(関連目次)→大野事件についての目次
【大野事件、これまでの日程と今後】 第1回公判 1月26日 冒頭陳述
第2回公判 2月23日 検事側証人 近隣の産婦人科医 前立ちの外科医
第3回公判 3月16日 手術室にいた助産師と麻酔科医
第4回公判 4月27日 手術室にいた看護師 院長
第5回公判 5月25日 子宮の病理鑑定をした医師
第6回公判 7月20日 事件の鑑定をした医師
第7回公判 8月31日 加藤医師本人に対する尋問
第8回公判 9月28日 中山雅弘先生(胎盤病理の専門家)
第9回公判 10月26日 岡村州博東北大教授(産婦人科) (←今ココ)
第10回公判11月30日 池ノ上克宮崎大教授(産婦人科)
第11回公判12月21日 樋口範雄東大教授(法学政治学)
(投稿:by 僻地の産科医)
おはようございます(>▽<)!!!!!
昨日、せっかくsuzan先生にエントリーたてていただいたのですけれど、
いじったら編集のところがおかしくなっちゃって。
昨日の速報部分、こちらから!!!!
リンクさせていただきますです!!!
福島県立大野病院事件第9回公判は(速報2) ロハスメディカル
福島県立大野病院事件第9回公判は(速報3) ロハスメディカル
あとは追加です。
のりぽん先生、いつも速報ありがとうございます(>▽<)!!!!!
癒着胎盤の剥離に過失はない――臨床医が証言
検察のいうことは「現場ではやってない」福島県立大野病院事件第9回公判
オーマイニュース 軸丸 靖子 2007-10-27
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071026/16607
福島県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術を受けた女性が死亡し、執刀した加藤克彦医師が業務上過失致死と医師法21条(異常死の届け出)違反に問われている事件の第9回公判が10月26日、福島地裁で開かれた。
弁護側証人尋問の3回目。今回は臨床面から東北大学の岡村州博教授(周産期医学)が出廷、「(癒着がきわめて深い)穿通胎盤であれば術前検査で予測できると思うが、そうでない程度の癒着胎盤では予見は難しい」と、癒着胎盤は予測可能だったとする検察の主張を否定した。
さらに、周産期の臨床30年以上という経験から、「現場では、出血が多くても胎盤を剥離(はくり)し、子宮収縮を促すことによって止血操作をする(止血を目指す)」として、検察の「出血時点で剥離を止め、子宮摘出に切り替えるべきだった」という指摘は、現場では行われていないと主張した。
岡村教授は、加藤医師の逮捕・起訴後に、弁護側の依頼で鑑定書を作成した立場にある。また、加藤医師の起訴以前にも、日本産婦人科学会周産期委員会委員長(当時)の立場から、逮捕を遺憾として、過失の存在そのものを否定する意見書を提出している。
この日の尋問は、おもに加藤医師が行った術前検査の妥当性について。妊娠5週目からのカルテと超音波検査画像から、癒着胎盤はないとした加藤医師の判断について問われた岡村教授は、
「通院中も入院してからも、超音波検査では子宮と胎盤のあいだに黒いすきま(クリアスペース)がはっきり見えており、癒着は確認できない」
「穿通胎盤のような深い癒着があれば、胎盤部分はスイスチーズのように穴が開いて見えるもの。このケースでは組織が均一に存在している。尿中潜血反応があったというが、これは妊婦にはときどき見られることで、これをもって癒着を疑うのは診断の行き過ぎといえる。カラードプラーで血流を見ても、癒着があると言うことはできない」
と、加藤医師の判断は妥当であったと証言。
「加藤医師は周産期医療についてよく勉強しているし、超音波診断の技術は非常に習熟している。カルテの記載からも慎重に患者さんを診ていることが見てとれる。もし癒着を疑わせる所見があったなら、カルテにそう書いていたと思う。(術中の対応についても)私も同じことをやっただろう」
と述べて、加藤医師が産婦人科医として未熟だったとする検察側の指摘を全面的に否定した。
これに対し検察側は、胎盤がはがれなければ子宮摘出に切り替えるべきとする教科書の記載があること、また前回帝王切開創がある場合は、それが子宮前壁であれ後壁であれ癒着胎盤のリスクを想定すべきことを問い詰めたが、岡村教授はこれらについても、
「そういう考え方があることは知っているが、実際に『胎盤がはがれない』という経験は私にはない。胎盤は、はがしてみればほとんどはがれてしまう。教科書に記載があっても一般的とは思わない」
「胎盤が子宮前壁にあれば、前回帝王切開創に胎盤がかかっているリスクが高くなるが、それ以外は通常の前置胎盤と同じと考えてよいのではないか。子宮後壁にある胎盤が前回帝王切開創にかかる率はきわめて少ない。範囲として、まずかかることはない」
と一蹴した。
ただ、岡村教授は日産婦常務理事の立場のほかにも、日産婦宮城地方部会長としてこの事件に批判的な声明を出している。また、加藤医師が所属する福島県立医大産婦人科医局の教授とは先輩・後輩の間柄でもある。検察はこれらに言及し、証言内容の中立性を弱めた。
◇
公判後に会見した平岩敬一弁護士は、「これまで証言に立った産婦人科の臨床医は全員、癒着胎盤であってもすべて、まず胎盤を剥離するとしている。これは、検察が言うような『出血したら途中で胎盤剥離をやめて子宮摘出に切り替える』ことは、臨床現場では行われていないということ」と説明。
「この事件の最大の特徴は、ガーゼの置き忘れや薬の取り違えといった明確な医療ミスがないのに、刑事責任を問われているということにある。医師が『これで止血できるのでは』と期待してやったことでも期待に反することはしばしば起きる。それを『可能性があるならすべきではない』とされ、刑事責任を問われるのでは、誰も何もできなくなってしまうのではないか」
と話した。
次回は11月30日。12月に再び被告人質問が行われ、残った証拠調べのあと、1月に結審の予定。当初予定よりずれ込んだが、求刑、最終弁論を経て、春ごろに1審判決の見込みとなる。
大野病院事件「癒着予想できぬ」
朝日新聞 2007年10月27日
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000000710270003
県立大野病院で04年に女性(当時29)が帝王切開の手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(40)の第9回公判が26日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側の依頼で、術前の診断や手術が妥当かどうかを鑑定した東北大学大学院の岡村州博(くにひろ)教授(周産期医療)が証人として出廷し、「カルテの超音波画像などから、術前に癒着胎盤は予想できない。診断に問題はなかった」と証言した。
胎盤はへその緒がつながっている円盤状の組織で、出産後に自然にはがれるはずの胎盤が子宮に癒着している状態が「癒着胎盤」と呼ばれる。検察側の鑑定医である新潟大学医学部の田中憲一教授(婦人科腫瘍(しゅよう)学)は7月の公判で、同じカルテの超音波画像などから「癒着を予想できる可能性はあった」と述べており、真っ向から反対する証言となった。
裁判の争点の一つは、胎盤を「クーパー」と呼ばれる手術用のハサミではがしたことの是非だが、岡村教授はクーパーの使用については「一般的に、癒着をはがすのに効果的」と説明。胎盤の癒着に気付いた時点ではがすのをやめ、子宮を摘出するべきだったとする検察側の主張には「胎盤をはがすことで子宮が収縮し、止血効果がある」とし、「癒着があっても、胎盤をむしるなどしてはがすことがある」と述べた。診断能力については、加藤被告の書いたカルテを指しながら「慎重に診断している。超音波診断にも習熟している」と証言。術前の準備の一つである輸血用血液の量について「私も同じ量を用意する」と述べ、適切だったとの認識を示した。
検察側は、岡村教授が事件の立件前に県警の鑑定依頼を拒否したことなどから、鑑定書の中立性に疑問を投げかけた。
この日は捜査時の調書について、加藤被告に対する質問もあった。弁護側は調書が無理やり取られたとし、事実と異なる記述があることを指摘。検察側は、被告には弁護側と相談できる時間があったことなどから、自発的な証言だったとした。
大野病院医療事故:はく離の妥当性、専門医が認める--公判で証言 /福島
2007年10月27日 毎日新聞
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20071027ddlk07040395000c.html
◇「私でも同じ処置した」
県立大野病院(大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第9回公判が26日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。周産期医療を専門とする医師が弁護側証人として出廷し、「私の経験では、はく離を最後まで完了してから止血する」と述べ、「胎盤のはく離を中止して子宮摘出に移るべきだった」とする検察側の主張を否定した。
証言したのは、東北大学病院副病院長の岡村州博医師で、はく離のメリットとして「子宮が収縮して止血できる。収縮しない場合でも、(出血部位を)実際に見られるので止血しやすい」と説明した。術前の癒着胎盤の予見可能性については「まずできないと思う」と証言し、弁護側から「先生なら違う処置をしたか」と問われると、「同じようなことをしたと思う」と処置の妥当性を認めた。
加藤被告への尋問も行われ、逮捕前の任意の聴取で過失を認めた点について、「当時の大野病院の事務長から『(遺族への)補償のために(過失を)受け入れてくれ』と言われたので、責任を取らなければいけないと思った」と、本意ではなかったと主張した。
検察側は公判後、岡村医師の証言について「前提としている(医療事故の状況の)資料が不十分な印象がぬぐえない」と疑問を呈した。加藤被告の供述調書については「任意性に問題があるとはまったく思えない」と話した。
大野病院事件公判、「医師、過失ない」鑑定の教授弁護側主張を支持
2007年10月27日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news003.htm
大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われている産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第9回公判が福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側の依頼で鑑定意見書を作成した東北大大学院の岡村州博(くにひろ)教授(周産期医療)が出廷。加藤被告が手術前に子宮と胎盤などを診察した内容について「間違いは何もないと思う」などと証言し、加藤被告に過失はないとの見解を示した。
公判で岡村教授は、亡くなった女性のように子宮と胎盤が癒着している症例(癒着胎盤)を手術前に診断できる可能性について「癒着の程度が非常に強い場合以外は難しい」と証言。診療カルテの記録などから、加藤被告が癒着胎盤を疑い、慎重に診察していたと指摘したうえで、「(子宮内を調べる)超音波診断に習熟している」と述べた。
さらに、手術用ハサミを使い、子宮から胎盤をはがした手術中の行為についても「必要であれば使わざるを得ず、(自分が執刀医でも)同じ処置をしたと思う」と、弁護側の主張を支持した。この日は8月の第7回公判に続き加藤被告への被告人質問も行われた。
福島地検の村上満男次席検事は公判後、岡村教授の鑑定について「前提となる資料が不十分で、慎重に検討したとは思えない」と批判した。
胎盤癒着、予見は無理 大野病院事件、福島地裁公判
河北新報 2007年10月27日
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/10/20071027t63036.htm
福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の第9回公判が26日、福島地裁であった。カルテなどを基に鑑定書を作成した日本産科婦人科学会常務理事の岡村州博・東北大大学院教授が弁護側証人として出廷し、「被告の診察・診断は非常に慎重で間違いは何もない。自分も同じことをしたと思う」と証言した。
岡村教授は「手術前に胎盤と子宮の癒着を予見するのは大変難しく、まずできない」と説明。その上で「胎盤をはがすことで子宮が収縮して止血効果がある」として、手術中に胎盤剥離を続けた加藤被告の判断は適切だったと指摘した。
剥離した際のクーパー(医療用ばさみ)使用についても「自分は同じような状況で使ったことはないが、必要なら使う」と述べた。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術で胎盤と子宮の癒着を確認し、剥離を開始。継続すれば大量出血で死亡することが予見できる状況になっても子宮摘出などをせずに剥離を続け、女性を失血死させた。
手術用はさみ使用”妥当”/大野病院事件公判
2007年10月27日 福島民友ニュース
http://www.minyu-net.com/news/news/1027/news1.html
大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)=大熊町下野上=の第9回公判は26日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、弁護側の証人として妊産婦医療の専門医が証言したほか、被告人質問を行った。専門医は、患者の大量出血の要因と検察が主張する加藤被告のクーパー(手術用はさみ)使用について、妥当だったとの認識を示した。
証言した妊産婦医療の専門医は、これまで1万件以上の出産に立ち会い、帝王切開手術を約2000件執刀。これまで弁護側の鑑定意見書も作成している。
専門医は弁護側尋問で、「がんなど一般的な手術ではく離するとき、クーパーは頻繁に使っているが、自身では癒着胎盤のはく離の際にクーパーを使ったことはない」と証言。しかし、加藤被告が胎盤はく離でクーパーを使ったことについては「『なるほどな』と思った。止血のため使わざるを得ないケースもあると考えられる」と述べ、検察側の「クーパーを胎盤はく離に使用したのは適切ではない」とする主張を否定した。
さらに、専門医は加藤被告が作成した診療記録などから、「女性は以前にも帝王切開による出産をしていたため、加藤被告は癒着胎盤を念頭に細かい診療を行い、手術中は子宮に直接超音波検査機を当てるなど慎重に手術を進めていた。超音波検査の技術は習熟しており、診断が難しいMRI検査なども必要なかった」と述べ、加藤被告の医療行為に過失はなかったと証言した。
専門医は「手術前に癒着胎盤を判断することは大変難しく、自分も同じ医療行為をしたと思う」と述べ、「癒着胎盤は予見できた」とする検察側主張に異論を挟んだ。
次回公判は11月30日午前9時30分から、別の妊産婦医療の専門医が弁護側証人として出廷、手術中の行為の妥当性について証言する。
「処置に間違いなし」 大野病院公判で弁護側鑑定医
福島民報 2007年10月27日
http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20071027/kennai-200710270916520.html
福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野上、産婦人科医加藤克彦被告(40)の第9回公判は26日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。弁護側の依頼で臨床の鑑定意見書を作成した、日本産科婦人科学会常務理事である大学院教授の証人尋問が行われた。教授は加藤被告の一連の処置について「診察、診断に間違いはなかった。自分でも同じことをした」と、過失がなかったとの見解を示した。胎盤はく離を継続したことやクーパー(手術用はさみ)を使用したことについても正当性を認め、弁護側主張に沿った証言をした。一方、検察側は教授が手術中の事実経過の理解が不十分であることや鑑定の公平、中立性に疑問を投げ掛けた。
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