下記に参考文献を挙げていきますが、日本の脳性麻痺訴訟の大部分が不当です。
(関連文献→)脳性麻痺 目次
なぜなら、分娩の形態によって脳性麻痺がほとんど減らないことがアメリカの大規模スタディによって確認されているからです。
分娩が経膣分娩か、帝王切開かによって減る脳性麻痺が10-15%しか認められなかった。つまり、全例帝王切開にしても期待されるほど脳性麻痺は減らないのです。
減らないものを、産婦人科医にどうせよと裁判所はおっしゃるのか!
基本的に現在の裁判所はかなりムチャをおっしゃっています。
私たちは神ではありません。
分娩の形態についても手持ちの策はせいぜい帝王切開にするか、鉗子分娩にするか、吸引分娩にするか。誘発をかけてなんとか陣痛が強くなるように願うか!それだけしか手段は持ち合わせていない。
母児ともにリスクも痛みももたない分娩なんて持ち合わせていない。
それらを組み合わせてなんとかしているというのに、何を高望みしているのかわかりません!
産婦人科医について『無過失であっても訴訟が多い』ってぴったりです!!
それから。産婦人科開業医および病院勤務のみなさまにお願いです。
かならず臍帯血ガスは残しておいてください。
それから、これ買ってください。全員強制です。
「 脳性麻痺と新生児脳症 最新の病因・病態 」
http://7andy.yahoo.co.jp/books/search_result?kword_in=&kword_out=&title=%C7%BE%C0%AD%CB%E3%E1%E3%A4%C8%BF%B7%C0%B8%BB%F9%C7%BE%BE%C9&info=&writer=&publisher=&code=&ctgy=&publish_sy=&publish_sm=&publish_ey=&publish_em=&sort=0&disp=0&extract=0&oop=on&x=0&y=0
ACOGのTask Forceが米国小児科学会(AAP)と共著で 3年がかりで調査したものの翻訳版。
何故か。訴訟になったときに役立ちます。
臍帯血ガスについての理由は下記をみれば明らかですので。証拠になります。
脳性麻痺の原因としての分娩中の急性低酸素症の診断基準
【米国産婦人科学会、米国小児科学会、2003】
1.1:基本的診断基準(4 項目すべて必要)
1.臍帯動脈血中に代謝性アシドーシスの所見が認められること(pH<7 かつ不足塩基量≧12mmol/l)
2.34週以降の出生早期にみられる中等ないし重症の新生児脳症
3.痙性四肢麻痺型およびジスキネジア型脳症
4.外傷,凝固系異常,感染,遺伝的疾患などの病因が除外されること
脳性麻痺の内、分娩が原因である頻度は15%前後と考えられており、
米国産婦人科学会と米国小児科学会は2003年「脳性麻痺の原因として
の分娩中の急性低酸素症の診断基準」を示した。
一方、我が国の脳性麻痺訴訟においては分娩が原因であり医師の過失を指摘する判決が 約80%であるといわれ、その高額損害賠償額と共に重大な問題である。
日本産科婦人科学会誌57巻4号
http://www.jsog.or.jp/PDF/57/5704-047.pdf
周産期医療をめぐる訴訟の現状
(臨婦産61巻3号・2007年3月 259-263)
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/06/post_ee7b.html
4.新生児脳性麻痺報告
平成16年12件、平成17年18件、併せて30件の報告があった(表6)。
22件(73.3%)で紛争が起こり、8例(26.7%)で不明である。ほかと比較しても、圧倒的に訴訟となるリスクが高く、不明も今後訴訟へと発展する可能性もある。紛争「なし」と報告した施設はなかった。
分娩が原因であるCPは10~20%といわれており、100%報告が未だなされていないことを考慮に入れても、この訴訟率の高さは異常であろう。
優れた産婦人科医であり法律家である奥山通雄氏は大阪府医師会医事紛争特別委員会委員として,20年ごとに産婦人科医事紛争を分析し統計を出しておられる。新著『産婦人科医事紛争の症例に学ぶ』(昭和58年~平成10年,500余例の集計)が本書と同じ頃出版になる。まさに紛争の大河ドラマを見るようであるが,「新生児の項をみると,多胎妊娠,discordant twinが増加し,殊に新生児にかかわる事件234件中108例と約半数に近いのが脳性麻痺で,分娩時のasphyxiaによるものは外国文献上10~20%であるはずなのに敗訴になってしまうものが多い。CPになったからには産科医側に原因があったに違いないと訴えられる。正確なasphyxia診断を誤らないことが大切」と強調されている。さらに事件の中で医師側に過失の認められるケースは約30%,過失のないのにトラブルになっているケースが約45%で,医師側の対応の悪さに警告を発しておられる。
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