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(投稿:by 僻地の産科医)
本日の医療ニュースですo(^-^)o ..。*♡
常勤医3人態勢に 大船渡病院循環器科
岩手日報 2008年4月24日
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080424_2
昨年7月から循環器科の常勤医不在が続いている大船渡市の県立大船渡病院(八島良幸院長)は、今月から3人の常勤医態勢となった。いずれも岩手医大からの派遣で、今夏からは同病院初となる心臓カテーテル治療などにも取り組む方針だ。大船渡病院は昨年3月まで循環器科に3人の常勤医がいたが、同4月から1人に減員。その医師も同7月に退職し、国の緊急派遣や岩手医大からの応援でしのいでいた。
同病院は循環器科の常勤医が3人となったことで、昨年4月から中止していた入院による専門治療を再開したほか、紹介者に限定していた外来も徐々に拡大していく。7月ごろをめどに1人と交代し、同医大付属循環器医療センターから医師が着任する見通し。狭心症や心筋梗(こう)塞(そく)などの患者に対して、カテーテルを使った心臓の血管内手術などの先進治療を始める予定だ。大船渡病院は、県内に3カ所しかない救命救急センターを併設する。昨年4月以降、同センターに運ばれた心筋梗塞などの急患は、県立釜石病院や気仙沼市立病院などに移送していたが、急患への対応も可能になった。
一方、主要診療科の呼吸器科や神経内科は今も常勤医不在が続いている。今回の医師派遣に関しても岩手医大からは「状況次第で医師を引き揚げることもある」とも告げられているといい、喜んでばかりもいられない。八島院長は「専門医の着任で沿岸南部の拠点病院としての大きな機能が備わる」と期待する一方、「救急センターの維持には医師はまだ足りない。医師確保にさらに取り組みたい」と強調する。
選挙:茂原市長選 市民の声 課題解決に知恵を /千葉
毎日新聞 2008年4月24日
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080424ddlk12010268000c.html
(抜粋)
◇医師不足
内科医不足から内科は予約のみだった公立長生病院が4月から新体制となり、内科の一般外来患者の受診を1年ぶりに再開した。市民からは再三、同病院の救急医療体制確立を望む声が出ている。長生郡市の中核病院として、安心安全な街づくりに欠かせない医療施設。小児科、婦人科の常勤医の確保も大きな課題だ。
常勤医12人体制に/市立根室病院
釧路新聞 2008年4月24日
http://www.news-kushiro.jp/news/20080424/200804243.html
市立根室病院の勤務医として、本州最西端山口県の医療法人に勤務する男性医師(42)の採用が内定した。5月の連休明けにも着任する予定という。この男性医師は外科医で、胃ガンや大腸ガンなどの消化管、肝臓、胆のう、膵臓(すいぞう)疾患の手術などを専門とする日本消化器外科学会認定医などの資格を持つ。
病床数は500床程度 掛川市・袋井市新病院
静岡新聞 2008年4月24日
http://www.shizushin.com/news/local/west/20080424000000000016.htm
掛川市立総合病院と袋井市民病院の統合について話し合う「掛川市・袋井市新病院建設協議会」の第4回会合が23日、袋井市総合センターで開かれた。新病院の医療体制を急性期入院医療に特化させ、病床数を500床程度とする方針を事務局が初めて示した。
事務局案では、急性期入院医療への特化について「限りある医療資源を集中させることで、より高いレベルの医療を両市民に提供できる」と強調し「医療スタッフの魅力向上にもつながる」としている。
これまで両病院で受け入れていた慢性期や療養期の入院については「急性期に特化した病院と介護系施設では、スタッフや施設に求められる要件が異なり非効率的」として、想定しないという。
その一方で、小児医療や周産期医療、循環器系疾患・がん医療の充実を掲げ、病床利用率の向上などにより健全経営を図るとしている。
病床数は、掛川、袋井両病院の平成19年の1日あたりの入院患者数(563人)を基に試算した。慢性期・療養期の患者(100人)を除き、産科や小児科、循環器科の充実による増加分を加味。病床利用率を95%と想定し、「500床程度が適当」とした。
両病院の現在の病床数は掛川が450床、袋井が400床で計850床。事務局案が承認されれば、病床数は約4割削減されることになる。
協議会は今後、事務局案をたたき台に検討を重ね、7月の第6回会合までに最終案をまとめる予定。
硫化水素自殺で考える報道の問題点 WHOの声明に学ぶ自殺報道の在り方
勤務医 開業つれづれ日記 2008/04/24
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-95.html
メイド イン ジャパン家庭
ssd's Diary 2008年4月24日
http://ssd.dyndns.info/Diary/2008/04/post_651.html
自覚
S.Y.’s Blog 2008-04-24
http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20080424
日向市:市立東郷病院、業務委託契約を締結 民間医師が週1回宿直 /宮崎
毎日新聞 2008年4月24日
http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20080424ddlk45040675000c.html
東備地域の救急搬送、受け入れ拒否急増
山陽新聞 2008年4月24日
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/04/24/2008042411202663012.html
東備地域の救急搬送で、岡山市などの病院に受け入れを断られるケースが増えている。5回以上受け入れを拒否されたケースが今年に入り、赤磐市消防本部と備前市と和気町を管轄する東備消防組合管内で既に計4件。全国的に救急医療体制の在り方が問題となる中、岡山市に近接する東備地域でも弱体化が懸念されている。2007年の救急搬送患者は、東備消防組合が2230人、赤磐市消防本部が1563人、瀬戸内市消防本部が1471人、岡山市消防局の吉備中央町分が525人。このうち、6カ所目で受け入れられた例が東備消防組合で1件、5カ所目でようやく受け入れが決まった例が赤磐市消防本部で4件あった。
今年に入り、受け入れ拒否に遭う傾向はさらに顕著になり、5カ所以上で断られた例が東備消防組合、赤磐市消防本部で各2件。いずれも平日の夕方から深夜にかけての出来事。搬送先はいずれも岡山市の大規模病院だった。
東備消防組合で5カ所以上断られたのは05、06年はゼロだっただけに「複数回、受け入れ先を当たるケースが年々増えているようだ」と田口伸也・同組合消防本部警防課主幹。一方、瀬戸内市消防本部、岡山市消防局では、5カ所以上拒否された例は過去に1度もないという。
県施設指導課によると、受け入れ拒否の背景には、救急患者の増加と医師不足がある。県内で1995年には約4万3000人だった搬送患者は2005年には約7万人に増加。04年に導入された卒後臨床研修制度の影響で勤務医が大学病院に引き揚げられるなど、地方では医師不足が深刻化。備前市最大の医療施設である備前病院でも4月から、常勤の外科医が不在となり、救急への影響が懸念されている。
臨床研究倫理指針案 補償義務化に慎重論(日刊)
日刊薬業 2008/04/24
厚生労働省は23日の厚生科学審議会「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会」(座長=金澤一郎・日本学術会議会長)に、倫理指針の改正案を提示した。医薬品・医療機器を使用した介入研究をする場合、研究者が保険に加入するなど被験者への補償措置を講じるよう明記。しかし、多くの委員が、指針に「保険」の一語を加えることや、補償措置を義務化することに抵抗感を示し、「補償は努力目標にすべき」「保険や補償ありきでは研究がすくむ」などと慎重論を唱えた。
新指針は、2009年7月の臨床研究から適用されるが、改正自体は今年7月30日までに行う予定。「保険」と「補償措置」を盛り込むのかどうかが今後の焦点に浮上した。厚労省はこれまでの同委員会で、治験で行われている保険制度を臨床研究にも適用するため、民間保険会社からヒアリングするなどし、保険加入の可能性を探ってきた。それらを踏まえて同日提示した改正案では、医薬品と医療機器を使用する介入研究について、「保険その他の必要な措置を研究計画に記載しなければならない」と明記。ただし、補償措置の内容は、「必ずしも保険加入に基づく金銭の支払いに限られるものではない」とし、有害事象に対する医療の提供などの手段も例示した。これに対し、前原喜彦委員(九州大医学研究院教授)は、「補償の仕組みができるのは望ましいが、すべての臨床研究に義務付ける段階ではない」と主張。藤原康弘委員(国立がんセンター臨床検査部長)も、「民間保険の制度設計ができていない今、指針に補償を入れられると研究がすくみ、誰もがつらい思いをする」と述べた。さらに、「慎重に検討すべき」「表現を和らげるべき」などの意見が相次いだ。
厚労省は補償措置について、「医薬品と医療機器の介入研究のみに限定している。少なくとも治験と同じことをする部分については、治験と同じ補償が受けられないのはおかしい」と、委員に理解を求めた。
倫理指針案 侵襲性ある介入研究の登録義務化(日刊)
日刊薬業 2008/04/24
厚生労働省が提示した倫理指針の改正案では、医薬品・医療機器を使用した侵襲性のある介入研究を行う場合、UMIN、JAPIC、日本医師会の設置する臨床研究の公表を目的としたデータベースのいずれかに、臨床研究の内容を登録するよう義務付ける方針が盛り込まれた。
改正案ではそのほか、軽微な事項の審査については、一部の倫理審査委員による「迅速審査」を可能とする一方で、侵襲性のある介入研究で予期しない重篤な有害事象が起きた場合、対処内容を公表した上で厚生労働相への報告を義務付けるなど、臨床研究の利便性と安全性の双方に配慮した変更も盛り込んだ。また、GCP省令の改正に合わせ、実施医療機関ではない外部の倫理審査委員会を活用できるようにもする。
超重症心身障害児:訪問診療わずか7% 家族介護が半数以上、支援体制の不備浮かぶ
毎日新聞 2008年4月24日
http://mainichi.jp/select/science/news/20080424dde007100089000c.html
人工呼吸器などを使って自宅で療養する「超重症心身障害児」(20歳未満)のうち、医師の訪問診療を受けているのは7%にとどまることが、日本小児科学会倫理委員会の調査で分かった。また半数以上は家族だけで介護しており、重症児の家庭でのケアを支える体制の不十分さが浮かび上がった。東京都で開かれる日本小児科学会で25日、報告される。調査は、重症心身障害児の中でも、脳性まひ、筋ジストロフィーなど日常的な医療対応が必要な超重症児・準超重症児の実態を探ることが目的。宮城、神奈川、大阪など8府県の病院や施設計202カ所を対象とし、160カ所の小児科医師らが回答した。調査結果によると昨年5月現在、人工呼吸器を使ったり、管を胃に入れる栄養補給を受けている20歳未満の超重症児は判明分で1246人で、うち747人が在宅療養だった。
在宅療養での受診状況をみると、約9割の659人が通院しており、自宅で医師の訪問診療を受けていたのは49人(7%)に過ぎなかった。また、在宅での医療ケア担当者を尋ねたところ、訪問看護師が145人(19%)、ヘルパーは92人(12%)にとどまり、家族のみが半数以上と最多だった。具体的な医療ケアの内容は複数回答で、管を使った栄養補給が702人(94%)、たんの吸引が651人(87%)--などとなっている。
調査結果から推定すると、超重症児は全国で約7400人いると考えられるといい、これは成人前の人口1万人当たり3人の割合に相当する。その一方で訪問診療が少ないのは、診療報酬の対価の低さや、患者の居住地域が分散していて訪問の効率が悪いことなどが背景にあるという。倫理委員会委員の杉本健郎びわこ学園理事(小児科)は「小児訪問診療や看護の体制が貧弱な現状では、患者が退院可能になっても、家族は負担が大きすぎて受け入れられない。国は在宅医療の施策を充実させるなどして、こうした課題を解決すべきだ」と話す。
県立須坂病院からの帰り道のこと… /長野
毎日新聞 2008年4月24日
http://mainichi.jp/area/nagano/note/news/20080424ddlk20070038000c.html
県立須坂病院からの帰り道のこと。産科医不足の取材で昨年来、世話になる須坂市内の倉石知恵美さん(43)の自宅にお邪魔した。6児を育てる肝っ玉母さんで産科医確保の署名活動リーダーだ。
「実際に現場の声を聞き、医師の大変さも良く分かった。病院や行政を責めるだけでなく、私たちも意識を変えないと」。倉石さんはこう語り、地元住民と医師不足に関する学習会を続けるという。
市民に失望のみを与えたと思い込んでいたお産休止問題。改めて「母は強し」と感じいった。地域医療を支えようと奔走する須坂の母親たちの奮闘から今後も目が離せない。
増える病院の未収金
キャリアブレイン 2008年4月24日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15735.html
~治療適応範囲の拡大と治療精度の向上でより革新的な放射線治療が可能に~
日経プレスリリース 2008年4月24日
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=187877&lindID=4
「救急搬送に道路整備を」 医師ら調査
河北新報 2008年4月24日
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/04/20080424t73006.htm
東北の関係機関でつくる「地域の医療を支援する道路整備のあり方研究会」が、救急搬送時の患者に道路構造が与える影響を調査した。安全で迅速な救急活動のためにも、道路の整備が必要と結論づけた。座長の折田仁典秋田高専教授は「道路事業見直しについて各地で議論されているが、医療面からも検証し、必要な事業と不必要な事業を取捨選択するべきだ」と主張している。調査は、宮城県村田町のスポーツランドSUGO敷地内と、地形が入り組む岩手県・三陸沿岸の国道45号で、2006年2月から約1年にわたり実施した。SUGOに併設した駐車場での実験では、救急車に見立てた試験車両がカーブを曲がる際に、人体に与える影響を調べた。カーブの半径を50―400メートルの6種類、走行速度を時速30―50キロの3種類に設定した計18のパターンで、乗車した20―60代の男性6人の血圧や脈拍のデータを集めた。
その結果、半径が150メートル未満のカーブを走って横方向への重力が大きくなると、最高血圧の変動量が大きくなる傾向が強かった。救急搬送患者の容体に、悪影響を及ぼす可能性があることが分かった。
釜石、大船渡市など岩手県内12市町村の国道45号での実験では、計13消防署の救急車に衛星利用測位システム(GPS)を設置し、延べ3000回の走行状況を調べた。速度が下がったり、横方向の重力が上がったりするのは峠付近を中心とした複雑な地形に集中し、「地域医療支援の観点から、平面の道路整備が必要」と分析した。
研究会は実験を踏まえた報告として、カーブの半径と時速の関係から「患者の安静輸送が可能な領域」と「搬送患者に悪影響を及ぼす領域」を分類した=グラフ=。研究会は、岩手県内を中心に医師や消防、東北地方整備局三陸国道事務所などで構成。折田教授は「道路は命にかかわっている。道路整備イコール税金の無駄遣いと決め付けず、今回の実験結果を判断材料の一つにしてほしい」と話している。
医療費の抑制政策が医師を、看護師を、病院を日本からなくしていく
日本の論点PLUS 2008年4月24日
鈴木 厚 (川崎市立井田病院地域医療部長)
(1)http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/ron/08/065/r08065BNA1.html
(2)http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/ron/08/065/r08065BNA2.html
医師不足のきっかけとなった新研修医制度
医療の質を上げ、安全性を高めて欲しい。このふたつが医療に対する私たちの切なる願いである。しかしそれ以前のこととして、医師不足によって病院から医師が消え、まともな医療が提供できない異常事態が起きている。
患者の生命に関わる医療現場の混乱はなぜ起きたのか。政府やマスコミは「医療費の論議を医療機関の儲け話」に、「医療事故を医師や看護師の資質の問題」にすりかえてきた。しかし、このような医療の本質を誤魔化す手法がほころび、日本の医療危機が国民生活を直撃しているのである。日本の医療危機は、医学界のお偉方と役人が机上の理論で新研修医制度を作ったこと、さらに政治家と役人が医療費抑制政策を掲げていることが本当の原因である。
数年前まで、医師不足は僻地だけの問題であった。しかしこの数年間で、医師不足は僻地から地方都市へ、地方都市から都市部へと広がってきた。特に小児科医、産婦人科医の不足は深刻で、事実、二〇年前は四割の病院が小児科の看板を掲げていたが、現在では小児科の看板は半減している。さらに病院の産婦人科の看板は、この三年間で半分に激減している。「お産難民」「救急患者のたらい回し」という言葉が都市部でも日常的な言葉になっている。
この医師不足のきっかけを作ったのは、二〇〇四年(平成一六年)に導入された新研修医制度である。新研修医制度で新人医師は研修病院を自由に選択できるようになったことから、自分が卒業した大学病院に残らず、都市部の有名病院で研修するようになった。地方の大学病院は人手不足となり、関連病院に派遣していた医師を引き上げ、そのため関連病院の医師不足を招いた。医師が辞めれば残された医師の過重労働がさらに悪化し、残された医師も耐えきれず病院を辞めるというドミノ式悪循環が生じたのである。
〇七年一一月、東京都北区の東十条病院が医師を確保できずに廃院となった。東十条病院は北区で最も大きな病院で、東京都の災害拠点病院にも指定されていた。このように都市部でも医師不足による廃院が波及している。
死ぬほど働いても感謝されない 「医療の適正化」というまやかし 団塊世代は病気になっても入院できない!? 生産性の低い日本の医療。超高齢社会に向けて「医療崩壊」は必然である 介護従事者の環境改善へ新法案 自・公・民おおむね合意(MF) ●民主党提出法案は取り下げへ 諮問会議 民間議員、「健康コールセンター」解禁を提案 医薬品一括入札、3ブロックで実施へ 今後は、落札価格(値引き率=薬価差)が焦点となる。しかし、卸関係者は「前回から大きな変動はない」と指摘、3回目ともなると値引き率が急激に変化することはないと見られている。医薬品のコスト削減方法は、購入価よりも購入量にシフトしていく。06年の入札では採用を3000品目ほど減らして実施、今回も採用数をさらに絞り込んで、入札する方向だ。 行政訴訟:眼科医保険医登録取り消し、過酷過ぎと処分取り消し--地裁判決 /兵庫 『ノー・フォールト』岡井崇著 医療事故が起こった場合、病院や医師に過失が無くとも、患者や遺族に保障を与える、医師、患者双方にとっての良い制度の導入を願ったものであり、先日も政府がその実現に向かって話し合いを進めたことが報道されていた。昼夜を問わず、患者のために尽力した医師が訴えられる悲劇を、少しでも失くすことができればとの思いを医療従事者がもつのは当然のことであると思う。 医療事故で訴えられるリスクが、医師に診療をためらわせているという現状が、近年の医療崩壊と呼ばれるものの1つの理由なら、『ノー・フォールト』が提起する制度の導入に前向きであってほしい。そして医療事故を起こした医師をつるし上げるような報道や、復帰の医師を狙うストーカー的な取材はやめるべきではないかと思う。少子高齢化を迎えて、後手後手の医療改革が不安だけを煽っている。医療関係者だけではなく是非読んでおきたい本である。
医師不足に対して、診療科の偏在を指摘する声がある。研修医が診療科を選ぶ場合、勤務時間や訴訟問題などから仕事のきつい科が敬遠される。外科系は敬遠され、皮膚科や眼科などを選ぶ医師が多くなっている。そのため、必要とされる診療科の医師の数の供給バランスが崩れたのである。しかしそれ以前の根本的問題として、日本の医師の絶対数が足りないことを忘れてはいけない。
日本は世界第一位の長寿国で、乳児死亡率の低さも世界第一位である。このように世界最高の医療を提供しているが、世界保険機関の発表によると、人口一〇〇〇人あたりの医師数はアメリカが二・五六人、ドイツが三・三七人、フランスが二・七人であるのに、日本は一・九八人で一九二カ国中六三位である。同様に看護師数は二七位であり、日本の医療における人的パワーは極めて低いのである。
現在、医療に対する国民の不満が大きい。しかしこれは医療従事者が怠慢だからではない。人的パワーが少なく、死ぬほど働いても患者が満足できる医療を提供できないからである。現場の医師や看護師は過重労働、責任の重さ、書類の山に押し潰されている。患者さんを助けたいという気持ちから医師や看護師になったのに、感謝のない過重労働と患者からのクレームの多さから逃げだそうとしている。
無為無策の厚労省に、医師不足との現状認識はない。彼らの理屈は「病院の半分が廃院になれば、解雇された医師や看護師が生き残った病院に移動するので、医師不足、看護師不足は生じない」である。〇七年の医師国家試験の合格率は八七・九パーセント(合格者七五三五人)で、前年の九〇・〇パーセント(合格者七七四二人)より低下した。もし厚労省が医師不足を真剣に考えているのならば、合格率を上げるはずである。つまり「国民の健康と生命」など少しも考えていない同省の無策を表している。
厚労省は「医師不足を解消するため」として、「一〇の都道府県の医学部の入学定数を、一〇人ずつ一〇年間にかぎり増員してあげる」と傲慢に言っているが、これは医師不足解決のための発案ではない。医師不足という世間の批判をかわすためのアリバイ的発言にすぎない。
医師不足を解決するには、医学部定員増を即実施することである。英国のブレア前首相は就任時に、医学部の定員を五〇パーセント増員するとの判断を下したが、一人前の医師になるのには入学から一〇年はかかる。一〇年後まで待てないことから短期的解決策が必要となる。そのためには医師の仕事の一部を看護師に譲るべきである。米国では医師と看護師は同等で、資格があれば、看護師でも抗ガン剤を投与し、麻酔をかけることができる。また無駄な会議を減らし、医師に時間的余裕を持たせることである。書類は事務員に任せ、最後に医師が確認すればよい。
次なる解決策として新研修医制度をやめることである。日本では一度法制化された制度を廃止するという発想がないが、間違った制度はすぐにやめるべきである。研修医の二年間の研修義務化は何の役にも立っていない。診療に責任のない研修医は、医学部六年制を八年制にしたにすぎない。かつての研修医は多忙の中で、責任を自覚し腕を磨いていた。しかし現在の研修医は法律に守られ、病院の中で最も働かない医師になっている。
政府は医療費抑制のため患者の負担を増やし、診療報酬の削減を進めている。この医療費抑制策が諸悪の根源である。つまり〇六年六月の医療制度改革は、「医療に質の向上と安全性を求めない」と宣言しているに等しい。さらに「老人殺し」、「病院つぶし」、「地方つぶし」、「医療難民」、「医療従事者過労死」を堂々と法制化したといえる。厚労省は医療の適正化という言葉を頻繁に使うが、彼らが言う医療の適正化を、不適正化という言葉に言い換えればすべてがぴったりである。
政府は情報操作で国民を欺き、マスコミは社会の木鐸の使命を忘れ、経済学者は政府の提灯持ちとなり、何も知らない国民は不満を言う。患者側の不満、医療側の不満、このように日本の医療は不満だらけであるが、その諸悪の根源は医療費抑制政策にある。高齢化が進み、医療が進歩しているのだから、当たり前の治療を維持するだけでも国民医療費は自然増となるはずである。それを抑制すれば、歪みどころか、国民の生命を脅かすことになる。
国と地方を合わせて一〇〇〇兆円の借金があることは承知している。しかし経済政策の失敗、公共事業費や公費の無駄使いで生じた借金を国民医療費に転嫁するのは許せない。また地方自治体も医療の公共性を考えず、医療からの撤退ばかりである。この五年間で二八九施設(五・四パーセント)の自治体病院が廃院となり、日本から五一〇〇のベッドが消滅している。社会的基盤である医療が崩れれば、地域住民は不幸になるだけである。
政府は療養病床三六万床を一五万床に減らすとしている。この政策が団塊の世代の老後を直撃することは疑いない。現在でも療養病床は不足しているのに、団塊の世代が介護や医療を必要とするようになったとき、入院すべきベッドは日本から消えているのである。
私たちの生命を守る医療を、「国民の安全保障」としてとらえるべきである。医療費は個人、保険、税金から支払われているが、いずれにしても私たち国民の財布からである。また国民の財布から出している国家財源の中で、必要としている医療費を最優先させるべきである。患者の自己負担を減らし医療機関を受診しやすくし、診療報酬を上げ医療機関の充実をはかるべきである。老人に負担を求める後期高齢者医療制度などとんでもない制度である。
国民医療費三二兆円はパチンコ産業とほぼ同額で、国民年金(四四兆円)より一二兆円少ない。「国民の生命と健康を守る医療をパチンコ産業と同額」とする医療政策は間違っている。国民の生命を守るため、諸悪の根元である医療費抑制政策を変えるべきである。医療を、私たちの安全保障として死守すべきである。
日本の論点PLUS 2008年4月24日
長谷川敏彦 (日本医科大学教授)
(1)http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/ron/08/065/r08065BNB1.html
(2)http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/ron/08/065/r08065BNB2.html
日刊薬業 2008/04/24
自民・公明・民主の3党は22日、衆院厚生労働委員会の茂木敏充委員長名で、介護従事者の勤務環境の改善に向けた新たな法案を提出する方向でおおむね合意した。新法案は、2009年4月1日までに介護従事者の賃金などの処遇改善の施策について検討し、その結果に基づき必要な措置を講じるとしている。これに伴い民主党は、介護従事者1人当たり賃金を月額2万円引き上げることを柱とする「介護労働者の人材確保に関する特別措置法案」を取り下げる。各党とも党内調整を経た上で、新法案は25日にも衆院を通過し、参院で審議入りすることになる見通しだ。
民主党の提出した介護人材確保法案は、地域や介護サービスの種類別に基準賃金を定め、それを上回る「認定事業所」に介護報酬を3%加算する方針を盛り込んでいた。財源規模は900億円。認定事業所は全体の50%と推計しており、現在約80万人いる常勤の介護職員の半数の人件費に充当すれば、月額2万円の給与引き上げとなる。
介護人材確保法案は9日に衆院厚労委で審議入りしたが、与党や参考人は「財源の裏付けがない」「介護報酬の引き上げが介護労働者の賃金引き上げに確実につながるかどうか疑問」などと反発を強め、法案成立の見通しは立たなかった。ただ、今月スタートした長寿医療制度(後期高齢者医療制度)での混乱などを受け、与党内でも介護従事者の厳しい勤務環境の改善に取り組むべきとの意見が浮上した。
自民党は22日、厚生労働部会(衛藤晟一部会長)を開き、介護人材確保法案について議論したが、議員からは「(民主党の法案を修正するのではなく)自民党として対案を出すべき」「介護労働者という表現は取り消すべき」など反対意見が複数寄せられた。
このため自民党は23日にも厚労部会を開き、22日に出た意見を反映させた「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案」を茂木委員長名で新たに提出することを報告、了承を取り付ける予定。さらに24日の政務調査会、25日の総務会に諮った上で、自民党として了解し、正式に与党と民主党で新法案提出に合意するとのスケジュールを想定している。
Risfax【2008年4月24日】
政府の経済財政諮問会議が23日開かれ、御手洗冨士夫日本経団連会長ら民間議員4人は、健康や生活に関わる「生活直結型産業」の発展に向けて提言を行った。生活直結型産業には、医療・健康支援、保育、介護・生活支援、教育、移動などのサービス分野が該当すると明記。健康支援の観点から、民間企業の「健康コールセンター」設置解禁を求めた。民間議員は、欧米ではトレーニングを受けた看護師らを配置した健康コールセンターを企業が設置。生活習慣病の患者が、看護師の待機するセンターと電話や電子メールで連絡を取り合い、自宅にいながら健康管理のサポートを受けられる仕組みが有用で、「日本でも可能とすべき」とした。実現へは医療行為との線引きが課題になりそうだ。舛添要一厚生労働相は、この提案について「コメディカルの活用ではいろいろなことを考えているところ」と述べるにとどめた。
国病機構 週末に公告、卸再編完了で沖縄を本州ブロックに編入
Risfax【2008年4月24日】
独立行政法人国立病院機構は、今年7月1日から再来年の10年3月31日までの21ヵ月を期間とする医薬品の入札公告を25日にも出す予定だ。約140施設を対象に一括入札する。北海道・東北(1道6県)、九州(7県)の2ブロックに、06年の時に1県独立で入札していた沖縄を、関東信越・東海北陸・近畿・中国四国(1都2府29県)のブロックに組み入れ、計3ブロックとしたことが特徴だ。沖縄の医薬品卸が、全国卸の傘下に収まったため。入札品目は、採用数を削減する方針もあり、前回の7562品目から減る見込み。
全国一本で入札したいというのが国病機構の本音だが、医薬品卸が再編を重ねても、いまだに北海道や九州に地域卸が点在していることから、見送った。今回、沖縄が関東信越などのブロックに含まれたのは、沖縄県にある医薬品卸が全国卸のグループ入りを果たしたことが大きい。メディセオHD=那覇薬品、アルフレッサHD=琉薬、スズケン=沖縄薬品。独立系ではアステムグループのダイコー沖縄があるが、アステム自体が、東邦薬品などと業務提携し「葦の会」を結成しているため、入札の参加資格はある。一方、九州は富田薬品、北海道・東北はモロオなど地方の有力卸が独立して存続していることもあり、地域単位での入札とすることとなった。全国一本の入札は卸再編次第となる。
国病機構による医薬品の一括入札は04年から実施されてきており、今回で3回目となる。矢崎義雄理事長のコスト削減の指示で編み出されたものだが、購入価の削減に大きな効果があり、経営改善にもつながった。国立病院時代と比較すると、最低でも5ポイント程度、値引き率は拡大した。
毎日新聞 2008年4月23日
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20080423ddlk28040418000c.html
診療報酬の不正請求などによる保険医登録取り消し処分は違法として、神戸市東灘区の眼科医、細見雅美さん(45)が兵庫社会保険事務局を相手取り処分の取り消しを求めた行政訴訟の判決が22日、神戸地裁であった。佐藤明裁判長は「処分は過酷過ぎ、妥当性を欠く」として処分を取り消した。厚生労働省によると、「処分が重い」との理由で処分が取り消された例は国内ではないという。
判決によると、細見さんは01年11月、保険医療機関として「ほそみ眼科」を開設した。04年11月に、約68万円の不正不当請求があったなどとして、兵庫社保事務局が保険医登録と保険医療機関の指定を取り消した。5年間は再登録、再指定がされないため、細見さんは医院を閉院した。判決は「不正請求の悪質性はさほど高くないうえ、医院廃業という重大な不利益を受けた。さらに5年間も勤務医としての道も閉ざす保険医登録取り消し処分はあまりに酷だ」とした。
医師が伝える医療の現場
オーマイニュース 2008-04-24
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080417/23587
(中略)
この本を書かれたのは、昭和大学の産婦人科学講座主任教授で医学博士岡井崇さんである。長年、周産期、新生児等の関係医療に携わってこられた医師が伝える現場の状況は、臨場感を持つ。この本の趣旨の大半は、若い次の時代を背負う医師たちへの応援歌となっている。書名の『ノー・フォールト』と同じく、「無過失保障制度」の導入を訴えることであろう。
医療技術の高度化で、以前なら死を覚悟して当然の病気でも、結果によって感謝から憎しみに変わってしまう悲劇は想像に難くない。そうした責任の重い職業であることを考えても、医師がおかれている状況の困難さは推して量るべきである。
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