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(投稿:by 僻地の産科医)
「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」
の続報が入ってきました(>▽<)!!!!
橋本岳先生から。
参加者はわりと緩めの参加対象みたいですので、
ぜひぜひ国会議員の先生方、傍聴希望の方々、いらっしゃいましたら、
ふらっと参加してみてくださいませ ..。*♡
異状死死因究明制度の確立を
目指す議員連盟が発足しました
衆議院議員 橋本岳
MRIC 2009年3月11日号
【 はじめに 】
映画「おくりびと」のアカデミー賞受賞と時を同じくして(偶然でしょうが)、「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」が自民党・公明党の衆参国会議員により結成されました。変死体の死因究明制度については民主党がすでに法案を国会に提出しており、また時津風部屋事件等で話題になったことから、与党内でも検討の必要があるとして設立されたものです。私も、個人的な関心に加え、診療関連死の問題をはじめ場合によっては医療界に大きな影響を与えるものと考え、議連に参加しました。
【 参加議員は限定的 】
去る2月19日(木)に設立総会があり、3月5日(木)に第2回会合がありました。今後も引き続き、2週間に1回のペースで議論を重ねていきます。保岡興冶元法相が会長、冨岡勉代議士が事務局を務めて運営が行われています。会長の提案により、私を含むコアメンバーが会合と並行して提言案の作成を進める予定です。
毎回の会合の出席議員は、十数名程度。やはり司法関係または医療関係のバックグラウンドを持っている議員が多く、そのいずれでもない私のような出席議員は限られています。たとえば第2回会合に出席した自民党議員を私なりに分類すると、以下のように見えます。
残念ながら一般の議員の関心はまだまだ薄いと言わざるを得ません。今後に向けた大きな課題の一つです。
≪第二回勉強会 自民党参加者 ――背景による分類≫
●司法関係:
保岡興冶(元法相)、水野賢一(元法務副大臣)、
下村博文(元衆院法務委員長)、早川忠孝(現法務大臣政務官)
小野次郎(警察庁出身)、谷垣禎一(党司法制度調査会顧問)
●医療関係:
冨岡勉(医師)、清水鴻一郎(医師)、古川俊治(医師・弁護士)、
石井みどり(歯科医師)
●その他:
亀岡偉民、橋本岳
さて、設立総会では中園一郎・日本法医学会理事長、第2回勉強会では福永龍繁・東京都監察医務院院長が、講演を行いました。解剖充実の必要性と地域格差の大きい現状、法医学会が提言する死因究明医療センターの設立や人員・資源の投入、監察医制度の全国拡充、AIの補完的な位置づけ等について提言を受けました。第3回勉強会は3月19日(木)に予定されており、千葉大学法医学教室の岩瀬博太郎教授、ジャーナリストの柳原三佳氏が講演する予定です。
【 議論についての感想 】
ご講演いただいた中園先生と福永先生、お二方ともに情熱をもって解剖充実の必要性を語る姿には、正直感銘を受けました。監察医がいる地域といない地域で死因の差がありすぎる現状は決して放置できません。ぜひ体制の充実をはかるべきでしょう。他方、法医学に限らず医師の数が不足しており、やっと医学部定員が増やされた中で、解剖を行う法医学者の養成は大きな課題です。文部科学省も「医学部定員増を通じて解決を目指す」と第2回会合にて述べていましたが、いささか絵に描いた餅の感があります。
また財源についても、法医学会の提言では「厚生労働省を中心とする国が支弁すべき」となっています。しかし医療崩壊の現状で、ただでさえ医療関係予算の不足が言われている中、生者の医療と死者の医療が予算を食い合う事態は決して望ましくありません。かといって、異状死の半数以上が病死という現状で、全てを犯罪捜査として警察庁に頼るのも非現実的です。ここは議員や役所の知恵の出しどころ。例えば監察医制度であれば都道府県事務なので、地方交付税で措置するようなことも考えられます。
診療関連死については、法医学会の提案では、厚労省が現在提案している医療安全委員会ができればそちらに譲るとなっていますが、単にそのような切り分けでよいのでしょうか。また遺体の画像診断であるAIの取り扱いについて、作家の海堂尊先生からブログにて厳しいご批判をいただいています。実は4月2日(木)の第四回勉強会に海堂先生をお招きしてご講演をいただくことになっておりますので、どのような議論になるか楽しみにしています。
内閣府は関係省庁を集めて同じテーマで検討会を行っています。しかし、現時点ではその検討内容等を議連で明らかにしていません。その点を明らかにするよう、第2回勉強会にて、私から要望をしました。
【 ぜひご注目を! 】
この議連の勉強会は、マスコミにも一般の方にもすべてオープンで行われています。隔週木曜日16時から(衆院本会議の都合等により変更がありえます)、衆議院もしくは参議院の議員会館にて開かれておりますので、ご興味の方はぜひご参加いただければと思います(その際には、[email protected] までご一方ください)。またそれが叶わぬ方々も、ぜひご関心を持っていただければ幸いです。あるいは、地元の与党議員に「こういう議連があるから参加しろ!」とおっしゃっていただいても効果的でしょう。私も議連メンバーとして、できるだけ多くの議員、そして一般の皆様に関心を持っていただきたいと願っています。もちろん、先のメールアドレスにご意見をいただければ喜んで拝見します。今後の経過についても、引き続きこのメルマガや私のブログにてご報告しますので、ぜひご参照ください。
政治が未来を語る上で、歴史を踏まえることが必要不可欠なように、社会は一人ひとりの歴史とその終焉にもっと敬意を表すべきだと私は思います。今後の医療の在り方にも大きな影響を与える議論です。また高齢社会を迎え、孤独死の増加にともない変死体はなお増加するものと予測されます。その中に紛れ込む犯罪や事故も、決して見逃してはなりません。なかなか政治課題として取り上げられにくいテーマですが、ぜひ今後ともご注目をお願いいたします。
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