(関連目次)性感染症と中絶について考える
(投稿:by 僻地の産科医)
MMJ2008年12月号からですo(^-^)o ..。*♡
強力な抗ウイルス薬療法導入以降の
HIV感染者死亡率は一般集団並みに低下
一般集団での死亡率を基準としたHIV抗体陽性転化後の死亡リスク変化
(MMJ December 2008 vol.4 N0.12 p1008-1009)
背景
治療を受けやすい環境にある国のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者では死亡率が劇的に低下し、いまでは一般非感染者の集団に近いレベルにある。
目的
HIV感染者と一般の非感染者集団における死亡率の差の化を検討する。
研究デザイン・設定・対象集団
大規模な国際共同HIV陽性転化者コホート(CASCADE)においてHIV陽性転化後の死亡率を、人口学的特性をマッチさせた一般集団での死亡率をもとに算出した予測死亡率と比較した。感染期間を補正したPoissonモデルにより、HIV感染者における過剰死亡率の経年的変化を評価した。 2007年9月に統合したデータを2008年3月に解析した(追跡期間は1981~2006年)。
主要評価項目
一般の非感染者集団と比較した場合のHIV感染者における過剰死亡率。
結 果
中央値で6.3年間(範囲、1日~23.8日)追跡されたHIV感染者16,534人のうち2,571人が死亡し、これに対し、相当する一般住民コホートでの予測死亡数は235人であった。過剰死亡率(1,000人・年あたり)はHAART(強力な抗ウイルス薬療法)導入前(~1996年)では40.8(95%信頼区間[CI],38.5~43.0;過剰死亡数1,275.9例/31,302人・年)であったが、2004~06年には6.1(95%CI).8~7.4;過剰死亡数89.6例/14,703人・年)まで低下した(2004~06年と1996年以前を比較した補正過剰ハザード比,0.05;95%CI,0.03~0.09)。 2004~06年までに性行為を介した感染者においてHIV陽性転化後5年間は死亡率の上昇は認められなかったが、累積死亡率の過剰(高値)は長期にわたって持続した(15~24歳の感染者において10年間で4.8%[95%CI,2.5~8.6%])。
結 論
HIV感染者の死亡率はHAART導入以降、一般集団の死亡率に非常に近いレベルにまで低下してきた。先進諸国における性行為によるHIV感染者の死亡率は、感染後5年間は一般集団に近いものの、HIV感染期間が長くなると依然として高い死亡率であることが確認された。
Bhaskaran K, et al. 2008;300:51-59.
MRC Clinica1 Trials unit, UK.
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