(関連記事→) 医療訴訟の現状 目次
臨床婦人科産科 2007年03月発行(Vol.61 No.3)
今月の臨床 周産期医療の崩壊を防ごう
http://www.igaku-shoin.co.jp/prd/00146/0014633.html
興味ある記事から、ぼちぼちあげていこうとおもいます..。*♡
(もちろん全文ではありません)本屋さんで見かけたら買ってあげてください。表のあるあたりを中心とした抜粋です。ではでは。いってみましょう..。*♡
周産期医療をめぐる訴訟の現状
(臨婦産61巻3号・2007年3月 259-263)
川端 正清
はじめに(略)
裁判所における医事関係訴訟の現状
1.処理状況および平均審理期間
平成17年においては、新受999件、既済1062件、未決2086件、平均審理期間は26.9ヵ月である。審理期間は徐々に短くなってきており、それに伴い未済件数の増加もやっと止まった。
2.終局区分別件数およにその割合(図1)
平成17年の医療関係訴訟1062件の終局区分では、和解が約半数で、判決まで至ったものは37.7%(400件)である。
3.認容率
平成17年に原告の訴えが認められた認容率は37.8%であり、ほぼ10年40%前後である。
4.診療科目別新受件数
平成17年における新受件数を診療科別にみると、内科265件、外科257件、産婦人科118件(11.4%)、整形・形成97件である。産婦人科医が全体の5%に満たないことを考えると、訴訟件数の多いことがわかる。さらに訴訟件数の約10倍の紛争が起きていると推測される。
医療過誤と訴訟
1.刑事訴訟
業務上過失致死傷を問うもので、近年、患者側からの提訴により、医療事故が刑事事件となることが多くなってきている。しかし、実際に立件されているのはその一部である(図2)。
2.民事訴訟
医療過誤によって患者側が被った被害を賠償請求するもので、産科においては訴訟頻度の高さと,新生児脳性麻痺など賠償額の高騰により、医師賠償責任保険の破綻が心配される。
3.行政処分
厚生労働大臣の諮問機関である医道審議会が医師として不適切な行動を行った医師について審査を行い、免許剥奪や業務停止などの処分を行う。平成18年には、処分件数58件のうち、医療による業務上過失致死傷で19件が処分された。全科的に、処分は徐々に厳しくなる傾向にある。
医療過誤訴訟増加の原因(略)
裁判における争点と対策(表1)(略)
疾患別訴訟
主な産科における訴訟の現状を、判例タイムズ、判例時報、報道などから得た情報からまとめた。(表2) 羊水塞栓症では、予見不能、救命困難として無責となることが多いが、解剖や血中コプロポルフィリンなどによる証明が望ましい。
陣痛促進剤の使用においては、「陣痛促進剤使用上の留意点」にしたがった適正使用が臨まれる。
(http://www.pref.kagawa.jp/yakumukansen/yakujinotice/list03/026_180620.pdf
注:上記HPアドレスは僻地の産科医)
日本産婦人科医会平成16・17年偶発事例報告より
日本産婦人科医会では、平成16年から偶発事例報告制度を開始した。事例報告書の提出があったのは、平成16年116例、平成17年161例であり、これらについては内容までの検討を行った。平成17年では報告書がなかったものまで含めると、件数報告は298件であった。
1.日本産婦人科医会全国支部報告状況
平成17年偶発事例報告状況を図3に示した。8支部で100%の施設から報告を得た。
報告を提出した施設での分娩総数は536582とわが国の約半数に達した。
また、報告率は61.1%。報告例数は298件であった(表3)。
2.妊産婦死亡報告
平成16年9件、平成17年13件、併せて22件の報告があった(表4)。
5件(22.7%)で紛争が起こり、13例(59.1%)で不明であり、今後注意を要する。
平成16年30件、平成17年32件、併せて62件の報告があった(表5)。
23件(37.1%)で紛争が起こっている。
平成16年12件、平成17年18件、併せて30件の報告があった(表6)。
22件(73.3%)で紛争が起こり、8例(26.7%)で不明である。ほかと比較しても、圧倒的に訴訟となるリスクが高く、不明も今後訴訟へと発展する可能性もある。紛争「なし」と報告した施設はなかった。
分娩が原因であるCPは10~20%といわれており、100%報告が未だなされていないことを考慮に入れても、この訴訟率の高さは異常であろう。
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