(関連目次)→本日のニュース・おすすめブログ..。*♡ 目次
医療崩壊と医療政策 新型インフルエンザについても集めてみました
(投稿:by 僻地の産科医)
週刊朝日 2009年1月2日-9日新年合併号からo(^-^)o ..。*♡
.
ワイド ニッポンの争点'09の中から医療ネタ3点を
選んでみました(>▽<)!!!!
ワイド ニッポンの争点'09
(週刊朝日 2009年1月2日-9日新年合併号)
救急「たらい回し」問題は
医師の数を倍増すればいい▼海堂 尊
まず最初に指摘したい点は、患者の「たらい回し」という言葉は、患者やマスコミの側から見た一方的な見方です。
現実の医療現場は、患者を受け入れたくても、マンパワーが不足して、お金も足りない。一般医ですら救急医の役割を果たしている側面があり、普通の医師さえも厳しい労働環境で疲弊し切っています。実際は「たらい回し」ではなく、「診療不能状況」と呼ぶべき事態なんです。
医師が、責任を持って診療するために、責任を持って対応できない患者から手を引く-という選択肢を選ぶのは当たり前でしょう。
仮に、ある。“悪徳病院”が診療を拒否し、そのせいで患者に影響が出たならば、それは病院側が批判されるべき問題です。ですが、「たらい回し」は、複数の医療機関が患者を受け入れられない状態に追い込まれている状況であることを見逃してはいけません。つまり、医療を取り巻く社会システムに問題があるのです。
その解決策は、実に単純なことです。医師の人数を倍に増やせば、診療不能状況はなくせます。ただ、救急医療だけに資金を投入しても「焼け石に水」です。公的資金を医療全体に注入することが必要なのです。
にもかかわらず、国は、医療が崩壊しつつあるなかで、相変わらず医療費抑制策を主張し続けている。
定額給付金に2兆円も投入する余裕があれば、その全額を医療に投入すればいい。もっと効果的な税金の使い方があるでしょう。定額給付合を打ち出しながら、医療費削減にしがみつく国の政策は明らかに矛盾しています。
また、マスコミは、医療行政を牛耳っている霞が関の官僚に、もっと批判の目を向けるべきです。医療機関や医師に、一方的に医療崩壊の責任を押しつけても、何も有効な解決策を見いだせません。
新型インフルエンザのワクチンは
本当に有効か▼押谷 仁
近い将来、必ず起きると懸念されている新型インフルエンザですが、いまは病原性が高いとされる鳥インフルエンザウイルス(H5N1)だけが注目されています。
しかし、何もH5N1だけが新型インフルエンザになるとは限らず、別のウイルスが新型になる可能性だってある。なのに、いまマスコミや感染系の専門家の多くは「H5N1が新型になるとこれだけ人が死ぬ」とあおっている。これは問題だと思いますね。
新型インフルエンザの問題は毒性の高さではなく、人類の大半が免疫を持っていないことです。過去に起きたパンデミック(大流行)の中でもっとも致死率が高かったのは、1918年に起きたスペイン風邪の2%でした。10億の人が感染すれば、2千万人が死ぬ計算です。これと同じことが起こり得るのです。
実は現在、国内に2千万本程度が備蓄されているワクチンはあくまでもH5N1に対するものなので、それ以外のウイルスが新型になった場合、何の意味もなくなってしまう。しかも、たとえH5N1から変化したものだとしても、実際はどこまで効くかもわからない。
いま政治家らはこのワクチンを事前に接種するように盛んに言っていますが、もしH5N1が新型にならなかったらどうするのかと言いたいですね。
どんなワクチンも完全に安全なものはありません。仮に、1千万人がワクチンを打って10人に重篤な副作用が現れたとしても、事前接種は正当化されるのでしょうか。準備をしておくことは必要ですが、そういうものだけに頼った対策は危険だと思います。
やれることは限られていますが、学校閉鎖など公衆衛生上の対策、手洗い、マスクなどの個人防御など、いろんな対策を組み合わせると被害を抑えられる可能性はあります。
まずは、誤解を招かないために、国が指導して国民の理解を深めることが重要です。
夕張破綻で見えた
高齢者医療のカギは「予防」▼村上智彦
財政破綻した夕張市で、約40協円の負債を抱えた市立病院は07年、公設民営の「夕張医療センターー」として再出発しました。しかし171床あったベッドは19床に、約150人いた病院職員は半分に減りました。
その夕張で、高齢者医療は大きな課題です。人口に占める65歳以上の割合は42・7%と、全国平均(約21%)の2倍。しかし、限られた財政の中でも質の高い医療は可能です。
大事なのは「予防医療」です。たとえば食事療法やリハビリテーションを推進することで、高血圧や糖尿病をはじめとした生活習慣病が防げます。その結果、救急車の出動や長期間の入院は少なくなり、医療費も抑えられます。
後期高齢者医療制度が注目を集めていますが、医療費そのものが減れば、患者さんの負担は増えません。
私が北海道瀬棚町(現せたな町)の町営診療所にいた01年、肺炎の予防に効果のある「肺炎球菌ワクチン」の公費助成が、日本で初めて実現しました。
肺炎で亡くなる高齢者は多い。そのワクチンは高価なため、行政で公費助成するのが望ましい。しかし多くの自治体は、前例や予算がないからできないという。夕張でもワクチン接種は効果を上げていますが、残念ながら公費助成はまだ行われていません。ただ、肺炎で入院する医療費と、公費助成のどちらが高くつくのか。ましてや、ワクチンを打つことで助かる人はたくさんいるのです。
何より予防医療が進めば、元気なお年寄りが増えます。実は、夕張医療センターができてから雇用したのべ約80人の職員のうち、1割は60歳以上の方です。夕張は高齢化が進む日本の未来の縮図です。予防医療で、高齢者が元気に働ける町にしたいと思います。
コメント