Medical Tribuneにでています。
医療崩壊ー外科学会2007教授の立場からでも紹介されていました外科学会。美しいグラフを外科医たちの疲弊の声をお聞きくださいませ..。*♡
「医療崩壊は既に始まった」
Medical Tribune 2007年5月17日 p12-13
日本外科学会では,大阪市で開かれた第107回日本外科学会(会長=大阪大学大学院外科学・門田守人教授)のテーマ「社会と共に進化する外科学」に合わせて,外科医が置かれている現状を明らかにするため,同学会初めての企画として会員に対してアンケートを実施した。同教授は,会長講演「社会と共に進化する外科学」で,同アンケート結果について外科医の労働環境の劣悪さ,それらに対する処遇の間題などが露呈されたとし,「医療崩壊はもう既に始まったと言わざるをえない」と述べた。また,同教授が会長として今期に行ったさまざまな改革についても言及した。
約6割が当直明けに手術参加
アンケートの対象は4万人弱の日本外科学会会員で,昨年11月にランダムに抽出した3,680人に対し,インターネットを通じて回答を得る方法で調査を施行。回答が得られた1,355人(36.8%)のうち1,276人(34.7%)の回答を集計・分析した結果が示された。
門田教授によると,同学会会員は20年ほど前から減少し続けており,このまま減少が続けば,2018年には新規会員が計算上ゼロになる。同アンケート結果において,外科医が考える外科志望者減少の理由については,
①労働時間が長い
②時間外勤務が多い
③医療事故のリスクが高い
④低賃金
―といった回答が多く挙げられた(図1~4)。
実際の勤務時間については,週の平均勤務詳細は59.5時間,うち診療所勤務者では47.7時間,病院勤務者では68.8時間であった(図5)。 当直明けの手術参加についての回答でも,「いつもある」が31%,「しばしばある」が28%で,6割近くの外科医が当直明けも休んでいない状況が示された(図6)。 7割強が患者とのトラブルを経験医療訴訟の経験については,
「医療訴訟(判決)あり」が5%
「医療訴訟(和解)あり」が5%のほか,
「示談の経験あり」11%
「具体的行動の経験あり」15%
「患者や家族とのトラブルの経験あり」38%など,7割以上がなんらかの形で患者との医事紛争を経験していた(図7)。
また,半数近くが,医療訴訟が日常医療に影響すると感じていた。
一方,厚生労働省の調査〔医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況〕では,全国の手術施行施設数は減少の一途だが、手術件数は増加していることが示されており,この7年間で1病院が担当する手術数は約4割増加している。なお,同教授の教室における平均手術時間の過去12年間の年次推移を見ると,平均手術時間は,手術内容の高度化に伴い約6割増加していた。同教授は,こうした状況のなかで,人員削減も行われていることを指摘し,現場の繁忙感がさらに強まっていることを示した。
さらに年代別に見ると,20~40歳代の回答者の9割近くが当直明けに手術参加していた。
さらに門田教授は,今回のアンケート結果から,外科医の多くが労働に見合うだけの報酬が得られていないと感じていると指摘。病院に勤務する医師は,50歳代になると,開業医との年収の差が大きいごとも示された(図8~10)。
また,回答者の約4割が兼業を行っており,外科医の収入がある程度兼業に依存したものであることも明らかとなった。同教授は「医師の技術や労力が適正に評価されていない現行の診療報酬体系を見直すべきである」と提言した(図11)。
医学会助成費を辞退
門田教授は,学会の今後の方向性として,学術活動を目標とした学会であることは当然ながら,同時に「社会的責務を実践できる学会」,「外科医としてのプロフェッショナリズムを発揮できる学会」にすべきであるとの考えを示した。特に,急激に
変化する社会に対して,国民の理解を得るにふさわしい行動の必要性を強調。具体的には,医療刑事訴訟に対する声明文の発表などの医療安全対策や,理想的な専門医制度を目指した活動,会員に対するアンケート,女医会の発足などの必要性を訴えた。
また同教授が会長を務めた今期中に,日本医学会が日本医師会から1億4,000万円の補助金を受け,さらに日本医学会は,その一部を分科会補助費として各学会に毎年20万円提供
していることがわかった。この理由は,日本医師会の定款に,日本医学会が日本医師会の下部組織であることが規定されていることによる。こうした構図は,終戦後の1948年に,連合国総司令部(GHQ)の指示によりできあがったもので,既に60年近くが経過した現在,日本医師会の下部組織と考えて活動している学会はない。そこで,日本外科学会として,昨年10月の理事会で医学会助成費を辞退することを決定している。
さらに昨年末には,同教授を中心として,日本外科学会および日本内科学会が日本医学会分科会の101学会中63学会に呼びかけ,「臨床系学会連絡会議(仮称)」を開催。日本医学会内に9部会制で組織されていた分科会が実効性に乏しかったため,53学会の賛同のもと,基礎部会,社会部会,臨床部会の3部会制に改編
し,分科会から医学会ヘボトムアップ機能を持たせるような組織改革を要望したという。
最後に,同教授は「現在,医師・医療従事者と国民・患者は対時している。今から,この関係を変えるべきだ」と強調。こうした学会としての取り組みを社会に向けて発信し続けるなかで,これからの時代にふさわしい学会の方向性を,患者・国民と協調するなかで模索しなければならないと訴えた。
(次号では,35歳以下の若手外科医を対象にしたアンケート結果を掲載予定)
【参考ブログ】 参加されていたあつかふぇ先生のご報告です(>▽<)!!!!
さあ 立ち上がろうー「美しい日本」にふさわしい外科医とは
このヒトに逢えてよかった
http://blog.m3.com/Fight/20070412/4
医療崩壊ー読売新聞の視点から
http://blog.m3.com/Fight/20070413/1
医療崩壊ー外科学会総括
http://blog.m3.com/Fight/20070416/1
外科医だっていいじゃないか。にんげんだもの。
http://blog.m3.com/Fight/20070419/2
葬儀の準備
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