(関連目次)→医療政策 目次 臨床研修制度の問題点
(投稿:by 僻地の産科医)
臨床研修制度の改革について、
どこがどのように変わりそうなのか、
今後のプランはどうなのかわからなかったので、
調べてみました(>▽<)!!!!
日本医事新報 No. 4428(2009年3月7日号)から ..。*♡
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ぜひぜひみなさまにもお役に立つ情報だと思います。
4月からパブコメ募集をしていくようなので、
要チェックですね♪
医道審医師臨床研修部会
5都府県で研修医の定員削減の可能性
臨床研修見直しで厚労省が都道府県別定員を試算
(日本医事新報 No. 4428 2009年3月7日号 p4-7)
厚生労働省は2日、必修科目を削減し、研修医の定員に都道府県別の上限を設けることを柱とする医師臨床研修制度の見直し案を医道審医師臨床研修部会(斎藤英彦座長)に提示し、大筋で了承された。人口分布などを用いた上限の試算によると、東京、神奈川、京都、大阪、福岡の5都府県は定員削減の対象となる可能性が明らかになった。同省は平成22年度から見直しを実施するため、近くパブリックコメントを募集し、4月中に関係省令・通知を改正する方針(27~31頁に見直し案の全文(下記))。
見直し案は、厚生労働省と文部科学省の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」(高久史麿座長)が2月18目に取りまとめた提言を踏まえたもの。
提言では、研修プログラムを弾力化するため必修科目を「内科」「救急」「地域医療」に限定。さらに医師の地域偏在是正のため、都道府県や病院の研修医の定員に上限を設定することとしている。
都道府県の上限について同省は、「人口分布」「医師養成状況」「地理的条件」を用いた計算式を提示(図1)。
人口分布は、総人口に対する都道府県の人口割合、医師養成状況は、全医学部の入学定員に対する都道府県入学定員の割合で、それぞれ前年度の全研修医数を掛けて算出。このうち数値が多い方を定員とする。
また地理的条件として、100km2当たりの医師数が60・7(=東京都、大阪府を除く全国平均)未満の場合は定員の10%を、30未満は20%を加算する。
病院の定員(図2)は、過去3年間の受入実績の最大値で設定。医師を派遣している場合には上乗せする。
医師派遣の定義について同省は、大学病院の派遣を基本としつつ、卒後年数や派遣年数など実態を精査して、さらに検討するとした。
病院が希望する定員の合計が都道府県定員の上限を上回る場合は超過分を調整。大幅に超過している場合は削減率を10%にとどめるなどの経過措置を設ける。
逆に都道府県の上限を下回る場合は、研修医の採用実績や地域の実情など一定の条件の下に増員を認める。
定員総数は1・15倍に
同省は20年度の採用実績を基に都道府県定員の上限を試算した(表)。全国の研修医の定員は9911人となり、20年度の1万1563人から14%減少。研修希望者に対する総数は1・3倍から1・15倍に縮まった。都道府県別にみると、東京、神奈川、京都、大阪、福岡の5都府県は採用実績が上限を上回り、定員削減の対象となる可能性が明らかとなった。
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病院の指定基準を強化
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見直し案ではこのほか、臨床研修病院の指定基準を強化。臨床研修病院群の管理型病院は単独で、「年間入院患者数3000人以上」「研修医5人に対し指導医1人以上」「救急医療を提供」「臨床病理検討会を適切に開催」「協力型臨床研修病院や医療機関と連携」の5基準を満たすこととした。
入院患者数について厚労省は「この人数であれば到達目標を達成できる」と説明。医療機関との連携は、地域医療研修を必修とし、病院群の形成を推進するとした提言を踏まえたもので、これにより、従来の「単独型臨床研修病院」の形態はなくなることになる。
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マッチングの対象はプログラムか病院か
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この日の部会では、マッチングの対象を現行通り研修プログラムとするのか病院に変更するかを巡り議論。
斎藤座長は「病院が用意したコースに希望者がいなかったら現場が混乱する」と変更を提案。小川彰委員も、「地域偏在是正のために都道府県の定員を設けるのだから病院に」とした。
これに対し、「研修内容を研修医にはっきり情報提供すべき」(矢崎義雄委員)、「研修医の希望を優先するためプログラムでマッチングを」(相川直樹委員)と現行方式を支持する意見も出たため、同省が両論を踏まえ検討することになった。
都道府県別定員の上限については、「地域ごとに、どういう研修、病院があるかを提示しないと、(地方でも)手厚い研修が受けられるとのメッセージが研修医に伝わらない。機械的に設定しても絵に描いた餅だ」(矢崎委員)など、研修体制に基づいた試算を求める意見が出た。しかし検討会終了後、同省医政局の杉野剛医事課長は記者団に対し「(提示した)試算をパブコメした方が混乱がない」と述べ、この案で見直しを進める考えを説明。医師偏在是正を目的として上限を設ける方針については、「これだけで解決するとは思わないが、研修医も給料をもらっている医師なので、偏在への対応を考えないといけない」と話した。
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舛添要一厚労相「賛否両論ある」
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見直し案について舛添要一厚労相は3日の閣議後会見で、「賛否両論あるので、試運転して良くなければまた変えればいい」とコメント。さらに、医師不足問題を契機に見直しの議論が始まったことを認めつつも、「一番人事なのは良い医者をどう育成するか」と述べ、医師不足対策が主目的ではないと強調した。
検討会とりまとめ案「実効性見えない」
日医が「地域内研修」などの実施を改めて主張
日本医師会は2月25日の定例会見で、厚労省検討会がまとめた臨床研修制度見直し案に対する見解を発表した。この中では、「卒前・卒後の一貫した医師養成」を目指す方向性が盛り込まれた点を評価しつつも、現行制度を色濃く残す形となったことに対し、「実効性が見えてこない」と不満を表明。地域内研修などの実施を改めて主張した。
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会見を行った内田健夫常任理事は、検討会の見直し案と、日医が「グランドデザイン2009」の中で示した改革案(前号参照)を比較した上で、検討会案への見解(別掲)を発表。
「卒前・卒後の一貫した医師養成を目指し、臨床研修の質の向上や医学部教育の更なる充実を図る」「医学生の医行為の取扱いや医師国家試験の内容を見直す」などと明記されている点について「私どもの意見もかなり反映されており、具体的検討・実施が期待される」と評価した。
「踏み込みが浅い」
しかし、都道府県別の募集定員上限の設定が盛り込まれたものの、実施体制は各研修病院単位とされるなど、現行制度を色濃く残している点については、「具体的な中身についての踏み込みがいかにも浅く、実効性がどれだけあるかが全く見えてこない」「地域による調整機能がどこまで働くのかが疑問」と不満を表明。
会見に同席した中川俊男常任理事も「どこの県に行ってもいい検討会案では、あまり実効が伴わないのではないか」と述べ、都道府県医や大学・臨床研修病院、自治体などが参加する地域医療研修ネットワークによる地域内研修などの実施を改めて主張した。
未曾有の事態「学生・研修医にも覚悟を」
研修医への統制とも取れる日医の改革案について、中川常任理事は「地域医療の崩壊はまさに未曾有の緊急事態。研修医と一体となってすべての医師がこの問題に取り組む必要がある」との問題意識を示し、今後入学する医学生・研修医にも同様の覚悟を持ってもらいたい―と強調。
一方で、「提案は(初期研修の)1年間だけではなく、医学部の5、6年生からその県の病院で診療参加型の臨床実習をするというもの。我々の感覚としては、それで地域に愛着を持ってくれ、定着率も今よりはかなり上がるだろうという思いがある」と述べ、改革案への理解を求めた。
今後の臨床研修制度の概要について(案)
(3月2日 医道書医師臨床研修部会)
(日本医事新報 No. 4428 2009年3月7日号 p27-31)
1 研修プログラムについて
基本的な考え方
○ より良い医師の育成のため、「医師としての
人格のかん養とプライマリ・ケアの基本的な
診療能力の修得」という制度の基本理念、お
よび基本理念を具体化した到達目標を前提と
する。
○ 研修プログラムは、各病院の個性や工夫を
活かした特色のあるものとする。病院の実情
を踏まえつつ、研修医の将来のキャリア等に
円滑につながるように、研修を行う診療科の
構成、各診療科における研修期間及び研修時
期を定める。
(1)臨床研修を行う分野
○ 内科、救急部門及び地域医療を「必修科目]として、必ず研修を行う。
○ 外科、麻酔科、小児科、産婦人科及び精神科を「選択必修科目」として、この中から2診療科を研修医が選択して研修を行うことを必修とする。
病院の判断で、これらの診療科の全部又は一部を「必修科目」とすることもできる。
O「選択必修科目」については、研修医の希望に応じていずれの診療科の研修も確実に実施できるよう、臨床研修病院は各診療科で研修を行うことができるプログラムを必ず用意し、受け持ちの入院患者について指導できる体制を確保する。
(2)研修時期・期間
○ 原則として、当初の12月の間に内科及び救急部門を研修し、次の12月の間に地域医療の研修を行う。
○ 原則として、内科は6月以上、救急部門は3月以上、地域医療は1月以上の研修を行う。
O「選択必修科目」は、病院の判断で適切な期間の研修を行う。
(3)地域医療の研修
○ 地域医療の研修は、十分な指導体制の下で、患者が営む日常生活や居住する地域の特性に則した医療(在宅医療を含む)について理解し、実践するという趣旨であり、へき地・離島診療所、中小病院、診療所等において行う。
○ 研修を行う施設は、関係自治体や地域医療対策協議会の意向を踏まえるなど、地域の実情に応じて選定されるよう配慮する。
(4)医師不足の診療科への対応
○ 研修医の募集定員が一定数以上(例えば20人以上)の臨床研修病院は、将来小児科医及び産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラム(募集定員2名以上)を必ず設ける。
(5)到達目標の達成度の評価
○ 到達目標について、研修医の達成度を客観的に評価する仕組みを構築する。
2 臨床研修病院の指定基準について
基本的な考え方
○ 研修の質の向上のため、臨床研修病院の基
準を強化するとともに、医療機関の連携によ
る臨床研修病院群の形成を推進する。
(1)臨床研修病院(協力型臨床研修病院を除く。以下同じ。)の指定基準
○ 臨床研修病院は、以ドの事項を満たすものとする。
①救急医療を提供していること
②年間入院患者数が3,000人以上であること
③研修医5入に対して指導医を1人以上配置すること
④臨床病理検討会(CPC)を適切に開催していること
⑤協力型臨床研修病院その他の医療機関と連携して
研修を行うこと
*その他の基準は現行どおり
(2)経過措置
○ 臨床研修病院の指定基準に適合しなくなり、指定取り消しの対象となる場合などについては、一定期間の経過措置を設け、地域の実情や研修医の受入実績等を考慮したきめ細かな対応に配慮する。
(3)臨床研修病院の新規指定の取扱い
○ 協力型臨床研修病院として一定の実績があることを前提に、指定基準を満たす場合は新規指定を行う。
3 研修医の募集定員について
基本的な考え方
○ 研修希望者に見合った募集定員の総枠を設
定するとともに、研修医の地域的な適正配置
を誘導するため、都道府県別の募集定員の上
限を設定する。
○ 各病院の募集定員を、過去の研修医受入実
績を踏まえ適正規模に見直すとともに、医師
派遣実績等を勘案した上で、都道府県の募集
定員の上限と必要な調整を行って設定する。
(1)病院における研修医の募集定員は、以下の数値を超えないこととする。
①A
A:当該病院の過去数年間(例えば過去3年間)の研修医の受入実績の最大の数値。ただし、一定の定義に基づき、当該病院から他の病院に派遣されているとみなされる常勤医師がある場合には、その数を勘案して一定の限度内で定める数を加算する。
②当該患者が所在する都道府県内にある臨床研修病院及び大学病院の募集定員の合計が、(2)で定める当該都道府県の募集定員の上限を超える場合は、以下の計算式により算定した数値
AXB/C
B:(2)で定める当該都道府県の募集定員の上限
C:当該都道府県内における臨床研修病院及び大学病院が希望する募集定員の合計
③経過措置
BがCより大幅に小さい場合は一定の経過措置を設け、地域の実情や研修医の受入実績等を考慮したきめ細かな対応に配慮する。
(2)各都道府県における募集定員の上限とは、以下の計算式により算定した数値をいう。
*研修医の数については1学年分
①D十E十F
D:D1とD2のうちの多い方の数値
D1:全国の研修医の前年度総数×当該都道府県の人ロ/全国の総人目
D2:全国の研修医の前年度総数×当該都道府県内の大学医学部の入学定員の合計ノ全国の大学医学部の入学定員の合計
E:Dxa(100平方km当たりの医師数が60.7未満の道府県に限る)
*60.7は東京都、大阪府を除く全国の100平方km当たりの平均医師数
F:DX離島人口×βノ当該都道府県の人口
*離島人口とは、離島振興法及び沖縄振興特別措置法における指定離島の人口
*α、βとは、調整係数
(例えばα=10%~20%、β=5)
②都道府県の募集定員の上限が、当該都道府県内における病院が希望する募集定員の合計よりも大幅に下回る場合は一定の経過措置を設ける(例えば削減率は当面10%を上限とする)。
(3)各病院の募集定員の増員の取扱いについて
○ 当該病院の所在する都道府県内にある病院が希望する募集定員の合計が当該都道府県の上限を超えない場合には、当該病院の前年度の研修医の採用実績や地域の実情等一定の条件の下に、増員を認めることとする。
(4)新規指定における募集定員の取扱いについて
○ 臨床研修病院を新規に指定する場合は、募集定員を2名とする。
4 適用時期等について
○ 平成22年度から研修を受ける研修医に対する臨床研修から適用する。
○ 5年以内に必要な検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
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