(関連目次)→新型インフルエンザについても集めてみましたo(^-^)o
(投稿:by 僻地の産科医)
予防投与を含めてまでの見解が昨日付ででました!
内科のDrが発熱妊婦や、発熱患者さん家族の
診察をされることもあるかと存じます。
日本産科婦人科学会・医会、および厚生労働省の指針は以下の通りです。
よろしくお願いいたします。
妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての
新型インフルエンザ(A/H1N1)感染に対する
対応Q&A(一般の方向け)
http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02-03.html
Q1: 妊娠している人は一般の妊娠していない人に比べて新型インフルエンザに感染した場合、症状が重くなるのでしょうか?
A1:妊娠した女性が季節性インフルエンザ(通常のインフルエンザ)に感染すると症状が重くなり肺炎などを引き起こすことがあります。 重症化するとお腹の中の赤ちゃんにも影響が出ることがあります。新型インフルエンザに関してはまだデータが不十分ですが季節性インフルエンザと同様であると推定されています。
Q2:妊娠している婦人に38℃以上の発熱と鼻汁や鼻がつまった症状、のどの痛み、咳などの症状が出た場合、どのようにすればよいでしょうか?
A2:発熱外来を開設している病院(地域の保健所に連絡することによりわかります)への受診を勧めます。
Q3: 妊娠した女性が新型インフルエンザ感染が確認された場合の対応はどうしたらいいでしょうか?
A3: 米国では妊娠している女性に対して抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の投与が勧められています。日本においても同様の処置を勧めています。医師と相談の上、抗インフルエンザウィルス薬を使用するかどうか決めてください。
Q4: 妊娠した女性が新型インフルエンザ感染者と濃厚接触(ごく近くにいたり、閉ざされた部屋に同席した場合)した場合の対応はどうしたらいいでしょうか?
A4: 米国では抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の投与が勧められています。日本においても濃厚接触した妊婦に説明同意を得た上で、それらの予防投与が勧められています。
Q5: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)はお腹の中の赤ちゃんに大きな異常を引き起こすことはないのでしょうか?
A5: 2007年の米国疾病予防局ガイドラインには「抗インフルエンザウィルス薬を投与された妊婦および出生した赤ちゃんに有害な副作用(有害事象)の報告はない」との記載があります。
Q6: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の予防投与(インフルエンザ発症前)と治療投与(インフルエンザ発症後)で投与量や投与期間に違いがあるのでしょうか?
A6: 米国疾病予防局の推奨(http://www.cdc.gov/h1n1flu/recommendations.htm)では以下のようになっていますので、日本でも同様な投与方法が推奨されています。
1.タミフルの場合
予防投与:75mg錠 1日1錠(計75mg)、 治療のための投与:75mg錠 1回1錠、1日2回(計150mg)
なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間投与、予防には上記量を7日~10日間投与となっています。
2.リレンザの場合
予防投与:10mgを1日1回吸入(計10mg)、治療のための投与:10mgを1日2回吸入(計20mg)
なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間吸入、予防には上記量を10日間吸入となっています。
Q7: 予防投与の場合、予防効果はどの程度持続するのでしょうか?
A7; タミフル、リレンザともに2008年Drugs in Japanによれば、これらを連続して服用している期間のみ予防効果ありとされています。
Q8: 予防投与した場合、健康保険は適応されるのでしょうか?
A8: 予防投与は原則として自己負担となりますが、自治体の判断で自己負担分が公費負担となる場合があります。
Q9: 抗インフルエンザウィルス剤を服用しながら授乳することは可能でしょうか?
A9: 母乳自体による新型インフルエンザ感染の可能性は現在のところ知られていません。季節性インフルエンザでは母乳感染は極めてまれです。授乳期に抗インフルエンザウィルス薬を使用する場合は、担当の医師と相談の上授乳を続けるかどうか決めてください。なお米国疾病予防局の推奨では抗ウィルス剤を服用しながら、赤ちゃんに授乳することは可能であるとされています。同時に赤ちゃんへの感染リスクを最小限にするため、頻繁に手洗いしたりマスクをつけるなどの処置を必要とします。
母児分離を行なうべきとの勧告は今のところなされていません。
平成21年5月19日
社団法人 日本産科婦人科学会
平成21年5月19日
妊婦・授乳婦の新型インフルエンザに対する
タミフルとリレンザの使用について
社団法人日本産婦人科医会
会 長 寺 尾 俊 彦
日本産婦人科医会支部長 殿
日本産婦人科医会会員 各位
http://www.jaog.or.jp/News/2009/090519.pdf
すでに、報道等でご存知の通り、兵庫県、大阪府域において新型インフルエンザの流行の兆しが見られており、妊産婦への感染事例も時間の問題であると思います。現時点では、厚労省のホームページに公表されている新型インフルエンザ対策ガイドラインに従って、冷静に行動していただきたいと思いますが、妊産婦に対しても同様な対応でお願いいたします。
現在、本邦では抗インフルエンザウイルス薬としてタミフルとリレンザが2001 年2 月から保険適応になり、A 型B 型両方に、初期に効果があるとされています。
これら薬剤の妊婦、産婦、授乳婦等への投与について、薬剤添付文書には、妊婦や、授乳婦に対する安全性が確立していないとの理由で、
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(2) 授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。
とされています。
しかし、実際に感染している妊婦や授乳婦を診る臨床の現場では、具体的な対策が必要になります。
そこで、以下のような実際の対応をお願いいたします。
1. 妊婦や授乳婦が発熱症状で産婦人科を受診してきた時、鑑別診断として、腎盂炎や虫垂炎等のほかに、上気道症状を認めた場合は、インフルエンザの可能性を疑い、地域の保健所に設置されている発熱相談センターと相談したうえで、発熱外来を紹介して、新型インフルエンザに関する診断検査を依頼して下さい。
2. 発熱外来で、新型インフルエンザの診断が確定したら、妊婦や授乳婦に対して抗インフルエンザウイルス薬の処方を躊躇しないことです。
3. 妊婦は、インフルエンザに感染すると重篤化することがあるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、抗インフルエンザウイルス薬の使用をためらうべきではありません。
4. 授乳婦は、乳汁を介した新生児に対する副作用のエビデンスの報告はないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、抗インフルエンザウイルス薬の使用をためらうべきではありません。
5. 米国CDC(疾病対策センター)は抗インフルエンザウイルス薬の使用を妊婦や授乳婦に勧めています。
6. 従って、本邦においても妊婦や授乳婦の患者に説明同意を得た上で、タミフルまたはリレンザの投与をお勧めいたします。
参考資料:
妊婦への抗インフルエンザ薬投与に関してCDCからの報告
妊娠中の女性の新型インフルエンザ対策として、アメリカのCDC=疾病対策センターは、治療には抗ウイルス薬が有効だとしたうえで、感染の疑いがある人と接した場合にも抗ウイルス薬を予防的に服用することが必要だとする報告をまとめています。
アメリカのCDC=疾病対策センターの報告によると、
「アメリカ国内で新型インフルエンザウイルスに感染したか、感染の疑いがある妊娠中の女性は今月10 日の時点で20 人に上り、3 人が入院した。このうち、喘息などを患っていた33 歳の女性は、抗ウイルス薬による治療を受けないでいたところ、容態が悪化し、赤ちゃんを出産したが、およそ2 週間後に女性は死亡した」とあり、このことから、CDCは、妊娠中の女性は、通常のインフルエンザと同様に新型のインフルエンザでも重症になるおそれがあり、喘息などの病気がある場合には、特にリスクが高いとしています。
CDC による抗ウイルス薬の勧め:
CDCは、妊娠中の女性に対する抗ウイルス薬 の効果や副作用について、情報は少ないが、新型のウイルスに感染したか、感染の疑いがある場合には、症状が出てから48 時間以内に抗ウイルス薬の投与を始め、5 日間続けるべきだとしています。さらに、感染の疑いがある人と接した場合にも、10 日間予防的に服用するべきだとしています。
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