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(投稿:by 僻地の産科医)
ワクチンアレルギーの小児でも
ほとんどは安全に接種可能
(Medical Tribune 2008年11月20日(VOL.41 NO.47) p.27)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41470273&year=2008
〔米メリーランド州ボルティモア〕ジョンズホプキンス小児病院(ボルティモア)小児アレルギー・免疫学のRobert Wood博士は,こまめな監視と2〜3の標準的な事前の注意により,ワクチンに対するアレルギーあるいはその疑いがあるほとんどの小児でも安全に接種できるとPediatrics(2008; 122: e771-e777)に発表した。
迅速な同定とガイドが必要
Wood博士らが小児科医に推奨しているのは,ワクチンにアレルギーを示す小児を迅速に同定するための段階的なツールとワクチンアレルギー児を安全に免疫するためのガイドの必要性である。
同博士は「現在用いられているワクチンはきわめて安全だが,特定のワクチン成分に反応する少数の小児では重度なアレルギー反応が引き起こされることもある。しかし,多くの場合,アレルギーが判明している小児であっても,安全にワクチン接種を行うことが可能だ」と述べている。
同博士らによると,最近でも米国では麻疹,おたふくかぜ,百日咳,世界的にも麻疹,小児麻痺といったワクチン接種により予防できる感染症が流行しているため,できる限り多くの小児に安全なワクチン接種が必要である。
同博士らは,アレルギー専門医が皮膚プリック検査や血液検査といった精密検査を行って,アレルゲンに対する特異抗体の存在を検出することを勧めている。
多くの場合,アレルギー児はアレルゲンを含まない代替ワクチンであれば安全にワクチン接種を受けることができるが,アレルゲンを含まないワクチンがない場合でも接種後数時間程度医師の観察下に置けば,多くの小児は接種を受けられる。
別の選択肢としては,本人の免疫を調べることも挙げられる。同博士らは「もし血液検査で小児が既に感染防御抗体を持っていることがわかれば,少なくとも当面はそれ以上のワクチン接種を控えることができる」と述べている。
接種前に抗アレルギー薬投与も
ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のNeal Halsey博士は「ワクチンは生命を救うものであり,親は接種後にアレルギー反応を起こす小児は感染に対する抵抗力を獲得しやすいことを知るべきである」と説明。「ワクチン接種後にアレルギー反応を示す小児の多くは,他の疾患に対しても安全に接種を行うことが可能である。なかにはアレルギー反応を起こすと推測されるワクチンの追加接種を受けられる小児もいる」と述べている。
ワクチンアレルギーがあり,予防抗体のレベルが低い小児の多くは,ガイドラインに沿って安全に追加接種を行う必要がある。場合によっては,アレルギーが判明している小児にワクチン接種前に抗アレルギー薬を投与してアレルギー反応を回避,軽減させることも可能である。
ワクチンアレルギーまたはそれが疑われる小児へのワクチン接種に関する段階的なガイドについては,http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/122/3/e771で全文を参照できる。
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