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コメント

YUNYUN

無過失補償制度の構想については、過失調査を入れる方向で固まったのでしょうか?
(概念的には「過失の有無を問わない」ことを無過失補償というので、過失の調査は必須ではありません。)

モトケンブログのほうでも議論になりましたが、制度設計をどうするかは、理念的な面及び実際上の効果(訴訟抑止できるか)から、難しいと考えられます。
例えば、調査を入れるとして、補償範囲はどこまでとするか。過失が無い場合だけか、それとも有過失でも補償するのか。
有過失でも補償するとした場合に、さらに進んで通常の賠償請求をすることを許すのか。請求放棄と引き替えでなければ、それこそ裁判費用の元手を与えることになるでしょう。が、一方で少ない補償額で(そんなに高く出せるとも思えません)、請求放棄させることは公序良俗に反します。

僻地の産科医

過失調査を入れる方向はどうやら間違いがないようです。
まずは補償ありき、そして過失調査を行い分析する。シェーマを見る限り、そうなっています。ただこの過失調査にそれだけの信用性をつけられるかどうか、というところが一番の課題かもしれません。民事と刑事のように、まったく別個の理論で慰謝料をつけられるようになってしまえば、すべては元の木阿弥です。

過失ありの場合の補償については、木下先生にメールで確認してみます。

rijin

 過失有りの場合は医賠責でという方向性のように見受けられます。

 厚労省は死因究明機関と一本化したいということなのでしょうか?

…原因分析(RCA)やってみれば分かりますが、原因となったか否かの判断と過失無過失の判断は、直接関係しません。むしろ「べき論」が横行すれば、最終段階でトリガーになった人物だけに無理な責任が押しつけられることになりますし、逆に関係者全員が責任を問われるということにもなりかねません。

 特に後者の方がRCAの本来の姿を反映していますが、結局、人手不足や資金不足が毎度毎度問題として上がってくるようでは、厚労省(相)自身が責任を問われることになります。厚労省としては呑めない話ですから、前者で押してくるだろうと思いますが、そんな方法論は医療安全の確保と再発の防止という本来の目的とは根本から乖離してきてしまいます。

 インセンティブ設計の上からも、conflict of interestの回避の上からも、きちんとした制度設計をするとしたら、もっと真面目にやらんと機能するものができあがらないでしょう。

 厚労省が二流・三流の役所扱いされ続ける理由は、制度設計のセンスの(無さの)中にありますが、今回のは相当に酷いですね。

YUNYUN

> 過失有りの場合は医賠責でという方向性

ええと、調査して、無過失と立証できた場合にだけ補償するのですか?
それでは、患者にとってメリットが少ないと思います。
無過失補償を請求して無過失の立証ができず給付されない、かといって、訴訟しても過失の立証ができず損害賠償も受けられないという八方塞がりになるおそれ。無過失であることが立証できる場合でも、給付を受けるまでに時間がかかります。
それぐらいなら、逆に最初から訴訟提起して、万一敗訴したときは次善の策として無過失補償を請求しようという態度に流れるかもしれません。

よって、順序としては過失調査を先行させるのではなく、
脳性麻痺の病名さえ特定できれば、一旦は全員に補償金を支払い、後に調査して過失が判明したら、補償金額を医賠責に対して求償する
というようなしくみにすべきではないでしょうか。

-----
> 原因となったか否かの判断と過失無過失の判断は、直接関係しません

損害賠償の法律要件のうち、因果関係の問題と、過失の問題という趣旨ですか?
そういう意味なら、両者は別の要素であり、代替されるものではありません。

> きちんとした制度設計をするとしたら、もっと真面目にやらんと機能するものができあがらないでしょう

その通りと思います。

rijin

 YUNYUN先生、こんにちは。

> よって、順序としては過失調査を先行させるのではなく、
> 脳性麻痺の病名さえ特定できれば、一旦は全員に補償金を支払い、後に調査して過失が判明したら、補償金額を医賠責に対して求償する
> というようなしくみにすべきではないでしょうか。

 おっしゃるとおりと思います。

 厚労省として、過失無過失を自分の影響力のあるところで確定する力を独占したいというのがあるようのかも知れません。

 しかしながら、現場の医師は臨床経験の乏しい医系技官の判断など支持しませんし、警察も検察も独自の判断を留保するでしょう。

 補償制度の事務局が医療機能評価機構に設置されるということで、現場に対して一定の権威付けに利用できることは確かではあります。意図はともかく、将来、これが厚労省の隠れ蓑として機能するだろうことは間違いないように思います。

 また、死因究明機関も壁に突き当たっており、議事録を読むと、原因はやはり厚労省の権限拡大へのこだわりにあるように思われてなりません。

 国民のために真摯に問題解決に邁進するというよりも、これを機に権限を強化しようという雰囲気ばかりを感じます。

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