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(投稿:by 僻地の産科医)
刈谷豊田総合病院の山本先生に
原稿をお願いしました(>▽<)!!!
日本産婦人科医会のメーリングリストで、
この研究会のお知らせを見つけたときに、
「あれ?新しいことを始めたのかな???
何をはじめられたのだろう ..。*♡」
とすごく興味を持ったのです。
参加できなかったので、「どんなのかな~」と思っていましたら、
快く原稿を引き受けてくださいました(>▽<)!!!
山本先生ありがとうございます!!!
なお、山本先生の原稿はこちらでも有名ですo(^-^)o ..。*♡
では、どうぞ ..。*♡
愛知分娩監視研究会を開催して
山本真一
(刈谷豊田総合病院 産婦人科)
平成20年7月12日、名古屋市栄において第1回愛知分娩監視研究会を開催しました。この会は周産期医療にかかわる様々な職種の方の参加の元、分娩監視装置の判読を中心としつつ、周産期医療の現場を語り合い、壊れつつある周産期医療を元気付ける目的で行っています。第1回の研究会では予想を遥かに超える201人(助産師50%、医師32%、学生11%、看護師3%、等)のご出席をいただき、参加者が会場から溢れんばかりの熱気の中、分娩監視上の貴重な症例や苦い経験、助産所の分娩監視装置使用状況、等々の8題の報告に付いて、初めて顔を合わせる方々の間で実に熱のこもった討論が行われ、皆様の関心の高さ、周産期医療への危機感の強さに改めて驚かされました。そこでこのような研究会を発足させるに至った経緯をこの場をお借りしてご紹介したいと思います。
ここ1年ほどで周産期医療をめぐるマスコミの論調は大きく変化したかに見えますが、現場の厳しい状況はなんら改善していません。頻発する医療訴訟は民事のみならず刑事事件へ発展する例もあり、また開業施設での内診問題や助産師不足、中核病院では深刻な医師不足、等々、様々な原因によって周産期医療の現場は厳しくなるばかりです。国際的に見て過去20年間世界一のレベルを誇った日本の周産期医療ですが、現状ではこのレベルを保つ事はもはや無理と言わざるをえないと思います。
勿論、根本的解決には国の対策を待つしかありませんが、今目に見える国の動きと言えば、「産科医療補償制度」が平成21年から始まり、警察や検察に先立って医療事故に対応する所謂「医療事故調」も盛んに議論されてはいますが、何れも今後周産期医療を救う方向に働くか全く不明です。また医師の養成を増やす方針とは言っても、その成果が現れるのは10年後であり、しかも増えた医師が周産期医療に参入する保証は全くありません。
国の動向に期待をするにしても、目の前で壊れつつある周産期医療を直ちに救うことは不可能です。そこで現場にいる我々が今出来ることはと考えると、先ずは若手のリクルートと育成、自らを含めたスタッフ教育、周産期を巡る多くの施設と人材の協力体制を作る事ではないでしょうか。そのためには多くの施設のスタッフがお互いに顔を合わせられる場、雑談もできる様な場が必要と思います。今でも名古屋第一日赤病院の総合周産母子センターを中心とした縦の線は既に存在しますので、横の線に相当する組織があっても良いのではないかと考え、今回「愛知分娩監視研究会」を立ち上げました。
分娩監視(CTG)に関しては既に学問的に完成の域に達しており、「何も今更」とのご意見も数多く聞かれます。平成15年に学会から新基準が示され、平成20年には産婦人科医会から大変良くまとまったフローチャートも送られて来ました。しかし、現場ではまだ判断に迷う事例も多々あり、搬送されてくる患者のCTG所見を見ても、必ずしも多数の施設間で一定した基準で判断された上で医療行為が決定されているとは思えません。また産婦人科医の減少とともに助産師の役割は重要度を増す一方ですが、CTGに関しては助産師間で大きな温度差を感じます。これらの理由からCTGを論じる価値はまだまだあると考えます。
愛知分娩監視研究会は、医師、助産師、看護師、そして学生も対象とし、施設、職種、大学の垣根を越えて、分娩監視装置の判読を中心としつつも、気軽に現場の本音を話しあえる場とする事を最大の目標としたいと思います。また、後援に愛知県産婦人科医会、愛知県助産師会に加わっていただき、今まで比較的疎遠であった医師と開業助産師の関係が改善できればとの期待もあります。もちろん平成20年から助産所と産科施設との関係が嘱託医療機関として強化された事も考慮する必要があります。県内4大学をはじめ、多数の施設の方に世話人として参加いただいて協議を重ね、また関東を中心に長い歴を持つ日本分娩監視研究会からも様々なノウハウの御教示をいただき、愛知分娩監視研究会を発足することができました。今後どのように発展できるか分かりませんが、当面は半年に一回のペースで研究会を開催する予定です。第2回研究会を平成21年1月24日(土)17:30から名古屋第一日赤病院の内ヶ島講堂にて行います。ご出席は県内外を問いません。県外からの演題提出も歓迎いたします。皆様今後ともよろしくお願いいたします。
(なお、医師の方には日本産科婦人科学会専門医シールを発行いたします。)
愛知分娩監視研究会ホームページ:
http://homepage3.nifty.com/aiti-ctg/
愛知分娩監視研究会
代表世話人 山本真一(刈谷豊田総合病院)
副代表世話人 岩本美佐子(愛知県助産師会)
久野尚彦(愛知県コロニー)
世話人 大野泰正(大野レディスクリニック)
尾崎康彦(名古屋市立大学)
柴田金光(西部医療センター城北病院)
西澤春紀(藤田保健衛生大学)
早川博生(名古屋大学)
吉田加奈(名古屋第1日赤病院)
吉岡文子(おおわきレディスクリニック)
渡辺員支(愛知医科大学)
後援 愛知県産婦人科医会
愛知県助産師会
(以上各50音順)
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