周産期医学4月号からです!
特集は低出生体重時の予後 おもしろい記事満載です。
http://www.tokyo-igakusha.co.jp/shusankiigaku/index.htm
そのなかで、日本の医療を語るうえで気になった記事がこれ!日本の新生児治療の成績は世界一レベルだということです。自信をもって日々の医療に励んで大丈夫だと思います。できることを、できるだけ。では、いきます。
超低出生体重児の生命予後の国際比較
(周産期医学 vol.37 No4 2007-4 p519-522)
楠田 聡
はじめに
日本の新生児医療レベルは高く,その結果,新生児死亡率および周産期死亡率は世界最高水準を維持している。一方,新生児死亡の中で出生体重1,000g未満の超低出生体重児の占める割合はおよそ40~50%であり,この割合はほかの先進国でも同じである。
そこで,新生児死亡の中で大きな位置を占める超低出生体重児の生命予後を,ほかの国のデータベース報告と比較した。
対象と方法
"Infant Mortality"[MeSH]と"Ihfant,Newborn"[MeSH]をPubMedで検索し,過去10年問に報告された各国の極低出生体重児あるいは超低出生体重児の死亡率を比較検討した。ただし,比較対象国はOECD(経済協力開発機構)加盟国を主に選択し,規模の大きな代表的な調査報告を対象とした。
その結果,日本以外では17の報告が抽出された1~17)。一方,日本の生命予後は日本小児科学会新生児委員会調査18)と厚生労働省研究班周産期ネットワークデータベース19)を比較対象とした。ただし,各報告で対象となる年代,出生体重,除外基準,最終転帰,調査数が異なるので,直接の比較は困難である。そこで可能な限り直接比較が可能なように,一部のデータに関しては,原データを基にして再計算して修飾を加えた。
結果
表に各国の超低出生体重児および極低出生体重児の死亡率を示す。
調査年は,超低出生体重児では1996~2005年に分布する。日本の調査は2000年の調査である。
出生体重1,000g未満すべてを対象とした各国の調査報告の中で日本が一番死亡率が低い。
極低出生体重児を対象とした調査では,調査年は1993~2003年に分布し,日本の調査は2003年と一番新しい調査であるが,
極低出生体重児を対象とした調査の中で一番死亡率が低い。
次に出生体重別の死亡率を比較した。症例数が多く,出生体重別の死亡率が出生体重100g単位で記載されている米国フロリダ州の報告と比較検討した20)。日本の死亡率は,2003年出生で出生体重1,000g以下の979例を,米国の死亡率はフロリダ州の1996~2000年出生の5,076例を対象としたものである。各出生体重別の死亡率は日本のほうが低いが,
出生体重が800gを超えると死亡率の差はなくなっている。すなわち,日本の超低出生体重児全体の死亡率が低いのは,超低出生体重児の中でも出生体重がより少ない群で死亡率が各国に比べて低いことによる。
考察
超低出生体重児の死亡率を国際比較して検討した結果,日本の超低出生体重児の死亡率はほかの国に比べて低く,生命予後が良いことが改めて明らかになった。ただし,各国の報告は必ずしも一定の選択基準で集計されていないし,報告年が異なるため直接比較は困難である。事実,生命予後調査のバイアスが議論されている20)。そこで,一部のデータに関しては,報告データを再計算して日本の超低出生体重児の予後調査方式に近づけて検討した。特に日本小児科学会新生児委員会の調査データは,最も確実に日本での超低出生体重児の生命予後を知ることが可能である18)。この調査報告と各国のデータを比較しても,確実に日本の超低出生体重児の生命予後が優れていることが明らかであった。
この傾向は極低出生体重児を対象とした調査でも同様であった。ただし,2001年のシンガポールの新生児死亡率は1.1で,同年の日本の新生児死亡率1.6より低く,世界一新生児死亡率が低い国は現在日本ではなくてシンガポールである。そのため,極低出生体重児の死亡率の比較では,表に示すようにシンガポール17)と日本19)のそれはほとんど差が認められない状況である。
最新の予後が両国とも現在不明であるが,シンガポールの超低出生体重児の生命予後は日本と同程度になっている可能性がある。出生体重別の死亡率を詳細に国際比較することは各国のデータが十分でなく困難であった。そこで,出生体重100g単位で生命予後が詳細に報告されている米国フロリダ州の調査と比較検討した21)(図)。
その結果,超低出生体重児の中で,出生体重が重い群では生命予後の差が明らかでなく,出生体重が700g以下の児で生命予後の差が明らかとなった。各国とも超低出生体重児の生命予後が全体的に改善し,超低出生体重児といえども出生体重が800g以上あれば,その生命予後は多くの国であまり問題なくなってきていると推測できる。一方,日本では出生体重が500g以下のさらに出生体重が軽い超低出生体重児の生命予後が,新生児医療の進歩により年ごとに改善している状況である。
日本の超低出生体重児の生命予後は諸外国に比べて良く,日本の新生児医療レベルの高さを示した。ただ,一部の国では新生児医療レベルが日本と同じになっており,日本の優秀性を維持するためには,さらなる周産期医療レベルの向上が必要である。そのために,周産期医療の基礎および臨床研究と周産期医療システム整備の推進が不可欠である。
今妊娠した子供のことで悩んであちこち検索していてここに来ました。
現在29週に入り胎児の体重は28週で700gを切っております。
ダブルバブルサインが見られ(十二指腸閉鎖もしくは閉塞)、羊水がほとんど無い状態(エコーで腎臓が確認しておりポッターではないかと)、さらに心臓にVsd or AVsd or Dorvの疑いありと言われました
(東大病院)
医師からは暗に「このままの自然死」を進められていますが、本当にそれで良いのか考えております。
この文章が目に留まるころには結果が出てしまっているかもしれませんが
何かご意見を頂けましたら幸いです。
乱文で申し訳ございません。
投稿情報: うなぎ屋譽兵衛 | 2008年9 月24日 (水) 23:10
十二指腸閉鎖があって,心室中隔欠損(あるいは心内膜床欠損,あるいは両大血管右室起始)ならば,一般的には染色体異常の可能性が考えられます.また十二指腸閉鎖がありながら羊水がほとんどないというのは,児の排尿がないということですので,やはり両側腎が機能していないのでしょう.残念ながら赤ちゃんの見通しは暗いと言わざるを得ません.東大の先生のおっしゃることはよく理解できます.
ただしおなかの中にいる限りは元気なはずですので,ふつうにお産して,後は赤ちゃんのもっている力次第ということになるでしょう.場合によっては,そのままお母さんとお父さんの3人で一緒にいて,そのまま看取りということもあるだろうと思います.
投稿情報: denpoji | 2008年11 月11日 (火) 20:25