(関連目次)→予定日超過妊娠の危険性
過期妊娠についていい文献がないな~と思っていたら、
結構あたりまえすぎると文献ってなかなかでないんですねo(^-^)o ..。*♡
過記妊娠について、助産師さんの教科書から。
また下のほうには新生児学会から抄録を。どうぞ!
表1-⑰と表1-⑱がおすすめです。しっかり見てください。
予定日超過と分娩誘発
(ペリネイタルケア 2006年1月新春号 p79-88)
診断のポイント
1.分娩誘発すべきか?待機すべきか?の判断.
2.41週以降の分娩は八イリスクであり,32~34週の分娩と同じ認識で管理する.
3。陣痛誘発にあたっては十分なインフォームドコンセントを行う.
●予定目超過妊娠は異常か?
予定日超過妊娠は,いわゆる「過期妊娠」と同一用語ではない.日本産科婦人科学会では用語として「予定日超過」は使用せず,妊娠42週以降の過期妊娠と区別するよう指導している1).
しかし実際の臨床では,妊婦にとって予定日の重要性は高く,予定日超過の場合,「このまま陣痛が来ないのでしょうか?」「陣痛促進剤を使うのですか?」「本当に自然陣痛を待っていいのですか?」
「赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になるのが心配です」「胎盤機能が悪くなって赤ちゃんが弱ってしまうのでは?」「1人目も遅れたのですが,何か異常なのでしょうか?」などという妊婦に対し,外来診療において日常的に説明が行われている.医療側からそのリスクを考えると,安易に「大丈夫です」と答えることなく,慎重な判断が求められる.逆に,家族や妊婦本人の要望による「社会的分娩誘発」を簡単に行うわけにもいかない.
雑誌やインターネットなどで容易に情報が得られる現在,よりuptodateな情報を入手した患者からの質問に対し,その説明に苦慮することもしばしばある.予定日超過妊娠の場合,表1-16に示した「いろいろなリスクの可能性がある」=「異常」ではないという説明に賛同が得られないケースに対して待機せず分娩誘発を行う場合,今度は「誘発によるリスクの説明」でさらに苦労する.「予定日を過ぎることは決して異常ではない」という前提で,母体・胎児評価を行う必要がある.統計的には正期産は分娩の約93%を占め,40週以降が約40%,42週以降の過期妊娠は約2%未満である.予定日に出産する確率は約40人に1人である.
医師の母体・胎児評価による判断・管理方針を助産師や看護スタッフが十分理解し,医学的に根拠のある意思統一された対応を行うことがトラブルを防ぐうえで重要である.
●予定日超過妊娠の管理におけるエビデンス
1.予定日超過をいつハイリスク妊娠として線引きするか?
過期産を回避するために分娩誘発するか待機するか,また待機した場合いつからハイリスク妊娠として取り扱うのかは,議論の分かれるところである.
日本産科婦人科学会周産期委員会のアンケート調査によると,分娩誘発は41週以降で68.4%,42週以降で21.1%の施設が行っている.妊娠42週以降まで自然待機する施設はゼロであった2).また,妊娠42週群,41週群と正期産との比較では,帝王切開率,鉗子分娩・吸引分娩率,500g以上の出血の発生率が妊娠41週において有意に高く,妊娠41週を過期妊娠境界群として過期妊娠と同様の厳重な管理が必要であると報告されている3〕.
川原らは,41週を超えると異常分娩の頻度が増加し,42週以降ではさらに上昇することから,41週をハイリスク妊娠として線引きする必要があると報告している4).
内藤らは,妊娠41週では羊水混濁率,帝王切開率,アプガースコア7点以下の頻度,新生児仮死とMAS発生率,巨大児率が高く,妊娠41週以降はハイリスク妊娠と考えている.分娩誘発の有無による周産期予後,新生児予後の差を認めないことから,41週での頸管成熟が認められれば,42週に至らないよう分娩誘発することが有用である(表1-17)5).
スウェーデンでの予定日超過181,524人の検討では,妊娠41週を超えると死産率,新生児死亡率,子宮内発育遅延児(IUGR)での周産期死亡が7~10倍に上昇すると報告されている.羊水量の評価ではAFIが5cm未満で胎児徐脈や羊水混濁との関連を認め6),羊水最大深度2.7cm未満が胎児予後不良例と相関するとの報告がある.
2.分娩待機するか否か?
カナダでの多施設共同研究報告では,予定日超過妊娠3,407名の無作為化対照試験において,分娩誘発群は待機群に比べnon-reassuring fetal statusによる帝王切開および全体の帝王切開が有意に少なく周産期予後に差がないことから,妊娠41週にて分娩誘発すべきと考差ている7〕.
一方で,NIHの研究報告では,分娩誘発群は待機群との間に,人工換気症例,痙撃など新生児の神経学的予後に差を認めなかった.巨大児,合併症妊娠を除外した母集団で41週以降に分娩誘発を行った群と自然陣痛を待った群との比較において,両群ともに周産期死亡率,帝王切開の頻度,遅発一過性徐脈の頻度,新生児の罹病率に有意差を認めなかった.
米国産科婦人科学会(ACOG)では,ローリスク妊娠にかぎり過期産において積極的に分娩誘発した群と待機した群では,新生児予後に差がないことから,誘発の是非についてはどちらでもよいとしている8・9〕.
無作為化対照試験のメタ分析10)では,妊娠41週での分娩誘発は待機群に比較して,周産期予後を悪くすることなく帝王切開を有意に低下させると報告されている.しかしTregerらは妊娠週数の正確な36,160例のローリスク妊娠を検討した結果,妊娠週数の増加とともに遷延分娩,巨大児,羊水混濁,帝王切開が有意に増加し,41週までの分娩誘発がその頻度を低下させるため,それまでに誘発を考慮すべきであると報告している1l).
3.在胎37週以降での週数励の新全児脳症発症
リスクの検討
新生児脳症の発生に関与する因子は多数存在し,一つの因子のみで発症するとは限らない.新生児脳症の約70%は分娩前に起きた何らかの事象の結果である.発症のリスク因子として,IUGR,母体痙撃,母体甲状腺疾患,妊娠中の出血,先天性奇形,妊娠中および周産期の感染症が重要である.また,新生児脳症の発症リスクは在胎39週を1とすると在胎41週で修正3.34倍,42週では修正13.2倍のリスクがあるとされる(表1-18)12・13).
これらのエビデンスから,
①ローリスク妊娠か否か
②頸管熟化があるか否か
③IUGRか否か
④母体合併症の有無
⑤reassuring fetalstatus か否か
⑥羊水過少があるかなどを評価し,「いつまで待つか」「分娩誘発か待機か」を判断する.
●予定日超過妊婦のケアのポイント
予定日超過妊婦のケアについては,大きく5つのポイントがあげられる.
1)医学的評価
①母体評価
・妊娠含佛三症の有無(妊娠高血圧など)
・合併症妊娠の場合,その合併症の病状評価
②胎児評価
・推定体重の推移(IUGR?発育停止?巨大児?)
・羊水ポケットの評価(AFI=5以上あるか)
・BPS(biophysical profile score)
・NST(胎児心拍モニタリング)にてreassuring pattern?
・胎児血流測定,胎盤機能不全評価(母体尿中エストリオール,母体血中胎盤性ラクトーゲン)
2)妊婦自身の精神的ケア・サポート
①母体の不安
・予定日を過ぎていることへの不安(赤ちゃんは大丈夫?)
陣痛が来ないという自責の念
・周囲からのプレッシャー
②バースプランと医学的評価の格差
・妊婦の希望と医学的評価のギャップ
人工的に産まされたくない,自然分娩が何よりも一番という信念
③助産師のかかわり
・助産師と医師の管理方針のギャップをなくす(産婦個別評価)
“自然に生ませたい"という感情的希望と医学的評価のギャップ
3)家族を含めた十分なインフォームドコンセント
なぜ外来受診の頻度が増えるのか?
なぜ待機(自然陣痛発来を待つ)するのか?
なぜ入院管理(頸管熟化・陣痛誘発などの医学的管理)が必要なのか?
・急速遂娩の可能性
3次施設への母体搬送の可能性
4)施設の体制とリスクの評価
・急速遂娩,新生児蘇生を含めた施設の体制(ハードの問題,マンパワーなど)
5)3次施設との連携
・予定日超過をハイリスクと判断し,3次施設へ外来紹介するか?
妊娠継続(待機)と分娩管理については妊娠継続可能か否か,分娩させなければならないかの2つの視点で考える(表1-19).
「なぜ待機か?」「なぜ入院陣痛誘発なのか?」の理由説明においてスタッフ間の考え方にズレがないようにする.医学的評価が正しくなされていても,入院・陣痛誘発剤使用に対しての拒絶反応が根強くあるのも事実である.自然派の助産師の理解を得がたいこともある.とくにバースプランを導入している場合,十分なインフォームドコンセントが重要である.医師サイドの評価・方針を助産師・看護スタッフが十分理解したうえで意思統一し,助産師外来,母親学級,妊婦の個別対応をそれぞれ行う必要がある.
●分娩前管理
1入院管理すべきか? 外来フォロ・すべきか?
外来での母体・胎児評価は,通常の妊婦健診と比べて胎児well-beingの評価をより注意深く行う.予定日を超過した場合,週2~3回の妊婦健診を行い,とくに羊水異常や胎児心拍モニタリングにて異常が疑われた場合,入院管理とする.胎盤機能低下の生化学的評価については賛否両論であるが,院内検査のように迅速かつ簡便に用いることが可能であれば一つの指標になると思われる.まったくのローリスク妊娠であると判断し,胎児評価にてreassuring statusの場合にかぎり外来フォローとする(待機).
分娩管理方法を決定するうえで,内診による頸管熟化の評価も重要である.予定日を超過しそうな頸管熟化不全例に対して,予定日以前からのDHAS製剤の使用,卵膜刺激14)などの併用を行うことが頸管熟化に有用な場合がある.
管理方針の継続か変更かを評価しながら,「いつでも急速遂娩できる体制」の評価も併せて行う.とくに41週以降の分娩管理については,慎重な判断・評価が求められる(図1-23).
●分娩管理
自然陣痛の発来なく分娩管理へ移行した場合,患者からの希望による「社会的適応」と母体・胎児異常を背景とした「医学的適応」の2つを分けて対応しなければならない.両者には頸管熟化・陣痛誘発~分娩までの時間的余裕に差がある.頸管熟化方法,陣痛促進剤そのものに伴うリスクを考慮するだけでなく,予定日超過妊娠の問題点・背景を理解し,いつでも母体・胎児の急変に対応できる分娩管理が要求される.陣痛誘発の禁忌を表1-20に示す.誘発の禁忌は,経膣分娩禁忌と一致する.
1.頸管熟化評価と頸管熟化のない症例への対応方法
内診にてBishopスコア7点以下を頸管熟化不全と診断する.頸管の熟化状況は分娩誘発の成否を左右する重要な因子であり,頸管未成熟例ほど帝王切開率が高い.また,頸管熟化法を行う場合,産婦の不快感・不安に配慮する.熟化方法の適応,禁忌,副作用のチェックを再確認し,胎児徐脈,過強陣痛,贋帯下垂・脱出が発生した際は内診,経膣エコーを用い,原因除去(挿入材料)を行うと共に急速遂娩にて対応する.頸管熟化法施行時には,胎児心抽の連続モニタリングが原則である.表1-21に頸管熟化法とその留意点をあげる.
1)卵膜剥離
局所でのプロスタグランジンやサイトカインにより頸管熟化が促進される.妊娠38週以降,週1-2回の卵膜剥離を行った群は非実施群に比べて1週間以内に有意に陣痛発来があり,オキシトシンなどの
使用頻度が低下したとの報告がある.
破水,母体発熟,新生児感染は増加しないとされているが,内診時の疫痛,出血,不規則な前駆陣痛などマイナートラブルが多く,安易に行わない.
2)経ロプロスタルモン・E2
子宮頸部に対して弛緩作用,体部に対して収縮作用を有する.内服にて1回1錠,1時間ごとで1日6錠まで使用可能である.発熱,嘔吐,下痢の副作用があり,緑内障,喘息,腎障害には禁忌である.内服薬のため調節性に乏しく過強陣痛を招く恐れがあり,常習的に使用されていないのが現状である.
3)DHAS製剤
子宮頸部コラーゲンヘの直接作用,オキシトシン感受性更新作用がある.使用適応は在胎37週以降のBishopスコア4点以下であり,投与前後に胎児心拍モニタリングを必要とする.
4)ラミナリア
頸管成熟,子宮口開大を認めない初産に適応とされる.疾痛,出血,感染を惹起しやすく,最近使用されない傾向にある.
5)ダイラバン,ラミセル
親水性ポリマーであるラミセル,硫酸マグネシウムを含むダイラパンは挿入が容易で,短時間での頸管拡張が期待できる.ラミナリアと同様,痩痛,出血,感染を惹起しやすい.抜去困難症例があり,注意を要する.
6)メトロイリンテル
いわゆるバルーンによる頸管拡張・熟化である.最近ではラテックスアレルギーでも使用できるシリコンゴム製のミニメトロ(ソフトメディカル社製)がある.牽引は禁忌であり,自然脱出を待つ.疾痛,出血,感染,過強陣痛,胎児徐脈を惹起する可能性がある.胎児位置異常,膀帯下垂・脱出を起こすことがあり,その使用にあたって胎兄心拍モニタリングは必須である.
7)人工破膜
子宮口開大6cm以上,児頭が固定し,膀帯下垂がない場合に効果的であり,分娩進行をスムーズにする.児頭が固定していない場合,麟帯下垂,脱出を起こすことがあり早いタイミングでの人工破膜は要注意である.上行性感染,絨毛膜羊膜炎の可能性がある.
羊水混濁などの羊水情報が得られる利点があり,分娩遷延の場合の人工破膜は分娩管理のうえで重要である.
ラミナリア,ダイラパン,ラミセル抜去困難時には,無理して抜去せず,自然脱出を待つ.感染徴候が出現した場合は陣痛促進を行う.突然の悪寒,母体発熱,胎児頻拍症が認められた場合は,子宮内感染の可能性があり,抗生物質の点滴を行い,分娩進行状況によっては帝王切開へ変更する.
2.点滴製剤による分娩・陣痛誘発
分娩誘発が成功する可能性の高い頸管状況は,子宮膣部が軟,子宮口2cm以上開大,展退度80%以上,子宮口位置が中央~前方,児頭下降度Sp.一1以下とされる.
点滴製剤の使用条件として,
①インフュージョンポンプによる必要量の正確な投与,
②胎児心拍陣痛モニターの連続観察,
③定期的な産婦の観察,
④異常な主訴への迅速な対応,
⑤内診による分娩進行評価(フリードマン曲線のチェック)
⑥効能書どおりの薬剤投与方法があげられる.
この1つでも満たさない場合,点滴製剤による分娩・陣痛誘発は行うべきでない.過強陣痛時には点滴スピードを減量,あるいは中止し,胎児徐脈出現時にはすぐに点滴を中止し,オキシトシンを含まない点滴へ変更する.また,母体への酸素投与を行うと共に,緊急回避手技として子宮収縮をなるだけ弱めるために塩酸リトドリン点滴を短時間行うことが有用な場合がある.内診評価を行い,経膣分娩が可能であれば急速遂娩を,頸管開大不艮であれば帝切,切迫子宮破裂徴候があれば緊急帝切とする.
1)オキシトシン
日本産科婦人科学会のガイドラインでは1~3mIU/分から開始し,20分から40分ごとに1~2mIU/分で増量する.安全限界は20mIU/分と定められている.子宮収縮作用はあるが頸管熟化作用はないため,あらかじめ頸管熟化を図ってから慎重投与とする.
副作用として過強陣痛,過強陣痛に伴う子宮破裂,胎児ジストレス,抗利尿作用による水中毒,血圧上昇がある.妊娠高血圧・心疾患合併妊娠などでの使用は注意を要する.
2)プロスタグランジンF2α
0.5~2μg/分から開始し,20分から40分ごとに1~2μg/分ずつ増量し,最大投与量は25μg/分である.副作用はオキシトシンと同様に,過強陣痛,過強陣痛に伴う子宮破裂,胎児ジス/レスであり・悪心・嘔吐,下痢などの消化器症状を呈しやすい.喘息・緑内障患者には禁忌である.
最近の知見 予定日超過妊娠
パースプランの導入によりこれまでの安心・安全。快適性に加えて、選択的・希望という妊婦のイメージしたとおりの分娩が求められる。医学的根拠に基づく分娩誘発・陣痛促進・帝王切開を行っていたにもかかわらずそのイメージどおりの分娩を満たさなかったといいうことが慰謝料の対象に発展することもある。バースプランを導入した場合,言葉だけでなく文章化した十分なインフォームドコンセントを行うことが必須と考えられる.
臨床心理的にはサブリミナル効果,つまり「去り際の一蓄が印象強く残りやすい」ことがトラブルになりやすいとされる。たとえぱ.分娩窒からの去り際に噌然に産めたかもね」「何で自然陣痛こないのかなぁ」「赤ちゃんにストレスが……」などスタッフの一言ですべてが台無しになることが多い。やり直しがきかないという点で、分娩は冠婚葬祭と同じセレモニーである。すべてのことが滞りなく進行し,その週程で発生した手順の聞違い,ポタンの掛け違いによって一生忘れられない.取り返しのつかないものになってしまう、「結果よければすべてよし」ではなく,その週程(プロセス)が肝心であるたとえ社会的適応での帝王切開・分娩誘発であっても子宮破裂。血栓症羊水塞栓.胎盤早期剥離などのリスクは変わらない。予定日超過が問題ではなく・母体・胎児評価をしっかりと行うとが重要である.とくに41週を遇ぎた分娩は,34週前後の早産の取り扱いに準じて行うべきとされる。母体ー胎児―新生児の救急救命体制が整っていない場合、母体搬送、3次施設への紹介を躊躇せず行うことが重要である。
予定日超過妊娠の周産期成績の検討
聖路加国際病院産婦人科
○渡辺浩二,栗下昌弘,塩田恭子,佐藤孝道
(日本新生児学会 Vol.38 No.2 2002-6 p269)
【目的】
妊娠42週以降の過期妊娠では正期産と比べ,周産期死亡率や分娩異常が有意に増加するといわれている.しかし,過期妊娠以前の予定日超過妊娠における周産期のリスクに関する報告は少ない.今回我々は過期妊娠予備群としての予定日超過妊娠の周産期リスクについて分析した.
【方法】
2000年10月から2001年9月までの1年間に分娩した正期産の初産婦454人を対象とした.ただし,多胎妊娠,骨盤位,予定帝王切開,当院16週以降初診,外国人症例は除いた.対象を37週0日から39週6日の正期産群:A群(224例),妊娠40週0日から40週6日の予定日超過群:B群(140例),妊娠41週O日から41週6日の過期妊娠予備群:C群(90例)の3群に分類した.この3群について,母体背景として母体年齢,妊娠前体重,母体肥満度(妊娠前Body mass index:BMI),妊娠合併症(妊娠中一雌症,妊娠糖尿病)の頻度を,周産期成絨として,分娩所要時間,分娩時異常出血(500g以上の分娩時出血),分娩誘発,前期破水の頻度,入院時羊水量(Amniotic fluid index:AFI),分娩時羊水混濁の頻度,分娩様式,児体重,Apgar score,NICU収容率を比較検討した.
【成績】
C群はA郡に比べ母体の妊娠前体重が有意に重く(53.0kg:50.4kg.p<O.05),BMI値も有意に高い結果が得られた(20.6:199,p<O.05).B群,C群はA群に比べ分娩時異常出血例(A:7.0%,B:15.4%,C:20.3%),分娩時羊水混湖(A:9.3%,B:25.7%,C12.9%),吸引分娩(A:8-0%,B:2α7%,C:139%)の頻度が有意に高かったが,B群とC群間には差はなかった.これは予定日超過妊娠ではそれ以前の正期産と比較して,経膣分娩においてもリスクがあることを示峻している.また,C群はA群,B郡に比べ帝王切開の頻度(A:10.3%,B:7.1%,C:17.8%)が有意に高い結果となった.C群はA郡に比べHFDの頻度が有意に高かったが,LFD,Apgar score,NICU収容率に関しては3群間に差は認めなかった.
【結論】
予定日超過妊娠では周産期のリスクが増す.特に41週はハイリスク妊娠として取り扱うべきである.
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