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米国南部で最近の乳児死亡率が増加しているようですが、
その理由が「合衆国政府による福祉予算の削減」と分析されているというのはとても怖いです。日本でも医療費等社会福祉予算の削減は最近のニュースでも伝えられており、とっても怖い傾向だと思うんですけれど!
ではどうぞ!!!
米国南部にみる最近の乳児死亡率の増加
ハワイ大学医学部産婦人科 矢澤珪二郎
(産科と婦人科 2007年 8号 p990-991)
米国南部は,北部の工業に対して,農業を中心とした地域で,その人口は白人と貧困層をなす大多数の黒人に二分される.南部の人種差別は激しい.東洋系人種は白人と黒人のはさまで,あまりにも少数(mainority)で,どちらに入るのかわからないが.まあ白人の仲間として遇されている.米国南部の乳児死亡率は,いままで下降の一途をたどっていたが、最近になり上昇がみられた.
南部でももっとも貧困なミシシッピ州では、乳児死亡率(生後1年までの乳児1,000名につきの死亡数)は2004年には9.7であったが,2005年には11.4に増加した.全米平均は6.9である.この増加はアラバマ,ノースカロライナ,テネシー,ルイジアナ、サウスカロライナ,の南部州においても,ミシシッピ州よりは程度が低いが,増加がみられた.南部諸州の乳児死亡率の原因は,未熟児,低体重児,乳児突然死,などが多く、妊婦に肥満が多く,それに伴って,糖尿病や高血圧も多い.以下,ニューヨークタイムズから引用してみよう.
原因のひとつは合衆国政府による福祉予算の削減である.ブッシュ政権では戦争予算を捻出するために福祉予算は削減されている.その結果,貧困者を対象とするクリニックの時間が減少したり,閉鎖されたりした.貧困な黒人層はクリニックに通う車もなく,あってもガソリンが買えないという.そのクリニックのサービスの範囲が予算縮小に伴ってどんどんせばめられているという.
さらに,もうひとつの原因としてこれら貧困な南部黒人の生活態度がある.南部黒人の妊婦を実際にみると,1O代のころから子どもを産み始め,その後どんどんと産むというパターンである.以下に3人の実例を挙げてみよう.
JB:
22歳,現在3人目の子どもを妊娠2ヵ月.
子どもの一人は先天性奇形を持って生まれ,手術後に死亡.第2子は死産.生活保護.夫はいない.
KA:最初の妊娠は17歳のとき.
現在21歳.2児の母,現在妊娠中.
最初の子どもは呼吸器疾患で急患室を訪れた後に死亡.ボーイフレンドは失業中.
EB:21歳.現在3児の母で,4人目の妊娠は4ヵ月.
最初の妊娠は15歳のときで,母親に打ち明けられず,妊娠8ヵ月で突然腹痛がおこり,そのまま出産した.
このような人口に対して,有効な対策はなかなかとりにくい.
図は南部の白人と黒人の乳児死亡率を示す.人種間の差は歴然としており,南部諸州の貧困と難しさを示す.
Source
New York Times, April 22. 2007.南部諸州で乳児死亡率が増加.人種間の差異は明瞭.貧困,肥満,妊婦ケアの欠如: A report by Erik Eckholm.また,nytimes.com/nationalにも掲載。
ちなみに日本の数字はどうなんでしょう?
投稿情報: あつかふぇ | 2007年8 月 6日 (月) 12:51
今のところ、新生児死亡率などはがんばっています。
でも時間の問題だと思う~。
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/07/post_c491.html
みたいに、集約化で死亡率と有意差が出たという話もありますし。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年8 月 6日 (月) 19:53
オヒサです。
ちゃんと、拝見してますです。
投稿情報: とまと | 2007年8 月 9日 (木) 21:05
おひさですo(^-^)o..。*♡
ありがとう存じます!
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年8 月 9日 (木) 22:23
笑えました。
投稿情報: とまと | 2007年8 月11日 (土) 16:20