(関連目次)→産科医療の現実 目次 救急医療の問題
(投稿:by 僻地の産科医)
12月2日に消防庁が民主党の勉強会でつかったスライドを、
民主党の鈴木寛先生よりわけていただきましたo(^-^)o ..。*♡
P5/6に大都市の搬送についての記録があります。
これは消防庁からの搬送の記録で、
墨東のような産科病院→周産期センター
などの搬送に関しては統計が入っていない、
救急産科の搬送問題についてのグラフです。
このグラフをみて、舛添大臣はお話をされたのでしょう。
東京・横浜・川崎はやはりすでにパツパツなんでしょうか。
医師や病院の不足だけでは説明ができないかもしれません。
救急隊と病院の連絡がうまくいっていないという面もあるかも
しれません。
ただ、どこかの病院に押付ける体制は、本当の所、
その施設が倒れたら、もうおしまいという側面もあります。
救急車で突然やってくる患者さんに関しては、特にそこまで
問題視しなくても。。。という気がしなくもないです。
(なぜなら産科→病院の搬送問題の方が、
重傷者が多く問題だから。)
消防庁が問題とおもう点そのものが、ずれている気がします。
消防は時間の早さが評価対象なので、この前の札幌報道
のような、バカバカしいことも起こるのです。
救急車、そもそも名古屋では、一番最初に三次救急に
がっつり電話してくるとききます。
お陰さまで、産科病院の最終施設であるはずの、
名古屋第一日赤満床で本物の重症(産科→NICU病院)が
跳ね飛ばされる結果になっています。
救急のシステムは、、
搬送時間のタイムを縮めることに血道をあげており、
はっきりいって、この統計は意味を成しません。
救急隊は「送り届けりゃ終り!」であって、
とっとと片付けようと言う固い固い意思があります。
大迷惑です。
このような統計でモノをいわれてはたまりません。
【参考ブログ】
名古屋宣言だ!
新小児科医のつぶやき 2008-01-10
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080110
という訳で、下に統計(恐らく民主党の勉強会で使ったものと同じでしょう)
をお示ししました。まずはニュースからどうぞ!
名古屋にできて、なぜ東京、神奈川にできない?
-周産期搬送で舛添厚労相
キャリアブレイン 2008年12月9日
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/19587.html
12月8日に厚生労働省で開かれた「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の第4回会合で、消防庁が産科・周産期傷病者の搬送状況を報告したが、大都市間でも搬送状況に開きがあり、特に東京と神奈川に課題が見られた。これについて、舛添要一厚生労働相は「なぜ名古屋にできて、川崎、横浜、東京にできないのか」と指摘した。
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消防庁は、政令指定都市などで、産科・周産期傷病者搬送で30分以上現場に滞在する事例の割合(2007年)を示した資料を提出。18都市の平均は8.0%だったが、名古屋が2.9%だったのに対し、東京消防庁13.3%、横浜市14.5%、川崎市17.2%などと開きが見られた。
医療機関に受け入れの照会を行った件数についても、4回以上照会を行った事例は、名古屋が210件中ゼロだったのに対し、東京消防庁は2205件中229件(10.4%)、川崎市は664件中42件(6.3%)、横浜市は550件中88件(16.0%)だった。
説明を受けて舛添厚労相は、「なぜ名古屋にできて、川崎、横浜、東京にできないのか。もう少し見る必要がある」と述べた。
また舛添厚労相は、首相を本部長とする「地域医療改革に関する推進本部」を近く設置することについても触れ、「厚労省、文部科学省、総務省が共に対応するが、患者から見て何が必要なのかが重要。行政の機構など関係ない」と述べた。
「産科への協力にも報酬上の評価を」
キャリアブレイン 2008年12月9日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19586.html
厚生労働省は12月8日、「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」(座長=岡井崇・昭和大医学部産婦人科学教室主任教授)の第4回会合を開いた。会合では、周産期や救急医療への診療報酬上のインセンティブや医師の労働状況の改善について話し合った。
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この中で、有賀徹委員(昭和大医学部救急医学講座主任教授)は、「交代勤務を行いたくても、人が足りない。救命救急を5割増にするのでも、原資としては診療報酬が必要。これを議論しないと始まらない」と指摘した。
また、海野信也委員(北里大医学部産婦人科学教授)は、「この懇談会は、妊婦さんに安心してもらうために、産科以外にも積極的に診てもらうという趣旨だ。時間外の対応などは、協力してくれる科にも点数を付けることが必要ではないか」と述べた。
これに対し、木下勝之委員(順天堂大医学部産婦人科学講座客員教授)は、「診療報酬を厚くするというと、ほかから減らすかという話になる。政治の問題になる」と疑問を呈した。同時に、「産科は5年後にはもっと悪くなると思う。文部科学省は、(医学生の)科の選択に枠をつくることも考えることも必要ではないか。そうでもしないと、産科などは増えるわけがない」と指摘した。
一方、川上正人委員(青梅市立総合病院救命救急センター長)は、「インセンティブが与えられれば、さらに働けるというものでもない。だが、まず診療報酬上の点数を与える必要がある」と述べた。
■重症心身障害児の「NICU後」の支援求める
NICU(新生児集中治療室)での重症児入院が長期化し、その後の受け皿がないことも問題視されていることから、懇談会では、重症心身障害児もテーマとなった。
重症心身障害児の医療を行っている「東京都立東部療育センター」院長の有馬正高参考人に対し、海野委員が「都内には約1200人の重症心身障害児がいて、施設のキャパシティーは限界で、毎年新規に10人ほどしか入れないのは本当か」と尋ねると、有馬参考人は「事実だ」と答えた。
有馬参考人は、NICUからの退院が困難な理由として、高度先進医療が継続的に必要で、受け入れ可能な医療レベルを備えた施設がほとんどないことなどを挙げた。また、重症心身障害児がNICUを出た後の受け皿となる施設では、医療的な管理や在宅移行に向けた家族への医療的・精神的なケアが必要であることを報告した。
このほか、在宅移行を支援するため、重症児医療ネットワークの構築や日常的な訪問看護と指導、家族のレスパイトなどに利用される在宅支援病床、緊急医療体制などの整備も要望した。
懇談会は次回を最後の会合として、報告案についての議論を行う予定。
名古屋の産科救急については
緊急妊婦 愛知の対応を聞く と言う記事で可世木・県産婦人科医会長のコメントがあります。(既出でしたら御容赦下さい)
http://chubu.yomiuri.co.jp/kenko/iji/iji081118.htm?from=nwlb
抜粋
――県内では緊急時の妊婦対応は十分ですか。
県の周産期医療は、総合周産期母子医療センター(名古屋第一日赤病院)と、11の地域周産期母子医療センターがあり、各地の病院・診療所で発生する緊急妊婦さんはすべてこうしたセンターへ運ばれます。
特に、名古屋第一日赤病院が、すべての妊婦さんを受け入れるべく献身的な努力をしているので、今回のようなケースは回避できると思っています。
――これは愛知方式ともいえますか。
県の周産期救急システムは整備されており、愛知方式として高い評価を得ています。しかし、産科とともに重要なNICU(新生児集中治療室)が足りないために十分な機能が発揮できません。早急な解決が望まれます。
なんとまぁ無責任なコメントをと思っておりましたが。実際に名古屋第一日赤が満床で本物の重症が跳ね飛ばされる結果になっているのでしたら、可世木・県産婦人科医会長の認識が現場の意識から解離しているということでしょう。
投稿情報: こんた | 2008年12 月10日 (水) 14:26
離解していると思います。
多くの声が、名古屋にはあるはずだと思います。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年12 月10日 (水) 23:12
「新小児科医のつぶやき」12/11のが、まさにこの話。http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20081211
きわめて明快な解説とコメントがなされております。
投稿情報: 山口(産婦人科) | 2008年12 月13日 (土) 20:59