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(投稿:by 僻地の産科医)
大学学長の個人名の痛烈な批判も
104件、341ページに上ったパブコメ
m3.com 橋本佳子編集長 2007年11月26日
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/071126_1.html
「もっとも大きな問題は、本案が法制化されれば、現在医療にとってもっとも重要課題とされている産科、小児科、麻酔科、すべての外科を専攻する医師は今後皆無になるであろう。我々教育者も学生にこれらの専門科を専攻するよう勧めることはできなくなるだろう。なぜなら言うまでもなく、医師にも基本的人権は保障されているのだから」
これは、独協医科大学学長の寺野彰氏が個人名で寄せたパブリックコメントの一部だ。
「本年3月からの検討とはいえ、来年通常国会に提出する予定法案骨子として策定されたことに対して、その唐突さに驚きを禁じ得ないとともに、本案が我が国の医療崩壊を決定的なものにし、後戻りできない状況になることを深く憂えるものである」など、A4判2ページ半にわたるコメントには、“医療事故調”の制度化に強い異を唱える言葉が並ぶ。
個人、医療団体、患者側団体から意見
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第二次試案が公表されたのは、10月17日。その後、11月2日まで、パブリックコメントが募集されたのは、集まったのは、104件(個人87件、団体17件)だ。A4判にすると、そのボリュームは341ページにも上る。
87件の個人の内訳は、医療従事者65件、一般14件、法曹関係者3件、不詳5件。寺野氏のように実名でコメントを寄せた人もいれば、匿名もある。また87件のうち、医療紛争の経験について、「当事者になったことがある」が18件、「身近で見聞きしたことがある」31件、「経験なし」10件などとなっている。
個人名で寄せたのは、例えば以下のような人だ(一つの病院名と個人名記載のものを抜粋。厚労省公表順)。
・大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター臨床検査科部長 河原邦光氏
・武蔵野赤十字病院院長 三宅祥三氏
・独協医科大学学長 寺野彰氏
・東大法医学教室 吉田謙一氏
医療提供者側の団体としては、以下のようなところがパブリックコメントを寄せた(厚労省公表順)。
・全国保健所長会
・東京大学医学部附属病院
・日本法医学会(理事会)
・愛知県保険医協会政策部会
・福岡県医師会
・東北大学移植再建内視鏡外科
・日本医学会(臨床部会)
・全国保険医団体連合会
・日本医師会
・日本病院団体協議会
・財団法人生存科学研究所
・東京保険医協会
・日本内科学会、日本外科学会
・愛知県保険医協会勤務医の会
・神戸市医師会
・全日本民主医療機関連合会
・現場からの医療改革推進協議会 医療事故対応ワーキンググループ
一方、患者側の団体では、次のような団体がコメントした(厚労省公表順)。
・医療の良心を守る市民の会
・医療問題弁護団
・医療事故情報センター
パブリックコメントの全文は、下記のサイトから閲覧できる。賛否両論があるが、医療事故調を批判あるいは懸念する声が目立つ。ぜひ目を通し、問題意識を高めていただきたい。(次回に続く)
◆「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案」に関する意見募集の結果について (「電子政府の総合窓口」のサイト)
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