(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
日本医事新報No. 4424(2009年2月7日号)ですo(^-^)o ..。*♡
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プラタナスから!
国際的基準での
医療事故調査委員会の創設を
(日本医事新報 N0.4424(2009年2月7日) p1)
大学病院には国民から期待されている多くの使命がありますが、その一つに医学生・医師の教育があります。この中には医療の安全性を教育することも含まれます。
医師が医療を行うのは何のためなのかを一部の大学教授が誤解していた時代もありましたが、医療は国民の健康を守るために行うのだと考えます。医療事故はあってはならないことですが、人が行う行為で「絶対」はあり得ないという事実を踏まえた上で、医療事故対策を考えていきたいと思っています。大学病院がその他の医療機関のオピニオンリーダーとなるべく、①医療事故予防、②事故の原因解明、③再発予防の方法を示さなければならないと思います。
自然科学である医療の事故を文章化して規定することは大変困難です。また、誠意で行っても悪い結果を招くことがあります。医療人の人数が多ければ過誤・過失のある医療も存在するでしょう。しかし、日本の医療費が国民総生産に対する比率で先進国30カ国中21位、医師数も26位と下位にある環境を考慮すれば、個人を責めることは困難です。
医療とはいかに複雑で、いろいろな要素があり、缶詰工場のような作業過程ではないということを国民に理解していただくことも大切です。そのためには的確な情報の開示が王道と考えます。
また、医療事故を未然に防ぐ予防策を作成するためには、飛行機事故の原因解明に用いられるBlame‐free(より正確な情報を得るために個人の責任を追及しない)制度を採り正確な情報が出てくるようにすべきです。その際、事故調査委員会の性格は、「非罰則」「独立」「迅速性」「再発予防への利用」「専門家の分析」を原則とすべきです。このことは2005年のWHOの医療安全勧告の計画書にも明確に示されています。
事故調査の大原則は正確な情報が出てくるようにすることであり、個人を責めることではありません。「なぜ」を中心にしなければ国民が求めている事故調査委員会にはなりません。もちろん、カルテ改ざんや事故隠蔽は犯罪ですから刑法211条の適用になりません。「なぜ」ではなく「誰が」になることは当然です。
現在の課題は、医療事故調査委員会を現実にどのような組織で行うかです。医師数が絶対的に少ない日本で事故調査委員会を各都道府県に設置すれば、調査委員会に人手を取られて地域医療の崩壊はさらに進行します。各県の大学病院には現在既に事故調査委員会ができています。その組織を利用することが現実的であると考えています。その際の眼目は、病院長をはじめとする指導者の自浄作用をしっかりすることです。
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