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(投稿:by 僻地の産科医)
女性医師集まれ! 勤務環境改善を目指して
M3.com 2009年03月24日
橋本佳子編集長
http://mrkun.m3.com/mrq/top.htm?tc=concierge-header&mkep=concierge-header
「大学病院に勤務する産婦人科医の勤務時間は、月平均341時間にも及んでいる」
こんなナレーションのCMを放映しているのは、日本医師会。これは「勤務医・女性医師編」ですが、「勤務医・男性医師編」では、「今日は帰れるの?それが私の口癖です」と夫の日常生活を語る妻の言葉に続き、「医師の4人に1人が過労死の基準を超えた時間外勤務をしている」との解説が入ります。CMは日医のホームページでも見ることができます。
春の学会シーズンが到来していますが、この医師の長時間勤務の問題は、各学会でも取り上げられています。例えば…。
◆第73回日本循環器学会総会・学術集会
・シンポジウム「女性循環器医の離職リスクを回避するために」(3月20日)
※既に終了しました。
◆第109回日本外科学会定期学術集会
・特別企画「忙しすぎる外科医・労働環境改善への取り組み--他職種との連携と医療補助者の在り方--」(4月2日)
・特別企画「危機に瀕する外科医療を救うために--行政担当者、勤務医、開業医、研修医の立場からの提言--」(4月3日)
・シンポジウム「女性外科医が働き続けるために--現状と今できること--」(4月4日)
また第61回日本産科婦人科学会総会・学術集会の期間中の4月3日、「第1回 産婦人科から男女共同参画を実現する会(仮称)」という興味深い会が開催されます(学会主催ではないのですが、会場の一角で実施)。女性医師の割合は年々、増加していますが、特に女性が多いのが産婦人科。20歳代では約7割が女性です。学会も、2006年には「女性医師の継続的就労支援委員会」を立ち上げ、各種調査を実施するなどの取り組みをしていますが、さらにきめ細かく、機動的に活動するために発足させた会です。
発起人は5人で、うち1人が東京都立府中病院産婦人科部長の桑江千鶴子氏(m3.comでは、「都立病院の産婦人科医の立場から見た妊婦搬送問題」などをご寄稿いただいています)。「女性医師の継続的就労支援委員会」の委員長でもある桑江氏は、会の趣旨を次のように語ります。
「今の女性医師を取り巻く環境は、私が医師になった約30年前と比べてもあまり変わっていないように思うのです。各学会は学術的な活動がメーンであり、理事には女性医師がゼロか、いてもわずか。
何らかの問題があっても、意見を言ったり、相談する場がほとんどないのが現状です。でも、がんばっている女性医師は各地にいます。こうした医師、問題意識が高い医師の横のつながりを作りたいと考えています。例えば、出産・育児で職場を離れた女性医師の復職支援も大切ですが、まずは辞めてしまわないようにすることが重要。いったん、離れたら復職は容易ではないからです。何らかの問題に直面した際に相談できる“メンター”の存在があれば、別の働き方を考えたり、精神的に安定したりなど、対応できる場合もあるでしょう。
いろいろやりたいことはありますが、まず4月3日の会では、今後の活動方針を決める予定です。調査などもして、女性医師が働き続けるには何が必要かを整理したり、現状を広く医療界、世間一般に知っていただきたいと考えていますが、まずはできるところからやっていきます。
もちろん、女性医師に限らず、介護などの問題を抱える男性医師についても、また産婦人科医に限らず、それ以外の科でも勤務環境の改善が重要です。医師が働きやすい環境を整備し、質の高い医療と男女共同参画社会を目指し、実現する会にしていきたい。ポンと石を投げれば、さざ波が広がるように、私たちの活動が、医師全体の勤務環境の改善の何らかの突破口になればと考えています」
「立ち上がらないと何も始まらない」「言わなければ、誰も何も変えてくれない」との考えから行動する桑江氏。診療科にこだわらず、広く議論をしていく場の一つとして、紹介させていただきました。
◆「第1回 産婦人科から男女共同参画を実現する会(仮称)」
2009年4月3日 午後7時から午後9時
グランドプリンスホテル京都 「比叡」
参加費(お食事代含む):一般医師7000円、初期研修医・医学生5000円
※日本産科婦人科学会の会員以外の参加も可能。
※当日参加も可能ですが、事前の申し込みは、都立府中病院産婦人科の桑江氏宛てまで(FAX:042-323-9209にお名前、ご所属、連絡先を記載して、お送りください。TEL:042-323-5111)。
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