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(投稿:by 僻地の産科医)
橋本岳先生が、平成21年4月03日衆議院法務委員会にて
質問をされましたo(^-^)o ..。*♡
ここしばらくの出来事
橋本岳のブログ 2009年4月4日
http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-fedc.html
以下、文字起こしです。ぜひぜひ読んでください。
現在の死因救命における問題点がわかっていただけると思います!!!
●山本委員長
次に、橋本岳君。
○橋本委員
おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。絶大な御声援をいただき、まことにありがとうございます。本来、法務委員会に所属をしておらないのでありますけれども、きょうは貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山本委員長初めお取り計らいをいただきました与野党の理事の先生方、委員の皆様方に感謝をまず申し上げます。
さて、きょうは、日本における死因究明制度について取り上げさせていただきたい、こう思っているわけであります。
今資料をお配りさせていただいていると思いますが、この問題につきましては、パロマのガス湯沸かし器の事故の話でありますとか、時津風部屋の事件でありますとか、そういったところをきっかけに注目を集めたところであります。当委員会におかれましても、細川議員を中心に民主党さんが法案を提出しておられる。また、委員会で勉強会を開いておられたり、また、視察をされて提言を法務大臣に出されておられたりする。あるいは、学会の方でも最近法医学会さんが提言を出されたり、また、放射線の専門の先生方もそういう提言を準備、用意されているというふうに聞いておりますし、政府の方でも内閣官房が検討会をやっている。そういうことで、いろいろなところでいろいろな議論がされているテーマなわけであります。
そこで、与党としてもきちんとしっかり考えをまとめて議論していかないといけないねということで、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟というものが二月に設立をされました。保岡興治先生に会長をお願いして、冨岡勉先生が事務局を務めて、最初の資料一にあるような形でこれまで勉強をしてきております。
きょうはそういうことも踏まえて、改めてこの問題を取り上げさせていただきまして、与野党それぞれ議論を持ち寄って、政治のリーダーシップを発揮してこの問題について取り組んでいくのだ、そういうきっかけになるといいなと思って質問に立たせていただいた次第であります。
きょうは、裁判員制度についてということも冒頭委員長からお話がございました。これはこれでもうすぐスタートをする大事な制度でありまして、ぜひこれが国民の皆様方にうまく定着するといいなと思っておりますが、この裁判員制度をスムーズに開始をし、そして運営をしていくという観点に立って、死因究明制度というものがどうあるべきかということと多少の関係もあろうかと思いますので、まずその点について法務省さんの御見解を伺いたい。
●大野政府参考人
裁判員制度は、御案内のとおり重大な刑事裁判、刑事事件を対象とするものでございまして、したがいまして、その中には被害者が死亡をしている事件も相当数含まれているわけでございます。そうした事件の刑事手続におきましては、死因の的確な究明ということが当然の前提になることは言うまでもございません。
その上で、裁判員制度におきましては、刑事裁判になじみの薄い一般国民の方が裁判員として参加されることを踏まえまして、死因につきましても、これが適切に、的確に解明されているということを前提とした上で、裁判員にわかりやすい立証を行うことが必要であると考えております。
そうした観点から、検察当局におきましては、捜査段階で抄本の作成が容易な体裁、内容の鑑定書等を作成した上で、公判段階ではポイントを絞った抄本を用いて立証するというようなやり方、あるいは、鑑定書に用いられる写真につきまして、裁判員が、写真ではかえって被害者の創傷、傷の状況等を理解することが困難と認められるような場合には、事案に応じて、写真にかえてイラストやコンピューターグラフィックスによって創傷部位の透視図や立体画像を作成するというようなやり方。さらに、鑑定人の尋問を行う場合に、従来の一問一答形式にこだわることなく、鑑定人が裁判官それから裁判員に対して講義形式で証言を行い、その際に、専門用語についてもわかりやすく説明を行うなどなど、さまざまな工夫が検討されているというように承知しております。
○橋本委員
そうですね。もちろん当然の大前提ということは一つあったとして、わかりやすくという話もあったし、それこそ、先ほどの棚橋議員の質疑の中でビジュアルなという話もありましたが、解剖の写真などは余りビジュアルだと見たくない方もおられるというようなこともあるので、そういった点は工夫が要るんだということで承りました。そういうことも今後議論の中に入れていかないといけないんだろうなと思っております。
死因究明制度を議論するに当たりまして、今どういうようなものなのかということを整理してみました。お配りしている資料の資料二に、実際その御遺体が発見されたとか、お亡くなりになったところから始まって物事がどういうふうに進んでいくかというフローチャートをかいてみました。
ごらんいただければおわかりになるように、まず大変複雑でございます。これをつくるのに四時間ぐらいかかりました、それはそれといたしまして。その中で着目点が幾つかあろうかと思いますが、まず一つは、解剖という、要するに最終的に死因を究明するための手段が一番最後にあるのだということは、一つこの現行の制度のポイントなんだろうと思うんです。
それは、本当は最初に解剖して、いろいろなことを調べて、その上で例えば犯罪かどうかを判断するとか、死因を判断するとか、そういうことができれば一番いいわけですが、かといって、それはもうキャパシティーの問題で全例を解剖するわけにもいかない。そういうような中で、できるだけ的確に解剖すべき御遺体を見分けて解剖に移す、そのためのプロセスがこれだけあって複雑なんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、かえって見逃しなぞの、あるいはそう思われるような例があったときに、解剖されなくて証拠となる御遺体が残っていないということも起こることにつながるのかな、こう思うわけであります。
また、次の資料に移っていただきますと、実際、ではどのぐらい解剖されているのか。よく、総死者に対する解剖者数は三%と言われるし、異状死に対する解剖者数は九%と言われますが、絵で見ればこのぐらいという話でございまして、真っ白なところがいっぱいある。
そういうこともあるので、正しく死因が究明されているのかとか、犯罪や事故の見落としはないかとか、そういった懸念があるということにつながっている。これも一つの現状で、これをどうするかということも大きな問題なのではないかと思っております。
続いて資料の四、もう一枚めくっていただきますと、今度は都道府県別にそういう警察の方が扱った、いわゆる異状死と呼ばれる死体の数から、検視官の方が臨場された数、司法解剖の数、行政解剖の数、都道府県ごとに並べてみました。
ちょっと薄くなっているのでわかりにくいかと思いますが、東京都、神奈川県、それから愛知県、大阪府、兵庫県ですか、今申し上げたところが監察医制度があるところで、それ以外はないところです。やはり東京とか神奈川あるいは大阪、兵庫などが大変目立って行政解剖が多いというのはそういうところにもある。逆に言えば地域の差というのも、そういう監察医制度がある、ないだとか、それ以外の要因もあろうかと思いますが、あるということは見てとっていただけるのかな、こう思うわけです。
なお、神奈川県のところの数字なんですが、厚労省さんからいただいた数字と警察庁さんからいただいた数字がちょっと違っております。これは厚労省さんの方の数字は下に書いてありますので、ちょっと検案と解剖の区別が違っているのかなというふうに思いましたので、今後注意をしていただければと思いますが、それはそれとして、こういうような状況が今あるのが日本の死因究明制度だということであります。
そういうものを参考にして議論をしていくわけで、幾つか各論に入っていこうと思います。まず、やはり解剖をこれからどうにかして少しでもふやしていきたいなということがあろうかと思います。だけれども、お金をただ入れればやるかというと、それは解剖していただく方が当然必要である。では、その体制がどうなっているかという話が資料五であります。
法医学の学会の方で認定されている方が、大体日本全国で百二十名ぐらいであります。もちろんそれ以外の方でもされる方はされますけれども。
そうすると、都道府県別というのでさっきの表を見ていただいても、ゼロとか一人とか二人とか、そういうような都道府県は結構たくさんあって、やはり人の確保というか充実が大事だ、必要だろうということであります。
法医学教室の人員の削減傾向というのは、資料六、解剖医が三年で一五%減、こういう新聞が出ておりますけれども、実際のところ、そういうような状況であります。
資料七というのは、物すごく悲しい資料でございまして、アンケートをとったんですね、医学生の方、それから研修医の方、卒後三年から五年の医師の方。
医学生の方五千二百五十七人の人に、将来どの診療科に行きたいですかという質問をしたら、その中で法医学と答えた方が八人で〇・二%、研修医の方に聞くと、千四百二十五人中一人、卒後三年から五年目の医師の方に聞くとゼロ人ということになってしまいまして、これから法医学を目指そうという学生さんあるいは若いドクターの方、そうした方というのはえらい少ない。余り魅力的ではない、そういうことなんだろうと思うわけであります。
そこで、これは文部科学省さんにお伺いをしたいんですが、これからそういう法医学の方の充実をしていかなければならない、これはいろいろな提言で言われているところだと思いますが、どのようにそれを実現していこうとされているのか、教えてください。
●戸谷政府参考人
お答えいたします。
文部科学省におきましても、法医学につきましては、生命と社会とのかかわりをとらえる観点から、医学部教育におきまして極めて重要な分野の一つであるということで認識をいたしております。
このようなことから、現在医学部を持っております国公私立、七十九大学ございますけれども、そのすべてに法医学を担当する講座が設置されているということでございます。また、医学教育におきましては、文部科学省といたしまして、医学生が卒業までにきちっと履修すべき学習内容を医学教育モデル・コア・カリキュラム、そういった形で定めておりますけれども、その中におきましても、法医学関係につきましても、当然、学習到達目標を策定いたしまして、その目標を十分満たすようにということで各大学に対して要請を行っているというところでございます。
しかしながら、現状におきましては、先ほど先生の御指摘がありましたように、法医学会の調査によりますれば、やはり法医学教室の教職員につきましては減少傾向にあるといったような問題、あるいは先ほど御指摘のございました、将来従事したい診療科として法医学を挙げる学生が極めて少ないという実情があるということにつきましても、今私どもといたしましても認識をいたしております。
こういったような状況にかんがみまして、文部科学省といたしましては、今後、各大学におきまして、法医学分野あるいは死因究明に関する教育研究組織、こういったものを充実していきたいといったようなお話がありますれば、予算要求あるいは組織といったものにつきましても積極的に検討していきたいというふうに思っております。
ただ、しかしながら、その際、ちょっと私どもとしてやはり考えるべきところは、この分野を専門とする医師が活躍できる場が現状においてどうかといったようなこともございますので、これは単に文部科学省だけの問題ということではなくて、やはり総合的に検討すべき課題であるというふうなことで認識をいたしております。
○橋本委員
そうですね。積極的に対応という言葉はいただきましたけれども、実際、医師全体が不足をしている。生きている方を診ていただくドクターの方も幾つかの診療科では足りないと言われて、どうしようという話もある中で、法医学の方もできるだけというのは相当難しいことだと思うのです。文部科学省だけではという話もありますから、それはもう各省それぞれに考えていただきたいと思いますが、ただ、ここのところがうまくいかなければ、この制度の充実といってもかけ声だけにしかなりませんので、ぜひよろしくお願いをしたい、こう思います。
続いて、では、解剖をそう簡単にふやせないという話になりますと、特に犯罪捜査という面において、では解剖の前の段階をどう充実させるんだという話にもなろうかと思うのです。
資料の八に、時津風部屋事件の経過の表を挙げさせていただきました。これは見ていただければおわかりのように、一度検案をしている、それで、急性心不全ということになったけれども、御遺族が新潟県警に相談をして、解剖して、どうやらこれは打撲によるショック死らしいということになって、事件になったという経過だったわけで、要するに、後から考えれば見落としだった。
これは、細川議員が以前質問されたときにもお認めになったことでありまして、今言ったこういったことはなくさないといけないということだと思うのですが、こういうことを踏まえて、今後どのように解剖の前の段階の対策をしていこうとされているか、教えてください。
●西村政府参考人
お尋ねの事案は、平成十九年六月、愛知県犬山市内のけいこ場において、当時十七歳の力士が、けいこ中に倒れ、病院に搬送された後、死亡した事案であります。愛知県警察におきましては、当初、その死因を病死と判断したところでありますが、その後、行政解剖の結果、死因は多発外傷による外傷性ショックと判明し、当時の時津風親方以下七名による傷害致死事件の件に至ったものであります。
この事件につきましては、警察において死因についてより慎重に判断すべきであったと考えております。その教訓を踏まえ、警察では、基本捜査の徹底、刑事調査官制度の的確な運用、CT等の資機材の積極的な活用、司法解剖の積極的な実施、検視体制の強化、死体を取り扱う現場の警察官への研修の充実などを改めて徹底しているところであります。
また、本年度予算におきまして、地方警察官の増員をいただきまして、検視に従事する警察官約百八十名を新たに配置するなど、体制の充実を図っているところであります。
加えまして、犯罪を見逃すことがないようにするためには、解剖率を高めることが有効と認識しております。しかしながら、解剖に関する施策につきましては、警察のみでは効果的な対策を講じることは困難でありまして、現在、内閣官房の調整のもとで、関係省庁が参加して、死因究明に関する検討会を開催し、現状の問題点等について認識の共有を図っております。
今後、この場を利用するなどして、関係省庁と連携を深めながら、打開策を探ってまいりたいと考えております。
○橋本委員
いろいろお話があって、それをきっかけに人をふやすだとか、いろいろの対策をされているんだというお話がありました。それはそれでいいことだろうと思いますが、結局、話は解剖に戻ってくるなという印象もございまして、やはりそこに話が来てしまうというのは、逆に言うと、さっきの、ではどうやって解剖に従事していただく方をふやすかということに戻ってくるなという印象もございます。
では、次に行きましょう。今のお話の中でも、CTを撮るという話がございました。それで、Aiという言葉があります。オートプシーイメージングということですけれども、遺体の画像診断。今御答弁がありましたように、御遺体に対してCTだとかMRIだとか、そういったもので画像を撮って、判断をする参考にしようというものでございます。個人的には大変注目をしておるところでございまして、いろいろな方にお伺いをしました。先ほどの議連でも何人かの方にお触れをいただきましたし、解剖の補助手段だという言い方をする、要するに必ず解剖と一緒にやらなきゃいけないんだという言い方をされる方もおられます。ただ、要するに、解剖、解剖と言っていると、今の話じゃないんですが、解剖がどれだけふやせるかというところにしか話は行かないので、もっと初動の段階、解剖の前の段階で私は積極的に生かすべきだろうと思うのです。
これは内閣官房さんの資料を資料として配らせていただきましたけれども、資料九の方ですね。内閣官房さんの検討会の方でもヒアリングをされていて、ここに書いてあるような特徴があると。
マンパワーが多いとか、費用が安いとか、そういうようなことも触れてある。もちろん、留意点もいろいろあるわけであります。こうしたことを踏まえて、積極的にAiを今後の死因究明制度を考える上で取り入れていくべきではないか、こう思っておりますが、内閣官房さん、どう思っていらっしゃるでしょうか。
●河合政府参考人
お答えいたします。
御指摘のAi、死亡時画像診断でございますが、これは、死因究明の一手段として大変有効なものであるというふうに考えられるところでございます。
昨年末に策定されました犯罪に強い社会の実現のための行動計画二〇〇八におきまして、その積極的な活用の推進というものが記されたところでございます。また、議員御指摘のとおり、死因究明に関する検討会におきまして、死亡時画診断の専門家より御説明をいただいたところでございます。
御説明によりますと、Aiにつきましては、解剖と相補うものであるということ、それから、要解剖事例の見落とし回避のためのフィルタリングでありますとか、解剖せずして死因確定できるもののスクリーニングの効果というものが期待できる。また、単独で死因を確定できる割合につきましては、解剖の場合約八割であるのに対して、CTの場合約三割であるということ。また、必要経費につきましては、解剖の場合一体当たり約二十五万円であるのに対して、CTの場合一体当たり約四万円と安価であり、同額の予算がある場合に、死亡時画像診断の方が解剖よりも多くの死因を確定できるということなどにつきまして、御示唆をいただいたところでございます。
今後、こうした内容を踏まえつつ、関係省庁とともに、Aiのさらなる活用について検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本委員
はい。さらに活用ということで。
裁判員制度になると、裁判員の方に優しくという話もありますが、要するに、生の解剖の写真はちょっと見づらいけれども、MRIの画像等があったらそんなに支障なく見られるということもあると思います。そういう意味で、優しいということもありますから、ぜひ積極的に考えていただきたい。
あと、例えば救急の現場ですね。最初の資料二のフローチャートでも、一番上に救急と書いてありますけれども、要するに、到着されたときにもう亡くなっている方が搬送されてくることというのもなくはないわけで、そういった方にCTを撮ったりということはあるようであります。でも、亡くなっている方ですから、診療報酬を請求できないから持ち出しという中でされているようなことは既にあるようなところでありますから、そういうこともぜひ含めて考えていかないといけないし、考えていただきたいと思っております。いろいろ触れて各論をしてまいりましたけれども、なかなか前途多難だなという気もやはりするわけでございますが、ビジョンを持って前向きに、しかし何とかしていかぬといかぬと思うわけです。
ここから先は、議連の話というよりも、個人の意見なんですが、私個人としては、監察医制度を、今限られたところしかありませんが、これを全国に展開をさせていくようなことを考えるべきではないかと思うんです。
ちょっと時間がなくなりましたので、はしょっちゃいますが、保健所というものが全国にあります。公衆衛生のために設置されています。これは、今、もう時間がないので自分で言っちゃいますが、要するに、法律に基づいて設置をされている。だけれども、都道府県、政令市と中核市はそれぞれがやっていますが、地方自治体の事務です。これについては、今は三位一体改革の結果で、地方交付税による地財措置がされているわけですね。だから、そういう意味で、国から地方自治体に対するお金というのは出ています。それで運営されているというものがある。
そういう形で、監察医務院とかそういう名前になるのかどうかは別として、別の名前になるかもしれませんが、各都道府県にやってもらう、国がそれを財政的に支援をする、そういうような組織をつくれば、先ほどのお話じゃないですが、勤める先もできてということにつながるんじゃないかと思うわけですが、そういうアイデアについて、今監察医を所管されている厚生労働省さん、それから地方自治体を所管されている総務省さん、それぞれにお伺いをします。
●中尾政府参考人
お答えいたします。
監察医制度は、公衆衛生の向上を目的として、一部地域における死亡動向を把握することで、伝染病の発生といった公衆衛生上必要な情報を把握するための仕組みでございます。このため、政令で定めた東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市を所轄する都府県知事が必要に応じて監察医を置き、解剖ができることとされているところでございまして、御指摘の保健所とは制度創設の趣旨が異なっております。こうしたことを考えますと、監察医の設置を保健所と同様に全都道府県に義務づける必要は必ずしもないと考えております。
いずれにしましても、死因究明制度の充実につきましては、厚生労働省だけでなく、他の関係省庁とも連携してやっていく必要があることから、厚生労働省も内閣官房で行われている検討会に参加し、政府としてどのような対策が必要か検討してまいりたいと考えております。
○望月政府参考人
監察医制度につきまして、全国展開を行うべきではないかという委員からの御指摘でございますが、まずは、現在の監察医制度におきます実態や課題等につきましては、所管の省でございます厚生労働省からよくお話を伺って、対応を検討してまいりたいと考えております。
○橋本委員
これが今の状況なんだろうと思います。
内閣官房でいろいろな省庁が集まって検討会をしているということは、それはいいことだと思うのですが、結局どの省庁に聞いても、ほかの省庁と連携してやりますというそれしか返ってこないんですよ。きのうも夜、ちょっとそれで怒りましたけれども、結局、みんながほかの役所と連携してと言っていたら、それは何も進みませんよという印象を、きょうこの質疑をしても持たざるを得なかったです、ちょっと残念なことでございますが。だからこそ、政治の方で議論をしていかぬといかぬのかなという思いを新たにしたところであります。
なお、これは内閣官房さんにお願いですが、さっきの救急搬送の話もありますし、今のような話もあるので、私は、地方自治体の役目というのは要ると思うので、ぜひ総務省さんを入れることを検討していただきたい、これは要望します。以上のような議論を通しまして、最後に森大臣に所感を伺って、質問を終わります。
●森国務大臣
ただいま、裁判員裁判のスタートとも絡めて、死因究明制度の概括について大変貴重な御意見を橋本委員からいただきました。私も、全く認識を同じゅうするものでございます。
この問題について、一つ大きなインパクトを与えた衆議院の例の訪欧調査団の有力メンバーであるところの細川理事も、今はいらっしゃいませんけれどもいらっしゃいますし、また、政府側に早川忠孝政務官もおられて、みんな同じ問題意識を持っているわけでございます。
それにもかかわらず、先ほども御指摘されましたように、解剖に携わるお医者さんというのはむしろ減少傾向にあって、というのは、これはもう聞くと本当に大変な膨大な仕事量で、非人間的とも言える作業に取り組んでいただいているわけでございます。
何とかしなきゃならないという問題意識は同じでございますけれども、先ほど嘆かれたように、法務省ができることもごく限られておりまして、いずれにしても、そのあり方について、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟に大きな期待を寄せたいと思いますし、また、私どもも、関係省庁と連携協力して、引き続き真摯に努力を続けてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○橋本委員
ありがとうございました。終わります。
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