(関連目次)→新型インフルエンザについても集めてみましたo(^-^)o
(投稿:by 僻地の産科医)
WHOから、臨床家のための初期治療指針がでましたo(^-^)o ..。*♡
まだ、完成してないけれど、とりあえずこれで頑張ってね ..。*♡
ということのようで、
治療データ、絶賛募集中なんだそうです。
多分、この指針の元となったデータはこちらです。
原文を参照にしてください。
日本語あまりに間違ってたら教えてくださいね(はぁと)。
(正確性は期していませんので、ちゃんと知りたい方は原文どうぞ)
結局の所、あまりはっきりした所は述べられていませんが、
・発病から抗インフルエンザ薬投与までの日数がかかると、
重症化するかもしれないこと。
・それからもともとの疾患がない若者でも、
重症化する点
について言及している点が新しいところかもしれません。
実際問題、
WHOは抗インフルエンザ薬を手に入れたくても、
手に入れられないいくつもの貧困国を抱えており、
抗インフルエンザ薬をほいほい出すことを
奨励できない機関なのです。
じつは酸素配管がない場合に言及してる所で気付きました。
推奨を出してしまうと、
「じゃあ、貧困国を見捨てるか?」
議論が起こります。
(抗HIV薬と同じく、薬剤特許権の問題に拡がりつつあります)
【関連記事】
【外信コラム】ロンドンの甃 妊婦に迫る危険
産経新聞 2009.5.22
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090522/erp0905220304001-n1.htm
ブラウン英首相の妻、サラさんがスイス・ジュネーブで開かれている世界保健機関(WHO)の年次総会に出席し、妊婦の死亡率を下げるため母親の保健向上に努めようと訴えた。妊婦は胎児に対する拒絶反応を起こさないよう免疫力が低下しているため、季節性インフルエンザにかかった場合でも、合併症を起こして重症になる危険性がある。妊娠中は使える薬も限られている。
WHOのマーガレット・チャン事務局長は「新型インフルエンザの妊婦死亡率はすでに許容できるレベルではない」と注意を促した。
田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長によると、新型インフルエンザの致死率は推定0・2~0・4%と弱毒性だが、免疫力が落ちた妊婦には200倍の毒性を持つと考えられ、強毒性の鳥インフルエンザ並みの脅威となる。特に新型インフルエンザは感染力が強いだけに要注意だ。日本産婦人科医会は、妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬タミフルやリレンザの使用を勧める通達を出した。
日本では妊婦に対するインフルエンザワクチン接種について調査が十分に行われていない。しかし、特別な副反応の報告はなく、今回の新型インフルエンザを機に日本国内での議論を急ぐ必要があるだろう。妊娠中の母親はすでにパンデミック(世界的大流行)の危険にさらされている。
というわけで、どうぞo(^-^)o ..。*♡
Clinical management of human infection with new influenza A (H1N1) virus
Initial guidance
Publication date: 21 May 2009
http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/clinical_managementH1N1_21_May_2009.pdf
Clinical management of human infection with new
influenza A (H1N1) virus: initial guidance
21 May 2009
Introduction
2009年4月下旬以来、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスがメキシコと合衆国で人-人感染を持続し続けているという報告がなされています。ウイルスは今やヨーロッパ、アメリカ大陸と極東の複数の国に広まりました。動物起源のインフルエンザA(H1N1)変異株としてこのウイルスとその遺伝子と抗原性の特異的なな特性によって引き起こされた病気拡大リスクを考えて、WHOは、2009年4月27日にフェーズ3から4へ、2009年4月29日にフェーズ5へと引き上げました。
WHOは、専門家グループを召集しました。このアドバイスは季節性および鳥インフルエンザ・ウイルスのあらゆるデータ、病理学、および臨床的特徴に関するデータと新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスに関する入手可能な情報に基づいています。また関連動物モデルからの追加データと経験、SARSなどの他の呼吸のウイルス性の感染力(重症急性呼吸器症候群)、および関連症候群(他の原因に起因する特に深刻な呼吸窮迫症候群(ARDS))などの調査報告も加えられています。 系統的レビューの過程で、報告品質の批判的な評価と等級付けはされていない状態です。表1は人への新型インフルエンザA(H1NI)ウイルス感染の臨床管理のためのWHO推薦をまとめました。
緊急の必要性に迫られてこの文書は作られているので、新情報が追加された場合は、アップデートされます。抗ウイルス薬の使用に関する最新情報は2009年6月の終わりまでに作られると予想されます。
Background
感染症研究所からの報告では、主に子供とヤングアダルトに感染が起こっていました。熱がなく呼吸器症状も穏やかである場合から、重篤だったり、亡くなった人までさまざまでした。最も症状として多かったのは、せき、熱、咽喉炎、不快感、および頭痛でした。いくつかのケースでは消化器症状(吐き気、嘔吐、そして/または、下痢)を認めました。健康に暮らしていた人と、もともと病気を持っていた人の両方で、入院が必要となりました。またしばしば重篤な下部呼吸器障害にまで悪くなりました。二次細菌感染や、腎不全を伴った横紋筋融解症、またもともとの病気(喘息とか心臓循環器病など)の悪化が、インフルエンザ感染のために起こったりもしました。
この文書は緊急に必要であるために書かれています。WHOはこの文書をよりよくするために、現在感染下で治療中の国々からの治療データを集めています。モニタリングに最適であるように、臨床プロトコールに沿って、治療前の状態から治療効果評価までできるようにレポートしてください。また、最近感染していた患者の臨床とラボデータのレトロスペクティブ報告や、臨床所見と治療結果をWHOに報告すると、この新しい病気のより良い理解と更なる管理指導の発展が予想されます。
レポートフォームはこちらです
http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/caseformadapted20090508.pdf
Infection control
適切な感染規制措置(Standard plus Droplet Precautions) はいつも厳格に行なわれるべきです。働くときには、エアゾールを発生させる高リスク手順(例えば、気管支鏡検査、または気道切望などのどんな手順も)は、微粒子遮断マスク(N95、FFP2または同等物)、保護(ガウン)が手袋をはめ、目を保護し、WHO指導のような自然または機械的陰圧部屋で行います。
Diagnosis
特に新しいコミュニティの大発生の始めや、または珍しいケースのが起こったときに、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の研究所での確認をしますが、抗ウイルス薬治療オプションの考慮をし、不適切な抗生剤使用を行なわないことが事態制圧のために重要です。現在、多くの国の専門研究所では確認の診断テストができます。RTPCRは新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスへの感染の最も時間がかからず確実な根拠を提供するでしょう。熱の急性発症と、咳などの段々強くなる臨床診断は新型A(H1N1)ウイルス感染の予兆である場合があります。
現在のところ、(いわゆる“point-of-care” diagnostic testsと呼ばれる)インフルエンザ迅速診断キット(?rapid bedside diagnostic test)は、あまり有効ではありません。季節性インフルエンザのための商業的に利用可能な迅速試験には、新しいインフルエンザA(H1N1)ウイルスの検出のためには感度と特異性が不確実です。これらのテストの結果が、陽性であるときもそうですが、陰性結果でも慎重に解釈されるべきです。鼻腔スワブ、鼻咽頭ぬぐい液、のどまたは気管支吸引からラボ検体のためのサンプルを取るべきです。どの臨床材料がこの感染症のために一番診断率が良いかはまだ知られていません。患者からの呼吸分泌物に検者をさらされるかもしれないので、適切な予防措置をして標本採取をするべきです。
General treatment considerations
これまで、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染のほとんどのケースで、持続時間の短い簡単な症状で済んでいました。したがって、入院や抗ウィルス性の療法はほとんどの患者には必要でありそうにありません。熱や痛みに対してパラセタモールやアセトアミノフェンの解熱剤、補液など対症療法を必要に応じて行なってください。ライ症候群のリスクがある子供とヤングアダルト(<18歳)でサリチル塩(アスピリンやアスピリンを含む薬剤)を使用するべきではありません。
進行性の病気に発展する危険を予測するリスク要素は、不完全ですがわかってきています。臨床医と介護者は、臨床症状の悪化(呼吸困難、胸痛、咳と色のある痰、意識レベルの変化と錯乱)があれば、患者をすぐ病院に送るべきです。臨床医は基本的な併発症(免疫不全状態や慢性の肺疾患、心血管疾患、糖尿病など)に注意すべきです。妊娠女性が季節性、鳥インフルエンザ(H5N1)と前回パンデミックで合併症が増加したのは知られています。いくつかの入院が、新型H1N1ウイルス感染妊娠女性に関して報告されており、死亡に至ったケースもあります。その結果、確定されたか疑い状態の新型インフルエンザA(H1N1)感染妊娠女性は抗ウイルス薬で、より厳密な予測と国策に従って投薬すべきです(以下を見てください)。
Oxygen therapy
ずっとか可能である限り定期的に入院患者の酸素飽和度はパルス酸素濃度計によってモニターされるべきです。低酸素血症を補正するために酸素投与するべきです。肺炎のためのWHOの推奨処置では、酸素飽和度が90%より高く維持されるようにとなっています。しかしながら、この値はいくつかの臨床状況や妊婦では92~95%まで増加するかもしれません。高地に住む人々には、hypoxaemiaを診断するために別の診断基準を必要としますが、肺炎とかARDSの場合の重篤な低酸素血症には気をつけるべきです。
重篤な低酸素血症の患者は、フェイスマスクで、ハイフロー酸素(例えば、1分あたり10リットル)投与の必要があります。酸素をちゃんと得るのに難しい患者(子供などの)は、看護職員か親族が近くで手伝いを必要とするかもしれません。酸素配管が可能でないところでは、携帯用酸素が必要でしょう。 1979年以来WHOは大切な医療品リストに酸素をのっけています。しかし、酸素はいくつかの国でまだ広くは利用可能ではありません。 医療用酸素が利用でないなら、工業用酸素を使用できます。新生児の酸素治療はguidelines5に従うべきです。
Antibiotic treatment
新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスは、現在、ノイラミニダーゼ阻害剤(NAIs)のオセルタミビルとザナミビルに影響されやすいのですが、アマンタジンかrimantadine(アダマンタンかM2抑制剤薬)に抵抗性があります。
H1N1ウイルスが新しいので、まだ抗ウイルス薬治療に関する臨床データを得ることができません。in vitro の結果や季節性および鳥H5N1のインフルエンザ感染症の経験に基づいています。NAIsの早めの管理は、新型H1N1ウイルス感染によって引き起こされた病気の深刻さと持続時間を短縮し、また重篤になったり死んだりする進行に至らないよう貢献するかもしれません。特に以下のグループに、抗ウィルス薬療法は有益である可能性があります。
・妊娠中の患者;利益とリスクを慎重に評価されつつ、抗ウイルス薬投与が考慮されるべきです。
・下部呼吸器疾患か肺炎進行中患者。
・基礎疾患をもっている患者。
抗ウイルス薬治療は早く理想的に始められるべきです。ウイルス複製が予期されるか、進行中、またははっきりしているとき、どんなステージの活動性疾患にも使用されてもおかしくありません。先在的感染防御免疫不全の場合には、ウイルスが長期間、複写される可能性があります。
NAIs投与選択を考えるために、重要な薬理学的差異を示します。
オセルタミビルは、経口で管理され、より高い安定的投与が可能です。ザナミビルは経口吸入なのと体内吸収が低いです。オセルタミビルは下気道合併症にお勧めの処理です。
オセルタミビルで季節性インフルエンザへの薬剤投与後に錯乱か異常なふるまいなど、子供・若者でまれな神経精神症状が起こりました。しかし、これらの出来事へのオセルタミビルのはっきりとした関与は証明されていません。
吸入ザナミビルは時々気管支けいれんが起こるとされていますし、気管支周辺の炎症等で吸収が阻害されるかもしれません。有害事象が疑われた場合、国家の監督機関に報告してください。表2はお勧めの抗ウイルス薬治療法です。
Corticosteroids
副腎皮質ホルモンをルーティンに使用するべきではありません。敗血性ショックの昇圧薬を必要としてする副腎機能障害を疑った患者には低投与量の副腎皮質ホルモンは考慮される可能性はあります。継続使用や高濃度副腎皮質ホルモンの結果として重篤有害事象、日和見感染を起こしていますし、ウイルス複製期間延長の可能性があります。
Advance respiratory support
新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染に関連したARDSの治療は敗血症関連のARDSのためガイドラインに基づくべきです。 肺の保護のための機械的人工換気が使用されるべきです。
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