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(投稿:by 僻地の産科医)
日本評論社 1800円
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2001年8月9日、大阪地方検察庁から
「研修医は労働者」と日本で初めて認めさせた
研修医の過労死認定裁判のお話から始まっています。
実のところ、私はあまりこういった法令に詳しくはなくて、
それから「医師は特別に労働基準法から外れてるんだ。専門職だから」
ときかされて育ってきた部類でしたので、
「労働基準法が研修医に認められるのに、
どうして勤務医には労働基準法が認められないんやろ?」
とソボクな疑問を持っていました。
だんだんと調べていくうちに、
多分、知らない先生方いっぱいいらっしゃると思います。
(院長レベルでも)
だってそう教えられてきたのですからo(^-^)o!!!
健康診断だっていい加減ですし、
いままでいた病院でも、メンタルヘルスチェックなど
受けたことなど一度たりともありません。
ましてや残業時間なんて調べられたこともないし、
タイムカードなんてみたことありません。
労働時間チェックなんか受けたとしたら、
本当に医師の自殺率、高いのです。
私の友人も、亡くなりました。
研修医統括をしていた先生も自殺でなくなりました。
従姉の同僚もICU中に亡くなったといいます。
心に残ったのが、P122の
「まじめに働く医者がSOSを出したら、
真剣に聞くべきです。
『受け持ちを減らして乗り切り、来月、
別のローテーションに回してしまおう』
と、問題を先送りしたり、
『この研修医は問題があるので、
研修委員長に対応してもらおう』
と丸投げしたりするのは、よくない対応です」
というくだり。
また中には研修医のメンタルヘルスケアに積極的に
介入している病院もあって、病院と一口に言っても、
(まだまだ少ないでしょうけれど)
いろいろあるんだなぁ。。。とビックリしました。
作品全体は“被医療者”である塚田さん自身
「医師への同情」というよりも、
「こんな労働状況で支えられる医療は、
医師を聖職とすることもなければ、同じ人間として、
またより良い医療を受けられるために、
書かれたものだと思います。
一般の方にも、そして迷える医療者の方々にも。
きっと心の疑問と澱を取り払ってくれる一冊です(>▽<)!!!
おすすめです!
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