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(投稿:by 僻地の産科医)
冬に出産の妊婦、後期の血圧大きく上昇
気象条件に関連
河北新報 2008年11月27
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/11/20081127t15025.htm
冬に出産する妊婦は、妊娠後期の血圧が高くなりやすいことを、東北大大学院薬学研究科の今井潤教授(臨床薬学)らの研究グループが確認した。妊婦の血圧は妊娠の週数で変動するが、気象条件にも影響されることが明らかになった。グループは「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の正確な診断などに役立ててほしい」と話している。
グループは、2006―07年に岩沼市のスズキ記念病院(鈴木雅洲院長)を受診した仙南地域に住む妊婦101人を対象に、妊娠12週から出産までの間、起床後1時間以内に血圧を測ってもらい、気象条件との関連を分析した。妊婦の年齢は18―40歳で平均30.7歳。一般に血圧は寒冷期に血管が収縮して高くなる。妊婦の血圧も最低気温との関連が大きく、10度下がると収縮期(最大)、拡張期(最小)ともに平均2.5上がった。
妊婦の血圧は妊娠中期にいったん下がり、出産間近に高くなる。妊娠期間中の血圧変動を追った結果、「1月出産予定」の妊婦は、収縮期血圧が最も低いときに比べて平均で12.8上がったが、「7月出産予定」では上昇の幅が3.1にとどまった=グラフ=。出産が夏だと、出産間近でも血圧はそれほど上がらないが、冬の場合は、寒さという気象条件が加わって、急激に上昇することが分かった。
日本産科婦人科学会などが定める妊娠中の高血圧は収縮期が140以上、拡張期が90以上。妊婦の約1割が発症する妊娠高血圧症候群は高血圧やタンパク尿が特徴で、重いと脳出血などを起こす恐れがある。グループの大学院医学系研究科の目時弘仁特別研究員(臨床疫学)は「冬に出産予定の妊婦は血圧の低い妊娠中期が夏に重なり、血圧が低く出やすいため、その後の血圧上昇を見誤る危険性がある」と説明。季節変動を考慮した正確な診断の必要性を指摘している。
研究成果は国際高血圧学会誌12月号に発表した。
冬に出産 血圧上昇大 東北大の妊婦研究
読売新聞 2008年11月27日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20081127-OYT8T00030.htm
真冬に出産する妊婦は、妊娠期間中の血圧の上昇幅が大きいことが、東北大とスズキ記念病院(岩沼市)の研究で分かった。妊娠高血圧症になると、けいれん発作や脳出血などを起こす恐れがあり、これからの時期に出産を迎える妊婦は、こまめな血圧チェックが大切と言えそうだ。
同大の今井潤教授(薬学研究科)と目時弘仁特別研究員(医学研究科)らの研究グループは、2006年~2008年に妊婦101人(平均年齢31歳、平均体重56キロ・グラム)に、自宅で毎日、血圧を測ってもらい、記録を分析した。妊婦は妊娠後期になるほど体内の血圧が上昇していく傾向があるが、集めた記録を解析したところ、7月に出産予定の妊婦では、その上昇幅が3・1ミリ・メートルHgにとどまったのに対し、1月に出産予定の妊婦では、12・8ミリ・メートルHgと約4倍に達していた。
妊娠高血圧症が冬に多いことは体験的に知られているが、データ上も、血圧の上昇傾向が強いことが裏付けられた。目時特別研究員は「特に冬場に出産予定の女性は、血圧の変化に注意を払い、明らかな上昇が続いた時は、早めに医師に相談した方がいい」と話している。
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