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(投稿:by 僻地の産科医)
今月のMMJからo(^-^)o ..。*♡
以前からの連載モノです。
以前からとっても不思議に思っていたことがたくさんあるんですけれど、
裁判というもの(特にこの場合は民事訴訟なのでしょうけれど)は真実の解決とか、医療技術とか、そういうことに主眼が置かれているわけではないんですね。
Yosyan先生がよく「裁判っていうのは公の喧嘩の場」っていうようなことを仰いますけれど、裁判って言うのは「紛争の解決」が使命なんです ..。*♡たぶん。医療者っていうのは裁判に夢を抱きすぎなのかも。
「中立」ではあるべきだけど、
裁判官はただの審判員みたいなもんなのでしょうか?
それから、「裁判の迅速化」のせいで、十分な審理が尽くされなくなってきている危機感をこの文章から感じましたo(^-^)o ..。*♡
「訴訟」された時点から、
徹底的に学会発表なんかでどんな質問が来てもいいように、あらゆる角度から様々な質問や穴を洗い出して勉強しておくのとおなじように、ありとあらゆる(しかも医療者からは考えもつかないような、まったく医学的ではないツッコミに堪えうるくらいの)論文を用意しておかなければ、私たちに医療者としての未来はない、くらいの事態なのかもしれません ..。*♡
あとこちらも参考になりますo(^-^)o
裁判官の方の講演(救急医学会にて)
日々是よろずER診療 2007-10-16
http://blog.so-net.ne.jp/case-report-by-ERP/20071016
では、どうぞ♪
医療の法律処方箋ー第7回 医療過誤訴訟への対応
医療訴訟での重要性が高まる私的鑑定と陳述書
井上清成弁護士
医療法務弁護士グループ代表
(MMJ July 2007 Vol.3 No.10 p860-861)
新たな医療紛争仲裁制度 今年9月、東京の3弁護士会の各仲裁センター(第一東京、第二東京)および紛争解決センター(東京)に、医療事件を専門的に扱う際にADR(裁判外紛争解決手続き)を置く制度が創設された。その特徴は、従来の仲裁委員に加え、医療機関側の代理人経験豊富な弁護士と、患者側の代理人経験豊富な弁護士が、それぞれ新たに仲裁委員に入るというものである。 もっと専門技術的なADRも 過失の有無や因果関係の存否が医療機関側と患者側との間で争いとなって対立しているケースでは、もともと医療過誤損害賠償請求訴訟が行われてきた。医学的観点からの対立を裁定するためには、どうしても証人尋問や鑑定が必要だったからである。残念ながら、今回の「弁護士会の医療版ADR」も、過失・因果関係での対立型紛争には多くを期待できない。主眼が医療的な「紛争」の解決におかれているため、紛争の原因となった「医療」そのものに深く専門的に立ち入るわけではないからである。 対立型はやはり訴訟に 現状では、過失・因果関係で対立している医療紛争は、医療過誤訴訟として裁判所で争われざるをえない。裁判所も医療集中部を設けるなどして、医療過誤訴訟の特性に対応しようとしている。ただ、その対応の主眼は、ます、長期化しがちな審理の迅速化におかれていた。計画審理によって、審理期間の短縮を図ろうとしているのである。このことには問題はない。 審理方式は医療機関に不利? 実は、医療集中部の審理方式には、医療機関が注意しなければならない落とし穴かある。従来の審理方式では、勝負どころは、最後にやってくる証人尋問と裁判所の鑑定であった。ところが、現在の審理方式では、最初の争点整理手続きの中でポイントが絞り込まれてしまっているため、証人尋問の時では手遅れになっている可能性がある。証人尋問でいくら診療経過の全貌をていねいに説明しようとしても、すでにポイントが絞り込まれているので、そのポイント以外は軽視されてしまうかもしれない。 早期に陳述書と私的鑑定書作成を
もちろん仲裁委員であるから、あくまでも中立的立場での参加であり、どちらかの側に味方するというものではない。医療紛争やその背景事情に理解が深い弁護士を加えることによって、スムーズな話し合いの進行を図ろうというものである。医療機関側からの申し立ても可能なので、患者側がエキサイトしていて落ち着いた話し合いの場が設定できないケースに活用できるであろう。
そこで、弁護士会の医療版ADRをさらに一歩進め、医療の専門技術性そのものを前面に打ち出した「医療界独自の医療版ADRの創設」も望みたい。医療の公共性、医療の限界と不確実性、保険診療の現場の制約、そして医療現場の裁量を十分に考慮した紛争解決手続きも必要である。
審理方式の最大の特徴は、争点整理手続きにある。患者側と医療機関側とて争うポイントを早期に具体的に絞り込まなければならない。そのために、カルテなどの医療記録の提出、診療経過一覧表の作成、医学文献の提出、主張の具体的明確化が要求される。患者側は、十分な準備期間をおいて満を持して訴訟提起するのだからよいであろう。しかし、医療機関側は、訴訟が開始されてから慌てて準備しなければならない。訴訟がなくても日常の医療業務が忙しい中での訴訟準備は大変だ。しかし、ここは一気に頑張るしかない。
また、裁判所の鑑定すらも、すでに裁判官の心証が形成されているので不要として、採用されないことも多くなってきた。つまり、証人尋問は意味を持たず、鑑定は行われずに、判決に至ってしまうかもしれない。これでは、医療機関側が不利になるのも当然であろう。
医療の専門技術性、そして医療の限界と不確実性を裁判所に十分に理解してもらわねばならない。とはいえ、専門的な鑑定が実施されないことも多くなっている。したがって、専門的な鑑定に匹敵する私的鑑定書を、その分野の専門医に顕名で作成してもらい、争点整理手続きの終了時頃には提出しておくべきであろう。
現在の医療過誤損害賠償請求訴訟には課題が多い。現状は、訴訟の難局を乗り切るために、種々の工夫を新たに加えていく必要があろう。陳述書と私的鑑定の積極的活用は、その1つの例である。
民事訴訟では医療事件に限らず、一般的に、
書証は争点整理の期間中に、つまり証人尋問をする前に、出さなければなりません。
私的鑑定(被告協力医の医学的意見書)や、被告側の証人的立場の人たちの陳述書も書証の一つですから、当然に争点整理の段階で出しておくべきものとなります。
この方式が被告医療機関側にとってことさらに不利だとは思いません。
逆に、原告患者側も協力医の意見書を同じ時期に用意しなければならないのですから。
むしろ、医学的知識において劣る原告が、争点を的確に把握して証拠を準備することは大変だと考えられます。被告の反論の内容如何では、当初の意見書では不足で、別の意見書を追加作成してもらう必要があったりします。
そこで、被告となった医師の心構えとしては、
訴訟の各段階で当事者として何をしなければならないかという手続きの流れを理解した上で、
特に、訴訟の初期の段階では労を厭わずに代理人弁護士と綿密な打ち合わせを行い、主張をきちんと組み立てることだと思われます。
後になって、「これを言っておけばよかった」というのは通用しないのです。
投稿情報: YUNYUN(弁護士) | 2007年10 月21日 (日) 19:53
YUNYUN先生、こんにちは。
> 逆に、原告患者側も協力医の意見書を同じ時期に用意しなければならないのですから。
ご指摘ですが、当たらないと思います。
原告側の訴訟準備は、協力医の確保から始まると言ってもいいかと思います。
ですから、実際に提訴する前に意見書の準備を終えることは充分に可能と考えます。
投稿情報: rijin | 2007年10 月22日 (月) 10:49
> 実際に提訴する前に意見書の準備を終えることは充分に可能
いや、それはその通りですが、
基本的に、どんな訴訟類型でも
原告側は十分(と自分で思うだけの)準備を整えて攻撃を仕掛けるものなので、訴えられる側がどうしても後手に回ります。
「医療事件だから」特に有利不利という意味はありません。
井上清成弁護士のおっしゃることは、
訴訟で被告とされたからには、悠長に構えている場合ではない、ボーとしとらんと早く応戦しろ、ということです。
一般的に言って、争点整理をいつまでやるかは、裁判所が両当事者の意見を聞いて決めますので、
訴訟代理人としては、もし準備が間に合わなければ引き伸ばしを図り(言い方は悪いですが)、出せるだけの資料を出すようにします。出すべき材料がありさえすればね。
問題は、ご本人が後になって
・よく考えたらアレも出せばよかった~(←最初からよく考えろ!)
・弁護士に渡すの忘れてた~(←そんな重大なことを忘れるな!)
などと言いだすことです。
打ち合わせ不十分なのは、法制度や裁判所の非ではなく、その当事者の自己責任。
要するに、訴訟は弁護士任せでは決してできないということ。本人がどれだけ真剣になるかが、カギです。
> 日常の医療業務が忙しい中での訴訟準備は大変だ。しかし、ここは一気に頑張るしかない
投稿情報: YUNYUN(弁護士) | 2007年10 月25日 (木) 17:54