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(投稿:by 僻地の産科医)
なんだか、とっても意外な記事を発見しましたので
お知らせしますo(^-^)o ..。*♡
産婦人科では、リスクが多いし基幹病院も減っていますので、
開業医が減っているのかなぁ??と思っていましたが。
これは産婦人科だけではなくって、全国的な傾向なのですね!
岡山の資料はなかなかのものです。
同時に、厚労省の資料が恣意的(思い込み?)で
誘導されている可能性についても
指摘している結果になっています。
では、どうぞ ..。*♡
「病院勤務医の開業医志向」は存在せず?
橋本 佳子
M3.com 2009年07月17日
http://mrkun.m3.com/mrq/top.htm
「2008年1年間に診療所数が減少したのは23都県」
「全国の診療所数は増加を続けているが、」
伸び率は鈍化、2008年は0.1%増にとどまる」
「医師全体に占める診療所医師の割合は減少の一途」
「2000年以降、50歳以上の診療所医師の割合は増加の一途」
こんな様々なデータを基に、岡山県保険医協会では7月13日、「診療報酬の配分見直し」ではなく、医療費の総枠拡大」を求める要望書を厚生労働大臣に提出しています。
6月3日の財政制度等審議会の「平成22年度予算編成の基本的考え方について」や、6月23日の「骨太の方針2009」では、来年の診療報酬改定では、医師の偏在解消などを目的に、病院に重点配分する方針が示されています。岡山県保険医協会では、これらの前提に問題があるとし、「勤務医の開業医志向は存在しない」(添付の資料1:同協会提供) 、「(診療報酬や医療費が)診療所に偏っている現状は存在しない」(添付の資料2:同協会提供)と指摘、その根拠となるデータをまとめています。病院だけでなく、診療所も今の医療費では立ち行かなくなっていることから、「医療費の総枠拡大」を求めたわけです。
同協会の主張をもう少し詳しく見てみます(以下はすべて医科のデータ)。
◆厚生労働省統計は示す「勤務医の開業医志向」は存在しない
根拠1:2008年には23都県で診療所が減少
・ 診療所数の増加率は直近10年間で徐々に低下。2006年に1%を切り、2008年にはわずか0.1%増。
・ 2008年の診療所数は、9万9682施設(2007年は9万9571施設、0.1%増)。
・ 2008年の新規開業数は4764施設で、2007年の5239施設よりも減少。
・ 2008年一年間で減少した23都県:青森、岩手、宮城、秋田、福島、茨城、千葉、東京、新潟、岐阜、和歌山、鳥取、広島、山口、徳島、香川、高知、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
根拠2:診療所医師数は増えていない
1979年に、病院医師が、数と割合ともに診療所医師を上回った。診療所医師は、数自体は増えているが、医師全体に占める割合は減少の一途。
1980年と2006年の比較は下記の通り(病院医師と診療所医師の合計が100%にならないのは、介護老人保健施設やその他の施設があるため)
病院医師:7万8422人(50.2%) → 16万8327人(60.6%)
診療所医師:7万393人(45.1%) → 9万5213人(34.3%)
根拠3:診療所医師の高齢化
50歳以上の診療所医師は、1984年の75.8%をピークに、2000年には66.0%に減少したが、その後に反転し、2006年には68.1%に増加。
さらに、岡山県保険医協会では、
(1)診療所だけでなく、病院においても、外来レセプト1件当たりの点数、実日数は減少
(2)医療費の診療所配分割合は低下
などの点も指摘しています。これらのデータから、医療費総額の伸びの理由としては、人口の高齢化に伴う人口10万人当たりの受療率の増加、医療の高度化などに伴う入院1件当たりの点数の増加などが考えられます。
最近、「開業医の崩壊も近い」「新規開業しても1年以内に閉院するケースが増えている」といった指摘が少なくありません。前述のように診療所医師の高齢化が進めば、10年後、20年後などには廃院が新規開業を上回り、「診療所減少地域」が23都県以上に広がる可能性があります。
「病院 vs.診療所」という単純な図式ではなく、データの詳細な分析に基づく、地域医療全体、さらには将来像を俯瞰した上での施策が求められます。
なお、今回の岡山県保険医協会のデータは、新しい調査を行ったわけではなく、厚労省の「医療施設動態調査」「社会医療診療行為別調査」など各種統計情報を分析したものです。このデータを拝見した際、先日、厚労省大臣政策室政策官・村重直子氏にインタビューした際(『舛添改革で医療界は「言論の自由」を獲得』を参照)、次のように語っていたのを思い出しました。
「最近の検討会の委員の先生方は、現場の問題意識から集めた様々な資料を準備されていました。その基となったのは、厚労省が持つ統計情報なのですが、データは同じであっても、誰がどんな視点、問題意識を持ち情報を抽出するかによって、でき上がる資料は異なってくるのです」
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