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(投稿:by 僻地の産科医)
最後の章がいいところついています!!!
実は、産婦人科での新生児の扱いは「外来患者」なんですね。
なので、まぁ「産後のおかあさんの付添」みたいな感じ。
ケアの対象ではありません。
とはいっても、もちろん新生児ですから、
どの産婦人科施設でも新生児担当の看護師は
毎回勤務の度に係が決まっています。
あたりまえですよね・・・・。
【参考過去ブログ】
でも医療行為じゃないし、お金だってもらえないんです。
Ns人員配置は「お母さんのため」の人数しかおりません。
「リスクへの注意喚起義務,国にも」
宮崎カンガルーケア訴訟始まる
MTpro 2011/12/19
医療ライター・軸丸 靖子
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1112/1112055.html
国の責任,司法がどう裁くかに注目
正常に出生した児が重度の脳障害を負ったのは,帝王切開直後の母親に児の管理を任せ,国の推奨する早期母子皮膚接触(STS,あるいはカンガルーケア)および母子同室,完全母乳を無理に進めたためとして,病院と国に注意義務違反による損害賠償を求めた訴訟が本日(12月19日),宮崎地方裁判所で始まった。カンガルーケアをめぐる訴訟はここ数カ月の間に全国で5件起こされているが,国も相手取るケースは初めて。国の責任を裁判所がどう判断するかが注目される。
国には「安全対策に欠けた指針を提示した責任」
原告側の訴状によると,児は2009年8月に予定帝王切開で出生。児の状態は良好だった。病院の診療マニュアルでは,帝王切開の場合,母親の疲労と鎮静鎮痛薬による睡眠作用の影響を考慮して,出産当日は児を保育器で預かり,出産翌日から母子同室とすることになっていた。
しかし,このケースでは,出産1時間後から20分ほどカンガルーケアを,その後6時間ほど母子同室が行われ,点滴と酸素飽和度測定モニターが装着され両手の自由が効かない母親に児の全身管理を任せた。その後,児はいったん授乳室で管理されたが,2時間半後の午前1時に看護師が訪れ,「児の手足が冷たいから温めて」という理由で再び母子同室とされた。その2時間後,母親が児の心肺停止状態に気付き,新生児集中治療室(NICU)のある高度医療機関へ救急搬送されたが,新生児仮死,呼吸障害,新生児低血糖と診断された。
両親には乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性が説明されたが,看護師が児の低体温の徴候に気付きながらも児の体温や血糖を測定していないこと,帝王切開術後で眠気の強い母親に児の全身管理を任せたことなどから,両親は病院の注意義務違反を指摘した。
(↑ 授乳・離乳の支援ガイド 厚生労働省 平成19年P11より)
また,同院が進めるカンガルーケア,完全母乳育児,母子同室が,世界保健機関(WHO)/ユニセフの共同声明にのっとって厚生労働省の推奨するものであり,厚労省が作成した「授乳・離乳の支援ガイド」にも記載されていることから,国の責任も指摘。
国として安全対策に欠けたガイドを提示することは違法として,賠償責任を求めた。訴状ではさらに,母子の状態を考慮せず,一律にカンガルーケアや母子同室,完全母乳を勧める助産師教育の在り方にも警鐘を鳴らしている。請求額は計約2億3,000万円。
母子同室は医療費削減策の結果か
このケースは,原告側がさらに争点整理を行った上で来年(2012年)3月に第2回口頭弁論が行われる予定。その間,1月には横浜で別のカンガルーケア訴訟が始まる。このほかに同様の訴訟が大阪で1件,福岡で2件進んでいる。
宮崎のケースの原告は「カンガルーケア関連の事故は,母子が長時間2人きりだったり,児のモニタリングが行われていなかったりと,みな似たような条件下で起きている。SIDSの可能性は無論分かっているが,経緯を振り返ればSIDSでは納得のいかない点がいくつかあり,それが事故となったケースで共通していることが患者側に分かってきた」と,同時多発的な訴訟が全国で起こされた背景を説明。
原告代理人の日野佳弘弁護士は,国を相手取った理由について,「国としてカンガルーケアや完全母乳,母子同室を推奨するならば,その危険性についても説明する義務がある。そこをきちんと指摘したい」と説明。
さらに,わが国の診療報酬制度では正常出産児に対する医療管理には保険点数が付かないため,病院として手をかけるわけにいかず,母子同室の言句の下で母親の負担とさせている状況があるとして,「医療費削減政策の一環だろうが,少子化対策を掲げるならば正常に出産された児にも保険点数を付けてきちんとケアできるようにすべき。安全に出産できる環境を国として確保するよう,訴えたい」と話している。
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