(投稿:by 僻地の産科医)
もちろん、こんな記事もありますので、
簡単に安心!とお墨付きを与えるものでは在りません(>▽<) ..。*♡
「少量なら」を自分の体の程度にあわせて。
情報の一部として、ですけれど。
妊娠中の飲酒
少量なら出生児の行動・認知障害リスク高めない
Medical Tribune 2009年2月26日号(VOL.42 NO.9) p.07
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M42090073&year=2009
〔ロンドン〕ロンドン大学(UCL)疫学公衆衛生学のYvonne Kelly博士らの研究によると,妊娠中に少量の飲酒(1週間ないし機会飲酒に1〜2ユニット。1ユニットは8gの無水アルコール,ビール中瓶半量程度に相当)をしていた母親から生まれた児は,飲酒しなかった母親の児に比べ,行動障害や認知障害リスクが高まることはない。この研究は,英国ミレニアムコホート研究(MCS)における3歳児1万2,495例のデータに基づき,妊娠中の母親の飲酒パターンと児の行動・認知アウトカム評価を検討したもので,International Journal of Epidemiology(2008; 38: 129-140)に発表された。
少量飲酒がプラスのことも
筆頭研究者のKelly博士は「妊娠中の多量飲酒と出生児の不良な行動・認知アウトカムの関連は立証されているが,妊娠中の少量飲酒が出生児の行動・認知障害リスクとなるか否かについての研究はきわめて少なかった」と述べている。
今回の研究では,妊婦の少量飲酒は行動・認知障害リスクを高めなかった。同博士は「実際,いくつかの行動・認知アウトカムに関しては,飲酒しなかった母親の児より少量の飲酒をしていた母親の児で障害が少なかったほどである」と説明。ただし,「多量飲酒していた母親の児は飲酒しなかった母親の児に比べ問題が多い」と付け加えている。
研究データによると,妊娠中に少量飲酒していた母親の男児では,家庭や社会経済的なさまざまな因子を考慮した後も,飲酒しなかった母親の男児と比べて「行動」問題のリスクが41%,多動性のリスクは29%低く,さらに語彙試験と,色,形,文字,数字の識別能力を見る試験の成績もよかった。少量飲酒していた母親の女児では,飲酒しなかった母親の女児と比べて情動症状のリスクが28%,友人関連問題のリスクが32%低かったが,その一部は家庭・社会的背景で説明できた。
同博士は「これらの知見の背景因子の一部として,心疾患に見られるような少量飲酒の身体的利益というより,少量飲酒する母親のほうが飲酒しない母親に比べ社会的に優位にあることが挙げられるかもしれない。しかし,少量飲酒により母親がリラックスすることで子供の行動・認知アウトカムが改善することも考えられる」と述べている。
現在,英国は妊娠中の完全な禁酒は推奨しておらず,英国アルコール戦略(National Alcohol Strategy)と英国立臨床評価研究所(NICE)の政策間に矛盾が生じ,医療従事者や一般の人々に混乱を引き起している。
英国周産期疫学ユニット(NPEU)による最近のレビューと英国産科婦人科医学会(RCOG)の声明は,少量飲酒の影響に焦点を当てた研究の必要性を強調し,研究者は一般住民を対象としたデータを用いるべきであると指摘しているが,今回の研究はまさにそれに基づいて行われたものである。
同博士は「この問題ついては政策の不一致があり,今回のような研究は飲酒と妊娠に関する議論を広げるために不可欠である。今回の知見は,妊娠中の禁酒を推奨する政策にメリットがあるか否かという疑問を呈示し,いっそうの研究が必要であることを示唆している」と付言している。
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