたが、初年前には分娩の取り扱いをやめ、現在は妊婦検診を中心に診療を行い、出産はバースセンターにすべてお願いし自らが立ち会うことはない。数年前妊婦検診料の大幅な引き上げが行われたが、現在の収入は息子より少ない。これはバースセンターとの取り決めで、センター医師の収入を超えるようであれば、自動的にセンターから支払われる紹介料が減額される仕組みとなっているためである。しかし借金も無いため、現在の収入である程度以上の生活は可能であり、息子の仕事量と自分を比較すればこの程度であろうと納得している。
Aは、生命誕生に仕事として開われることなどから、産婦人科医に魅力を感じていたが、寝る間もなく働く父親の姿を見て育ったため、開業産婦人科医になることへの大きな疑問や不安があった。それは、出産1件を扱えば50万円の売り上げが得られるが、事故でも起これば個人に2億円の支払いを要求される不合理な職業が将来にわたって成り立つ訳がない(20TX年の段階では、無過失補償制度はすでに5年前に開始されていたが、その後も訴訟件数は減っておらず、補償金とのニ乗取りが問題となっていた)、将来開業するには巨額の投資をし、出産を扱わなければ経営が成り立だない等々である。ところが、Aが研修医の時、愛知県のバースセンター構想が発表された。この構想がAの疑問と不安を払拭した。当時、病院には20名の研修医がいたが、Aの他に3人の研修医が産婦人科にすすんだ。彼らは、産婦人科部長から、バースセンターが上手く機能すれば、将来は内科医と同じように、多額の投資もせずに気軽に開業できるはずだとの言葉を聞き、もともと産婦人科学に興味があったため躊躇なく決心した。現在3名のうち1名は近くの周産期母子センターで働き、1名は大学院に進学し研究生活を、大阪出身の残りの1名は現在Aと同じ職場で働いているが、来年には新たに大阪に開設される府立バース七ンターヘの就職が内定している。
ある秋の快晴が予想される早朝、Aと父親の乗るBMWは、産婦人科医会の主催するゴルフコンペに参加するためグリーンロードを疾走中である。勿論2人の携帯電話はオフである。バースセンターができ、余裕が生まれた会員から自然発生的にゴルフコンペの案が出て、去年より定例のコンペとなり、本日の参加者は100人に迫るという。 BMWは、いつの間にやら前方を悠然とドうイブしていた医会会長のLEXUSの後方に付けた。Aは抜こうか抜くまいか思案中である。それを察しつつ父親が言った。
「あの時は会長の英断だった。」
バースセンター構想が持ち上がった当初、多くの会員から反対の声が上がった。後継者がいない以上、診療所でのお産の維持は困難となる時代がやってくることを、会員に何度も説明して、特区申請に奔走したのが医会会長であった。父親は、当時医会理事として、その姿を目の当たりにしていた。
「同感。」
と、Aは答えると、アクセルを大きく踏み込み、LEXUSを追い抜いた。その際二人は、軽く会釈を送ったが、会長は、全く気づく様子もなく、今日のコンペの開始挨拶を思案中であった。
多くの産婦人科医が、ありもしない出産に対しても、常時拘束されている現状は非効率です。バースセンターは究極の医師集約化です。確かにこのシステムは大都市でしか機能しないかもしれませんし、妊婦さんには不便が生じるでしょう。しかし現状のままでは産婦人科は、若手医師がいなくなり絶滅するしかありません。現在、女性医師の入局でなんとか数だけは維持されていますが、彼女たちは、将来自らが開業して分娩を扱うことは全く考えていません。中国の鄧小平の言葉ではありませんが、先に(心)豊かになれる者から(心)豊かになれ、です。その結果中国は、以後経済的に大躍進をしています。人の誕生に関われる産婦人科が、若い医師に魅力なかろうはずはありません。若い医師の視点で今後の産婦人科医療の方向性を考えなければなりません。
海南病院産婦人科 山本恭史
愛知県産婦人科医会報 平成19年11月5日 第401号 p11
昨今、疾患に対する説明書同意書を書く機会が増加し、それに注ぐ時間はどんどん増えています。若い頃には手を勣かせ体を勤かせと言い聞かされ育った中でそういう機会が増える事は正直つらい事だと思っています。しかし時代の流れで現在ではとても重要な事として病院あげて立案され状況の変化に対応して進化しています。
そもそも説明同意の考えはアメリカで発祥した法理が日本の医療現場において認識され「患者の知る権利」すなわち説明義務にあたり、また「自己決定権」すなわち同意に象徴されているものと私個人としては認識しています。最近の医療訴訟の特徴として治療の違法性もさることながら説明義務違反が意外に増加してきているとおもいます。説明義務違反は患者の知る権利を侵害し、不十分な説明(情報)、屈曲した説明など成され結果的に患者の自己決定権をも侵害することになります。ここまで行くと大変おお事になります。またたとえ適正な治療が行われても合併症や経過が悪ければ、ダダ一言聞いてないという言葉に集約されてしまいます。○科で起きたことですが検査説明書の中で合併症として出血がまれに発生する事があると記載があって同意してもらって検査をしたところ、出血してしまい家族よりまれにの所が%で書かれていないと指摘、きちっと書かれていたら検査を受けなかったかもしれないとの申し出があったそうです。その後説明書にできる限り数値を入れましょう。と言うのが結論でした。しかし当科では統計を取っていないので他の施設のデータを取ってくる訳にはいけないので勿論そこまではできてません。
先頃分娩中に心音の低下があり胎児切迫仮死の診断のもとに鉗子分娩になった時、立会分娩のご主人と産婦に鉗子分娩の必要性と合併症について口頭で説明と同意をもらって無事娩出したところ、ご主人よりの第一声は赤ちゃんに傷はないですか?でした。きっと私の説明が悪かったんだと少しへっこみました。こんな時、説明書同意書を書いて貰えないとき如何すればいいんでしょうか。前もって説明同意を貰っておく手札あるのですがどれだけの妊婦さんや家族の方が理解できるのでしょうか。
癌告知について医師の裁量権は多少認められているそうです。しかし抗がん剤投与する時は家族より本人に対して説明同意がいるそうです。これも知る権利でしょうか。くどくどと書いて申し訳ありません。もう少し情熱をもって者は臨床に向かうことが出来たのですが、説明と言うことを考えれば考えるほど難しく情熱が消えて行くようです。
何と申しましょうか、↓を思い出しました。
http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/gandhara.htm
投稿情報: takuzo | 2007年11 月17日 (土) 01:11
夢の中でも、新生児科医は5人ですか。
産科医は三交代制の中、新生児科医は5日に一回の当直ですか....
一緒に夢を見たかった... orz
投稿情報: 小児科医です | 2007年11 月17日 (土) 09:04
あおっΣ(-_-;)!!!!
書いたのは私ではありませんが、
ご配慮が足りず申し訳ありません!!!
(しかし、これ。ハイリスクは近隣の周産期センターに丸投げって言うお気楽さなんですよね(笑)。
ま、現在丸投げされまくり病院にお勤めの先生だから、いいんですがo(^-^)o..。*♡
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年11 月17日 (土) 10:57