(関連目次)→今月の産婦人科医報..。*♡
日本産婦人科医会報6月号より!
今月は支部からの声がおやすみでしたo(^-^)o ..。*♡
ざんねんです。でも医事紛争シリーズが興味深かったです!
「医療と医業」シリーズも神奈川県の産科医療施設についての報告です。http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/TAISAKU/kaihou/H19/H19-06.htm
こちらからご覧下さいませ。一区まるまる産科施設がなくなってしまったり、注目の地域です。
では、医事紛争シリーズより!p8です!
助産所助産師の妊婦に対する指示につき過失が認定された事例
Y地裁H13・4・26
(日本産婦人科医会報 2007年6月号 p8)
「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」の制定により、本年4月より助産所の嘱託医師は産科または産婦人科の医師とすること、及び嘱託医師による対応が困難な場合のため連携医療機関を確保することとされた。事例は、助産所において助産師が外回転後、胎児仮死となり、病院で帝切による急速遂娩がなされるも、脳性麻癖を後遺し、助産師の妊婦への指示が不適切であった過失が認定されたもので、その賠償認定額は約1億1千3百万円であった。
〔事例〕
妊婦X1は、胎児X2の骨盤位を矯正するために、助産師Yから外回転術を3回(日は異なる)にわたり助産所で受けた。X1は、外回転術施行後帰宅、術後3時間で性器出血が発現し、Yに対し電話指示を求めたところ、Yから「腹帯を緩め、何かあったら連絡するよう」指示を受けた。翌日X1は、腹部痛も出現したため、A病院において診察を受けたところ、常位胎盤早期剥離と診察され、直ちに、帝王切開術によりX2を娩出したが、X2は新生児仮死の状態で、結局、脳障害(CP)等を後遺した。X1らは、Yに対し、不法行為による損害賠償を求め提訴した。
争点は、
①外回転術後の性器出血の発現に際し適切な指示をしなかった過失
②外回転術の前後に必要な検査を行わず、母体が痛みを感ずるような方法で外回転術を行った過失
③外回転術の施行前にその危険性を説明しなかった過失
④CPとの因果関係の有無である。
〔判決の要旨〕
本判決は、Yは、X1に対し、外回転術の終了後もし性器出血、腹痛等の症状が生じた場合、胎盤早期剥離等に対処し得る病院で診療を受けるよう指示すべき注意義務があったと判示した。さらに、常位胎盤早期剥離の発症と外回転術との相当因果関係の存在を認め、Xらの請求をほぼ全額認容した。
〔外回転術に関するコメント〕
副作用として、早産を誘発、さらに、臍帯異常による胎児仮死、常位胎盤早期剥離等が発生して緊急帝切に移行する危険性があり、分娩開始前の妊娠37週以後(裁判官の判断であるが異論も多い)に妊婦を入院させて実施することが一般的であり、
①外回転術に熟練した医師が行うこと
②超音波断層法を用いて、胎児・胎盤の位置及び胎児心拍数の変動を十分観察しながら行うこと
③合併症を熟知していること
④緊急帝切ができること、が求められる。
そして、妊婦と家族に外回転術を施行するメリット・デメリット、施行後の注意などの説明と同意が求められる。
助産師による外回転術は保助看法に抵触する。
本件は、助産師の妊婦に対する指示につき過失が認められた事案である。嘱託医は関与していない。今後、このような事例に関して嘱託医への関与(指示)の要請もあり得る。助産所における助産師は『助産所業務ガイドライン(平成16年日本助産師会発行)』の「分娩対象者は
①継続管理され正常に経過
②単胎で経膣分娩可能
③妊娠中、嘱託医療機関で2回以上の診察を受ける
④助産師が正常分娩可能と判断、の全てを満たす」
を遵守し、骨盤位の分娩を扱ってはならない。助産所は妊娠・分娩経過が正常から逸脱した場合は、時期を失することなく、嘱託医療機関または、搬送医療機関に搬送する。
時期を失した搬送による児の不利益は、搬送義務違反として助産所がその責を負う。
助産所との契約の際に留意する必要がある。
はじめまして。haccaと申します。
琴子ちゃんのお母さんのブログにて記事にして頂いた者です。
私は自宅分娩にておそらく常位胎盤早期剥離を起こし、子供は重度仮死、そのまま亡くなりました。
ここの記事に載せられている「時期を失した搬送による児の不利益は、搬送義務違反」にこの助産師の対応は当たりませんか。
何故子供は亡くなったのかにも全く話は及びませんし、助産師の責任にも話は及びません。このまま終わりにされてしまいます。是非お考えをお聞かせ下さい。
投稿情報: hacca | 2010年2 月 1日 (月) 09:28
haccaさん、琴母さんのブログでコメントさせていただいているsuzanです。
こちらのブログにも、ときどき記事を書かせていただいています。
(最近さぼってますが)(汗)
haccaさんのケースに関して違反かどうかは、私も僻地の産科医先生も、コメントできる立場にはありません。
どうぞ、弁護士さんに相談なさって調べてもらってください。
意地悪とか身内のかばいあいではありません。
直接に事情を知らない立場の人間は、何も言うことができないのです。
琴母さんも、「このまま終わりにしたくない」という気持ちから
琴子ちゃんに関しての裁判をする選択をなさいました。
haccaさんも、そういうお気持ちならば
裁判を起こすことを前提に弁護士さんに相談なさるべきでは?
投稿情報: suzan | 2010年2 月 2日 (火) 12:48
SUZANさん、こんにちは。琴子ちゃんのブログで記事にして頂いた折、コメントを頂きまして有難うございました。この場をお借りして・・・。
そうですね、相手の過失を問うならば弁護士さんに相談すべきですね。でもそれに至るまでの私自身の思い切りというのでしょうか。
当事者といえるつれあいは、助産師という職業ではあれ以上を望めないもんなんだと思っているようなのです。不服を持つのは筋違いだと言っているのです。「力不足」じゃなく「怠慢による過失だ」という自分の思いからしてぐらつくのです。直接に関わりのない方々に意見を求めるのは確かに無理があるのですが、「いくら医師ではないとはいえ、何か変ねでやり過ごすような今回の助産処置はあまりにも不適当だ」という誰かからの後押しが欲しいというのが正直なところです。
投稿情報: hacca | 2010年2 月 5日 (金) 09:27
あなたの赤ちゃんのことです。
あなたが判断すべきです。
弁護士さんの相談して調べてもらった結果、
「不当ではない」から裁判にならない、と言われるかもしれません。
もし裁判になったとしても
あなたさまの主張が認められないかも知れません。
もし「不当だ」と認められても、赤ちゃんは生き返りません。
周囲とのまさつも大きいはずです。
お金も時間もかかります。
そういう意味では、だんなさまの言うことが正しいと思います。
琴母さんも、周囲の方々にそう言われたことがあるはずです。
それでも納得できなかったので
法律的な相談をする決心をなさったのです。
あなたさまのお話を聞かせていただいて
「気の毒に」とは誰でも思うはずですが
「あまりにも不当」かどうかは
その場にいなかった医療者には判断ができません。
赤ちゃんが搬送された先のドクターも「判断できない」とおっしゃったはずです。
あまりにも不当、かどうかも含めて
あなたさまご自身が判断なさるべきと考えます。
誰かに後押しされないなら前に進む気持ちになれないのなら
そのまま、何もしないで
自宅分娩でも幸いなことに無事に生まれて育っている上のお子様がたと
静かに生活なさることをお勧めします。
投稿情報: suzan | 2010年2 月 7日 (日) 10:09