(投稿:by 僻地の産科医)
妊娠性急性脂肪肝って稀な疾患なんですよね~。
で家中、ひっくり返してみたけれど、山のような文献から
(あ、文献集め趣味です~。日本語に限る)
みつかんなかった。気合が足りないのかもしれません。
で、何年のじゃ~という文献持ってきてみました。
予後が悪いのと、検査データが出ていましたので。
参考になると思います。
【参考ブログ】
産科医療崩壊 産科崩壊地域静岡へ毎日新聞静岡支局が強力アシスト 極めてまれで致死率が高い急性妊娠性脂肪肝で2005年12月25日(日曜日)に搬送された母子死亡事例で遺族が提訴したのを毎日新聞静岡支局が報道 →下田〜沼津は山道で、最短でも車で2時間では難しい難路
天漢日乗 2008-05-30
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/05/20051225_4021.html
産科医療崩壊 産科崩壊地域静岡へ毎日新聞静岡支局が強力アシスト 極めてまれで致死率が高い急性妊娠性脂肪肝(その2)急性妊娠性脂肪肝の症例報告 1977年の段階では世界で70例、日本では5例の報告のみ
天漢日乗 2008-05-31
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/05/2_1977705_16bc.html
産科医療崩壊 産科崩壊地域静岡へ毎日新聞静岡支局が強力アシスト 極めてまれで致死率が高い急性妊娠性脂肪肝(その3)一番近かった3次救急は順天堂大学付属静岡病院だが、受け入れ不能だったので沼津市へ搬送→毎日は「緩慢に進むメタボの脂肪肝」と急激に悪化して命に関わる「急性妊娠性脂肪肝」とを混同している疑い
天漢日乗 2008-05-31
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/05/23_2277.html
日本集中治療医学会 第23回中国四国地方会
平成18年1月21日(土)
演題番号:PC1-4-5 演題名:「急性妊娠性脂肪肝の一例」
http://hypnos.m.ehime-u.ac.jp/icucs23/abstract/No-0000054.html
妊娠性急性脂肪肝の1例
星 和彦 星合 昊 斉藤 晃
和田 裕一 舟木 憲 東岩井久
鮎沢 嘗次郎 及川公也
(産科と婦人科・52年・12号(1569)p101-105)
妊娠に合併する急性黄色肝萎縮症は予後きわめて不良のまれな疾患であり,わが国ではこれまでに約40例の報告がみられるのみである.
妊娠にともなう急性黄色肝萎縮症には急性肝炎の激症型である真性急性黄色肝萎縮症と,産科的急性黄色肝萎縮症といわれるいわゆる妊娠性急性脂肪肝とがある.古今の報告例をみるとそのほとんどが真性急性黄色肝萎縮症であり,妊娠性急性脂肪肝と診断されたものは非常に少なく,わが国では5例,世界でも70例の報告がみられるにすぎないといわれている.
最近われわれは妊娠末期に突然黄疸をきたし,分娩ののち急激な経過をたどって死亡し,その病状,検査成績から急性黄色肝萎縮症が疑われ,病理解剖所見から妊娠性急性脂肪肝と診断し得た症例を経験したので報告する.
症 例
年齢 27才.主婦.
家族歴 特記すべきことなし.
既往歴 特記すべきことなし.
既往妊娠分娩歴 1妊1産
(昭和48年12月に2600gの女児を満期に分娩している.)
現病歴 昭和50年11月27日から3日間を最終月経として妊娠し,分娩予定日は昭和51年9月3日であった.妊娠9ヵ月までは異常なく経過しており,妊娠中毒症,薬物の投与などもなかった.妊娠10カ月に入った頃よりときどき軽度の頭痛と全身倦怠感があったという.昭和51年8月21日(妊娠満38週)に頭痛があり,翌日は頭痛がさらに強くなり,悪心・全身倦怠感・食欲不振・軽度発熱をきたし,岩手県立花巻厚生病院に来院し精査のため入院となった.
入院時所見 体格中等度,意識明瞭,顔色は普通で黄疸はなかった.心拍数は120/分,血圧は136~96mmHg,体温は37.8℃胎児心音は5秒間に13・13・13と整調であった.先進部は児頭,腹部緊迫感はなかった.
その後の経過 鎮痛剤等の使用により頭痛はいく分緩和し,氷枕使用により熱も37.1℃になった.ただし極度の口渇を訴え水分を多量に摂取していた.
8月23日午前2時(入院した日の深夜)に看護婦が見廻ったときは熟睡しており異常は認められなかった.ところが23日午前7時に突然破水し,その直後より2~3分間欠で陣痛が発来した.羊水は混濁著明であり,破水5分後には子宮口は全開大し,胎児心音は5秒間に12・12・12と整調であったが,7時8分には8・8・8と悪化したため母体に酸素吸入を開始した.7時10分に2,700gの女児を自然分娩したが仮死2度のため直ちに蘇生術が施行された.
母親は分娩前後より顔面および胸部に黄色調が認められるようになり,眼球結膜も黄色を呈し間もなく傾眠状態になった.急性肝炎を考えブドウ糖輸液,肝庇護剤,各種ビタミン剤,抗生物質の投与を開始した.
分娩後4時間を経過する頃より胸部苦悶・悪心・嘔吐を訴え不穏状態になった.この時点で急性黄色肝萎縮症を強く疑がい副腎皮質ホルモン剤・強心剤・肝性昏睡予防剤を投与した.しかし黄疸は徐々に増強し全身が黄色となり意識はもうろう状態になり,分娩から11時間たった午後6時25分,胸部苦悶と上腹部痛を訴えたあと突然心停止をきたした.直ちに心マッサージ・人工呼吸・その他の救急蘇生術を施行して30分後に心拍動開始および自発呼吸をみた.しかしその後意識はもどらず,昏睡状態のまま3日間経過し8月26日午後4時11分死亡した.
児は生後2日目まではときどき無呼吸発作をきたしたがその後は順調に経過した.胸部のレントゲン写真で羊水過度吸引症侯群と診断された.
検査所見 入院の際行なったAu抗原の検査は陰性であった.その他の諸検査についても経過を追って表1に示してある.血清トランスアミナーゼは高値を示しているが,それほど著明には上昇していない.血清アルカリフォスファターゼの著明な増加そして血中尿酸量の増加が認あられた.またLDH,黄疸指数,血清ビリルビン値(直接,間接)も著明に上昇している.血中アンモニア量の増加は認められなかった.血清蛋白量は末期になるほど低下しており,血清アルブミンの減少,著明なA/G比の低下が認められた.
血清電解質ではカリウムの増加が認められたがナトリウム,クロールには変化はなかった.尿素窒素は末期に上昇,尿中アセトン・ビリルビンは陰性であった.血液検査では白血球数の著明な増加がみられた.
病理解剖所見 全身の黄疸が著明であり,各臓器の所見は下記の通りである.
1)肝臓は萎縮高度で重量は680gであった.組織学的には肝小葉の中心部に若干の炎症性細胞の浸潤をともなう肝細胞の著明な脂肪化がみとめられた(図1,2).
2)胃大弩部に穿孔が認められたが,これは胃ゾンデを入れたまま長時間心臓マッサージを行なったことによる器械的刺激によると思われた.
3)右肺に気管支肺炎の所見
4)胃粘膜と心内膜に点状出血と出血斑
5)食道下部に潰瘍性食道炎
6)甲状腺に小腺腫
7)胸水が左右胸腔に各々100mlづつ,腹水が500mlみられた.
8)子宮は小児頭大(産褥子宮)
病理診断は産科的急性黄色肝萎縮症(妊娠性急性脂肪肝)であった.
考 察
妊娠にともなう急性黄色肝萎縮症は非常にまれな疾患である.表2はわが国における報告例をまとめたものであるがこれまで約40例の報告がみられる.
この妊娠と合併する急性黄色肝萎縮症には急性肝炎の激症型である真性黄色肝萎縮症(TrueAcute Yellow Atrophy)と産科的急性黄色肝萎縮症(Obstetric Acute Yellow Atrophy)いわゆる妊娠性急性脂肪肝とがある.両者は臨床的にはほとんど区別しがたいが病理学的には全く異なっている.妊娠性急性脂肪肝は1940年Sheehan19)によってはじめて報告されたものであるが,病理学的には肝実質の広範な脂肪変性を主徴としている.わが国の報告例をみると,その病理学的所見や当時の肝炎の流行状態からみてそのほとんどが真性急性黄色肝萎縮症と考えられ,妊娠性急性脂肪肝と診断されたのは5例にすぎない.
本疾患は,妊娠末期(妊娠32~40週)に黄疸とともに悪心,嘔吐,腹痛,頭痛,脱水が発症し,多くは流産(死産)がおこりその後急激な経過をたどって最後には昏睡状態となり分娩後3日以内に大部分が死亡する.
病理組織学的には肝細胞の壊死像や炎症性変化はほとんどみられず,ほぼ肝小葉全域にわたる著明な肝細胞の脂肪化をみる.これは激症肝炎の組織像とは明らかに異なっている.臨床検査所見では一般に血清ビリルビン値,血清アルカリフォスファターゼの著明な上昇が認められるが,トランスアミナーゼの上昇は軽度で通常は500単位以下といわれている.またプロトロビン値の延長,尿素窒素の上昇,尿酸量の増加が認められる.
本疾患の原因としては,妊娠時の蛋白不足や栄養障害,妊娠による卵巣ホルモンの異常分泌あるいは過多分泌,ある種の抗生物質の影響などが考えられているが真因は不明である.
治療法としては,高カロリー炭水化物の投与,各種ビタミン剤,副腎皮質ホルモン剤,水分の投与などが行なわれるが効果は少ないといわれる.
母児の予後はきわめて不良で母児とも死亡することがほとんどであるが,最近Mac Kennaら20}は胎児は死亡したが母体の生命をとりとめた2例について報告している.
われわれの経験した症例は妊娠38週に発症し,不幸にも母体は死亡したが児は救命し得たものである.
ま と め
27才の主婦で妊娠38週に頭痛,悪心,熱発,ロ渇,次いで突然黄疸をきたし,分娩ののち急激な経過をたどって死亡し,その病状・検査所見から急性黄色肝萎縮症が疑われ,病理解剖所見から妊娠性急性脂肪肝と診断し得た症例を経験したので報告した.
2006年に出た英語の詳説があります。
Jamal A Ibdah, World J Gastroenterol (2006);12(46): 7397-7404
Acute fatty liver of pregnancy: An update on pathogenesis and clinical implications
http://www.wjgnet.com/1007-9327/12/7397.asp
これによれば
1) AFLPの頻度は13000分娩につき1例という報告がある。
2) HELLP症候群との鑑別は難しい
3) 原因は不明であるが母体側でなく、胎児の脂質代謝酵素の欠損が関係している可能性が極めて高い。胎児の代謝の異常で発生した有害物質が胎盤から母体内に入り、それが母体内で脂肪肝を引き起こす原因になっているという説が有力
4) 母体側にも遺伝子の関与が示唆されている
ということのようです。1)が正しければ日本で数例というほど稀ではないと思いますが、でも産科医が一生に一回お目にかかれるか否かという頻度であるとは思います。2)については治療はどちらも基本的に妊娠の終了なのであまり意味がありません。3)4)のポイントは遺伝子の疾患であると言うことで、根本的な治療としては遺伝子治療(しかも胎児に対する)しかなく、現在の医療技術では根治は困難であるいうことです。将来的には胎内診断で遺伝子の欠損は調べられるでしょうが、発症の予防については、よほどの技術革新が無い限りほぼ不可能でしょう。しかも母子ともに無事に産まれたとしても、子どもは脂肪の代謝に必要な酵素が無いわけで、母親の体に影響を与えるような強力な有毒物質がどんどん体内で生産されるので、なんとか新生児期を乗り越えたとしても早晩重篤な状態になっていくことが予想されます。
投稿情報: ただの(ry | 2008年5 月31日 (土) 07:24
教科書でしか見たことがない珍しい症例の報告をありがとうございます。
H&Eの写真がわかりにくいですが、脂肪染色でこんなに染まるんですか…。
妊娠性急性脂肪肝は最近も報告されているのですか?報告が途切れているなら薬剤性などの外因性なのかもしれません。あるいは非アルコール性脂肪性肝炎の劇症型なのかな??
話は変わりますが、「胃大弩部に穿孔」という記載が症例報告上でできた古き良き時代の論文ですね。今ならとても書けそうにない…。
投稿情報: 元臨床医 | 2008年5 月31日 (土) 10:52
最近のもありますが、すべて一例報告ですね。一例報告でネットで検索できる中では一番よかったのがこれで。
まとまってるのはせいぜい教科書的なものです。
http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5606-107.pdf
(2)急性妊娠脂肪肝
○1 急性妊娠脂肪肝(AFLP)とは
以前から報告はあったが1940年にSheehan3)が6 例の妊婦の剖検例からobstetric acute yellow atrophy として報告し,疾患概念が確立された.その後,本症では劇症肝炎とは異なり,肝臓に壊死や炎症像がほとんど認められないことからacute fatty liver of pregnancy(AFLP)の名称が用いられている.
AFLP は妊娠後期(平均37週頃)に発症し,妊娠を終了させない限り肝不全となり,母児ともに予後不良となる疾患である.7,000~16,000妊娠に1 例と報告され,HELLP 症候群の120程度の発症頻度である.初産婦に多く,多胎例,男児妊娠例に多く,約半数には妊娠中毒症が合併している.また,次回妊娠では繰り返す可能性は稀である.
○2 病態
組織学的には肝細胞内に微細顆粒状脂肪滴が沈着していることで確定診断されるが,壊死,炎症,線維化は伴わずウイルス性肝炎などとは鑑別できる.成人の肥満などでみられる脂肪肝では,沈着する脂肪の大部分は中性脂肪であるが,AFLP や小児に発症するReye 症候群やテトラサイクリン肝障害では小滴性脂肪肝となり主に遊離脂肪酸が沈着する.
本症の病因は不明のままであるが,近年,電子顕微鏡による検討からAFLP とミトコンドリアの代謝異常との関連が報告されており,脂肪酸のβ 酸化障害やリポ蛋白合成および転送障害が病因として示唆される.また,AFLP を反復した母親から出生した児に脂肪酸のβ 酸化に関与する酵素であるlong-chain3-hydroxyacyl-coenzyme A dehydrogenase(LCHAD)の欠損を認め,Reye 症候群で死亡した報告がある.LCHAD欠損児の両親はヘテロ保因者であることから,胎児染色体のLCHAD 領域の変異と母体のAFLP 発症との関連も示唆されている.いずれにしろ胎児あるいは母体の双方に起こる脂質代謝異常によって発症していると考えられ,その結果,中性脂肪や遊離脂肪酸が肝細胞に沈着するものと思われる.
臨床像により定義されるHELLP 症候群や妊娠中毒症例でも生検により肝細胞に脂肪滴の沈着がみられるが,AFLP の組織像とは異なる点も多い.これらの疾患は,互いに重なり合う部分もあり,肝臓の脂肪滴沈着過程に共通な病態が存在している可能性もある.
○3 診断
妊娠後半期(妊娠26~40週)に多く発症し,食欲不振,易疲労感,嘔気,嘔吐,口渇,頭痛,心窩部痛,上腹部痛などや黄疸が出現する.進行すると低血糖,DIC,消化管出血,膵炎,腎不全などや肝不全を呈する.肝性脳症,ショック,多臓器不全により死亡する.
胎児は母体の代謝性アシドーシスにより,急速に状態が悪化する.
GOT,GPT の上昇(100~1,000 iul ),ビリルビン(直接ビリルビン優位)の上昇,血清アルブミンの減少,クレアチニン,BUN の上昇の他,尿酸は高値となる.白血球増加(20,000~30,000μ l ),血液濃縮によるHt 値の上昇,PT,APTT の延長,フィブリノーゲン,ATⅢの減少がみられる.進行すると低血糖やアンモニア上昇がみられる.血小板減少は軽度であるが,DIC を合併すると著明に減少する.また母児ともに代謝性アシドーシスとなる.膵炎や尿崩症を合併することもある.超音波断層検査やCT 検査で脂肪肝として捉えられる頻度は,それぞれ50%,20~30%とそれほど高くはない.このため画像診断上,脂肪肝の所見がなくても本症を否定はできない4).
肝生検による病理組織診断では,肝小葉構造は保たれており,小葉中心性の肝細胞内に無数の微小胞性の脂肪変性が認められる.一般に壊死や炎症像は軽度である.電顕所見ではミトコンドリアの腫大と変形,滑面小胞体の拡張と減少,肝細胞質内の脂肪滴の沈着などがみられる.
○4 鑑別診断
鑑別疾患を表4 に示す.肝炎ウイルスや薬剤使用の有無をチェックし,ウイルス性肝炎,薬剤性肝炎を鑑別する.妊娠時の肝内胆汁うっ滞は痒感の強い黄疸が特徴で妊娠中期から後期にかけて発症するがアジア人では稀である.AFLP での黄疸は,痒感があまりない.胆石は超音波断層検査などで診断する.
○5 管理 (↓といっても死なない人が出てきた程度の話です~)
早期診断,早期治療により近年,母児の予後は著しく改善されている.治療はHELLP症候群同様早期の児娩出と母体の集中治療である4).肝障害による凝固因子の低下とDICに対する治療は必須である.肝不全に対しては,アルブミン製剤や新鮮凍結血漿の投与,アンモニア産生抑制には特殊組成アミノ酸の輸液,合成二糖類の注腸などを行うが,重症例では血漿交換を行う.
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月31日 (土) 12:19
あ、そうそう病理のは、プリンターの関係でもともと白黒写真です。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月31日 (土) 12:21
だいぶ研究が進んでいたんですね。
一生に一度会うか会わないかという疾患でも、もしかしたら明日遭遇するかもしれないので、よく肝に留めておきます。
投稿情報: 元臨床医 | 2008年5 月31日 (土) 13:45
医中誌だとこんなのが
他科から産婦人科医へのアドバイス 妊娠偶発合併症 妊娠性急性脂肪肝・劇症肝炎(原著論文)
Author:今井深(東京慈恵会医科大学 第1内科), 植松幹雄, 戸島恭一郎, 他
Source:産科と婦人科(0386-9792)59巻増刊 Page379-383(1992.06)
。
投稿情報: デック | 2008年5 月31日 (土) 14:50
他科から産婦人科医へのアドバイス 妊娠偶発合併症 妊娠性急性脂肪肝・劇症肝炎
今井深(東京慈恵会医科大学 第1内科), 植松幹雄, 戸島恭一郎, 他
産科と婦人科(0386-9792)59巻増刊 Page379-383(1992.06)
アブストラクト発見!
1はじめに 妊娠性急性脂肪肝は, 妊娠後期に発生し, 急激に肝不全に陥り, 母児ともに死亡率の高い重症肝疾患である. 1940年にSheehanが, "obstetric acut yellow atrophy"として報告して以来, 注目されている疾患であるが, その後わが国では1968年, 岩田の報告以来, 40例ぐらいにとどまっているきわめて稀な疾患である. 本疾患の原因は, いまだ不明であり, 特に劇症肝炎と妊娠性急性脂肪肝との鑑別は困難で, わずかに妊娠性急性脂肪肝では, 尿素窒素や尿酸の著しい上昇, 血清トランスアミナーゼの増加が中等度にとどまることが多い. この事項だけでは, 歴然たる鑑別はむつかしい. また組織学的に妊娠性急性脂肪肝は, 炎症所見や壊死の程度も軽度で, 細胞形質内に脂肪小球が多数充満しているのが特徴とされている. 次にC型肝炎ウイルス由来の劇症肝炎と本症とを鑑別した報告はない. C型肝炎チェックがやっと軌道にのってきた現在では, C型肝炎ウイルスの関与の否定も重要な課題であろう.
産科と婦人科ならうちにあるかも。
探してみますねo(^-^)o ..。*♡
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月31日 (土) 15:03
>HE所見
>肝細胞の著明な脂肪化がみとめられた
大滴性のsteatosisじゃない、門脈域のみならず肝実質内にも炎症細胞浸潤(好中球かリンパ球かまでは不明だけど、好中球っぽい?)あり……程度しかわかりませ~ん
投稿情報: へのへのもへこ | 2008年6 月 1日 (日) 02:25
ARDSに陥りながらも救命し得た急性妊娠性脂肪肝の一例(原著論文/症例報告/抄録あり)
Author:古俣大(聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター・産科), 安達博, 成智美恵, 松本美奈子, 尾崎智哉, 渋谷伸一, 村越毅, 成瀬寛夫, 鳥居裕一
Source:産婦人科の実際(0558-4728)55巻2号 Page301-305(2006.02)
2006年でも、救命できると一例報告できるレベルなんですね。
ご家族は、救命された報告がある=患者さんを救命できたはず
と思われるようですが、一例報告が許される状況というのは=まだ、まだ救命されるのが珍しいということ。
こういう論文内容以前の「常識」は教科書にもどこにも書いてないことなので、それが誤解の元になっているように思います。
しかも報告しているのが、大学病院レベルの3次施設ですから、この病気は、国内のトップ100の3次周産期施設でも救命できたら僥倖というレベルなのでしょうか。
Jミック・ジャーナル2008年6月号の特集 医療トラブル〜勤務医が身を守るために〜
院長からのアドバイス 土屋了介 国立がんセンター中央病院院長 から引用です。
前略
「日本語同士でも通訳が必要」
(段落の見出し)
一般の人と医療者の間には、もともと認識のズレがあります。同じ言葉を使っていても、多くの場合に解釈が異なっているのです。医療者は,言葉の定義がわかっていて使いますが,一般の人は自分の印象で解釈します。みんな同じ理解だと無意識に信じている日本では、同じ日本語だからわかる、と思っています。ところが、同じ言葉を使っていても、解釈は同じではありません。
後略
特集は、医療メディエーターの特集でした。
投稿情報: 麻酔科医 | 2008年6 月 1日 (日) 07:01
そうそう!一例報告って言うのは、助けられてどーだ!すごいだろ!!!
頑張ったのよっ(>▽<)!!!!
ってレベルなんですよね~。
だって「通常分娩で無事だった一例」なんて論文になりません。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年6 月 1日 (日) 16:48
あー、実は私も1例経験あります。
たまたま肝機能上昇に気付くのが早くて、帝王切開間に合って子供助かって、お母さんもいろいろあったけど結局助かりました。
後輩が1例報告で学会に出したはず。
前の職場が、各科そろっててみんな元気な医者だったからできたのだと思います。
今は多分無理。
…ってことは、救命できずに訴訟になるのね…
投稿情報: suzan | 2008年6 月 2日 (月) 07:53
すでに産科休診となった地方病院産婦人科医です。ちょうど、産科休診になる最後の2ヶ月という頃に、急性妊娠脂肪肝を経験しました。産婦人科医2人で夜中の緊急。ややDIC傾向にはなりましたが早期発見早期娩出でAT-Ⅲ製剤も使用せず、脊椎麻酔のみで運良く乗り切りました。母体搬送してたら悪化していたかも。38週でとにかく悪阻のように顔色が悪く、食欲ないと訴えて来ます。普通に歩いて来ます。肝機能と凝固を素早く検査するしか、早期発見の手だてはないですね。悪くなった症例は、妊娠末期に食べれないとか気持ち悪いとか、訴えて来ているのに、風邪か?とかもうすぐお産だからと採血しないで、見逃している例が多い。患者の訴えや顔色を見逃さないことですね。初産で男児に多いのです。まさにそうでした。
投稿情報: micchi | 2008年9 月27日 (土) 00:03
妊娠38週でした。昨日 帝王切開して 男のこが 低体重 で 産まれましたが 仮死状態でした。 妊娠急性脂肪肝 と 診断されました。 よく わからなく 産科の 看護師さんも よく わからない と 言われ 只今 不安 と 戦っております。
異常な のどの 渇き に 苦しんだ 妊娠後期 でしたが まだ おさまりません。
先生に よって 水分 取りなさい とか 取りすぎないで とか 言われますが、 自分でも どう 対処して よいのか わかりません。
ただ 苦しいのと 赤ちゃんが 無事で いてほしい の は 確かです。
投稿情報: 宮平 しほ | 2008年10 月 5日 (日) 22:34
昨日 4日 に 急性妊娠性脂肪肝 と 診断されました。
赤ちゃんは 低体重で 仮死状態の 様でした。
38 週でした。
今 私は 産科に 移りましたが、 のどの渇きや 吐き気 頭痛 火照り が まだ 続いています。
産科の 看護師さんには 理解して もらえず、 なのですが、 我慢 するしか ないのでしょうか。
母親は C型肝炎 です。自分は AB型Rh- です。四人目 男のこ です。 急に 体重が 減り 尿タンパクは 出てました。 のどの渇きが 異常 でした。 今も 乾きますが 飲んでも 中毒の ように なるので ガーゼを 湿らせて 当てて います。が、 看護師さんには 飲め飲め 言われます。
妊娠 を 終了 させたから もう 大丈夫 なんでしょうか。
痛み止め を うってる間は 気持良く ねむれましたが 今は また 不眠が 始まっています。
看護師さんには 皆 こんなだよ と 言われ 非常に 伝えにくいのです。
どなたか 助けて ください。
投稿情報: 宮平 しほ | 2008年10 月 5日 (日) 23:47
2008.6.1に自然分娩で男の子を出産しました。妊娠後期から肝機能が上がってきて、産後の血液検査でさらに上昇していることがわかり内科に入院しました。
急性妊娠脂肪肝との診断で、三ヶ月後の血液検査ではほぼ正常にもどりました。
半年たち赤ちゃんは今のところ異常はないのですが、なにか検査など受けた方がいいのか心配です。
投稿情報: MIKA | 2009年1 月18日 (日) 23:19
基本的には急性疾患ですので、切り抜けてしまえば大丈夫なんじゃないかと思います。
ただ心配なら、もう半年たっていますし、内科で「以前、そういわれたことがあった」とお話し、エコーと採血をうけてもいいかと思います。
それで大丈夫ならもう大丈夫でしょう。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2009年1 月19日 (月) 10:10