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(投稿:by 僻地の産科医)
女性医師の就労を支援する委員会設立へ
名古屋逓信病院 原 孝子 (愛知県産婦人科医会報 2007年12月号 No.402 p1-2) ずいぶん前から産婦人科医療の現状について、漠然とした不安や危機感をいだいていました。大学へ医師の増員をお願いに行っても、いつも「人はいない」の一点張り。教授室にかかっているボードを見ても、10人前後の医師を抱えている少数の大病院を除いては、ほとんどが2~3人でがんばっているところばかり。一方、産婦人科医不足、全国あちらこちらの公的病院でお産をやめるとか、産婦人科休診の報道が相次いでいるなかで、いったい自分に何かできるのか、目の前の仕事を一つずつこなすしかないではないかと無力感に襲われながら見て見ぬ振りをしてきました。 愛知県産婦人科医会の成田会長は産婦人科医不足の解決策のひとつとして増えつつある若い女医さんの力が十分に発揮できるように応援をしようと「女性医師の就労を支援する委員会」を立ち上げることを決めました。 平成19年7月現在、愛知県産婦人科医会会員総数811名、女性は約30%の244名。 20代30代に限ると総数225名、約60%の133名が女性です。この若い女性医師たちへの支援が急務といえます。会の発足を前に委員会の事務局では、244名にアンケートを送付し、現在の就労状況や、抱えている問題点などを調査しました。 141名(57.8%)の回答を得た中で、 (1)24時間体制の院内保育所の設置 育児中の女医はそれぞれ異なる状況を抱え、自分のみで道を切り開くしかない立場におかれているという意見もあり、事実、現在まで個人の努力で続けてきた人がほとんどでした。 (1)の院内保育所のある病院では女性医師が辞めていない。(2)のワークシェアリングでは大阪厚生年金病院が個人に応じた労働時間を設定し、子育て中の女性医師が働きやすい職場作りを行ってよい結果を得ています。 アンケートの内容を受けて、委員会では 個人的には、こんなことも感じています。 女性医師自身と配偶者を含む周りの社会が変わる必要があると。 しかし当然のように堂々とこの制度を要求する父親がいったい何人いるでしょう。子どもが病気のときに交代で休みを取る、授業参観に交代で参加する、母親と同じく協力して子育てをする。こういったことが当たり前にできる社会へと変えていかなければならないと思います。少し飛躍するかもしれませんが、最近の打たれ弱い若者を見るにつけ、子育てを母親だけに押し付けてきた「ツケ」が出てきているのではないかと危惧しています。
若い女性医師が多く働いている第一日赤病院の石川薫先生を委員長とし同じく第一日赤病院の安藤智子先生を中心に平成20年の1月に発足することになり、私も微力ながらお手伝いさせていただくことになりました。
(2)時短勤務やワークシェアリングの推進
(3)当直、待機の免除、軽減
(4)男女を問わず、産婦人科医師全体の労働状況の改善
(5)休業後の再研修システム作り
などの要望があがってきています。
(1)女性医師の継続的就労のための支援
(2)育休など、長期休業からの復帰に対する支援
(3)産婦人科全体の労働環境改善への働きかけ
を目的として活動することになりました。一人ひとりの女性医師の直面している問題解決に少しでもお手伝いができたらと思っています。
ひとつの家庭で言えば子育ては母親だけの義務であり、責任であるのでしょうか?小さいころからそのように育てられ、思い込まされて成長してきた母親にとって、子どもを預けて働くことに対して、外からのプレッシャーだけでなく、無意識に自分のに植えつけられた母親としての責任感と闘わなければならないのです。なぜ、同じように父親にはその役割は求められないのでしょうか?
確かに、妊娠、出産、授乳は母親だけしかできません。しかし1~2年のこの時期を過ぎれば、成人するまでの約18~19年は父親も等しく子育てに参加すべきではないてしょうか?最近では、出産前後の育児休暇は父親も取れる制度ができています。
先述した大阪厚生年金病院院長の清野佳紀先生は「子育ては社会の責任」という考え方の下、女性医師が働きやすい職場作りを提案し、実践しておられます。この考え方が社会全体に浸透するように願っています。
会員のみなさまのご協力とご支援をよろしくお願いします。
11月24日(土)・25日(日)の、地域医療研究会 全国大会2007で、
大阪厚生年金病院の清野良紀先生の子育て支援の話を拝聴しました。
1、育児休業期間を3年間設け、その間は全く休業であろうが
週1日であろうが本人が希望する就業時間で正規職員の身分を保証している。
子供が3歳以降も小学校6年生までは週30時間就業すれば正規職員として継続できる。
2、これらの子育て支援の適応は正規職員のみならず、研修医・レジデントなどの
契約医師や週30時間以上就業する全ての臨時職員にも認めている。
3、保育園・病児保育室をはじめとするさまざまな育児環境を改善した。
など他業種では当り前ですが、医者の世界では全くありえなかった
子育て支援を実現し、女医の離職を防ぐ試みを発表されていました。
特に、院内駐車場の最優先確保や、病児保育室(3人まで)といった取り組みや、
『男性医師のみに負担をかけるのではなく、外部からも当直などの
応援を頼みながら、みんなが少しずつ苦痛をわかちあう』
という考え方には大いに頷かされました。
こういった試みが全国に広まれば・・・と思います。
投稿情報: うろうろドクター | 2007年12 月15日 (土) 11:31
男性と女性は違うものだけど、きちんと一緒に仕事をできる環境にしたいですね。
「子供がいるから仕事に就けない」のは、産婦人科医として、一刻も早く改善して欲しいことの一つです。
ついでに。
父子家庭だってあるんだし、女性だけでなく男性でも子供を預けられる、ような社会にしたい、なってもらいたいです。
投稿情報: 桜井純一郎 | 2007年12 月15日 (土) 11:57