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(投稿:by 僻地の産科医)
6月15日にNHKスペシャルでやっていたようです。
中国というと共産主義というイメージですので、皆保険がないなんて???
というイメージでしたが、いまやひどい事になっているのですね(>_<)!!
NHKの公式ホームページと見た方の記録を拾ってきました。
6月22日(日)(明日ですね!)
AM10時からBS2で再放送予定のようです!
激流中国 病人大行列 ~13億人の医療~/中国
NHKスペシャル 2008年6月15日
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080615.html
市場経済化が加速する中国で、今、政府自ら、最も取り組まねばならない課題としているのが「医療」問題である。激流中国では、北京の大型病院に密着し、その現実を浮き彫りにする。
私たちが取材した公立病院には、連日、全国から大勢の患者が押し寄せる。診察を受けるのは二日がかり、徹夜で並ばなければならない。なぜそうまでしなければ、診察を受けられないのか?医療制度はどうなっているのか?
かつて中国は、国家が医療費を負担し、医療サービスは無料だった。しかし制度の見直しで、利用者負担へと変わり、保険制度の整備も遅れているため、医療費が患者に重くのしかかるようになった。一般の人々が病院に行くのは、いよいよ症状が悪化してからで、地方の病院等ではとても手に負えず、こうした大型病院で診てもらうしか手がないのだ。しかも医療費が、患者家族にとって“破産する”ほど高額となるケースも頻繁に起きている。一方、制度見直しによって、病院は独立採算となり、優れた医師や医療設備を導入し、大勢の患者を集めることのできる病院だけが生き残れるようになっている。こうした“医療格差”がますます拡大する中、患者家族、そして病院、「それぞれ」をつぶさに記録した。
みた方からの報告ですo(^-^)o ..。*♡
ありがとうございます!
(産科医絶滅史 154-156)
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1213417741/
北京の同仁病院では、氷点下8℃の中、前夜から徹夜で診察の為に800名が並び、ダフ屋が横行している。病院の内情に通じたダフ屋が200円の診察券を4500円で売っている。
朝7時の発売開始、人気のある医師の診察券は10分で売り切れる。救急車が病院に着くとすぐに付き添いの家族に救急車の料金の請求。救急車は有料、即金払いで2100円。救急処置が始まる直前に看護師から診察料の請求がある。病院の医療は現金と引き替え、即金前払いが常識になっている。搬送のベッドにも4500円の保証金が必要。
家族は現金の束を持ってきている。医療保険がないので、医療費は全額自己負担。かつて中国の医療は国が無料で提供していたが制度は一変した。
ある親子が病院を探して1ヶ月、9歳児が両眼の診察の為に700km離れた農村からやって来た。しかし、左眼は網膜剥離で手遅れだった。改善可能性のある右眼にレーザー治療を受ける事になった。その治療費は8200円。・・・・これは一家の1ヶ月の収入に近い。
元来、北京市民の為に作られた有名な同仁病院は、一日の外来患者数は5000名を越える。その内、6割が地方からの患者。患者と家族で外来の順番待ちをする。地方からの患者が増える中で、受診者がお金を払わない事が多いので前払いとなった。かつては同仁病院は国の補助で運営されていたが、補助金がカットされその割合は、全体の5%となった。
医療費が高騰し、この10年で4倍に跳ね上がった。その為ディスカウント薬局が流行っている。この費用は数十円と安価である。政府の調査では、病気の人の半数が病院にかかっていない。病院には、どうにも耐えられなくなった時にしか行かないのが普通である。
9歳の子供のレーザー治療の為に、家族で安ホテルに泊まる事になるが、1泊するのに400円かかる。一番安い部屋には暖房もない。子供の眼の治療の為に既に7万円を使った。これは父親が農閑期に出稼ぎで得る収入を含む半年分の収入に近い。治療後の手持ちの現金は帰りの旅費分しかない。
この家族の住む人口2000人の村では医療機関は一つしかなく、聴診器、血圧計、体温計程度しかない。虫垂炎の治療も点滴をするだけ。医療費が高いので都会の病院にはかかれない。この家族の老母は脳梗塞で入院し、それだけの入院で2年分の収入を使った。親戚等から借金をして治療した。
同仁病院は年間180万人受診する。ごく近隣の3つ星ホテルを買収し病院に改装した。VIP診察に力を入れている。診察料は一般外来の20倍の4500円。専属の看護師がつき、4-5人の選りすぐりの医師がつく。勿論待ち時間はない。ブランドバックをもつ親の娘が受診していた。
病院の裏に新しい病棟を増築・拡張しようと計画している。それには住民の立ち退きや建設の申請が必要だ。そこには党、政府の高級幹部専用のVIPルームが作られる予定と。・・・政府関係者が多く受診するこの病院では政府への根回しもスムーズだ。申請書類には、「庶民の要望に応えるために」と書かれている。
9歳の子の親は借金に回っていたが調達できず、受診できなかった。
5年前、農村向けの医療保険制度を作った。殆どの人が加入しているらしいのだが、支払った医療費の領収書の束を持って、払い戻しの手続きに行ってみると、払い戻しは入院医療に対してのみだと担当者は言う。入院しないと適応出来ない設定だ。子供の為にと親戚に借金を申し込むが、大方は断られる。母方の祖母が何とか工面してくれたが、彼女の借金も膨れる一方だ。
政府も危機感を抱いている。今保健医療制度について検討中だ。
同仁病院は全国展開し南京に株式会社南京同仁病院を作った。中国では未だ珍しい民間総合病院だ。公立病院では直接民間病院を経営できないので、会社を設立し投資を募った。
南京の病院は同仁病院の院長の教え子でアメリカで医療経営を勉強してきた。民間病院は政府の許可無く最新の医療機器を設置し医師も増やせる。
さらに公立病院では出来ない新規事業も可能だ。不動産会社も設立し総合開発をしている。富裕層相手の老人ホームや高級住宅で45億円の利益を見込む。貧困層の救済は政府の仕事と。国に頼らない病院経営には効率化とノルマが科せられる。 国が13億の医療を担うのは無理だ、史上経済下の中で、医療現場は 適応しなければならない。「政府の対応は全く不十分で、患者の不利益になる。」と同仁病院院長が話していた。
9歳の子の右目の治療は成功し失明の危機は免れた。医師は定期検査を勧めるが、この家族にとっては厳しいものだった。
今日も同仁病院は朝5時から多くの人が順番待ちをしている。
この番組を見ました。日本以上に拝金主義になっているようで、番組中で取り上げられた家族は気の毒でしたが、日本も期間限定でこういう風にすれば、少しは有り難みがわかるのでは?と感じました。
投稿情報: 元臨床医 | 2008年6 月22日 (日) 14:24
こんにちは。これ、先週みました。
院長が、大企業のやり手社長みたいで、経営のみしか考えていない。本当は、今の病院がかかえる未収金の問題とかは、ここまでしないといけないもんかもしれません。でも、日本人には、できないでしょうね。日本人が優しすぎるのかもしれません。
投稿情報: green leaves | 2008年6 月22日 (日) 15:39
見ました!
未集金の問題や、生活格差の問題など日本もあと少しでここまで来るのかと、思いながら見ました。
同仁病院の院長の発言を聞いていると、アメリカで学んだ医療経済学で病院を運営するとこうなるのかと戦慄を覚えました。
日本でもアメリカ式医療を導入したい経済界の人がいるようですし、未来予想図として放送したのでしょうか。
未集金問題、飛び込み踏み倒し分娩などで、病院の経営が傾いていても、ここまで発想の転換できずにズルズル手をこまねいている日本の現状が、いかにも自分だけ悪者になりたくない日本式ウェットな対応であるかよく分かりました。後手後手になって事態をさらに悪化させているのですね。
それにしても、この時期にこの番組を放送したNHKの意図は、何なのでしょう。
1、日本はまだここまでひどくないでしょう。現状で十分だということを理解してね、今以上は日本が破産するからもう負担できないからね。by財務省
2、日本の医療制度もこれからこうなるよ。社会主義の中国でさえ、体制の不安定化を招いたとしても、医療なんてぜいたく品は皆の分はないんだから。自己負担があがるのは仕方ないし、貧しい人は皆、薬局の売薬で済ますんだから病院にかかれるだけで日本はいいでしょ。文句言わないで我慢してね。by厚生労働省。
3、病院もこういう勝ち組しか、これからは残れないんだよ。税金での補填なんてもう出来ないこといい加減理解してよ。経営者も市町村もいつまでも国を頼りにしないで、さっさと自費診療や前金制にして同仁病院に続いて経営拡大してください。by財務省
という感じなのかな。
私は見ていて対岸の火事とはとても思えなかったです。
でも一般の日本人は、「かわいそうにねぇ。」としか受け取れないのでしょうね。
でもすでに東海地方の産科崩壊地区の唯一の基幹病院に里帰りした妊婦の話では、「外来時間は、朝8時半から4時半までです。外来の受付は、朝6時に玄関が空きますから機械で済ませてください。里帰りは今のところ受け付けていますが36週まで里帰りしないでください」と電話で言われたとのことでした。
自宅から車で1時間半かかるから朝5時前に早起きして爺婆が並んで外来の順番取りをしている日本の産科外来も、中国とあまり変わらないかもと思いました。
投稿情報: 子持ちししゃも | 2008年6 月22日 (日) 21:50