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(投稿:by 僻地の産科医)
高齢患者追い出しにストップ
脳卒中・認知症の入院料減額が事実上凍結に
(Nikkei Medical 2008.10月号 p43)
長期入院の脳卒中・認知症の後期高齢者を、入院基本料の減額対象とする措置が、10月の実施を前に事実上凍結された。「患者追い出し」との声に自民党が見直しを求め、厚生労働省が屈した格好だ。
「一般病棟に現在入院中の後期高齢者は、これで多少安心できるだろう]――。こう語るのは全国保険医団体連合会の担当者。同会は、病院から後期高齢者を追い出す動きにつながるとして、脳卒中の後遺症や認知症の患者を、従来どおり入院料減額額の対象外とするよう求めてきた。
一般病棟の入院基本科は、14日、30日を境に診療報酬が減額される仕組みになっている(図1参照)。一般病棟の本来の役割は、「急性期医療の提供」との考えからだ。
そのため、入院が長期化しがちな高齢者については、入院期間が90日を超えると診療報酬が大幅に減額される。看護配置10対1の場合、入院90日目は1300点だが、91日目からは928点。3割近い収入滅だ。
しかし、例外的に、これまでは癌や難病の患者のほか、重度の肢体不自由者や脊髄損傷などの重度の障害者は、減額の対象外とされてきた。脳卒中や認知症の患者も、「重度の肢体不自由か障害」に該当すれば、病院の収入は減らなかった。
ところが、今年4月の診療報酬改定で、厚生労働省は、一般病棟の役割をより明確にするためだとして、10月から、これら2つの疾患の後期高齢者を例外から外すことを決めた。
凍結でも不十分との批判
それが事実上凍結に追い込まれたのは、「採算性の低いこうした患者に病院が退院を迫りかねない」という批判の声が、野党や医療現場で高まってきたからだ。
これを受けて政府・与党が運用面の見直しを求め、厚労省が8月末の中央社会保険医療協議会に案を示した。今年9月30日時点の入院患者などで、病院が転院や退院に向けて努力している場合は、「退院支援状況報告書」を毎月提出するのを条件に、減額の対象とはされなくなる。
だが、野党や医療団体には、「今回の見直しは不十分」との声がある。
厚労省は、90日超の減額のない特殊疾患療養病棟や障害者施設等一般病棟に、こうした患者が、長期間入院しにくくする措置も同時に講じた。これらの病棟には、筋ジストロフィーなど特殊疾患の患者を一定割合入院させなければならないが、脳卒中と認知症の患者をその集計対象から外したのだ。
しかし、この措置の方は今回見直されなかった。そのため、9月16日の民主党の高齢者医療制度の勉強会では、出席議員の1人が、「特殊疾患療養病棟などでの取り抜いがそのままなら意味がない」と、厚労省の担当官にクレームをつけている。
今年春の診療報酬改定をめぐっては、後期高齢者終末期相談支援料が既に凍結に追い込まれている。総選挙を控え国民へのアピールを狙った面はあるが、中医協での決定事項が政治の力で次々骨抜きにされるようでは、診療報酬の決定プロセスの見直しも検討する必要がありそうだ。
(井上俊明=医療局編集委員)
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/
澤田石(さわたいし) 順先生
■後期高齢者の迫害手段として最強の後期高齢者特定入院基本料の姑息的微調整 8月28日(木)
後期高齢者の入院医療は91日を超えると明白に差別されるのですが、その政策は3つの要素からなります。以下の三つの迫害政策は後期高齢者に対してのみ。
1. 一日当たり入院料は91日目から15,550円(7:1看護)から9,280円に減額される--入院料減額
これは病院にとっては、極めて苦しいというほどではありません。
2. 薬、検査、処置などに保険からは一円も出さない--診療報酬の包括化
病院の負担に!! これは深刻な事態です。厚労省は91日目からはできるだけ検査も治療もするなと言っているようなものです。
3. 平均在院日数の計算対象になる--全患者の入院料減額
一般病棟の平均在院日数が19日を超えると、全入院患者の一日当たり入院料が減額されるような事態となります。
脳卒中や骨折における地域連携(救急病院とリハビリ病院の連携)を優遇する加算を受けるためには平均在院日数が14日以下でないとなりませんから、後期高齢者が91日以上入院を続けることは病院にとって非常に困ることになります。
救急病院は後期高齢の脳卒中・認知症患者をできるだけ90日以内に、退院・転院させたいのですが、回復期リハビリ病院は自宅等退院率6割を超えないと倒産しかねないほど診療報酬を減らされるので、今年の4月1日から後期高齢者(多くは自宅に戻れない)の入院は以前より困難になってます。そもそも回復期リハビリ病棟には救急病院に入院して61日以降は入院できません。61日以降は障害者病棟でリハビリすることができてましたが、10月1日から脳卒中・認知症の障害者は障害者病棟に入院できません。重症の脳卒中・認知症の障害者は特殊疾患病棟に入院する逃げ道がありましたが、10月1日から脳卒中・認知症の障害者は障害者病棟に入院できません。
このように厚生労働省は冷酷にも、後期高齢者・障害者・認知症患者が救急病院にとってお荷物になる強力な政策を開始し、同時にリハビリを入り口で制限・禁止する政策を10月1日から本格化させるのです。
このような反人道的な後期高齢者・障害者・認知症患者の差別は、人間として許される一線を超えています。現場の医師らはホームページやブログで厚労省の政策を糾弾し、報道関係者や国会議員にこの3月から幾度も幾度も情報提供してきました。(日本医師会、リハビリ関係の学会などは沈黙したまま!!) その結果、新聞、週刊誌、テレビなどで取り上げられ、民主党などの野党が厚生労働省の冷酷な官僚を断固追及して、「やめろ」と命じてきました。
後期高齢者医療制度は次期衆議院選挙で与党が過半数割れすることを既に決定付けましたが、後期高齢者・障害者・認知症患者差別する政策を厚生労働省の馬鹿役人が決めた通りに放置すると、過半数を大幅に割りかねないと気づいたために、今回の異例の見直しになったと
以上
病院が追い出さざるを得ない状態に追い込まれているのは変わらないのです。
投稿情報: peipeiisya | 2008年10 月19日 (日) 12:24
舌足らずでした
影響が小さい1番
1. 一日当たり入院料は91日目から15,550円(7:1看護)から9,280円に減額される--入院料減額
これは病院にとっては、極めて苦しいというほどではありません。
だけが緩和され影響が大きい2番3番がそのままなので病院にとっての追い出さなければ病院が潰れる圧力は改定前と殆ど変わらないと言うことです。
投稿情報: pripeiisya | 2008年10 月19日 (日) 17:09