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(投稿:by 僻地の産科医)
プレジデント 2009年3.30号からo(^-^)o ..。*♡
特集は 不況でも売れる営業 だそうです。
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骨髄フィルター騒動、私はあんまりよくわかっていなかったのですが、
かなり大変な話になっていたようです。
Hibワクチンも日本だけ足りない騒動の原因、
実は厚労省が作っているんです。
世界各国で使われているHibワクチン、
フランスの牛を使っているということで、
「日本のだけ、狂牛病が怖いからカナダ牛で作ってくれ」
と特注にしたらしい。おかげで全然足りないというわけ。
(他国はそれを使っているというのに・・・。)
リスクとベネフィットのつりあいとか、
公益性ということを、日本という国は全然考えてくれません。
「患者不在」が巻き起こした「骨髄フィルター騒動」の一部始終
あわや「第二の薬害エイズ」!
厚労省の隠蔽体質
東京大学医科学研究所特任准教授
上 昌広
(プレジデント 2009年3月30日号 p138-139)
昨年一二月一九日、バクスタージャパン社(以下、バクスター)は、骨髄移植に用いるフィルター(商品名:ボーンマロウコレクションキット)が欠品になる可能性をホームページで公開し、営業担当者を通じて全国の医師に通知した。翌日にはこれを読売新開が報じ、あわてた厚生労働省に呼び出された同社は三〇日、国内在庫が四九三個であることを公開。骨髄移植は国内で毎月百数十例が行われており、早ければ二〇〇九年三月までに在庫がなくなることが明らかとなった。
骨髄移植は進行した血液がん患者に残された唯一の根治療法だ。患者・家族に強い衝撃が走っただけでなく、厚労省が情報を開示しなかったために、救える命をみすみす失った恐れもあるのだ。
今回の騒動の発端は金融危機だった。
「100年に一度」の不況に突入した影響から、ボーンマロウコレクションキットの製造元である米国バクスター社も、事業の大幅な見直し・縮小を迫られた。○七年三月、同社は骨髄移植フィルター製造事業部を投資会社に売却。この投資会社は経費節減を目的に、製造工場を人件費の安いドミニカに移した。ところが新会社の経験不足のためかアメリカ食品医薬品局(FDA)への申請が予定より大幅にずれ込み、現時点では生産再開の目処すらたっていない。
ボーンマロウコレクションキットの供給停止は日米とも同じ状況だが、米国では大騒ぎにはなっていない。バイオアクセス社というボルチモアのベンチャー企業がわずかながら製造・販売している同様のキットで代用し、危機的状況を回避しているからだ。
「患者の命」より 「制度維持」が優先なのか
供給停止に際し、課題は二つあった。
まずバイオアクセス社製のキットの確保。ついで確保したキットを遅滞なく患者のもとに届けることだ。前者については、骨髄移植推進財団が直接交渉し、六〇〇個のキットを確保した。問題は後者だ。
その時点でバイオアクセス社のキットは、わが国で未承認であった。最も簡単な解決法は、厚労省保険局が、特例として未承認キットと保険診療の併用を認めることだ。でなければ患者は骨髄移植の費用全額こOOO万円程度)を自費負担しなければならず、非現実的だ。ところが保険局は「混合診療禁止」の方針を貫き、解釈を変えなかった。
残された手段は製薬企業による治験だけ。バイオアクセス社には日本法人がないため、厚労省はバクスターに圧力をかけ、ライバル製品を同社が販売する方向で調整した。だが、このような強権的な手法を用いれば医薬品市場のあり方がゆがみ、国際的な信頼を損ねかねない。また審査には日数がかかる。厚労省は「迅速な承認審査」を理由に、特例として書面だけの審査を進めた。結果的には二月二六日に申請後一ヵ月という異例の早さで承認されたが、これでは綱渡りだ。
しかも厚労省は、その結論に至るまでに相当手間取った。複数の部局が責任を押し付け合い、まるで、「患者の命」よりも「自らが創設した制度の維持」を重視しているようだった。せっかくキットが確保できたのに、医療現場に届くまでに随分と時間がかかってしまった。
さらなる問題は、厚労省が患者や医療現場へ全く情報を開示していないことだ。厚労省が初めて公式の場で見解を表明したのは、新聞報道から一ヵ月以上が経過した、一月二三日になってから。しかもこの会見は、「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の尾辻秀久会長らの訪問を受けた舛添要一厚労大臣が主導したもので、官僚が自発的に動いたわけではない。
厚労省が黙りを決め込んでいた間、メディアや患者に情報を伝えていたのは骨髄移植推進財団と日本造血細胞移植学会だった。しかしながら両者の発表には現場の不安を和らげる効果はなかった。具体的な供給方法は明示されず、
「行政と連携しながら問題解決を目指している」
という抽象的な内容に終始したからだ。余談だが、骨髄移植推進財団は厚労省の外郭団体であり、唯一の常任理事は厚労省の天下りキャリア官僚だ。また学会も、研究費の配分や政府委員会の人選を通じて厚労省にコントロールされているのは有名な話である。
厚労省の迷走ぶりは目に余る。二月一〇日発売の「女性白身」は、三月に予定されている骨髄移植のフィルターが手配できていないこと、二月の骨髄移植が例年より減少していることを報じた。骨髄移植推進財団は二月一三日のマンスリーリポートで、記事に反応するように、「移植件数の減少はフィルター供給の影響ではない」と主張,厚労省を弁護した。
二月一七日の閣議後記者会見では、舛添大臣が「骨髄移植予定件数とキットの確認状況」に関する資料を配布。在庫数のデータが初めて公表された。これは関係者が当初から知りたがっていた情報だ。メディアが騒いだ途端に情報を出す厚労省の姿勢にはあきれるばかりだ。
この事態は示唆に富む。冒頭でも触れたとおり、厚労省が情報を開示しないために、救える命をみすみす失った恐れがあるのだ。二月の移植件数の減少の原因は、フィルターの確保が不透明であるために、多くの医師が二月の移植を延期したと考えるのが妥当だろう。骨髄移植を受ける患者は進行したがん患者だ。この一ヵ月が生死を分けたかもしれない。
官僚は世間から乖離 「薬害問題」は再発する
このように考えると、今回の事件は厚労省の情報隠匿によって被害が拡大した「薬害エイズ事件」や「薬害肝炎事件」と類似する。いずれの事件においても、厚労省は医療現場や製薬企業から問題について報告を受けていたにもかかわらず、今回と同様に省内で“小田原評定”を続け、国民や医療者に情報を開示しなかった。この間、医療現場での感染被害は拡大した。いずれの事件も医系技官(および薬系技官)が引き起こした事件だ。刑事裁判、国家賠償請求裁判にまでなったのに、今回の対応を見るかぎり、厚労省には何の教訓にもなっていないようだ。
今回の事態に最も素早く対応したのは、NPO法人全国骨髄バンク推進連絡協議会に所属する一般人だった。特に会長の大谷貴子さんは、厚労省に対し迅速な情報公開を求めるとともに、患者の負担増がないように求める署名活動を行った。
署名は六万五〇〇〇人以上にのぼった。
また、彼らの活動が舛添大臣や尾辻議員、仙谷由人議員などの大物議員を動かし、厚労省に大きな圧力を与えた。
このような動きに対して、厚労省や骨髄移植推進財団からは直接・間接的に、「署名活動は迷惑だ」という趣旨の連絡があったようだ。官僚の視点は、国民から全く乖離してしまっている。
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世界の経済状況を鑑みれば、今後も多数の薬剤や医療機器で同様の問題が起こるだろう。現に昨年一一月には、大日本住友製薬が抗がん剤テスパミン注射液の供給停止を発表している。
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医薬品は生命に直結するにもかかわらず、供給が途絶えたときの政府の対応策が未確立だ。そのため、およそ問題の本質とは関係のない混合診療や先端医療評価制度が検討され、議論は迷走した。今回のようなドタバタ劇を繰り返さないためには、医薬品の安定供給を確保するための危機管理体制を構築していくことが急務である。今回の騒動でも役人は故意に情報を隠したとは考えていないかもしれない。だが、世間の常識とかけ離れた情報公開の姿勢をとり続ければ、安定供給はおろか、第二、第三の「薬害」を引き起こすことになるだろう。
薬害エイズ問題
汚染された非加熱血液製剤を投与された患者の多くがエイズウイルス(HIV)に感染。米国での承認取り消しを知りながら、日本では販売が継続され、感染が拡大した。一九九六年に菅直人厚生相(当時)が画期的な和解を決断し、問題を終結させた。
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