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(投稿:by 僻地の産科医)
最近、ショックだった出来事がありました。
20代前半の妊娠初診の患者さん。
診察室に入ってくるなり、
「分娩にはいくらお金がかかるんですか?」
と尋ねられる。
「50万円程度でしょうか?
でも出産手当金もあるので・・・」
「堕ろすならいくらでしょう?」
「12-3万円程度でしょうね」
「そうですか。。。」
黙り込む患者さん。
「どうする?」
と旦那さんに訊きます。
「そりゃお前。産むまでは出来そうだけど、
産んだ後お前が働けなくなったら
どう考えても暮らして行けない」
・・・(@_@;)...
うっ。何も言えない。。。
っていうか、20代で?
っていうか、30代ならこの夫婦産めるの?
それとも一生産めないの?
結局、もう一回話し合うといいながら、
その夫婦には辛いだろう中絶の術前検査2万円を
お金を払って手術予約して帰っていかれました。
もう一回相談はされるそうですが。。。
日本はいつからこんな貧困な国になったんでしょうか?
専業主婦世帯12%が「貧困層」 子育てで働けず
「富裕層」は47%、二極化進む
日本経済新聞 2012/3/27
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819694E0E5E2E2968DE0E5E2E1E0E2E3E09797E3E2E2E2
専業主婦世帯の12.4%が「貧困層」で、妻がパートなどで働く世帯(8.6%)より貧困率が高いことがわかった。専業主婦世帯の平均年収は617万円でパート世帯を約60万円上回ったが、貧困状態にある世帯の割合は高い。同じ専業主婦世帯でも、夫の年収だけで生活できる富裕層と、妻が働きに出られず貧困層となる世帯の二極化が進んでいる。独立行政法人の労働政策研究・研修機構が全国4000世帯を調査した。子どものいる世帯を年収の高い順に並べ、全体の真ん中にくる世帯を算出。真ん中の世帯の年収の半分以下で暮らす世帯を貧困層とした。
貧困率は専業主婦世帯で12.4%で配偶者がパートに出ている世帯より3.8ポイント高い。一方、専業主婦世帯では年収が600万円を超える富裕層が47%もあり、平均年収は617万円。妻がパートで働く世帯(552万円)より高かった。
専業主婦世帯では、夫の収入が低くても子育てのため妻が働けないケースが目立つ。末子が6歳未満の貧困層の専業主婦世帯の75%は働いていない主な理由に「保育の手だてがない」と応えた。保育サービスの不足が貧困を引き起こす一因となっている。
生活保護世帯:「親の貧困、連鎖」9割超
子ども視点支援必要 ケースワーカー700人対象、県調査/神奈川
毎日新聞 2012年3月5日
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20120305ddlk14040102000c.html
生活保護世帯の子どもの実態について、県が担当ケースワーカーに調査したところ、9割以上が親の貧困がさまざまな悪影響を与える「貧困の連鎖」を実感していることが分かった。進学や就職への支援を求める声が多く、県は調査結果を支援態勢づくりに反映させる考えだ。ケースワーカーを対象とした大規模調査は全国初という。
調査は来年度から試行する生活保護世帯の子ども自立支援プログラムの参考とするため、昨年7~11月にかけ、県内自治体のケースワーカー約700人を対象にアンケート方式で実施した。それによると、「貧困の連鎖」を感じるとの回答は94%で、89・9%が連鎖を断ち切るには「子どもに視点を当てた支援が必要」と回答した。
県は10年度から所管する保健福祉事務所に子ども支援員を配置。生活保護世帯を担当するケースワーカーと組む形で子どもの自立支援に力を入れてきた。だが、9事務所のうち支援員を配置しているのは6カ所にとどまり、今回の調査でも「子ども支援と生活保護の両方の知識を持った人材」を求める声が多かった。
一方、同時に実施した約150の保育所や小中学校への調査では、生活保護や就学援助を受ける家庭の児童・生徒数が「ここ数年で増えている」との回答が半数を超えた。県生活援護課は「子ども支援へのニーズは高い。貧困の連鎖を断ち切るためにも、子どもが自立するまで要所要所で支える態勢づくりに取り組みたい」としている。
産んじゃえば何とかなると思うんですが、私が甘いんでしょうね。
先の見通しが立って偉いような、だったら避妊しろよって言うか。..
親の貧困が連鎖とか、東大生の親の年収が高いとか。..どう思います?
鳶が鷹を生むこともあるでしょうけど、顔だって親に似てるでしょ?
残念ながら海外に輸出してしまえる仕事では海外での給料+輸送費しか稼げないのです。
日本人だと言うだけで現地人の50倍の給料もらうって方がおかしい。
でも、やっぱりそんなに見栄を張らなきゃ生きて行かれると思うんですが(特に先生のところって、住居費ってそんなにかからないのでは?)自分が恵まれているのがわからないんでしょうね。
投稿情報: お産はやめました。 | 2012年4 月 1日 (日) 19:27
あ、すいません。
上の文章の「自分が恵まれているのがわからないだけなんでしょうね」というのは、私のことです。文章が足りませんでした。すいません。
投稿情報: お産はやめました。 | 2012年4 月 1日 (日) 19:29
どんな事情なのかわかんないんですけれど、親には頼れないのかなぁ?と思ったんですけれど、駆け落ちに近かったみたいで。
色々アドバイスしようと思うにも、結局なんかすべて行き止まりみたいな感じでした。
まさか年収訊くわけにもいかず。。
困ったものです。この方の中絶は「経済的理由により」で具体的にごちゃごちゃ書かせていただくことにしました。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2012年4 月 4日 (水) 13:53
常勤の給料が減っているとか、非正規職が増えているとか、雑誌では読みますが、いまいち実感がわきません。
(確かに学校の先生も定員内採用でない方が担任したりしていますが。)
実感がわかないというのはつまり、(一部の人にいわせれば)合理化の余地があるってことなんでしょうが、人を低賃金でこき使うっていうのが合理化なのか??
投稿情報: お産はやめました。 | 2012年4 月 6日 (金) 08:58
「ヤバい経済学」って本に、(アメリカで妊娠中絶が合法だったり、合法化されたりした州があるので、これを研究すると)
人生の早すぎる時期に妊娠中絶をした人は後でちゃんと子供を産む。
とありました。
彼らの将来が明るいものでありますように。
投稿情報: お産はやめました。 | 2012年4 月 6日 (金) 09:18