本日の医療ニュースです..。*♡
最初は、「このニュースひどすぎっ!」というニュースです。
というか「心肺停止状態」ってこの時点で「死んでいる」んですけれど。
誤挿管っていうけれど。。。こんなの責められたらたまりません!
続いて、「治療と結果がわかりやすい疾患は医療に満足度が高い」調査結果。
ま、やる前からわかっていたような結果です。
中国と韓国から多子化と少子化ニュース。各国ともそれぞれうまくいっていません。
それから読売の連載企画が終わったようです。
それから300日ルールが少し変わる通達がありました。産婦人科医関係者ですので、読んでおいてください。
あと新型インフルエンザワクチン、米国で認可されたようですね。
救急救命士が医療事故 気管チューブを食道に
asahi.com 2007年05月07日
http://www.asahi.com/national/update/0507/NGY200705070014.html
名古屋市は7日、救急隊が心肺停止状態の患者を搬送する際、救急救命士の男性(37)が人工的に呼吸させるため気管に入れるチューブを過って食道に入れる事故を起こした、と発表した。患者は搬送先の病院で死亡が確認されたが、事故との因果関係は「調査中」としている。救急救命士による気管チューブを使った医療行為は04年7月から認められたが、総務省消防庁は「こうした事例は聞いたことがない」としている。
市消防局によると、死亡したのは同市瑞穂区の女性(68)。1日午前0時すぎ、家族から「息ができず苦しんでいる」と119番通報を受け、瑞穂消防署の救急隊が駆けつけたが、数分後に心肺停止状態に陥った。隊員3人のうち救急救命士の資格を持つ1人が、医師に携帯電話で指示を受けながら、女性に気管チューブを挿入するなどして蘇生を図ったが、搬送先の同市立大学病院で午前1時15分、心筋梗塞(こうそく)による死亡が確認された。医師が気管チューブを取り外す際、過って挿入していたことがわかったという。この救急救命士が気管チューブの挿入を行うのは2回目だった。女性は心筋梗塞の持病があったという。
市は近く、医師や弁護士らによる第三者機関を設け、原因究明と再発防止を検討する。女性の家族には葬儀を終えた3日午後2時ごろ、医療事故について説明。遺体の解剖は行われていないという。
医療満足度、病気で差 認知症や乳がんは低く
asahi.com 2007年05月07日
http://www.asahi.com/life/update/0501/TKY200705010304.html
認知症の患者やその家族の医療への満足度は、ぜんそく患者の半分――。過疎地や産科・小児科の医師不足など「医療格差」が問題となるなか、疾患によっても医療や医薬品に対する患者らの満足度に大きな開きがあることが、医薬産業政策研究所と明治大学の合同調査でわかった。満足度が低かった認知症や乳がんの患者らは、「医師との対話不足」や「待ち時間の長さ」など医療提供態勢への不満を強く訴えている。
調査は06年3~5月、患者の満足度の高い医療について探るため、ぜんそく、リウマチ、腎臓病(人工透析患者)、認知症、乳がんの5疾患について、患者会の会員約1000人を対象に実施した。有効回答率は54.5%。認知症は患者の家族に回答を依頼した。
受けている医療全般について「満足」と答えた割合は、ぜんそくが64.2%で最も高く、認知症が34.0%で最も低かった。
どのような点が満足度に影響するかでは、認知症の患者・家族の場合、「医療機関の情報開示」や「医師との対話」を不満とした割合が他の疾患より高かった。その理由について同研究所が患者会に聞き取り調査をしたところ、「介護や生活に関する悩みを医師に相談しにくい」「アルツハイマー治療薬の種類が少なく、治験に関する情報提供が乏しい」といった不満が強かったという。
乳がん患者は、「最先端の医療技術が提供されていない」といった医療技術への不満のほか、「診療時の自己負担額」「医薬品の価格」を不満とする割合も高く、抗がん剤を使う治療費が家計を圧迫している実態もうかがえる。
一方、ぜんそく、腎臓病、リウマチでは「医師の治療技術」や「医薬品の効き目」に対する満足度が高く、治療による症状の改善がはっきりしている疾患ほど満足度が高くなる傾向が裏付けられた。
県内8市長が会議/徳島
2007年5月7日 四国放送
http://www.jrt.co.jp/news/scripts/newscont.asp?NewsId=9661
県内の8つの市の市長が、きょう、会議を開き、国に対して地方の財政基盤の強化や医師の確保などを要望していくことを決めました。
きょうの市長会議には、徳島市の原秀樹市長や、先月初当選を果たした鳴門市の吉田忠志市長ら8つの市の市長が顔をそろえました。会議の中で、吉野川市の川真田哲哉市長は、安定した地方財政基盤を確立するために、新型交付税の算定基準を見直すことや、政府がすすめている「頑張る地方応援プログラム」を自治体の実情にあわせて適切に運用することを要望しました。また、不足している小児科と産科の医師の確保や、四国横断自動車道の鳴門-阿南間の早期完成などあわせて8つの要望事項が提案され、全会一致で可決されました。
これらの要望事項は、今月18日に高知県で開かれる四国市長会議に提出されます。
県立二戸病院 「見守りネット」近く始動/岩手
岩手日報 2007年5月8日
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070507_8
二戸市堀野の県立二戸病院(佐藤元昭院長)は、妊婦健診時に得た情報をウェブ電子カルテに記入、インターネットを通じて関係機関が閲覧し、産前産後の支援・相談に当たる「見守りネットワーク」システムを近くスタートさせる。近隣市町村や圏域の開業医、県などと連携して子どもの成育環境などの情報を広く共有し、育児不安解消や児童虐待防止を目指す。青森県南の町村も加わる意向で、県境を越えた育児支援の連携も期待される。
二戸病院圏域「見守りネットワーク」構想は、健診で病院を訪れた妊婦の中から、医師らが必要と判断した人について、本人側の同意を得てウェブ電子カルテに登録し健診の都度、情報を入力する。
ネットワークに加わった地域の保健師や民生委員、少年補導職員らが、端末からカルテを開いて状況を把握しながら、電話や家庭訪問を通じて細やかに相談や支援に当たる。出産後も継続して各所で情報を更新できる。パスワードで管理し、見られる範囲も機関ごとに限定する予定。
二戸病院の秋元義弘産婦人科長によると、例えば▽妊婦が若く妊娠・出産の知識に乏しい▽未婚で生計基盤が不確か▽妊婦自身に虐待を受けた経験がある―などの場合、健康を考えない生活をしたり、子どもを虐待してしまう割合が通常より高いという。
10代の妊娠や妊娠後期まで健診を受けない例が地域で増えており、支援体制充実が急務となっていた。将来は全妊婦をウェブ電子カルテの登録対象にしたい考えだ。
二戸病院には、産科医療施設のない青森県南の南部町、三戸町、田子町からも出産の女性が訪れる。三月末に二戸市内で行ったシステム説明会には三町と、二戸市、一戸町、九戸村、軽米町、八幡平市、葛巻町も参加した。いずれもネットワークへの加入を検討中。
秋元さんは「産科医不足で遠い地域からの来院者が多いが、むしろ妊婦と医療施設との精神的な距離が心配だ。母子にかかわるすべての機関が連携し、子の健全な成長を長期的視野で支援したい」と話している。
三上邦彦県立大社会福祉学部准教授(児童福祉)は「育児不安による虐待は産後1カ月以内に始まることが多く、早期の発見・対応が必要という意味で画期的なシステムだと思う。ただ、情報が独り歩きして当事者を傷つけないようプライバシーには十分配慮してほしい」と話している。
行政を組織暴力から守れ、警視庁が緊急対策会議
2007年5月7日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070507i105.htm
長崎市の伊藤一長・前市長が暴力団幹部に射殺された事件を受け、警視庁は7日から、島部を除く東京都内の全市区町村を対象にした「行政対象暴力」の緊急対策会議をスタートさせた。
8日までの2日間、都内4か所で会合を開き、各役所の総務課長や建築課長ら計300人に、暴力団などから不当な圧力を受けた時の対処法を指導する。都内では昨年、暴力団幹部が「区役所に密告された」と思い込み、窓口の職員を脅迫するなど悪質な事件が目立っており、同庁は今後も、各行政機関と連携し、被害の防止に努めたいとしている。
同庁組織犯罪対策3課によると、都内で昨年1年間に、容疑者が逮捕された行政対象暴力は計7件。6月には、恐喝未遂罪で服役し出所したばかりの山口組系組幹部(50)が「逮捕されたのは区の担当者に密告されたせいだ」と逆恨みし、窓口の職員を「殺してやる」と脅迫したとして逮捕されたほか、11月にも右翼団体元幹部(55)が、都の福祉施設を街宣車で威圧するなどして駐車場を無断使用したとして逮捕された。郵便局や公立病院などの職員が被害者になるケースもあり、救急隊員も救急車内での対応を巡って稲川会系組関係者に殴られる被害に遭った。
一方、刑事事件として摘発できなかったものの、相手が指定暴力団の構成員と特定できたため、同庁が暴力団対策法に基づく中止命令を出し、問題が解決したケースが3件あった。いずれも区役所の職員らが、暴力団員から「対応が悪い。誠意を見せろ」と暗に金品を要求されたり、生活保護の支給を強く要求されたりしたといった事案で、暴力団などが、行政機関を資金源にしようとしている動きの一つとみられる。
このため同庁は、今回の会議に、各市区町村の総務課長や建築課長のほか、危機管理の担当者らにも出席を要請。暴力団員らと対峙(たいじ)した場合、〈1〉窓口の職員に任せきりにせず、相手方より多人数で面談する〈2〉警察に早めに相談する――といった対処法を指導し、専門の弁護士からも助言を求めることにした。
7日午前10時から台東区役所で開かれた第1回の会合には、台東、江戸川、港など計8区役所から約60人が出席。葛飾区の係長職の男性(45)は、「長崎市の事件では、いつか自分の身に降りかかるかもしれないと恐怖を感じた。暴力団に組織として対応できる態勢を整備したい」と話していた。
米臨床試験で患者1人死亡=共同開発中の貧血治療薬-アステラス
時事通信 2007/05/07
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2007050700522
アステラス製薬は7日、経口貧血治療薬「FG-2216」を共同開発している米フィブロジェン社の同国での臨床試験で、劇症肝炎による死亡例が一例発生したと発表した。アステラスはこの臨床試験を日本でも実施しており、「情報を詳細に精査し、国内の臨床試験対象者には病院を通し、情報を伝える」としている。
離婚後妊娠:法務省が「前夫の子でない」出生届認める通達
毎日新聞 2007年5月7日
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070508k0000m010106000c.html
「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法772条について、法務省は7日、妊娠日が離婚の後のケースに限り、「前夫の子でない」出生届を認める通達を各法務局に出した。21日以降に全国の市区町村に提出された出生届について実施する。同省は合わせて実態調査結果も正式発表、離婚後300日規定にかかる離婚後妊娠は全体の1割程度に過ぎないことについて、「(救済範囲は)不十分ではない」との見解を示した。
離婚前妊娠のケースについての救済は、自民、公明両党の政調会長が法制化も含めて検討することで合意しており、与党の今後の議論に委ねられることになった。
通達は、出生届に添付する離婚後妊娠を示す医師の証明書を審査したうえで、「現夫の子」または「(再婚前は)母親の子」との届けを受理する。また、戸籍には、現行で裁判をした場合に記載される「前夫の名前」はなく、「民法772条の推定が及ばない」とのただし書きが付される。規定のために現在裁判を起こしていて出生届が受理されていないケースにも、通達は適用される。
また、実態調査で離婚後300日以内に生まれた子は年間3000人近く存在する可能性があるとしたことに、同省民事局は「推計とはいえ、かなりあるという印象だ」とした。また、今回の通達について「現行の枠組みの中でやれることを考えたもので、不十分ではないと認識している」と説明した。
医師証明なら「実父の子」法務省 離婚後300日内出産で通達
2007年5月8日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20070508ik02.htm
法務省は7日、離婚後300日以内に出産した子を一律に「前夫の子」とみなす民法規定(嫡出推定)について、離婚後に妊娠したことが医師の証明書で確認できれば、実際の父親の子として出生届を認める通達を全国の市区町村の戸籍窓口に出した。この特例措置は今月21日以降の出生届から実施される。
通達は、医師作成の証明書を出生届に添付し、離婚後妊娠が確認できれば、「再婚相手の子」か、再婚していない場合は「非嫡出子」としての届け出を、全国の市区町村の戸籍窓口で認める内容。証明書には〈1〉妊娠の推定時期〈2〉推定時期算出の根拠(超音波検査や生殖補助医療の実施日など)――などを記す。特例措置による受理であることを明らかにするため、戸籍の特記事項欄には「嫡出推定が及ばない」と記載する。
新制度導入による窓口の混乱を避けるため、届け出が受理可能か、地方法務局への照会を市区町村に義務づける。
通達を問題解決の一歩と評価する声がある一方、離婚前に妊娠したケースが対象でないため「年に約2800人と推計されている嫡出推定の問題のうち、1割程度しか救済されない」との指摘も出ている。そのため自民、公明両党の担当者らは引き続き検討を行う方針だ。
2015年までに がん死亡率2割削減 厚労省対策協 基本計画に数値目標
2007年5月8日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070508ik07.htm
厚生労働省のがん対策推進協議会(会長=垣添忠生・国立がんセンター名誉総長)は7日、がん対策基本法の具体的な目標などを定める「がん対策推進基本計画」に、75歳未満のがん患者の死亡率を2005年から15年までの間に20%削減するという数値目標を設定することを決めた。
75歳未満のがんによる死亡率は、1990年以降05年までに毎年約1%ずつ減少し、現在1年間で人口10万人当たり93人が亡くなっている。会長代理の広橋説雄・国立がんセンター総長は、これまでの減少傾向に、がん対策を推進して喫煙率の半減、がん検診受診率を50%に倍増させるなどして、さらに10%削減できるとして、20%の削減を基本計画に盛り込むことを提案。同協議会で了承された。2015年で、がん死亡率は10万人当たり74・4人にするとしている。
基本計画策定にあたり、同法はがん患者や家族、学識経験者でつくる同協議会の意見を反映するように定めている。同協議会は、5月中に基本計画案を取りまとめる予定で、6月中に閣議決定される見込み。
H5N1ワクチン、米国で初承認
薬事日報 2007年05月07日
http://www.yakuji.co.jp/entry3004.html?PHPSESSID=b7afa998ae6a2963ed084a97c40e9015
仏サノフィパスツールは、ヒト用の新型インフルエンザワクチンの承認を米国で取得した。H5N1型ヒト用トリインフルエンザワクチンの承認は米国初という。
治験では、18~64歳までの健康な成人に90μg/mLを2回接種し、H5N1ウイルスに対する免疫反応を確認、副反応は軽微との結果が得られている。それを受け同社と米国国立衛生研究所(NIH)が共同で申請、承認取得を4月17日に発表した。
同社のデビッド・ウイリアムズ社長/会長兼CEOは、今回の承認を「パンデミック対策の重要な第一歩」とコメントした。同社は、H7N1ワクチンの欧州での共同研究プロジェクトに協力している。
H5N1ワクチンでは、海外ではバクスター、グラクソ・スミスクラインの開発が知られており、日本では北里研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研が2月に承認申請を発表している。
パーキンソン病に国内初遺伝子治療…自治医大病院
2007年5月8日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070508ik06.htm
自治医大病院(栃木県下野市)は7日、50歳代の男性パーキンソン病患者に対し、国内初の遺伝子治療を行った。遺伝子を注射した脳内からの出血などはなく、経過は良好という。
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドーパミンが不足して起きる難病。病状が進行すると、脳内でドーパミンに変換する薬を飲んでも、変換に必要な酵素が減って効果が薄まる。治療では、この酵素を作る遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、脳内に注射した。これで脳内で酵素が作られるという。
同病院によると、この治療が有効な患者は国内に数千人いるとみられ、今後、国内で5件が予定されている。
中国のお話です。まぁ一人っ子政策がうまくいってない話なのかな?
計画出産政策になお課題 富裕層の特例に不公平感も/中国
asahi.com 2007年05月07日
http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200705070150.html
国家人口・計画生育委員会の張維慶主任はこのほど、人口科学フォーラムで次のように述べた。現在、中国の低出産水準には依然として反発のリスクがある。その主な要因として次の点が考えられる。
◇一部地域、特に農村地域で依然として早婚傾向がみられ、これが計画出産にマイナスであること。
◇一部地域で計画出産率が低下し始め、計画出産対策がおろそかになっていること。
◇1970~80年代に誕生した一人っ子たちが婚期を迎え、彼らには2人目出産が政策で認められていること。
◇一部の有名人や富裕層の規定を上回る出産例が、一般人の計画出産に対する観念にマイナス影響を与え、計画出産の成果を動揺させ、社会の不公平感を生み出していること
◇中部・西部の人口の多い省・自治区・直轄市では局部的に出産が増加する反発現象が起きていること――などだ。
現在、国は生態グリーンベルト設置と人口発展問題に関する研究を進めている。国家人口・計画生育委員会は「人への投資を優先」という理念を重点的強化し、計画出産を実践して国に貢献した家庭に対しては、関連の優遇政策やサービスを優先的に受けられるよう保障している。第11次五カ年計画(2006~2010年)期間中、国は計画出産補助金を従来を上回る一人当たり30元に引き上げる計画だ。
出生率が6年ぶりに増加、世界的にはなお低水準/韓国
聯合ニュース 2007/05/07
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?NEws_id=2007050700280088
【ソウル7日】減り続けてきた出生児数と人口1000人当たり出生児数を示す普通出生率が6年ぶりに増えたほか、女性1人が15~49歳の妊娠可能期間に生むことが予想される平均出生児の数を示す合計特殊出生率も3年ぶりに増加した。
統計庁が7日に発表した2006年出生統計の暫定結果によると、昨年生まれた出生児数は45万2000人で、前年の43万8000人より1万4000人増え、昨年の普通出生率も9.3人で、前年比0.3人増と推定された。確定統計は8月末に発表する予定だ。
これらは、初婚の増加と初婚年齢上昇傾向の鈍化、政府の出産支援政策が効力をあげた結果とみられている。さらに、昨年は縁起が良いとされる「双春年」で結婚件数が急増し、今年は生まれる子どもは金持ちになれるといわれる「黄金の亥の年」であたるため、出生児数が昨年より増えると予想している。
昨年の合計特殊出産率は1.13人で前年の1.08人より多いが、1.26人の日本、2.05人の米国など先進国と比べると、イタリアの1.35人に次ぐ最低水準だった。産婦の年齢は、30~34歳が前年より8.0人多い90.4人で最も多く、25~29歳は90.2人で前年より2.1人減った。30代前半の出産率が20代後半を上回るのは昨年が初めてだ。
統計庁は、女性の教育水準の向上と経済活動参加率の増加、初婚年齢の上昇などで平均出産年齢が上がり、30代産婦の割合も高くなったと説明した。また、出産率は2008年以降も増え続ける可能性が高く、増加傾向が続けば人口全体と生産可能人口の減少時期も遅れるとの見通しを示した。
医の現場 疲弊する勤務医 (4)地域医療 再生への挑戦
街づくり参加 人材育成に10年
2007年5月3日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20070507ik04.htm
あわただしい診療の合間、患者たちと談笑する村上医師(夕張医療センターで)
昨年6月、宮城県の「県立がんセンター」(383床)で、常勤の麻酔科医4人全員がそろって退職した。 常時180人もの手術待ち患者がいた。手術が終わっても術後管理があり、もちろん外来もこなす。緩和ケア病棟で治療にあたり、往診にも出かけた。
多忙を極めたが、「もっと手術数を増やせ」と上から要求された。1人が過労で休み、手術数を減らすと、幹部から「患者を待たせて、申し訳ないとは思わないのか」としっ責された。
4人のうちの1人は「あのひと言で気持ちが切れた」と振り返る。同センターの西条茂・病院長は「医師の犠牲的な働きで成り立っている部分は大きく、我々の考えも甘かった」と4人の心情を察するが、しかし、と続けた。「どこを探しても医師がいない。地域のがん医療拠点なのに、手術待ちの患者を大勢抱えている。我々にどんな対処法があったのでしょうか」
同センターには現在は常勤の麻酔科医がいるが、この時はゼロになったため、フリーの麻酔科医約20人を登録して急場をしのいだ。
2004年、全国に先駆けてフリー宣言をした麻酔科医は同県の皆瀬敦医師(50)だ。月100時間の時間外勤務に疲れ果てた末の決断だった。2病院と契約を結び、時間外勤務はかつての半分、給与は2倍になったが、忸怩(じくじ)たる思いが残る。「本当は地域のために病院にいてこその麻酔科医。後輩の指導など役割は多いのですが……」
◇
勤務医の多忙は今に始まったことではないが、04年から2年間の臨床研修が義務付けられたことで拍車がかかった。若手医師が足りなくなった大学病院が、市中の病院から医師を引き揚げたのだ。残された勤務医の負担がさらに増し、閉鎖に追い込まれる診療科は今や病院の顔とも言える内科にも及んでいる。
勤務医の疲弊の構図に出口はないのか。
「燃え尽きる前に、発想を変えてみてはどうだろう」。そんな希望を胸に、財政破たんした北海道・夕張市に乗り込んだ医師がいる。村上智彦医師(46)は市の求めに応じ、4月にオープンした「夕張医療センター」(19床)の病院長に就任した。運営が行き詰まった夕張市立総合病院(171床)を、公設民営の診療所に切り替えて再出発する――。前途に困難が待ち受けているだろうことは容易に想像できる。
患者は午前中だけで約70人。高血圧、高尿酸血症などで7種類の薬を飲む70歳の女性がいた。
「この薬、三つはやめよう。その代わり、漬物はちょっと控えて。果物は1日1個。お茶はたくさん飲んで」。細かい助言をした後、「大丈夫、何かあったらいつでも診るからな」。女性は目を丸くした後、信頼の表情を浮かべた。
道内の旧瀬棚町(現せたな町)で予防医療を実践、効果を上げた村上医師は「予防医療の旗手」と言われる。「医師だからこそできる街づくりがある」と語る村上医師に共感した本州の30代の医師2人が、7月に夕張医療センターに赴任することになっている。
◇
息の長い地道な取り組みで地域医療を“再生”させた例もある。宮崎県は、1994年時点で、早期新生児などの死亡率が全国で最も高かったが、10年後、全国最低へと引き下げた。
通常のお産は開業医に任せ、危険なお産は県内6か所の中核病院が24時間体制で引き受ける。技量の高い常勤医は緊急対応に専念する。人材を10年がかりで育てたからこそのシステムだ。池ノ上克・宮崎大病院産婦人科教授はこう語る。「患者さんを救い、感謝されることが医師のやりがい。この喜びを若手に引き継ぐことが出来れば、地域医療は生き続けられます」
医の現場 疲弊する勤務医 (5)開業医へ「逃げたい」
人手・財政不足の病院「もう限界」
2007年5月4日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20070507ik05.htm
医師と患者・家族の信頼の大切さを描いた「がんばらない」などの著者で、一昨年、諏訪中央病院(長野県茅野市)の院長を退職した鎌田実医師(58)は去り際にそう語った。
今は同病院の嘱託医として診療に当たる鎌田さんは、「医療費削減政策の中で綱渡りの日々が続いた。日本の病院は財政、人員ともに余裕がなさすぎる。がんばりも限界だった」と苦闘の日々を振り返る。
現在の診療報酬制度は急患を扱う病院に不利とされる。効率化や支出切り詰めが甘い病院も少なくないが、総務省の2005年度の統計では、全国の自治体病院982病院のうち約65%(643病院)が赤字だ。
病院を圧迫する理由は財政面ばかりではない。
長野市の長野市民病院(300床)は医師60人と看護師260人を抱え、スタッフ数は恵まれた部類だ。しかし、医師は週1回ほとんど徹夜になり、翌日も夜までの連続勤務をこなす。「診療を巡る状況が変わった」と今年3月に病院長を退職した長田敦夫医師(68)は説明する。
夜間、子どもの急患が殺到する。「核家族化で祖父母の助言がなくなり、開業医も夜中は診てくれない。発熱などで直接病院に駆けつけるケースが増えた」
検査の同意書や患者の紹介状、様々な報告書作りに毎日数時間を費やす。感染症対策や医療事故対策など会議も多く、勤務医の仕事は雪だるま式に増えている。
◇
2005年に開業した診療所は全国約5750で、5年前の約1・4倍。病院勤務医からの転身が多いとみられ、その分、病院の環境は厳しさを増した。
「開業できるなら、おれも病院を逃げ出したい」
関東地方の大学病院に勤務する40代の脳外科医はそう語る。深夜、クモ膜下出血の男性が搬送され、6時間の緊急手術で救命した。夜間の加算分を含め100万円以上かかる大手術だが、成功報酬はなく、失敗すれば責任を取らされる。大学から得ている年収は約800万円。「人手不足で研究時間もない。教授になってもかつてのような力はなく、疲労感がたまるだけ」
慈恵医大病院血管外科の大木隆生教授(44)は、米アルバートアインシュタイン医大病院の血管外科教授を兼務する。大木教授が卒後7年目の医師の待遇を両病院で比較したところ、大きな差があった。
ア大の年収は約2500万円で慈恵医大の5倍強。労働時間はア大の週50時間に対し、慈恵は80時間。ア大では、個室と専属秘書がつき、当直もない。「腕に差はない」(大木教授)のに、なぜこれほど違うのか。
日本の医療費は年間総額約32兆円。国内総生産(GDP)に占める割合を経済協力開発機構(OECD)30か国で比較すると、日本は8%で、21番目。米国(15・3%)、スイス(11・6%)に比べ低く抑えられている。「米国の大学病院では、ベッド数当たりの看護師が(日本の)5倍はいる。事務職員も同程度。日本では、医師が看護師や事務職員の仕事の多くを担うことで医療費を切り詰めてきた」と、大木教授は指摘する。
◇
日本私立医科大学協会によると、医師1人を育成するのに約1億円かかり、税金で賄う部分も少なくない。そんな医師たちに社会は何を求め、どう支えるか。
来年予定されている医療費の改定に向け、鎌田医師はこう語る。「小児科・産科医療の充実、在宅・緩和医療への増額など、はっきりした方針を示してほしい。ささやかな増額でも病院医療を励ますメッセージさえ伝われば、燃えつきる直前の勤務医も踏みとどまることができるのです」(おわり)
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