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(投稿:by 僻地の産科医)
メディカル朝日9月号から!
特集は最新版 在宅での褥瘡治療ですo(^-^)o ..。*♡
ドレッシング材の種類と使用法の特徴
東京大学大学院医学系研究科健康科学
看護学専攻老年看護学/創傷看護学分野
貝谷敏子
(Medical ASAHI 2008 September p29-29)
ドレッシング材とは
ドレッシング材とは、創に湿潤環境を形成することを目的とした被覆材のことであり、表1に示す種類がある。従来の滅菌ガーゼと違う点は、創面に誤判環境を形成し、創傷治癒に適した環境を整えるという利点である。また、創を閉鎖することで、排泄物からの汚染を避けることができ、外部からの二次感染を予防する効果がある。ドレッシング材の種類によってはガーゼの数十倍もの吸収力を備えているため、過剰な滲出液のドレナージにも有効である。しかし、ドレッシング材には感染を制御する効果はないため、感染の疑われる創傷には使用しないことが原則である。
種類と使用上の特徴
表2に示すように創傷被覆材には創の深さに基づいた保険上の使用区分があり、その区分に伴って使用した材料費の請求が可能である。そのため、ドレッシング材は創傷の深さに基づいて、基本的な使い分けを行っている。
しかし、臨床では深さを基準にドレッシング材の選択をするよりもむしろ、ドレッシング材の特徴である「湿潤環境を創面に維持する機能」すなわち、ドレッシング材の吸収力を基準にして選択する方法が一般的である。日本褥瘡学会の脊椎局所治療ガイドラインでは、ドレッシング材の機能を表3に示すように分類している。
溶出液が多い場合(DESIGN分類でE、22ページ)は、滲出液の吸収力の大きいポリウレタンフォームやキチン、ハイドロファイバ一気アルギン酸塩、ハイドロポリマーを選択する。溶出液が少ない場合(DESTGN分類でe)は、ハイドロコロイドを用いる。また、滲出液が少なく創面が乾燥傾向の場合には、ハイドロジェルを選択するなど各ドレッシング材の特徴を知り、創面の滲出液の量をアセスメントして、創面の状態に応じたドレッシング材の選択や交換を行う必要がある。
在宅治療時の利点
在宅では、医療者が毎日創傷処置を行うことが困難な場合が多いため、吸収力が高いドレッシング材を用いることで交換を訪問日に合わせて調整できるなどの利点がある。また同時に家族への介護負担を軽減することも可能である。
図の症例は、溶出液が比較的少ないe(DESIGN分類)にハイドロコロイドドレッシング材(デュオアクティブ ET)を使用している。図左は3日目で既に滲出液がドレッシング材より漏れる直前で、交換の必要がある。交換日を延長したい場合には、更に吸収力の高いドレッシング材へ変更することで3日以上の連続使用も可能である。
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