(関連目次)→妊娠したら気をつけること 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
3月の日本産科婦人科学会誌に
付録なのかついてくるようになった
雑誌からのご紹介ですo(^-^)o..。*♡
今回はロタウィルスのワクチン接種に関する話。
海外文献から考えるコーナーからまずご紹介します。
明日からやっと子供が学校に行きます。
お休み中はお休み中なりに、
学校中が学校なりに母親って忙しいです~(;;)。
(でも大きくなりすぎると寂しい。)
ではどうぞ!!!
メキシコにおける
ロタウィルスワクチンの定期接種
導入以後の下痢症による死亡
札幌医科大学医学部小児科学講座教授
堤裕幸先生
(Double Smile vol.4 p10-11)
Childhood diarrhea deaths after rotawirus vaccination in Mexico
Richardson V , et al. N Engl J Med 365(8); 772-773,2011
単価および5価ロタウイルスワクチン(RV1、RV5)の大規模な第三相試験において、両ワクチンとも、重症ロタウイルス感染症を90%前後防ぐことが明らかとなっている。本論文では、市販後に定期接種となったRV1の下痢症による死亡に対する効果を3年にわたって解析し、すべての下痢症による死亡が約半分になり、3年間でメキシコ全体で2600名余りの命が救われたことを報告している。
WHO(世界保健機関)は世界で年間52万7000人の子どもがロタウイルス胃腸炎で死亡するとしており、ロタウイルス胃腸炎の重症化阻止のために、ロタウイルスワクチンを世界中のすべての小児に接種することを推奨している。
メキシコでは2006年から2007年にかけてRVlの段階的な定期接種への導入がなされた。その結果、2007~2008年、2008~2009年シーズンにおける小児の下痢症における死亡が、かなり減少したことが明らかとなった1。一方、下痢症の頻度は年ごとに異なり、また、発展途上国においては生後1年以内に接種されたロタウイルスワクチンの効果が長続きしないとの報告もある2。今号のテーマ論文では、下痢症による死亡を、ワクチン導入前の2003~2006年と導入後の3年間(2008~2010年)とで比較検討している。
ワクチン接種で下痢による死亡者が半減
2003~2006年と比較すると、2008~2010年ではロタウイルスシーズンにおいて下痢による死亡が56% (95% CI : 49-63)減少していた。その低下は2007~2008年シーズンにおいては主に1歳未満児に明らかであったが、その後のシーズンにおいては1歳以上の幼児にも広がった。年間の下痢による死亡は、5歳未満児10万人当たり、2003~2006年の18名から、2008~2010年には9名に、つまり46%(95% CI : 42-50)減少した(p<0.001)。これは、メキシコ全体で年間880 名、3年間で2640名の命が救われた計算になる。この効果は下痢症による死亡の90%を占める2歳未満児で明らかであった。
2010年より以前に、5歳末満児のほぽ半分、そして2歳未満児の79~89%が1回以上のワクチン接種を受けていた4。2歳未満児の90%がワクチンを受けることで46%の下痢関連死亡が防がれたとすると、メキシコにおいてワクチン導入前に死亡原因となった下痢症の半分がロタウイルスによるものと推測される。3年間にわたって下痢症による死亡の減少がみられること、さらにその減少が1歳以上の幼児にもみられていることは、1歳未満の乳児期に接種したワクチンの効果が続いていることを意味している。
ロタウイルスワクチンの定期接種への導入がメキシコにおいて重症下痢による死亡を半分に減少させたことは、途上国における致死的なロタウイルス下痢症の重要性とともに、ロタウイルスワクチンの目覚ましい効果を示している。
■まとめ
・メキシコでRVlが2006~2007年に定期接種に導入されて後、すべての原因による下痢症による死亡が約半分になり、年間の下痢症による死亡がメキシコ全体で880 名、この2008~2010年の3年間で2640名減った。
・この結果は、ロタウイルスワクチンを重症ロタウイルス感染症の防御のために、世界中の小児に接種すべきというWHOの勧告をサポートするものである。
コメント