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(投稿:by 僻地の産科医)
6月14日の日本麻酔科学会シンポ!
おもしろそうだったので、是非行きたかったのですけれど、
なんと、記事になっていましたo(^-^)o ..。*♡
5回での連載とのこと。
楽しみにひとつづつ見ていきたいとおもいます(>▽<)!!!
患者との対話を重視するようという意見は分かるのですが、
残念ながら人手もゆとりも足りない医療者にとって、
人柄やなにかでは解決できない問題ではあります。
死因究明制度でシンポ(1)
遺族側「医療者と患者はパートナー」
熊田梨恵
キャリアブレイン 2008/06/16
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16646.html
日本麻酔科学会は6月14日、厚生労働省から13日に発表された死因究明制度の第三次試案を基にした「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」をめぐり、遺族や医療者、弁護士や国会議員などを迎えて市民公開シンポジウム「良質な医療を提供する体制の確立と維持」を横浜市内で開いた。医療者自身も自浄作用を確立すべきという意見や、司法の限界、正当な医療行為に刑事罰はそぐわないとする意見など、それぞれの立場から良質な医療の提供につながる死因究明制度の創設を求めて活発な意見が交わされた。
遺族、弁護士、医療者、国会議員それぞれの主張と、厚労省の担当者による説明、ディスカッションの内容について、きょうから5回連続でお届けする。
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■「事故後も、共に解決に向かうパートナー」
医療の良心を守る市民の会・永井裕之代表
1999年に東京都立広尾病院で起きた消毒薬の誤注射による医療過誤事件で妻の悦子さんを亡くした永井氏は、「医療による安心は、市民が医療安全に取り組んでいる病院を見て、安心を得られるという心の問題」と述べ、安心や安全であるかどうかは医療者側が決めるものではないとした。また、患者が医療者側の説明に十分納得していれば、不慮の死亡事故が発生したとしても遺族は納得すると指摘。「説明を受けて本当に納得している人が、裁判で訴えた例を聞いたことがない」と述べた。「確かに医療は不確実。しかし『医療の不確実性』は、社会や市民常識から逸脱できない。医療に安全はない、と開き直っているのではないか。基本はコミュニケーションをどう徹底するかということ。医療者にはもっと自信を持ってほしい。起きてほしくない事故はあす起こるかもしれない」と、患者との対話を重視するよう訴えた。
また、医療事故後の対応について、事故発生前に受けていた説明と、事故後の説明とに食い違いがあった場合、そこから医療者と患者側との溝が深まると説明。「患者側は真実を知りたいから、仕方なく裁判を起こす」と述べ、真実を知るすべがほかにないために、裁判という手段に訴えるしか患者側にはないとした。永井氏は「突然の死に遭った遺族は『なぜ』と思う。事故であるならば『心から謝ってほしい』『二度と起こさないでほしい』という切ない思いだ。一番重要なのは、最初のボタンを留めること。それは誠意を示すこと」と述べ、事故後の最初の対応が最も重要と主張した。その上で、医療者側は▽ごまかさない▽隠さない▽逃げない―を徹底すべきとし、事故にかかわった医師や看護師などの説明がなければ、被害者側は納得しないとした。
永井氏は「事故が起こっても、患者と医療者は共に解決に向かう」常なるパートナーであるとした。病院内の事故調査でも、患者と医療者が共に取り組むことで、遺族側も納得し、「『本当にありがとう』ということになる」とした。医療安全調の設置については、医療者自身が院内で事故調査をするシステムを同時に整備すべきとした上で、「原因究明と再発防止のために、今こそ設立を望んでいる。小さく生んで、大きく育てていくことが大事。一定期間やった後に見直していくこと」と述べ、早期の実現を求めた。
■「被害者感情を言っておきたい」
東京女子医大病院・患者家族連絡会、平柳利明事務局長
2001年に東京女子医科大学病院で心臓手術を受けた後に死亡した平柳明香(あきか)さんの父親の利明氏は、「空気が読めないと言われてもしょうがないが、被害者感情を話したい。どういうことが被害者感情か、ぜひこういう場で自分のためにも一度は言っておきたい。迷惑かもしれないが聞いていただきたい」と前置きし、事故当日の経緯や思いを語った。
「明香が01年3月5日に亡くなった。宿に緊急コールがあり、祖父と家族8人で、取るものも取りあえずタクシーで向かった。ICUに行くと看護師と医師が出て来て、案外明るい顔でわたしたちに話し掛けてきた。『お父さん、ご家族の皆さん、ご心配掛けましたが、1時間前ほどから容体が良くなってきて、非常に安定しています。ただ、心配なので呼んでしまったので、ご覧ください』と、明香のベッドの方を見ると、医師が7、8人。看護師が相当な人数いる。『あんなに多くの先生と看護師が夜も寝ずに治療してるんですよ。執刀医の先生は2日間ほとんど寝ずに治療している。病室に移れば、お父さんお母さんたちとお話もできるでしょう。(でも)せっかく来たので、先生側からお話もあると思うので、ICUの前でお待ちください』と。ICUの前のソファで待っていた。
時間があったので、荷物が多かったので持って帰ってほしいと、姉に6階の病室に取りに行ってもらった。そうすると(姉が)不思議な顔をしているから、『何かあったのかい』と聞くと、端に呼ぶ。『おまえ、荷物、病棟の看護師さんたちが、ICUの医師や看護師たちの指示ということで、手伝って片付けている。でもどこを片付けていると思う。霊安室だよ』と言う。僕も霊安室という言葉を聞いた時に、さっきの言葉と全くつながらない。
もう一度2人を呼んでほしいと受付に伝えると、さっきの看護師と医師が出て来た。『どうかしましたか』と、また明るい顔で来る。『実は』と、さっきの話をすると、見る見る体が氷のように硬くなっていく。手が震えて顔は真っ青。2人が何を言っているか分からない。いくらもしないうちに奥の方に消えた。『とにかくお待ちください』と。それから1時間ぐらい、何を言っても全く話はない。『お待ちください』とICU の受付で言われるだけ。
1時間ほどしたら違う医師が出て来て、『お父さん、家族の皆さん。いろいろ手を尽くしたのですが、どうしても救命することができない。呼吸器を外したい。装置も外したい。これでよろしいでしょうか。臨終に立ち会っていただきたいので、準備ができましたらお呼びします』。本当に無味乾燥。事務的に話して、帰って行ってしまった。
言葉は悪いが、わたしが思ったのは、こいつはこれでも人間なのかと。うそを言う集団じゃないかと思った。それが女子医大の中にあった「心研(心臓血圧研究所)」という組織の中の一部の人たち。医療者にこんな話をするのは空気が読めないと言われるかもしれないが、今でも2人の医師と看護師は、まだ許せない。これが被害者感情だと、どこかで一回は言っておきたいと思っていた」
また、利明氏は、民事訴訟や刑事告訴をした遺族は「多かれ少なかれ同じような被害を受けている」と述べた。その上で、「わたし自身歯科医でもある。医療事故後の対応を真剣に考えないと、訴訟や刑事事件は減っていかないのでは。(パネリストの厚労省大臣官房参事官の)岡本(浩二)さんが努力しても、(同じく「医療の良心を守る市民の会」の)永井さんが本気で講演しても変わらない。そういうことを真剣に討議してほしい。どうしたらいいか。今、医療界では医療事故についても混乱している。ただ、医師が中心となって直すものであり、他の人は手を出せない。『良い医者である前に良い人間であれ』と恩師によく言われた。わたしたち医療関係者や医師に与えられた命題ではないか。皆さんいかがか」と、会場に呼び掛けた。
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