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(投稿:by 僻地の産科医)
各学会の声明です!
署名の協力お願いいたしますo(^-^)o!!!
昨日の記事です。大野事件、無罪ニュース ..。*♡
社説一覧!(のりぽんさま提供!ありがとうございます!!)
「検察は控訴すべきでない」-自民・世耕氏
キャリアブレイン 2008年8月21日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17757.html
大野病院医療事故:無罪判決 「標準的な医療措置」 検察側の立証不十分 /福島
毎日新聞 2008年8月21日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080821ddlk07040172000c.html
(抜粋)
◇「当然の判決だ」 捜査機関へ批判相次ぐ--加藤医師支援シンポ
福島市太田町の福島グリーンパレスでは20日午後、加藤克彦医師(40)を支援する医療関係者やジャーナリストらでつくる実行委主催でシンポジウムが開かれた。会場からは「当然の判決だ」「医療現場を崩壊させる捜査を許してはいけない」など捜査機関への批判が相次いだ。シンポは「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」がテーマ。市民から国会議員まで約160人が参加した。国立病院機構名古屋医療センターの産科医、野村麻実さんらパネリスト7人が意見交換し、野村さんは「逮捕というセンセーショナルな事件になり、産科の崩壊が進んだ。地域医療が失ったものは大きい」と、事件後の県内の産科医減少などを報告した。
超党派の国会議員でつくる「医療現場の危機打開と再建をめざす議員連盟」の会長代理、仙谷由人衆院議員(民主)は「警察、検察は相当無理しないと公判維持できないと直感していた。素人の思いつきで逮捕、拘置してはならないと法務省や検察庁に申し入れたい」と話し、連盟メンバーの世耕弘成参院議員(自民)は「判決を高く評価したい。無過失補償制度の確立と医療安全調査委員会を早急に立ち上げるべきだ」と訴えた。
周産期医療の崩壊を食い止める会
控訴取りやめ要望署名募集(2008/8/20)
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage
検察庁が本件判決に控訴しないことを要請するために、本会は署名活動を再開します。署名は総理大臣、官房長官、法務大臣、検察庁長官、国家公安委員会、厚生労働省など関係各位に提出予定です。この1週間が勝負です。ご協力お願い申し上げます。
別ホームページの署名投稿フォームで署名を募集中です。
http://spreadsheets.google.com/viewform?key=pVSu1jKcdiL1dT7HDioKlfA
【【【 Japan Medicine Mail 】】】2008/08/21
■ 診療中の疾病で死亡「異状の要件欠く」 <福島地裁、医師法21条で解釈>
福島県立大野病院事件の判決公判で福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、被告の加藤克彦医師(40)が問われた医師法21条違反について、「診療中の患者が、当該疾病によって死亡したような場合は、そもそも『異状』の要件を欠くというべき」との判断を示した。閉廷後に会見した被告弁護団の平岩敬一弁護士は「かなり踏み込んだ解釈をしている。今後の医師法21条の解釈に大きな影響を与えるだろう」と述べた。
■ 「無罪は妥当」「溝埋める努力を」 <大野病院事件で医療関係団体>
福島県立大野病院事件で、福島地裁が20日に言い渡した無罪判決を受け、医療関係団体は相次いで「判決は妥当」「無罪と聞いてほっとした」などの見解を示した。一方で「今回の無罪判決で、昨今の医療崩壊がストップするものではない」など根本的な解決を求める声や、「医師・患者間の溝を埋める一層の努力をしなければならない」とする見解など、今回の無罪判決を重く受け止めるべきとの意見も示された。
●医療の管理、医師自らが行う仕組みを 日医(木下勝之常任理事)
医療界が妥当であると考えていた判決だった。日本医師会は今回の判決を契機に、現在議論されている新たな死因究明制度での原因究明と再発予防に向けた取り組みを法制化し、医療の管理を今までのような刑事司法が行うのではなく、専門家集団である医師自らが行う仕組みの構築を目指していきたい。
また今回の無罪判決は日常診療に従事している医師にとっては妥当な結果だったとしても、今後、医療の専門家である医師は医療事故の防止に努めるとともに、医療を受ける患者と真摯に向き合い、相互の理解に努め、医師・患者間の溝を埋めていくよう、一層の努力を払わねばならないと考える。
●医師法21条の解釈、画期的 山本修三・日病会長
結果的に無罪となったことについては、医療関係者としてほっとしている。(業務上過失致死の部分で)裁判官は両方の意見を聞いた上で、最終的に臨床現場の状況を尊重した判断という印象を受けた。また、医師法21条の解釈としてここまで踏み込んだのは画期的であり、逆に言えば、医師法21条を極めて素直に解釈していただいたと思う。
ただ今回、無罪になって良かったということで終わる話ではない。真実はどこにあって、どうやったら防げたのかという答えは、今回の判決からは出てこない。われわれ医療界にとって、今回の無罪をどう受け止めるかが非常に重い課題であり、遺族や国民に対して専門的な知見から発信しなければならない。
●刑事捜査は死因究明になり得ない 西澤寛俊・全日病会長
大野病院事件に関する無罪判決は当然と受け止めている。逮捕・起訴自体が間違っており、裁判に至ったことは遺憾だ。今回の大野事件から刑事捜査は死因究明にはなり得ないことが明らかだ。真相究明の組織づくりが必要だ。それを進めることで、医療人が誇りを持って業務ができる環境づくりにつなげたい。
ただ今回の無罪判決で昨今の医療崩壊がストップするものではない。すでに医師の産科離れは進んでおり、精神的負担軽減を考えないといけない。病院は医療の質的向上を進めるための努力は今後も継続していくが、医療安全にはコストがかかることも理解してもらいたい。今後は国民との意見交換の場を積極的に持つことも考えたい。
●医療安全調の議論にも影響 高久史麿・日本医学会長
率直なところ私も無罪になることを強く希望していたので、今回の判決を聞いて喜んでいる。今後の医療安全調査委員会の議論にも影響を与えるだろう。今回の事件は当初、誤った情報に基づいて逮捕・起訴されたわけだが、標準的な意見をもっと聞いていれば起こらなかったのではないか。裁判の過程で「争点となった手技は標準的な医療だ」と大勢の産科医が証言し、裁判所もそれを標準的な意見だと判断したのだと思う。
異状死の定義は難しいが、裁判所は今回のケースについては異状死に該当しないと判断したのだと思う。
●委縮医療への歯止めに期待 日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)
(今回の)事件は、癒着胎盤という重篤な産科疾患で生じたものだが、当時、被告人が産婦人科専門医として行った医療の水準は高く、医療過誤というべきものではない。今回の判決は、重篤な疾患を扱う実地医療の困難さとそのリスクに理解を示した妥当な判決であり、これにより産科をはじめ多くの領域での昨今の委縮医療の進行に歯止めがかかることが期待される。
今回の裁判による医療現場の混乱が一日も早く収束するよう、検察庁が本件判決に控訴しないことを強く要請する。
●最善の医療行為が刑事訴追されない環境を 全国医師連盟(黒川衛代表)
今回のケースは不可抗力事故であり、無罪判決は至極当然と受け止めている。この無罪判決が加藤克彦医師の名誉回復になることを信じている。医療者の最善を尽くした医療行為が決して刑事訴追されない環境を望みたい。通常の医療水準で救命できない医療行為を刑事訴追するのは誤っており、控訴しないでほしいと訴えたい。
届け出制度と解明機構を整備する必要がある。(厚生労働省の)第3次試案は良くなっているが、もっと時間をかけて話し合うべきだ。真の問題解決のための情報開示の仕組みを探っていく必要があり、(当連盟としても)近く対案を出したい。患者家族への慰撫(いぶ)と救済が可能となる救済制度の設立を求めていく。
●医療界がしっかり死因究明を 医療の良心を守る市民の会(永井裕之代表)
死因を知りたいという願いをしっかり埋めてもらわないと、被害者の心は晴れない。(大野病院事件では)1人の尊い命が失われており、二度と同じようなことを繰り返さないことが一番重要なことだ。医療界がしっかり死因を究明することが必要であり、そういった意味では医療安全調査委員会(仮称)が機能してほしい。
無罪になったことで、大野病院事件と同じようなケースは今後、どこにも報告しなくて良いということになってしまうのは困る。医療界には、より建設的な方向に向かうような対応を願いたい。
「日本のお産を守る会」声明
http://nihon-no-osan.com/
~ 福島県立大野病院事件の公判判決を受けて ~
加藤医師ならびに全国の多数の支持者、産科のみならずハイリスク症例に遭遇する医療現場で働く多くの医師にとって、今回の無罪判決は妥当であり、裁判官の公正な判断を高く評価します。福島県検察当局はこの判決を真摯に受け止め、善意の医療行為に対して不毛な刑事訴訟を進めたことについて猛省していただきたい。今後も敢えて控訴してさらに医療現場の混乱を加速させるようなことがないよう、その良識を期待します
亡くなられた患者様ならびにご遺族の方々には心より哀悼の意を表します。しかし不幸な結果に至ったとはいえ、懸命に救命にあたった担当医師を処罰することが医療事故の予防や医療水準の向上には決して寄与しないことを私たちは強く訴えるものです。私たち医師はこのように困難な症例に対して詳細なレビューを行い、それに基づいてその的確な診断法と最良の治療法を追求していく責務があります。その目的を達成する上で刑事訴訟は百害あって一利ないことを重ねて強調したいと思います。
2008年8月20日 日本のお産を守る会
日本産科婦人科学会声明
http://www.jsog.or.jp/statement/statement_080820.html
福島県立大野病院事件についての福島地方裁判所の判決に対する声明
日本産科婦人科学会は亡くなられた患者様のご遺族と悲しみを共有し、患者様には心からの哀悼の念を捧げます。
この悲しい事件は、癒着胎盤という重篤な産科疾患において生じたものですが、当時、被告人が産婦人科専門医として行った医療の水準は高く、全く医療過誤と言うべきものではありません。癒着胎盤は極めて稀な疾患であり、診断も難しく、最善の治療が如何なるものであるかについての学術的議論は現在も学会で続けられております。
このたびの判決は、この様な重篤な疾患を扱う実地医療の困難さとそのリスクに理解を示した妥当な判決であり、これにより産科をはじめ多くの領域における昨今の萎縮医療の進行に歯止めのかかることが期待されるところであります。
日本産科婦人科学会は、今後も医学と医療の進歩のための研究を進めると共に、関係諸方面の協力も得て診療体制の更なる整備を行い、本件のように重篤な産科疾患においても、母児ともに救命できる医療の確立を目指して最大限の努力を続けてゆくことを、ここに表明致します。
本会は、今回の裁判による医療現場の混乱を一日も早く収束するよう、検察庁が本件判決に控訴しないことを強く要請するものであります。
平成20年8月20日
社団法人 日本産科婦人科学会 理事長 吉村 泰典
日本産婦人科医会声明
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/kenkai/20Aug2008.pdf
福島県立大野病院事件判決について
業務上過失致死罪:無罪
医師法違反(21 条に規定する異状死の届出義務違反):無罪
本日、この罪に問われた産婦人科医の被告人に対して、福島地裁から、二件の容疑に関する無罪判決が下りました。これに関して、周産期医療を担う専門家集団である産婦人科医会としての見解を述べさせていただきます。先ず、この事件で、亡くなられた方に対し、改めて、心より、ご冥福をお祈り申し上げ
ます。
本件は、帝王切開手術時の癒着胎盤剥離に伴う産婦の失血死により、平成18 年2 月に執刀医が業務上過失致死罪と医師法21 条に規定する異状死の届出義務違反容疑で逮捕、勾留、その後起訴されたものであります。
本件は産科医療の基本的な日常診療のなかで、正当な医療行為をしたが、残念ながら力が及ばなかった不幸な事例であるとの見解から、刑事責任を問うことはできず、無罪以外の判決はあり得ないとの認識でしたから、当然の判決結果であると思います。
さて、この事件は、産婦人科医だけでなく、医療界や、社会に大きな衝撃を与えました。
その理由は、
1. 帝王切開術による不幸な医療事故が発生してから、1 年以上が経過し、その間、地域の周産期医療を担い続けてきた医師が、逃亡や証拠隠滅のおそれは、全くないにもかかわらず、突然逮捕、勾留され、そして、直後に起訴されるという極めて不当な事件であったからです。
2. 医療事故の死因究明は、本来、医療の専門家である医師に委ねられるべきです。しかし、この事件は、産婦人科の専門医が判断すれば、『通常の医療行為の結果、不幸にして救命できなかった事例であり、刑事罰の対象にはなりえない事件である』にもかかわらず、刑事司法の判断によって、『医師の過失が重大である』とされ、刑事訴追されたからです。
このように診療行為に伴って患者さんが死亡されたことを深く受け止め、再発防止に努めねばなりません。そのためには専門家集団による透明性のある事故調査が必要です。このような事例に刑事罰を適用することは医療現場を萎縮させるだけで、再発防止には繋がりません。
以上の観点から、日本産婦人科医会は、日本医師会と日本医学会を中心に現在議論がなされている新たな死因究明制度における原因究明と再発予防に向けた取り組みを法制化し、医療の管理を今までのように刑事司法が行うのではなく、専門家集団である医師が行う仕組みの構築を全面的に支援していきたいと思います。
今後、医療の専門家である医師は、医療事故発生の防止に努めるとともに、医療を受ける患者さん方と、真摯に向き合い、相互の理解に努め、医師・患者間の溝を埋めていくよう、一層の努力を払わねばならないと考えています。
平成20年8月20日
社団法人日本産婦人科医会 会長 寺尾 俊彦
全国周産期医療(MFICU)連絡協議会見解
http://mficu.umin.jp/
高次周産期産科医療を担う医師からの声明
高次周産期産科医療を担う医師の立場から、福島地方裁判所による福島県立大野病院医師に対する判決に関して、以下の声明を出させていただきます。
はじめに、亡くなられた患者様に深く哀悼の意を表し、ご家族の皆様には心からお悔やみを申し上げます。
お産や手術に際して、担当した患者様が亡くなられる事は、ご家族と同様に、私たち周産期医療に携わるものにとっても大変残念で悲しい事であり、現代医療の限界を痛感させられるものです。世界に誇れる日本の周産期医療水準は、加藤医師のように地域で誠心誠意医療に邁進している人々によって築かれ支えられたものです。しかしながら、そのような医療現場において最善を尽くし診療に当たったとしても、ある一定の頻度で不幸な出来事が起こることを避けることはできません。このことは、一般の産科医療施設のみならず、3次あるいは2次施設としての総合・地域周産期母子医療センターにおいても同様です。そのため、今回の不幸な出来事が一人の医師個人の責任として問われたこと、また逮捕・起訴にまで至たり、刑事責任を問われたことには疑問を抱かざるを得ません。
今回、関係者による慎重な審査の結果、加藤医師がとった医療行為が業務上過失致死の罪には当たらないという判決がでましたが、関係機関の方々の誠意ある判断に深謝いたします。この判決は、癒着胎盤の取り扱いの困難性や、周産期医療に携わる医師が日常的に行っている医療行為には本件のような不測の事態の発生する可能性が常に内在するということが理解されたものと評価いたします。本判決が、加藤医師と同様に厳しい医療環境の中で懸命に医療を担っている医師達が患者を救うという使命感の喪失や意欲の減退に陥ったり、過酷な医療現場を離れたりすることにならないよう、少しでも歯止めになればと期待しております。また、その事は医療の受益者である国民の利益につながるものと考えます。
検察庁は本判決を真摯に受け止め、控訴することなく、今回の逮捕、拘留、起訴と長期の裁判が医療現場にもたらした混乱を一日も早く収束するよう強く要望いたします。また本件にて、加藤医師が医師としての貴重な2年半もの年月を奪われたことは加藤医師だけではなく、地域医療にとっても大きなマイナスでありました。私たちは、加藤医師を取り巻く環境と地域医療の一刻も早い復興を希望いたします。
最後に、私達は、今後も医学医療の進歩を押し進め、その成果が国民への医療に還元できるよう、周産期医療システムの改善も含めた再発防止に向けた最善の施策を講じるために、国民の皆さん、妊婦さんとそのご家族、医療機関、行政機関のご協力をいただきながら、より多くの母と児の命が守られる社会を目指して努力を続けることを表明いたします。
2008年8月20日
全国周産期医療(MFICU)連絡協議会
代表 末原 則幸 (大阪府立母子保健総合医療センター 副院長)
日本生殖医学会も歓迎 大野病院事件無罪判決
産経新聞 2008/08/20
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/171489
大野病院事件の無罪判決について、全国約4900人の産婦人科や泌尿器科の医師らで構成する「日本生殖医学会」(岡村均理事長、東京)は20日、「極めて適切な判断と考え、歓迎する」との声明文を公表した。
声明文では「医療提供者には常にベストを尽くして治療する義務がある」とした上で「全力を尽くしても、治療結果は個別で異なり、最終的に最悪の結果になる場合がある。これは社会の常識で、法律上も正しいと判断された」などとしている。
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