(投稿:by 僻地の産科医)
婦人科系がん:患者の大病院集中、加速 3年間で倍増例も 医師の減少、影響か
毎日新聞 2009年3月22日
http://mainichi.jp/select/science/news/20090322ddm001040072000c.html
産婦人科医の減少でお産に続いて婦人科系のがんを治療できる病院も減少し、大学病院など一部の大規模病院に患者が集中していることが、日本産科婦人科学会の調査で分かった。同学会は「病院の許容量を超える集中も起き始めた。お産に続いて、がん治療の破綻(はたん)が起きかねない」と危機感を募らせている。
同学会産婦人科医療提供体制検討委員会が調査、中間集計した。同学会に子宮頸(けい)がん、子宮体がん、卵巣がんの年間患者数を登録している全国約270病院のデータを使い、04年と07年の新規患者数を比較した。調査した吉川裕之・筑波大教授によると、一般的に患者が多いとされるのは年間の新規患者が100人以上の病院。07年の新患数が100人以上の病院のうち、3年間に25%以上患者が増えたのは17病院に達した。大学病院や県立のがんセンターなど地域の拠点病院ばかりで、増加率は千葉県がんセンターの2・02倍を最高に東京医科大1・95倍▽大阪大1・71倍▽東海大1・62倍--だった。
関東地方の病院が10病院を占め、九州・沖縄3、北海道・東北2、近畿、中国が各1病院。新患数でみると、6病院が年間150人を超え、うち1病院は200人を超えた。一方、検討委員会が都道府県の学会地方部会に実施している実態調査では、宮城、茨城、三重、鹿児島などから「(婦人科がん医療は)崩壊寸前」「手術待ち時間が延びた」など、現状の深刻さを訴える回答が相次いだ。
吉川教授は「医師不足で分娩(ぶんべん)をやめた病院の多くはがん治療もやめてしまい、この3年で患者集中が急速に進んだ。医師不足対策はがん医療の水準維持のためにも急務だ」と話している。
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◇産婦人科医の減少
国内の医師数は近年、増えており、06年末の厚生労働省調査では27万7927人で04年末より約2・8%増えた。しかし産婦人科、産科、婦人科を主に掲げる医師は1万1783人で04年から約3・1%減った。中でも産婦人科医は2年間で5・6%、96年と比べると約12%の大幅減。出産に伴う訴訟問題や、不規則で過酷な勤務などが背景にあるとされる。お産を扱う施設も93年の4200以上から05年には約2900に減った。
お産の人材確保へ連携 浜田・江津、分娩に支障の窮状報告
中国新聞 '09/3/21
http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200903210288.html
浜田、江津両市内の行政、医療機関が地域のお産を考える浜田圏域周産期医療連携体制検討会がこのほど、浜田市片庭町の島根県浜田合同庁舎であった。出席した三十人は医師や助産師不足の現状を報告し合い、人材確保のアイデアを出し合った。
両市内では年間約七百件の分娩(ぶんべん)があり、産科医は済生会江津総合病院二人、浜田医療センター三人、浜田市内の開業医二人の計七人。開業医二人は高齢のため健診だけをし、分娩はセンターにバトンタッチする連携システムをとっている。センターは「医師の病欠などもあり、土日に山口大から医師を派遣してもらっている。里帰り出産を断ることも考えたが地元出身医師の頑張りでしのいでいる」と窮状を報告。益田市内の開業医が助産師不足のため昨秋から分娩を取りやめた例が報告され、看護師、助産師不足の深刻さも論議になった。
開業医の一人は「三十二週まで引き受けている妊婦健診を三十六週くらいまで延ばすことは可能」などとした。センターへの支援を強化して助産師を増員し、診療所などへ派遣する案、県立大看護学科の地元入試枠の拡大を求める声も出た。谷口栄作浜田保健所長は「圏域出身医学生へ定期配信しているメールのほか、医師の子どもが帰郷した時に会食するなどきめ細かなPR作戦も考えたい。できることは何でもやろう」と呼び掛けた。
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