(関連目次)→医療安全と勤労時間・労基法
(投稿:by 僻地の産科医)
愛育病院のその後についての続報です。
日経によりますと、どうも東京都になだめられて、
「返上をやめようかにゃ??」
という動きもあるようですね。
本質は返上するかどうかではありませんが、
労基署の勧告というものがどれだけの力を持っているのか、
ご存知でいらっしゃらないようで・・・(-_-;)。。。
ま、いっけどさ、一回是正勧告うけたらトコトンやられますよ。
民間企業の方々ならご存知でしょうし、
日経くらいの会社なら充分ご存知のはずなんですけれど。
刑事告訴もあるし。。。
公務員も、病院関係者も認識が甘いですよね(>▽<)!!!
ちなみに私の家族の働く会社で、
実は労基署指導が入った事があります。
(かなりの大手企業)
その後、会社の雰囲気はがらりと変わりました。
愛育は公立ではないですし。
東京都になだめられたくらいで、自分の病院の責任で、
周産期センターを名乗り続けるなんて、勇気があります!!
労働基準法を守りながら、きっと続けられる良い秘策がおありなんでしょう。
そしてもうひとつのビッグニュース(>▽<)!!!!!
(速報)日赤医療センターにも是正勧告
ロハス・メディカルニュース 2009年3月26日
http://lohasmedical.jp/news/2009/03/26132125.php
労基署と言う選択 (←おススメ)
新小児科医のつぶやき 2009-03-26
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090326
↓それってただの、東京都の言い分なだけなのでは???
「愛育病院は厚労省と調整へ」-東京都が見解
ロハス・メディカルニュース 2009年3月25日
http://lohasmedical.jp/news/2009/03/25214708.php
周産期医療:現場負担、放置のツケ 愛育病院が指定返上へ
毎日新聞 2009年3月26日
http://mainichi.jp/select/science/news/20090326k0000m040167000c.html
愛育病院が、妊産婦や新生児にとって「最後のとりで」である総合周産期母子医療センター指定の返上を東京都に申し入れた問題は、安心な医療体制を維持しようとすれば労働基準法を守れない過酷な医師の勤務実態を浮き彫りにした。
多くの産科施設では医師の夜間勤務を、労基法上は労働時間とみなさない「宿直」としている。宿直とは巡回などの軽い業務で、睡眠も取れる。だが実際の夜間勤務は、緊急の帝王切開手術をするなど日中の勤務と変わらない。厚生労働省は02年3月、こうした実態の改善を求める局長通達を出していた。しかし、全国周産期医療連絡協議会が08年、全国の同センターを対象に実施した調査では、97%が「宿直制」をとっていた。77%は夜間勤務明けの医師が翌日夜まで勤務し、翌日を「原則休日」としているのはわずか7%しかなかった。
労基法を守ろうとすれば、医師を増やし、日勤-夜勤で交代する体制を実現するしかないが、産科医は減り続けている。06年末の厚労省の調査では、産婦人科医は1万1783人で、96年から約12%減っている。全国の同センターも、少ない医師でやりくりせざるをえないのが実情だ。愛育病院のような動きが広がれば、日本の周産期医療は崩壊の危機に直面する。
産科の医療体制整備に詳しい海野信也・北里大教授は「医療現場は患者に迷惑をかけないように無理してきたが、労基署の勧告は『医療現場に過度の負担をかけるべきではない』との指摘だ。こうなるまで事態を放置してきた国の責任は重い」と批判する。
愛育病院が総合周産期センター返上申し出 当直維持困難
朝日新聞 2009年3月26日
(1)http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250428.html
(2)http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250428_01.html
危険の大きい出産に24時間態勢で対応する総合周産期母子医療センターに東京都から指定されている愛育病院(港区)が、都に指定の返上を申し出たことがわかった。今月中旬、三田労働基準監督署から受けた医師の勤務条件についての是正勧告に応じるためには、医師の勤務時間を減らす必要があり、総合センターに求められる態勢が確保できないと判断した。
総合センターでなくなると、救急の妊婦の受け入れが制約されたり、近隣の医療機関の負担が増したりするおそれがある。都は愛育病院に再検討を求めている。厚生労働省によると、総合センターの指定辞退を申し出るケースは初めてという。医師の過重労働で支えられている周産期医療の実情が露呈した形だ。
病院関係者によると、三田労基署から、医師の勤務実態が労働基準法違反に当たるとする是正勧告書を受け取った。勧告書は、時間外労働に関する労使協定を結ばずに医師に時間外労働をさせ、必要な休息時間や休日、割増賃金を与えていないと指摘。4月20日までに改善するよう求めている。愛育病院は、同法などに沿って時間外勤務の上限を守るには、現在の人員では総合センターに求められる産科医2人と新生児科医1人の当直を維持できないため、指定を返上することにした。
同病院は周産期医療が中心。99年4月に総合センターに指定された。常勤の産科医は昨年10月現在で研修医も含め14人、新生児科医7人。年間千数百件の出産を扱う。「自然出産」がモットーで、皇室との関係が深く、皇族や有名人の出産も多い。病院関係者は「勧告に沿うには医師を増やすしかないが、月末までに新たに医師を探すのは不可能。外来だけしかできなくなる恐れもある」と話す。
愛育病院が返上申請=総合周産期センター指定-医師不足、労基署勧告に従えず
時事通信 2009年3月26日
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009032600267
リスクの高い妊婦に24時間対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されている愛育病院(東京都港区)が、東京都に指定の返上を申し出ていたことが26日、分かった。医師の勤務状況について労働基準監督署から是正勧告を受けており、勧告に沿って医師の勤務時間を減らした場合、総合センターの要件である複数当直体制を維持できないと判断した。
医師の過重労働に支えられている産科医療の実態が浮き彫りになった形。総合センターでなくなると、地域の救急患者受け入れなどに影響が出かねず、都と協議を続けている。
愛育病院、総合周産期センター指定の返上を打診
日本経済新聞 2009年3月26日
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090326AT1G2503X25032009.html
総合周産期母子医療センター:東京・愛育病院が「指定返上」
毎日新聞 2009年3月26日
http://mainichi.jp/select/science/news/20090326ddm041040093000c.html
愛育病院、「総合周産期」解除を打診
TBS News 2009年3月26日
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4091513.html
総合周産期センター指定、愛育病院が返上の打診を撤回
日本経済新聞 2009年3月26日
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090326AT1G2601D26032009.html
東京都港区の愛育病院が「総合周産期母子医療センター」の指定返上を都に打診した問題で、同病院の中林正雄院長は26日、報道陣に「都から返上の必要はないと言われた。その判断に従う」などと話し、センターとして指定を受け続ける考えを示した。事実上、返上の打診を撤回したことになる。中林院長の説明によると、労働基準法に基づく労使協定(三六協定)を結ばず、医師に長時間労働をさせていたとして、労働基準監督署から是正を勧告された。
病院は労使協定を結ぶことや、非常勤の医師を新たに4人確保する改善策を4月20日までに労基署に報告する予定だが、それでも常勤医師だけでは国が総合センターの指針として示している「24時間、複数の産科医が勤務」という条件が満たせないことから、都に返上を打診したという。
愛育病院、周産期医療センター返上を撤回 都の言い分はバリバリの労基法違反
天漢日乗 2009-03-26
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2009/03/post-187d.html
発足したばかりの東京都「スーパー総合周産期センター」の1つを担う日赤医療センターにも渋谷労基から是正勧告
天漢日乗 2009-03-26
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2009/03/1-446d.html
愛育病院:「行政が対策を」指定返上で院長会見 (←今の最新)
毎日新聞 2009年3月26日
http://mainichi.jp/life/today/news/20090327k0000m040049000c.html
東京都の総合周産期母子医療センターの指定を受けている愛育病院(東京都港区)が指定返上を都に打診した問題で、中林正雄病院長が26日、記者会見し、「人を増やして過重労働をなくすような対策のロードマップ(道筋)を行政がつくってほしい」と訴えた。
愛育病院は夜間、常勤医と非常勤医の2人体制で対応している。だが、勤務実態の改善を求めた三田労働基準監督署の是正勧告に基づく対応を取ると、常勤医が足らないケースが生じる。同病院には救命救急センターがなく、総合周産期母子医療センターの継続は難しいと判断した。同病院は、都や都周産期医療協議会の回答を待って、今後の対応を検討するという。
中林院長は「産婦人科医療が赤字の中、国の援助がないと病院も産科医の待遇を改善できないし、過酷な条件では産科医も集まらない。悪条件が改善されないのに、労働基準法だけを守れと言うのは現実的でない」と説明した。
愛育病院、一転して総合周産期センター継続を検討へ
朝日新聞 2009年3月26日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200903260318.html
愛育病院院長と事務部長が労基署による是正勧告で取材に応じる
村山みのり
m3.com編集部 2009年3月26日
http://www.m3.com/iryoIshin/article/94376/
3月26日、愛育病院(東京都港区)院長の中林正雄氏と、事務部長の大西三善氏は、今回の労働基準監督署による是正勧告の件でm3.comの取材に応じた。また、16時から報道各社へ向けた合同説明会が開かれた。ポイントは以下の通り。
労働基準監督署勧告の経緯と問題点
大西氏によると、労基署による最初の調査があったのは今年1月20日。労基署は、医師の勤務体制(特に当直とその翌日の勤務)、看護職員の勤務体制について、一部の医師の勤務予定表と実施表、給与台帳、時間外・休日労働に関する協定(36協定)などの資料を持ち帰った。2月19日に再調査が行われ、全医師の2008年12月分給与と11月分の勤務実態、手当ての支払い状況などを確認し、それらの内容を踏まえて3月17日に愛育病院への是正勧告・指導がなされた。
労基署より指摘があったのは、主に以下の点。
○医師の時間外労働について、36協定が締結されていなかった
愛育病院でも、36協定そのものは締結されていた。しかし、時間外労働の規定があったのは医師を除く他の職種のみだった。この理由について、大西氏は「事務手続きのミス」と説明している。
○時間外労働、休日労働が法定基準を超えていた
総合周産期母子医療センターは、常時複数の医師がいることが要件となっている。愛育病院では、常勤医1人、非常勤医1人、オンコール1人という夜間体制を取っている。
現在愛育病院の産科常勤医は15人。しかし、このうち女性医師5人は、現在、妊娠・出産・育児のため、時間外勤務を免除されている。さらに1人は厚生労働省の要請を受けて福島県の病院に出向しており、もう1人は専門医取得のため現在他院で研修中だった。院長、部長、医長、後期研修医などを除くと、事実上5 人の常勤医が当直を担っており、それらの医師の時間外勤務が法定の時間を超過していた。ただし、中林氏は、「一時的にオーバーワークが出てしまったものであり、常態的なものではない」と説明している。
また、検査技師1人についても、36協定で合意された時間外勤務時間を超過した月が1カ月あった。
○時間外勤務についての割増賃金が支払われていなかった
労基署の見解では、当直とは夜間の見回り程度の宿直業務であり、原則として睡眠時間が確保される状態のもの。しかし、周産期医療現場では夜を徹して分娩などの医療行為に当たることが常態であると言える。この点について労基署は、当該業務は事実上、宿直ではなく夜間勤務であるとし、それに伴う時間外勤務への賃金を支払うよう求めた。
なお、愛育病院では、「当直手当」は支払っていた。金額は、対応した母体搬送数、分娩数などにより3万-6万円。一方、法定の時間外割増賃金(基準賃金の25%増)では、中堅-上級クラスの医師では8万-9万円になる見込みだという。
“看板”が外れても、病院には特段の問題なし
労基署の是正勧告を受け、3月25日、愛育病院は東京都に総合周産期母子医療センター(以下「総合周産期センター」)の指定返上を打診した。理由は2つ。
(1)総合周産期センターの要件では、常時複数の医師を置くことが必要である。しかし、労基署の是正勧告に従うと、常勤医がすべての当直に加わることはできず、非常勤医2人での当直体制(その場合オンコールを2人とすることを検討)となる日も生じる、
(2)東京都には総合周産期センターは9施設あるが、愛育病院以外はすべて大学病院などの総合病院で、救命救急センターなども併設されている。そのような機能のない愛育病院は、総合周産期センターとして適切か否か、という点。
中林氏は「地域の周産期医療を担う病院の duty(義務)として一生懸命やっている状況を『法令に反している』と言われては、現場のモチベーションが維持できない」と語る。「法定基準は将来的には適正に守れるようにすべき。しかし、現在のように赤字の病院が多い、産科医療に携わる医師も不足している、という状況で、すべてを一度に解決するのは不可能。実態に合うよう法の弾力的解釈を行いつつ、中長期的な解決が図られるよう全国的な問題として行政にきちんと取り組んでもらいたい」と要望した。
総合周産期センターという“看板”については「どちらでも良いと考えている」という。「総合周産期センターを返上し、地域周産期センターとなった場合も、現在行っている医療の質を落とすわけではなく、実質的な変化はない。しかし、規制が外れる分、より柔軟な対応が可能になるとは思う。当院から『こうしたい』と言うことはできない。このような状況でも“総合”としてやっていった方が良いと東京都が判断するのであれば、続けないわけにはいかない」と述べた。なお、地域周産期センターとなった場合でも、NICUの病床数などは減らさない考えを示している。経営的な面でも、総合周産期センターには年間約2000 万円の補助金が支給されているが、診療報酬による加算などを含めて試算しても全体で1000万円程度の減収であり、分娩費用が60万-70万円と他施設よりも高い愛育病院は、「分娩費用を1万円上げれば十分賄える」という。
今日(26日)の午後、東京都からは「(総合周産期センターを)続けてもらいたい」との意向が伝えられたとのこと。中林氏は、「“担当部長の意向”だけでは、今後人事移動などにより判断が変わる可能性もある。周産期医療協議会で検討を行った上、文書で回答をいただきたい」としている。
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