(関連目次)→医療事故安全調査委員会 厚労省の問題点 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
橋本先生が、2009年4月21日
衆院決算行政監視委員会第四分科会にて、
死因究明制度について質疑されました!
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
死亡診断の場面で、
> 大事な統計をとる調査をしてもらうのに、
> 何でコストが、遺族やもしくは病院だとか
> ドクターの持ち出しでいいんですか。
あああ~。そりゃまったくですね(>▽<)!!!!
せっかくだからご覧下さいませ ..。*♡
○福島主査
これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。
○橋本議員
おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。
きょうは決算行政監視委員会の第四分科会、法務省所管の分ということでございまして、今、決算の概要について説明を伺いました。立派な決算でございます。会検の指摘などもあったようですから、そこはしっかり踏まえて対応していただきたいということで、本題に入らせていただきます。
きょうは、四月三日に法務委員会で、死因究明の制度について、人がお亡くなりになったときに、どういう形でお亡くなりになったのかを調べる制度について議論をさせていただきましたけれども、その続きというのをさせていただきたいと思っているんです。
前回は、監察医制度を全国展開したらどうか、こういうようなことまで申し上げて、踏み込んだことを申し上げましたけれども、きょうはもうちょっと落ちついて、やりとりをさせていただきながら、現状をまず、どういう状況なのか、どういう問題なのかということを議論させていただきたいと思っております。
そういうことですので、答弁をされる皆さんにおかれては、簡潔な答弁をぜひお願いしたいと思っておりますし、また、場合によっては、お答えをいただいたのを聞いて、さらに議論していくようなこともある。場合によっては、通告していないことも聞くようになるかもしれません。そのときは、準備がなければとか用意がなければ、ないですということで対応していただいてそれは結構でございますので、そういうやりとりをできるようにぜひよろしくお願いいたします。
また、森法務大臣におかれましては、実は、きょう質疑のあれが余りないんですけれども、立ち会っていただいて、聞いていただいて、今後の検討について、ぜひ御協力、御尽力をいただきたいということで、しっかりお聞き届けをお願いしたい、こう思っております。
さて、まず、先日、消費者庁の設置法案、消費者庁関連三法が衆議院を通過いたしました。今、参議院にかかっております。この議論にも異状死の死因究明というのは大変重要なんだろうと思っているんです。
というのは、消費者庁、いろいろな事件、事故があって、きっかけに議論をされ始めたわけですが、その一つにパロマのガス湯沸かし器の一連の事故があります。全国で、あちこちで事故というのが起こっていたわけですが、一連のものとして認識をされるきっかけになった事件が、東京都で起こった事件でありました。
これも実は、最初、事件ではないね、要するに犯罪ではないねということで、警察はそれ以上の死因究明をしなかった。ですが、東京都には監察医務院というものがあって、監察医の制度があって、そこで解剖をしてみた。そして血液の検査もしてみた。そうしたら、一酸化炭素の濃度がやたら高い、どうやらこれは一酸化炭素中毒死ではないか。そこで、御遺族がもう一回警察に行って、これはおかしい、ぜひ調べてくれ、そういうところから、パロマ社のガス湯沸かし器が怪しいということで、ではといって調べてみたら、実は一連の事故だったということが明らかになった、こういう経緯があります。
逆に言えば、東京都の場合、監察医の制度があったからわかったけれども、そうじゃない地域、監察医というのは五都市しかありませんから、それ以外の地域ではただの心臓発作とか心不全、そういう形で処理をされていた例もあったかもしれない。
実際に、北見市の例なんかは、一酸化炭素中毒事故があった同じマンション、同じ部屋で、半年前に、実はおふろ場で、おふろに入っていて亡くなった方で、これは心不全といって処理をされた例というのがあった。後で考えれば、あれはそのときからそうだったんじゃないのというようなこともあったわけです。もう御遺体は火葬になってしまっているから、後ではわかりません。
そういう意味で、消費者庁ができた、消費者行政をこれから頑張るぞ、すばらしいことだと思います。が、その前提として、消費者庁は重大製品事故というのがあったらそれに向けて対処をするのだということになっておりますが、その重大事故というのをきちんとまず発見するという段階において、実は死因究明制度がちゃんとしているということは大事なんだと思いますが、この点について、内閣府の御見解を伺います。
○福富政府参考人
お答えいたします。
御指摘のとおり、消費者庁が消費者行政の指令塔として中核的な機能を果たすためには、消費生活において発生した事故の情報が的確に伝わりますとともに、その原因究明が迅速かつ的確に行われることが重要だというふうに認識しております。
ガス機器の一酸化炭素中毒事故のような問題に関しましてさまざまな機能を消費者庁が果たすことになりますが、そのいずれの場面におきましても、その事故が、ガス機器という商品、製品の使用等に伴い生じたものであるか否か、この認識が非常に重要だというふうに考えております。
死亡原因の究明が迅速かつ的確に行われることは、消費者行政にとっても重要であるというふうに考えております。
○橋本議員
ありがとうございました。そういう観点でも重要だということであります。
それと、監察医制度の話、今、東京都の話をさせていただきましたけれども、そのついでに厚労省さんに確認をさせていただきたいんです。
その全国展開というのをこの間私も申し上げましたけれども、都道府県がやることですが、都道府県の方からこれを全国展開してくれという要望があったのではないかと思うんですが、この点について御確認をいただけませんでしょうか。
○中尾政府参考人
お答えいたします。
監察医制度を全国に拡大すべきであるという具体的な要望というのはございませんけれども、監察医制度に関連する要望といたしまして、昨年五月に全国衛生部長会からの要望がございまして、その中で、死因の明らかでない死体についての死因究明について、犯罪性の有無にかかわらず監察医制度の有無で生じる地域格差を是正するため、地域を限定しない一元化した制度とすることという内容がございました。
これにつきましては、犯罪性の有無にかかわらず死因究明一般についての全国的な制度を要望する内容であるというように受けとめております。
○橋本議員
監察医制度と呼ぶかどうかはともかくとして、要するに、犯罪じゃなくても一般的に全国的にちゃんと死因究明しようねということですから、言わんとしていることは同じだと思いますので、きちんとそういう要望もあったということは認識をして、今後御検討いただきたい、そのように思います。
さて、では改めて、何で行政が、いろいろな亡くなり方をされる方がおられます、その死因究明をするかということをそもそも論からいってみたいと思うんです。三つの意味があると私個人としては思っています。
一つは、犯罪に関連する場合、犯罪が、なぜ、どのようにして行われたかというのをしっかり調べる、あるいは、そういうものをまずそもそも見逃しをしないということ、それが一つ。
二つ目。さっきのパロマ社のガス湯沸かし器の製品、これは最終的に事件になりましたが、そうなる前にも、ちゃんとガス器具だとかそういう製品に関する事故であるということをきちんと認識したりする、発見をする、あるいは感染症みたいなものを早期に発見する、そういう公衆衛生的な側面があるだろう、これが二つ目。
そしてもう一つ。そもそも死因を究明すること自体に行政上の意味があるのだと思うんです。それは、死因統計というものを厚生労働省さんがとっていて、日本で人はどういうふうなお亡くなり方をするか、それによって、例えば、がんが多いね、ではがん対策をしましょう、あるいは、自殺が多いね、では自殺の対策をしましょう、そういうような行政上の根拠となる大事な統計をとるから、そういう意味できちんと死因究明をされている必要があるだろう、こういうふうに思うわけであります。
ほかにも、当然ながら、亡くなった御本人あるいは御遺族が、なぜ亡くなったのか知りたいということもあるでしょうし、あるいは医学の進歩のために調べる、これは病理解剖というものになりますが、そういうものもあります。ただ、それは多分、行政的な目的という意味では二つ目以降の話になるんだろう。第一として挙げるのは、さっき言った三つなのかなと個人的には思っているわけであります。
では、今申し上げたような形で御遺体の死因を究明するということについて、主管大臣はどなたでしょうか、法務大臣ですか。
○森国務大臣
我が国における死因を究明するための制度がどうなっているかということを若干申し上げますと、まず、一般の方から届け出を受けるのは、警察であります。警察において、その死体が犯罪に起因するものでないことが明らかである場合には、死体取扱規則に基づいていわゆる行政検視を行います。また、その死体が犯罪によるものではないと断定することができないと思われる場合には、警察から検察官に通知をして、検察官において刑事訴訟法に基づく司法検視の要否を判断することになっております。
そして、行政検視の結果、死因がなお不明である場合には、死体解剖保存法に基づいて、遺族の承諾を得て行う承諾解剖や、監察医制度の施行地域において監察医が実施する監察医解剖が行われることとなりますし、また、他方、司法検視等の結果、犯罪死の疑いがある場合には、刑事訴訟法に基づいて、裁判官の令状を得て司法解剖が行われることとなっております。
このように、我が国における死因を究明するための制度は複数の道筋に分かれておりまして、法務大臣は、法務省が刑事訴訟法を所管していることなどから、我が国の死因究明制度に関する行政の責任の一端を担っているところであります。
しかしながら、それらの法律及び制度を所管する省庁も複数の省庁にまたがっていることなどから、法務大臣以外にも、国家公安委員長が行政検視などを取り扱う警察行政等を所管しているほか、厚生労働大臣は死体解剖保存法に基づく監察医制度等を所管し、また、死因を究明するための人材を育成するという観点から、文部科学大臣も我が国の死因究明制度に関する行政の責任を担っているということが言えます。
そういうことで、特定の大臣がそのすべてを所管しているわけではありません。
○橋本議員
そういうことで、要するにだれが所管というのは決まっていない。それぞれの場合によって所管する省庁あるいは大臣というのは変わってくるのだ、ある意味で横断的な問題なんだということが言えるし、悪く言うと、だから若干無責任になりかねないようなリスクがあるのかなということは指摘されるべきなんだろうと思うんです、問題があるとすれば。だから、問題があるかどうかは、ちょっとこれから検討してみたいと思います。
まず、死因究明、今、解剖をする制度がこういうふうに分かれていまして、それに至るプロセスというのを御説明いただきましたが、最終的に死因というのはどこで決まるか。一つの目安が、死亡診断書または死体検案書に死因というのを書く欄がございますから、そこで、医師法十九条第二項に基づいてドクターの方が書かれる、それが確定した死因というものの一つのあり方なんだと思います。その点からすると、医師が死体検案書、死亡診断書の死因を確定させる責任者なのかなと思うんですが、そういう制度になっているんじゃないかと思うんですが、その点、厚労省さん、確認をしていただけませんか。
○中尾政府参考人
死亡診断書及び死体検案書につきましては、その死亡の原因等を医師が記載するという形で今行われております。
○橋本議員
では、改めて聞きますが、なぜ死体検案書、死亡診断書に死因を書く欄があるんでしょうか。そして、ついでに、それを書くために、当然ながら診察をしたり検案をしたりということをする。要するに医師もコストをかけているわけですね。そのコストをだれが負担しているんですか。
○中尾政府参考人
死亡診断書、死体検案書につきましては、人の死亡に関する医学的、法律的な証明でございまして、死亡に関する医学的、客観的な事実を正確に記入する必要がある。また、これは我が国の死因統計作成の資料ともなっておりまして、これらにつきましては、医師が死亡の原因等を記載するというのは、このような制度の趣旨からそのようになっておるところでございます。
また、これらの書類の作成費用の負担でございますけれども、死亡した方の遺族が負担する場合や病院が負担する場合など、個別の事案によって異なっていると認識をしております。
○橋本議員
実は、客観的事実を書く必要があるというのは理由にはなっていないですね。だから、本当を言うと、その答弁というのは答弁になっていないと思います。
さはさりながら、さっきの統計の話があります。それは一つの大きな理由だと思いますが、統計をとるのに、遺族や病院という話がありました。でも、大事な統計をとる調査をしてもらうのに、何でコストが、遺族やもしくは病院だとかドクターの持ち出しでいいんですか。
○中尾政府参考人
死亡診断書と死体検案書の位置づけといいますのは、死亡届を出すときの添付書類という形の位置づけになっておりまして、そこでその死因が書いてございますので、これを用いて死因統計の作成ができる。結果としてそのような形で利用しておるわけでございますけれども、もともと死亡届をするのは届け出義務者において行うことでございますので、その届け出を行う者が書類を添付する、そのための費用として負担されているものではないかと思っております。
○橋本分科員
だとすると、死亡届のついでに出されるのだというような位置づけなのかなというふうに聞こえる答弁でございました。
要するに、行政上のプロセスとして、そういう死体検案書なり死亡診断書があって初めて火葬ができて埋葬ができる。その中で書いてあることですのでという話ですから、そこについては要するに政府はお金を出していないんですね。それでいいんですかということが一つの論点としてあろうかと思います。
さて、具体的なケースでいきましょう。時津風部屋という大相撲の部屋で暴行があって、若い力士が亡くなったという事件がありました。いろいろ新聞報道がありましたけれども、その途中経過の中で、警察が発表した死因、これは虚血性心疾患だと警察は発表した。病院に聞いてみたら、あるいは医師に聞いてみたら、いや、心不全だと僕は言ったんだけれども、こういうような話があって、食い違いがあったという報道がございました。
これは何で違ったんですか。
○西村政府参考人
お尋ねの事件は、平成十九年六月、愛知県犬山市内の相撲けいこ場におきまして、当時十七歳の力士が、けいこ中に倒れ、病院に搬送された後、死亡した事案と承知しております。
この事案につきまして、御遺体を検案した医師は、CTやレントゲン検査の結果などを踏まえ、心臓が原因の病死と判断したものと承知しております。愛知県警察におきましては、現場の実況見分、死体の見分、関係者の事情聴取等を行い、また、御遺体を検案した医師が、検査の結果、心臓が原因の病死であると判断していること等を総合的に勘案して、その死因を虚血性心疾患と判断したものとの報告を受けております。
○橋本議員
そうすると、この場合、だれがその死体検案書を書いたのかとか、どの時点で書かれたというのはちょっとはっきりしていないし、それはプライバシーだから余り明らかにすべきじゃないと思うので、よくわからないところもありますが、要するに、医師が判断して書くものと、警察は警察で医師の話も聞いて独自の調査をされて、でも食い違いがあったということなんだと思うんです。
そして、なお言えば、最終的に、その後、御案内のとおりの経過をたどり、一たん遺体は御遺族のところに帰ってきて、別の大学で解剖してもらって、しかも病理の検査までして、やっとこれは多発性外傷によるショック死だったということで鑑定が出て、そこから事件になっていくわけです。そういう意味でいうと、どっちも結果からいえば間違っていたということですね。危うく犯罪を見過ごす可能性もあった。そこは、前、法務委員会でも警察庁さんも認められているとおりであります。
それで、何でそうなるかという話ですよね。やはり、死亡診断書を書く、あるいは検案の方が今は主ですけれども、体表から観察をする、いろいろ状況を見る、だけれども中のことについて検査というのはほとんどしない。さっきのように、費用負担がそんなにあるわけでもないから、意欲がなければそれ以上のことをしなくてもいい。それから、解剖の場合、さっきの話のように、すぐ結論が出るわけではないので、病理検査の結果などもあるので、何カ月かたってからやっと結論が出るということもあります。なのに、死体検案書というのは先に書かないと、埋葬できませんから、要するに途中経過で書かなきゃしようがないんですね。
だから、結果として死因統計というのは正確なのかということは、そういう意味で、要するに、途中のプロセスで、わからないものはわからないし、あるいは、病気の疑いならそういうふうに書かなきゃしようがないのでそういうふうに書くわけですが、それが当たっているかどうかだれもチェックしないという体制があるのであります。
なお言えば、児童虐待の事件があって、高松高裁、平成十八年一月に民事訴訟の判決が出ているんです。というのは、解剖した執刀医がその御遺族から訴えられていて、どういうものかというと、要するに、一度解剖しました、ただ、そのときに明確なこれだという死因が見当たらなかった。当然ながら病理の検査は要るから、それはやるように準備はしていたわけですけれども、死体検案書には、乳幼児突然死症候群、いわゆるSIDSの疑いというふうに書いたわけです。
それを受けて、警察の方も、その御遺族から、何でこういうふうになったんですか、捜査してくださいと一度言われたときに、司法解剖の結果、そういう結果だったので、刑事事件としては取り扱うことはできないというふうに一度は言われたということがあったようであります。
最終的にこれも病理の検査をしたら、どうやら外傷によるものだったらしいという鑑定書が別途出て、それによって警察も動いて、最終的には立件されたわけですけれども、その御遺族は、最初の死体検案書に乳幼児突然死症候群の疑いと書いたから警察の捜査がおくれて、それで我々は迷惑をこうむった、だから民事賠償しろということで訴えた。
最終的に、それは責任なしということにはなりましたけれども、ただ、その判決文の中でも、一般論として、もし、死体検案書を作成する過程において、判断を誤り、適正な死体検案書の作成義務に反し、これにより、第三者に物的または心的損害を与えた場合は、当該第三者に対し、不法行為責任があるものと解されるということが判決文にも書いてあるわけで、要するに、死体検案書にいいかげんなことを書いたら、場合によっては書いた人というのは賠償責任を負わされる状態にあるわけです。
だから、そういう意味では、死体の解剖をする、検案する、あるいは現場で最終的に死因を死体検案書に書くドクターというのは、考え方によってはえらいリスクを負っている。わからないものは、例えば不詳の死といってはっきり書いてしまわないと、後で何を言われるかわからないということにもなりかねないし。
だから、問題は、本当は、御遺体というのは、見ただけで死因がわかるものというのは限られています。それは、見ただけでわかるものはありますけれども。そうじゃない、要するに検査しないとわからないこともあるし、時間がかかることもある。だけれども、死体検案書というものを書かなきゃいけなくて、それは仮の結論でしか書けない。それはもう現場の人はわかっていると思いますけれども。
にもかかわらず、例えば、さっきの高松の話のように、警察はそれを理由にして、捜査を今後はできませんということを言ってしまう。後で覆りましたけれども。時津風部屋事件についても同じようなことでありました。それで死因統計というのはできているし、なお、余りそれを間違えて、場合によっては民事賠償の責任まで負うというようなことになっていて、本当にそれでいいんですかという問題がここに大きくあるんだろうと私は思っています。
まだ、具体的に、ではどうすればいいかということを私たちも考えているところであります。今、自民党、公明党で、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟というのをつくりまして、そういうことを勉強しているところです。民主党さんも案を出されています。考えなきゃいけないということですが、今のような問題点があるということをきょう明らかにできて、それはよかったなと思っています。
本当を言うと、次に福島県立大野病院事件の話をして、今度は医師法二十一条、異状死とは何かという議論をしたいと思っているんですが、残り時間が限られていますので、これははしょります。
ただ、詳細にいろいろ私も見てみました。結果、判決としては、その医師の、医師法二十一条についても問題はないという結論が出たので、これはよかったわけですが、ただ、その過程で示された警察庁さんの動き、行動、あるいは検察庁さんもですけれども、というのと、厚生労働省さんが例えばガイドラインというのをつくっているんですね、「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」。これが、どういう場合に死亡診断書を書くのか、死体検案書にするのか、そういうフローチャートがあって、診療に係る傷病に関連した死因ですかと言った場合は、別に死体検案書を書けじゃなくて、死亡診断書を書いていいんですね。警察に届け出しろと書いていないんです。多分、そのドクターの方あるいはその判断をされた方は、これを見て、警察に届け出は要らないんだなと思って対応されたら、後で警察の方がやってきて、これは業務上過失致死及び医師法二十一条違反の疑いがあるんだといって事件になったということですから、そこに私は不整合があると言わざるを得ません。
この問題については、厚労省さんの方で医療安全委員会についての議論があるわけですから、そちらに譲りますけれども、現状、まずそういう問題があるのだということは御指摘をさせていただきたい、こう思います。
さて、そういうような中で、現場は何をやっているのかということでありますが、そこで注目されているのがAi、オートプシーイメージング、遺体の画像診断という話であります。これはすぐ診断できますし、まず御遺体を壊すこともない、そういうメリットが指摘をされ、経済的でもあるということも言われています。
だから、そういうものをぜひ、今るる申し上げましたような死因を究明するプロセスの中へ位置づけるべきではないかと私は思っております。それは、検案だけでとりあえず死因を決めちゃえという今の制度よりはましになるはずであります。
日本医師会の方でもその検討委員会があって、この三月にも第二次の中間報告が出ました。アンケートをすれば、回答があった二千四百五十施設のうち八百七十六施設でそういうことを実はやっている、制度的な位置づけはないんですけれども、というふうな回答が出ております。
警察は、司法解剖というか、要するに刑事事件があるかもしれないという場合においては、実はお金を出してCTを撮ってもらうというのはやっていますが、それ以外の場合は全然国からの費用というのは出ていません。
厚労省さん、なぜそういう自主的にAiをやる動きというのが起こっていると認識されているでしょうか。
○中尾政府参考人
医療現場におけるAiの実施につきましては、関係省庁との検討の場等におきまして、医療関係者の方々からお話をお伺いしております。
それで、Aiが行われている理由につきまして、現時点において十分その理由を承知しているわけではございませんけれども、これまでの議論の中では、例えばAiの実施は解剖に比べて費用が安価であることなどの事情があるものと伺っておりまして、こういったことから、医療現場で自主的なAiが行われているのではないかと考えております。
○橋本議員
解剖に比べて安価というのは間違いないところだと思いますが、その前提として、要するに、検案だけじゃわからない。でも、それはさっき言った行政上の理由なり、あるいは、病院で見る場合は病理学的にどういうふうに病気が進行しているのか知るために、そういう理由もあるかもしれません。それから、さっき申し上げましたように、逆に、うかつな死因を書くと、それがまた社会問題に後でなっちゃったりすると困る、それでお医者さんが訴えられちゃったりする、そういうリスクがあるわけで、必要に迫られてやっているんだと思うんです。
だから、それは、病院の持ち出しあるいは御遺族の費用負担、そういったものでされるものが大半であります。今申し上げましたような問題がある中で、現場ではそうやって自分の身を削っていろいろな努力をされているわけでありますから、これは国としてしっかりそういうものをきちんと把握してもらって、その上で対策を打っていただきたい。
時間がなくなりましたので、そのことを要望いたしまして、また今後、引き続きこの問題については取り上げさせていただきますが、きょうは質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○福島主査
これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。
コメント