(関連目次)→大淀事件
(投稿:by きよ)
きよさま編ですo(^-^)o ..。*♡
午前中のお話を時系列で!!!
ではどうぞ!!!
(先入観はいるから、私は読まないようにして自分のを書きますね!)
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■傍聴券配布
僻地の産科医先生に「くじになると思います」と事前に教えて
いただかなければ、ちょっと遅刻するかも~、くらいの
甘い気持ちでした。ありがとうございました。
仕事休んで新幹線で来て、当たらなかったら惨めだなぁ・・
と思っていましたが、隣に並んでいた方が
「夜明けに出て、山2つ超えてきたヮ」と言うのを聞いて、
夜明けは誇張では、と思いつつ、それぞれ頑張って来ているんだなぁ
と励まされました。
無事くじに当たりました。
でも、実は午前中は空席がちらほらありました。
■出席者(証人以外)
印象は、あくまで私の個人的な印象です。よくはずします。
裁判所側
・[裁1] 中央
さすが裁判長の威厳を感じますが、フランクで穏やかな話し方が安心感をさそいます
・[裁2] 向かって左
あまり話をされず目立ちませんでしたが、人がよさそうな印象
・[裁3] 向かって右
若くで元気でまじめな好青年
・書記官 裁判官席と証人席の間、こちら向き
こちらが必死にメモを取っているのに、
書記官が余裕そうなのはプロです
原告側
・[原弁] 天然要素があるが、やり手で、つくところを知っている、という印象
・[原(夫)] 一日を通して、誠実な印象を与えたと思います
被告側
・[被弁1] 終始一番奥(裁判官側)
きっちりてきぱき型のまとめ役
・[被弁2] AMは傍聴席側 ([助産師]の尋問を主担当した便宜上?)PMは真ん中
美女な上、尋問の随所に女性らしい気遣いが感じられました
・[被弁3] AMは真ん中、PMは傍聴席側 ([被告医]の尋問を主担当した便宜上?)
人の良いお爺さん(ごめんなさい)だが切れ者、という印象・・
・[被告医] [被弁1]のとなり、尋問中は当然証人席
■始めのあいさつ
・裁判官入室、起立、礼
・2分間のVTR撮影
■争点整理([裁3]が読み上げ)
前提
H18/8/8
0:00 [患者]に頭痛、こめかみ痛を訴え、血圧上昇
0:14 意識消失、経過観察
1:37 さらに血圧上昇、ケイレン様発作
1:50 [被告医]が、奈良県立医大に母胎搬送依頼
4:49 [国循]に搬送開始
5:47 到着
搬送時 JSC300, 瞳孔中等度散瞳固定、両側5mm、対光反射なし、自発呼吸あり
6:20 頭部CT、右前頭葉に7cmの血腫
7:55 開頭血腫除去手術および帝王切開手術開始
8:04 [原(児)]出生
血腫除去
10:00 手術終了
H18/8/16
[患者]が脳内出血により死亡
死因
原告主張
・死因は、右前頭葉の脳内出血による脳ヘルニア
・出血は0:00頃発生
・1:37に担当[助産師]が発見したケイレンは、除脳硬直による
被告主張
・右前頭葉の出血は、4:00頃始まった
・1:37のケイレンは、子癇による
過失
原告主張
・頭部CT検査をせず、転送が遅延した
・[被告医]は、0:14以降に[患者]の脳内病変を疑って頭部CT検査をし、
脳内出血と診断して、脳内出血に対応できる高次医療機関に転送すべきだった
被告主張
・[患者]が0:14に意識消失した後、[被告医]は[内科医]に診察を依頼している
・瞳孔に変化がないなどから経過観察としたのは適切で、頭部CT検査の義務はなかった
・1:37のケイレンは子癇発作なので、マグネゾール投与と安静の処置は適切
・直ちに奈良県立医大の母体搬送システムに搬送依頼した処置は適切
・仮に0:14の意識消失が脳内出血によるものとしても、
子癇と脳内出血の判別は困難で、子癇である場合が圧倒的に多いことから、
子癇発作と判断して処置を行ったのは適切
因果関係
原告主張
・[患者]が0:14に意識消失した後、頭部CT検査を実施すれば、
脳内出血が分かった
・脳外科の救急病院は多くあるので、搬送先は容易に見つかった
・搬送先で速やかに血腫除去手術を行えば、[患者]が一命を
取り留めた高度の蓋然性がある
被告主張
・仮に0:14の意識消失が脳内出血によるもので、
頭部CT検査を実施したとしても、
血腫除去手術までは時間を要するので、脳ヘルニアの完成は回避できなかった
・脳血腫除去手術と並行して帝王切開手術を行う必要があり、
「脳内出血の手術であれば搬送先の確保が容易であった」とは言えない
■提出証拠等
証拠説明書
・甲A4号証、5号証
・乙A5~11号証
・甲B24~30号証
裁判所外の証人尋問
・[国循産科医]、[国循脳外医]の尋問結果 (先週実施)
証人
・被告側から、看護師の証人申請撤回があった
・尋問の順番は午前中に[助産師]と[内科医]、午後に[被告医]と[原(夫)]
甲A6号証について
[被弁1] 甲A6は何に使うのか?
[原弁] 本人尋問および、[被告医]の反対尋問で使う
[被弁1] 本人尋問で使うと聞いていた。
[被告医]の反対尋問で使うのであれば、同意できない
[原弁] 事件後9/21の当事者間話合いの議事録で、病院側が過失を認める記録があるので、M医師の反対尋問で使う
[被弁1] それならば、もっと早く事前に出すべき
[裁1] 裁判所で検討する
■[助産師][内科医]宣誓
■[助産師]主尋問
[被弁2] 助産師歴は何年ですか?
[助産師] 合計16年です。
[被弁2] 勤務病院は?
[助産師] 大淀病院で15年です。後の1年は大淀病院が閉鎖されてから他の病院で。
[被弁2] 分娩の経験数は?
[助産師] だいたい500件です。
[被弁2] [患者]には嘔吐、頭痛、ケイレン、意識消失がありましたが、
分娩時の嘔吐の経験はありますか?
[助産師] あります、全体の3割くらいです。
[被弁2] 頭痛は?
[助産師] まれにある程度で、多くはないです。
[被弁2] ケイレン、意識消失は経験ありますか?
[助産師] 経験ないです。
[被弁2] 乙A8の記録が始まる17:00から[患者]を担当したことに
間違いないですか?
[助産師] はい。
[被弁2] 17:00からの[患者]の様子に異常はありましたか?
通常と比べて、医師に報告すべき点は?
[助産師] 0:00頃までvital signは通常で、
嘔吐はありましたが、全身状態は正常な経過でした。
[被弁2] 嘔吐について、[原(夫)]の陳述書によると、
『[患者]があまり吐いてばかりで苦しそうだったので
[助産師]に言ったが「よくありますよ」と言って
あまり何もしてくれなかった』とありますが、
何か措置をしましたか?
[助産師] 水分は摂取できていましたが、夕食が全く取れなかったので、
分娩時に使うブドウ糖を点滴しました。(22:00開始)
[被弁2] [原(夫)]の陳述書によると、その後、
『「長引きそう」と[助産師]に言われてお母様に帰ってもらった』
とありますが?
[助産師] はい。
[被弁2] 『23:00頃』とありますが、正しいですか?
[助産師] 時間はカルテに書いていないので分からないです。
分娩が長引きそうなので、
帰って休んでいただくように言ったのは覚えています。
[被弁2] 0:00 の頭痛の様子はどうでしたか?
[助産師] とにかく「こめかみが痛い」と。
睡眠不足などの普通の痛みではなくて、
強い痛みを訴えられ、発汗も多かったので、
普通じゃないと思って医師に報告しました。
[被弁2] 医師を呼んだと?
[助産師] 電話で報告しました。
[被弁2] [被告医]の指示はどうでしたか?
[助産師] 嘔吐があり、5%の水分点滴を入れていることを報告したら、
「脱水を考えて、ブドウ糖より生食がよい」と指示されたので、
変更しました。
[被弁2] 乙A2P16の生食500mlのことですか?
[助産師] はい。
[被弁2] [原(夫)]の陳述書によると、
『[患者]が頭痛を訴えるのでナースコールをして大丈夫か聞いたが、
[助産師]は「大丈夫」と言ってすぐナースステーションに
戻ってしまった』とありますが、医師の指示を仰いで
点滴を変更したのですね?
[助産師] はい
[被弁2] 0:10 の嘔吐に対してプリンペラン、これは何ですか?
[助産師] むかつき止めです。
[被弁2] プリンペランも投与したと。
[助産師] はい。先生の指示で・・
---
ここまでは、原告が「病院側が何もしてくれなかった」と主張しているが、
そうではなく、適時必要な処置をしていた、ということを主張したのでしょう。
争点には入っていませんし、この程度の流し方でよいかな、と思います。
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[被弁2] 0:14に突然意識消失とありますが、返事をしない、ということですね?
[助産師] はい。
[被弁2] この時その場に居ましたか?
[助産師] はい、居たと思います。
[被弁2] [患者]はどういう状態でしたか?
[助産師] 「頭が痛い、痛い」と言いながら、スーッと意識が消失しました。。
意識消失なのでとにかく起こそうと思い、
ほっぺを叩かせていただき、何度も呼びましたが、
意識が戻らなかったので、先生を呼びました。
[被弁2] 先生とは、[被告医]のことですね?
[助産師] はい、意識消失は初めてで、もうこれは私の手には負えないので、
とにかく先生に来ていただかないと、と思って
ナースコールをして、[看護師]に「先生を呼んでください」と言いました。
[被弁2] [被告医]はすぐ来ましたか?
[助産師] すぐ来てくださいました。
[被弁2] 来てからどうされましたか?
[助産師] 血圧、瞳孔、全身状態を観察されました。
それから「今日の当直は何科か」と聞かれ、私は手一杯だったので、
もう1人の看護師が「内科と整形外科です」と答えたら、
内科医を呼んでください、と。
[被弁2] [内科医]が来られたのですね。それで、どうされましたか?
[助産師] [内科医]も[被告医]と同様に、モニターを見たり、
全身を観察されました。
[被弁2] その後、お二人の医師が何か話されているのを聞きましたか?
[助産師] 「陣痛中の単なる失神でしょう、しばらく様子を見ましょう」
というようなことを言われました。
[被弁2] 誰が言いましたか?
[助産師] [内科医]だと思います。
[被弁2] 乙A2P19
[被告医]もそれに納得されていましたか?
[助産師] そう思います。
---
意識消失の際、速やかに医師が来て、
必要な診察をした上で「経過観察」と判断したのであり、
処置は適切である、という主張でしょう。
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[被弁2] その後の[患者]の様子は[助産師]がご覧になっていましたね?
[助産師] はい。
[被弁2] 何に気をつけて観察されましたか?
[助産師] Vital sign、血圧、モニター、胎児心拍も付けて、
呼吸とか顔色も診ました。
[被弁2] 陣痛発作が4分間隔で15~20秒とありますが、どんな感じでしたか?
[助産師] 陣痛のときに、自然と痛みを感じて力むような様子でした。
[被弁2] 呼吸や顔色はどうでしたか?
[助産師] 呼吸は平静で、気になる所見はありませんでした。
[被弁2] 顔色は?
[助産師] 顔色も悪くありませんでした。
[被弁2] カルテによると、自動血圧計をつけたのは0:14ですが、
これは意識消失時ですか?
[助産師] はい。
[被弁2] 乙A2P17-2の最初の記録は1:16ですが?
[助産師] 最初は分娩室で表示を見て記録を取っていましたが、
記録の残っているところからは、
詰め所で記録を見られるように記録のボタンを押しました。
[被弁2] 1:16の時点では、ずっと診ている必要がなさそうと判断した、
詰め所に戻ってもいいと。
変わりない状態が続いていたということですね?
[助産師] そうです。
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状態が安定していたので経過観察を続けたことに
問題はないという主張でしょう。
この時点ではこれでよいと思いますが、
後の医師の尋問では、この時間帯が問題になりました。
---
[被弁2] 1:37にケイレン有りと書いていますが、どうやって知りましたか?
[助産師] 詰め所に戻っていたのですが、
自動血圧計の値が175/85と高い値になったので、
水銀計で測ってみようと思って。
[被弁2] 血圧が突然上がって、すぐ行かれたのですね?
[助産師] はい。それまでは140~150程度だったのですが、
自動血圧計は通常高めの値が出るので、[看護師]にも相談して、
水銀の方が正しい値が出るので、測ってみたら200/100でした。
この時、いびき、強直性ケイレンがありました。
[被弁2] 強直性ケイレン、強直性、というのはどういう感じですか?
[助産師] 全身、四肢に力を入れて、突っ張る感じで、
ギューッと、手足の先まで突っ張るような」
[被弁2] 本裁判では、このケイレンが除脳硬直か、
子癇かが争いとなっています。
図で確認してもらえますか?
甲B3P1**図Aの除脳姿勢と、乙B5の2枚目ですが・・
---
ここで、[原弁]が「図がたくさんあって、どれのことか分からない」と遮り、
[被弁2]が「今説明しています」と答えるも、
相手の回答を耳に入れずに自分の質問ばかり何度も繰り返す
『物分かりの悪い患者さん』みたいな様子。
[被弁2]も切れ気味で、言葉を変えたり横に行って示したりせず、
「今説明しています」と繰り返すばかり。
[被弁1]が説明し直し、それを受けて、誰か([被弁1]か[被弁2]?)が
直接指で差し示して落着。
[原弁]は天然か?それとも、スムーズな展開を遮って
[被弁2]のイライラや[助産師]の動揺を誘うため?
個人的には[原弁]の心証を悪くしたような気がしますが・・
裁判官のお心は分かりません。
---
[被弁2] この、甲の除脳姿勢を見ていただきたいのですが、
こういう姿勢でしたか?
[助産師] とにかく突っ張る感じで・・こんな感じだと思います。
[被弁2] 後、乙も見比べて、どれもにていると思うのですが、どうでしょう?
事前の準備の時にも何度か伺ったのですが、
その時も答えにくい感じでしたので・・
[助産師] このAの方だと思います。
[被弁2] 除脳姿勢の方ですか?
[助産師] はい。
---
ここ。私の予想ですが、本来、徐脳硬直と子癇ケイレンは似ている
と主張したいところのハズ。
事前準備では、もうちょっと和んだ雰囲気で、なかなか選べませんよねぇ
みたいな流れだったのが、緊張した状態で「どれか1つ選んで」と言われて、
一番近いところが「徐脳姿勢の図」だったのでしょうか?
---
[被弁2] これまでに、除脳硬直をご覧になったことはありますか?
[助産師] あります。
[被弁2] 何例くらい?
[助産師] 助産師になってからではなく、看護学校の時に1~2例です。
[被弁2] 産科の患者さんで除脳硬直になられた例は?
[助産師] ないです。
[被弁2] 子癇発作をご覧になったことは?
[助産師] ないです。
---
子癇の経験がない、ということで、フォロー
---
[被弁2] これ以外に「痰」という記述がありますが、
[患者]に痰が出たのですか?
[助産師] この(資料を見ながら)、1:50頃から、痰がゴロゴロいっていました。
[被弁2] 医師はすぐ来ましたか?
[助産師] 1:37のいびき、ケイレンがあった時に、すぐ先生を呼びました。
[被弁2] [被告医]、[内科医]両方おられたのですね。
どんな指示がありましたか?
[助産師] まず診察されて、それで救急処置が必要なので送ろう、
ということでした。
[被弁2] 送ろうということになって、その後の状況がおわかりですか?
[助産師] [看護師]もおられたので、
私は救急薬品や器具を分娩室に取りに行きました。
その間に、[看護師]がマグネゾールを開始してくれました。
[被弁2] 乙A2P17-1を見てください。
その後『ケイレン発作なし』とありますが?
[助産師] [被告医]が子癇と言われたかどうか、言葉自体は記憶にありませんが、
マグネゾールを使うということ自体が子癇の治療で、妊婦さんなので。
マグネゾールを使ってからケイレンがなくなっていたので、
「ケイレン発作なし」と書きました。
[被弁2] マグネゾールが効いて、ケイレン発作が治まったのだと思いましたか?
[助産師] はい、マグネゾールの効果だろう、やっぱり子癇だったんだな、と。
---
さらに、「マグネゾールが効いた=子癇」の主張
---
[被弁2] 「2:00に瞳孔開大」とありますが、どういう状態ですか?
[助産師] 通常よりやや開いているな、という状態です。
[被弁2] どうやって確認しましたか?
[助産師] 懐中電灯で見ました。
[被弁2] 対光反射は?
[助産師] 対光反射はなかったです。
[被弁2] どれくらい開いていましたか?
[助産師] 散大まではいっていなくて、やや開いていました。
[被弁2] 散大、というのはどれくらい開いている状態ですか?
[助産師] 散大はほぼ開ききっている状態です。
[被弁2] 何mmか分かりますか?
[助産師] 分かりません。
[被弁2] 「開大」という言葉は、医学的にあまり使われないのですが、
この時は散大ではなくて開大、と?
[助産師] 散大はかなり開いている状態なので。
この時は、通常よりは開いていて、固定していました。
[被弁2] 通常とは違ったのですか?
[助産師] 違いました。
[被弁2] 左右差はどうでしたか?
[助産師] 左右差は気にしていなかったです。
[被弁2] 左右差があれば、書いていると思う、ということですね。
[助産師] はい、そうです。
---
この時点では、瞳孔の開き方は、脳内出血と考えられるほどではなかったと。
---
[被弁2] 3:15~25に、
「こんなに搬送先を見つけるのに時間がかかるのは初めて」
とありますが、どんな思いでした?
[助産師] 母体搬送や新生児搬送は年に10~15件経験していましたが、
これまで、15~20分、遅くて30分で搬送先が決まっていたので、
こんなに時間がかかるのは、
助産師をしていて初めてだったので書きました。
[被弁2] 同じ日に、もう1人母胎の救急搬送の方がいましたね?
[助産師] はい。
[被弁2] 正確には、日が変わっているので、前日ですが。
[助産師] 16:30に夜勤に入った時には、
もう搬送先が決まって救急車に乗るところでした。
切迫早産の方で、奈良医大に行かれたと思います。
[被弁2] この時は搬送先が決まるのにそれほど時間がかからなかったのですか?
[助産師] 私が入ったときには搬送先はもう決まっていたので、
何分かかったかは分からないですが、決まるまでに
特に時間がかかった、と言うような話は全く聞きませんでした。
[被弁2] 今回、奈良県の母体搬送システムで搬送先を探したと思いますが、
このシステムについて教えてください。
[助産師] 搬送が決まると、医師が、これは医師の仕事なんですが、
医師がまず奈良医大に搬送依頼の電話をして、
奈良医大に空きがあれば、近いのでこちらに搬送しますし、
満床であれば、医大が責任を持って探すという約束、
というか決まりになっています。
[被弁2] そうすると、医師は電話を1本かけたら終わりだと思うんですけど、
[被告医]は電話を1本しかかけていませんか?
[助産師] 返事がなかなかなかったので、催促の電話をかなりかけていました。
その時点では[師長]も呼んでいたので、
[師長]も催促の電話をかけていました。
---
被弁2の尋問が一通り終了、補足の形で
---
[被弁1] 救急車を電話で呼んだのは誰ですか?
[助産師] 私です。この3:40に、[師長]から
「まだ搬送先は決まらないけれど、
いつでも行けるように救急車に
乗せてもらっておくように」
と指示を受けて、すぐ搬送できるように来てください、と。
---
1:37のケイレン後、病院側がのんびり放置していたのではなく、
通常の手続きを超えて搬送先を探すために必死だったことの主張でしょう。
[被告医]が個人的に5つくらいの病院に電話した話がなかったのはなぜでしょうか。
---
[被弁3] 「ほっぺたを叩いて」とあったけど、
そういうことをして意識が戻ることがありますか?
[助産師] あります。
[被弁3] 横から見ると、ずいぶん乱暴なことをしているように
見えるかもしれないけれど、いつものやり方でやったと、
このケースではいつものやり方でやっても
意識が戻らなかったということですね。
[助産師] そうです。
[被弁3] [被告医]が[内科医]に来てもらったのは、
意識がなくなったので調べてもらいたいということですね。
[助産師] そうです。
[被弁3] 「意識がなくなって、頭の中は大丈夫か」
というようなやりとりはありましたか?
[助産師] 覚えていません。
[被弁3] [看護師]の話では、[内科医]の診察で、肩を上げたり、
体中を触ったりした、とありますが、見ましたか?
[助産師] あまりはっきり覚えていないが、
診察、という形で診ていたと思います。
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[患者]を無造作にあつかったのではないこと、
通常の適切な判断をしていることの補足でしょうか。
裁判官に訴えたかどうかはよく分かりません。
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詳細な記録いつもありがとうございます。
母体搬送に関しては一般の人にはわかりずらいと思います。一応最初に決められた高次施設に電話するのですが、なかなか決まらなくても待たざるを得ないです。なかなか決まらないからと言って他の施設に電話すると、重なってしまう事(高次から別高次病院)があり、2度手間になってしまう事があるので、通常はどんなに遅くても待ちます。母体搬送に1日かかる事もざらにあります。それが一般患者家族にはまず伝わりません。こちらは一生懸命に電話しているにもかかわらず、さぼっているとか捉えてしまいます。ただでさえ、電話している途中でも他の分娩、緊急帝王切開、救急外来は山ほどあります。結局のところ産科救急の医療体制が十分ではないというところに尽きると思います。ただそれは現場で働いている医師、助産師、技師の責任ではありません。国の医療政策の問題です。
超緊急帝王切開は自分のいた周産期センターでも無理でしたし、一般病院にいますと放射線技師を呼び出してCTなど撮影するのは3時間以上普通にかかっていました。これを現場のたまたま当たった人間のせいにするのは全くおかしいと思います。だから現場の周産期を経験した医師ほどお産から遠ざかっていくのです。
でももう手遅れですね。辞める人間を引き留めるのが先決なのに、これから産婦人科に入るかわからない学生、研修医ばかり優遇しても教える先輩たちがいなくなるのですから。産む所がなくなっても当然と思います。
投稿情報: 元周産期センター勤務医 | 2008年7 月17日 (木) 00:49