(関連目次)→妊娠したら気をつけること 目次 産科一般
(投稿:by 僻地の産科医)
血小板減少症の方が妊娠されることは、
もちろん血小板減少症の方々がいらっしゃるので
そこそこいらっしゃることはいらっしゃるのですが、
妊娠末期にどどどーんっ!!!
と血小板数が下がってしまって、
「うをーっ!!扱いに困るなりー!!」
という時があります。
でもなんでもない方も中にはいらっしゃるんですね。
もともと血小板減少症をもっていたのか、
妊娠で出てきたのかわかんない方の場合、
「ぬーん。。。」
と困ってしまうわけです。
という訳で調べてみましたが、
これを読んでもやっぱりわかんない。。。(;;)。
でも、ないよりはましかということで。
日本周産期・新生児医学会雑誌
第46巻 第2号 p474よりo(^-^)o..。*♡
PO-231
当院における10年間の血小板減少症合併妊娠の検討
A Review of Thrombocytopenia in Pregnancy
for 10 years in our hospital
沖縄県立中部病院総合周産期母子医療センター産科
大畑尚子,浜田一志,金城国仁,橋口幹夫
【背景】
妊娠中の血小板減少症は,分娩時大量出血のリスクがあり慎重な管理を要する.大部分は妊娠性血小板減少症であり特別な加療を要しないが,時に5万/mm3以下まで減少する場合もある.また妊娠中初めて指摘された場合,妊娠性血小板減少症と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)との鑑別は必ずしも容易ではない.今回当院にて分娩管理を行った血小板減少症を検討し,特に管理困難な経過であった症例についてその特徴を検討した.
【対象と方法】
2000年1月1日から2009年12月31日までに当院にて分娩管理を行った症例であり,妊娠経過中もしくは分娩時に血小板数が15万/mln3未満に減少した54名,75分娩を対象に,診療録を後方視的に検討した.尚,常位胎盤早期剥離,HELLP症候群は検討対象から除外した.
【結果】
妊娠前から血小板減少症が診断されており妊娠分娩管理したものは延べ34分娩であった.内訳はITP合併妊娠が19例,前回妊娠で妊娠性血小板減少症であったものが8例,再生不良性貧血および骨髄異形成症候群合併妊娠が述べ5例,診断未確定のものが2例あった.妊娠中に初めて血小板減少症が指摘されたものは41分娩であった.そのうち1例は薬剤の影響によるもの,4例がこれまでの病歴や骨髄検査所見よりITPと診断された.また,妊娠中に骨髄検査を実施し再生不良性貧血と診断されたものが2例,分娩後に骨髄検査を実施し骨髄異形成症候群と判明したものが1例あった,一カ月検診までに,血小板数が15万/mm3以上に回復していることが確認されておらず,診断が未確定な症例が2例あった.血小板輸血を要した症例は14例あり,そのうち1例はSLEに妊娠性血小板減少症が合併したものであった.ITP合併妊娠であるが,妊婦検診を定期的に受診しておらず分娩時緊急で輸血を必要とした症例もあった.
【考察】
多くの症例は妊娠性血小板減少症であり特に加療を必要としなかったが,なかには血液疾患が発見されたりするものがあった.また次回妊娠のリスクを評価するためにも産後にきちんと診断確定しておく必要性があると考えられる.
PO-232
妊娠中に血小板減少を認めた反復分娩例の検討
Next pregnancy,after thrombocytopenia
during pregnancy
広島大学医学部産科婦人科
向井百合香,坂下知久,松山 聖,正路貴代,信実孝洋,
田中記文,山本弥寿子,児玉美穂,兵頭麻希,三好博史,
工藤美樹
【緒言】
妊娠中の血小板減少症は全妊婦の5~10%に認められるとされるが,その原因は不明なものも多く,妊娠回数と血小板減少の程度を検討した報告は少ない.今回,反復分娩例での周産期管理におけるリスク(血小板減少の程度,周産期合併症,新生児血小板減少症)の有無を明確にする目的で以下の検討を行った.
【対象と方法】
2000年から2009年までの10年間に,当科で妊娠22週以降の分娩管理を行った2,626例のうち,妊娠中に当科で行った血液検査で15万/mm3未満の血小板減少を認めた症例の中で,当科で複数回の分娩管理を行っている22名,45分娩例を対象とした.各々の妊娠毎の母体の妊娠経過,血小板数の推移,分娩時出血量,輸血量,血小板数10万/mm3未満の新生児血小板減少症の有無について診療録をもとに後方視的に比較検討を行った.
【結果】
10年間に197例(7.5%)の血小板減少症を認めた.Gestational thrombocytopeniaと呼ばれる妊娠中の生理的血小板減少(以下,GTと略す)が129例(65.5%),特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が31例(18.9%),他の血液疾患に伴うものが6例(3.0%)妊娠高血圧症候群が16例(9.8%)HELLP症候群6例(3.0%),常位胎盤早期剥離5例(2.5%),その他4例(0.6%)であった.当科で複数回の分娩管理を行っている22名,45分娩例について検討すると,GT(ITP疑いの症例も含む)が27例,ITPが9例であった.22名のうち20名がその次の妊娠でも血小板減少を認めていたが,ITPへの移行はみられなかった.妊娠中に出血傾向を認めたのは1例のみで,母体の血小板数の推移は,1回目の妊娠と2回目の妊娠では大きな差はなく,最低値で比較すると15名で1回目の妊娠時の方がより低い値を示していた.分娩時出血量は1回目の分娩の平均は1,120.6g,2回目の分娩の平均は993.8gと1回目の分娩時の方が多量であった.総輸血量も1回目の妊娠と2回目の妊娠では差はみられなかった.また,新生児の血小板減少症は3例(血小板数の平均は5.0万/mm3)に認めたが,いずれも無治療で自然回復した.
【考察】
妊娠中に血小板減少を認めた妊婦は,次回妊娠時も血小板減少を認める可能性は高いが血小板数の推移に大きな差は認められなかった.
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