(関連目次)→臨床研修制度の問題点
(投稿:by 僻地の産科医)
医学教育の国際比較、医師養成でヒアリング
―文科省検討会―
キャリアブレイン 2009年3月23日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/21183.html
文部科学省は3月23日、「医学教育カリキュラム検討会」(座長=荒川正昭新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター長)の第5回会合を開き、「諸外国との医学教育の比較」「診療科などの医療を担う医師の養成」について、米ハワイ州出身の医師や検討会の委員らからヒアリングを行った。
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米ハワイ州出身で杏林大医学部眼科の岡田アナベルあやめ氏は、米国の医学教育制度の特徴について、「最重視されるのは試験ではなく、コミュニケーションと倫理」などと紹介した。その上で、「医学部に入学した時点で必ずしも医師になるとは限らない(入学時点では決まらない)」医学部制度改革を提案。「4年次の共通試験に加え、面接や推薦状で最後の臨床医学課程に進学する者を選抜することで、勉強や競争、医行為への意識を高める。医学部卒業生がマスコミ、バイオテクノロジー、IT、政府などに就職していくことで、医学や医療への社会的理解が深まるというメリットもある」と述べた。
東京医科歯科大医歯学教育システム研究センターの奈良信雄氏は、米国、ドイツ、オーストラリアの教育制度の特徴を紹介した。
独の教育制度の特徴については、
▽授業料は私立の1校を除き無料
▽春期開始コースと秋期開始コースを併せ持つ医学部もある
▽女子学生の比率は約50% ▽教養課程は1年目の前期のみ
▽学士編入制度や4年制メディカルスクールは導入されていない
▽1999年の「ボローニャ宣言」に基づく教育改革が行われ、各大学が工夫したカリキュラムを実施している
―などと紹介した。
また、海外の医学教育において、
▽少人数チュートリアル教育 ▽基礎臨床統合カリキュラム
▽e-ラーニング ▽臨床能力の早期導入 ▽シミュレーション教育
▽参加型臨床実習 ▽国際交流―などが主流となっていることも指摘した。
名大医学部附属病院総合診療部の伴信太郎氏は、「クリニカル・クラークシップ(診療参加型臨床実習)」と題して発表。患者が学生を歓迎する理由について、▽話し相手になってもらえる▽ちょっとした医療の相談ができる▽付き添いや手伝いをしてもらえる―などを挙げた。一方、患者が学生を敬遠する理由としては、▽態度の悪い学生への不快感▽病歴を聞かれることへの抵抗感▽学生の診察への抵抗感―などを挙げた。
その上で、クリニカル・クラークシップを実施する上での注意点として、▽1人の学生が1人の患者の受け持ちとなる▽若い女性患者は原則として女子学生が受け持つ▽医療面接の身体診察に時間を取り過ぎない▽既にカルテにある情報はカルテから得る▽面談の際、プライバシーに配慮する▽主治医のつもりで診察する▽訪室は患者と相談して時間を決める▽実習終了時や廊下でのあいさつを徹底▽できるだけ聞き役に徹する▽1日1回はベッドサイドにゆっくり座って話をする機会をつくる▽コンサルテーション、検査、リハビリなどには必ず付き添う▽未決定の方針については述べない―などを挙げた。
募集定員の加算要件を明示
臨床研修見直しでパブコメ募集、厚労省
日刊薬業 2009/03/24
厚生労働省は19日、医師臨床研修制度の見直し案の意見募集を開始した。研修病院の募集定員を加算する際の要件となる「医師派遣実績」の定義について明示した。意見募集の締め切りは4月17日で、4月中に関係省令や通知を改正する予定だ。
今回の意見募集で厚労省は、「医師派遣」として<1>出向などでほかの病院に勤務させる<2>当該病院が主たる調整役となって、勤務経験のある医師をほかの病院に勤務させる<3>労働者派遣法に基づき、地域医療確保のために医師を派遣する-のいずれかに当てはまることに加え、<1>対象医師が医師免許取得後一定の臨床経験(例えば7年以上15年以下)を持ち、ほかの病院に常勤で勤務している<2>ほかの病院での勤務期間が継続して1年以上3年以下<3>都道府県の地域医療対策協議会や関係する地方自治体の意向を踏まえている<4>開設者が同じ病院間や、ほかの病院との相互交流としての派遣でない-のすべてを満たす場合とした。
都道府県内の合計定員が新たに設ける都道府県別上限を超える場合は、一定の調整を図ることになる。
研修病院の募集定員は原則として、過去数年間(例えば3年間)の受け入れ実績の最大数以内となるが、医師派遣の実績を勘案して定員を加算できる。見直しに向けた検討をした医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会では「医師派遣」の定義の明確化を求める意見が出ていた。
見直し案は必修科目を内科、救急、地域医療研修の3科目とし、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科のうち2科を「選択必修」とすることや、研修医の地域偏在解消に向けて人口分布や医師養成規模などを踏まえた都道府県別の募集定員の上限を設定することが柱となっている。臨床研修病院の指定基準案として、年間入院患者数が3000人以上であることや救急医療を提供していること、研修医5人に対して指導医1人以上を配置することなどを盛り込んでいる。
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