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(投稿:by 僻地の産科医)
日本医事新報 No. 4419(2009年1月3日号)より
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年初の号だけに、
いろいろな偉い方から一筆という感じで
文章が載っていて面白い号ですo(^-^)o ..。*♡
で、その中に、防衛医大の学長先生からの文章がありました。
知られざる防衛医大について、ちょっと垣間見える文章ですので
お送りしますね!やっぱり防衛医大大変だ~(^^;)。。。。
防衛医科大学校が世に送り出す医官とは
防衛医科大学校長
早川正道
(日本医事新報 No. 4419(2009年1月3日号)p60-61)
「防衛医科大学校の学生はどんな生活をしているの? 鉄砲を撃つ訓練もあるの?」などと、他大学の先生たちから聞かれることが多い。そこでこの欄を借りて、医官について説明させていただく。
我が校の学生は医師たる幹部自衛官(医官)となるための教育・訓練を受ける。すなわち、幹部自衛官としての職責を理解して、これに対応する資質および技能を育成するための訓練課程(約500時間)を修める。この教育訓練は制服の学生部教官が行い、医学教育は教育職の教授たちの仕事である。全寮制で、また全員が運動部に加入し、日々共同生活を通じて、規律の遵守と強い仲間意識を醸成していく。
ここで培われた団結心が国家試験対策に活かされ、6年生の卒業試験が終了する11月から本格的な勉強を開始するが、合格率100%を目指してお互いが協力し、教えあい、本番で力を発揮している。
当然ながら、1年目の学生は満足に行進もできず、受験勉強上がりのひ弱さが目につく。しかし、短期間の訓練を経て、入学式では背筋を伸ばして行進するまでに変身する。その後、敬礼も教えられ、早朝の朝礼、時間厳守の寮生活にも慣れていく。全員が遠泳、スキー訓練、富士登山を経験し、訓練課程の一環として硫黄島や沖縄戦跡視察も行う。さらに、観閲行進では防衛大学の生徒とともに、首相の前を立派に行進するまでに成長する。
もちろん、教育にも力を入れている。進学課程では、数年前まで85単位もの一般教養の授業を組み、医官となるための教養教育を行ってきた。さらに、独特な防衛医学系なる授業もあり、「軍事医学史」、「国際法」、「地政学」などとともに、「危機管理」や「災害医学」等についても講義をしている。臨床実習も充実しており、6年生の夏までたっぷりと実習を行う。
このように広範囲な知識と経験を有する医師を育成し、卒後、自衛隊員の健康管理を担うだけでなく、国内の災害・救急現場や、海外の被災地での初期治療や防疫、さらにはPKOやイラクでの衛生活動などにも貢献できることを目指している。
しかし、実態は理想通りではない。まず彼らが属する自衛隊病院(全国16)のうち、地元の医師会との協定による診療制限や、立地条件等から一般に開放されている病院は少ない。病床利用率も低く、臨床医として技能を維持するほどの症例がない。部隊に配属されると、壮年以下の若い自衛官がほとんどで、診療対象が限られる。また研究や外部との臨床交流もある程度制限される。したがって、義務年限前に退職する医官が増加するという問題が生じている。
平時において彼らの力を維持・発展させ、一転、有事の際には出動して住民や国家のために衛生活動に従事できる姿が理想である。自衛隊中央病院や防衛医大病院における研修・訓練制度、自衛隊病院の統合とオープン化促進、さらに医師不足で悩む地域の中核医療施設への派遣制度なども含め、医官の総合的な人事管理システムを構築する時機に来ている。
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