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(投稿:by 僻地の産科医)
以下の情報は鶴亀松五郎先生からいただきましたo(^-^)o ..。*♡
朝のニュースでお伝えした、
ニュージーランドはなぜ医療改革に成功したのか
その背景をひもとく書籍『日本の医療崩壊を救う地域医療経営』を出版
Japan Corporate News Network 2009年3月24日
http://www.japancorp.net/japan/Article.Asp?Art_ID=47775
に関連してです。
ニュージーランドはスウェーデンともに、
医療裁判をシャットアウトしている国なのです。
さらに交通事故でも個人的に損害賠償を求めて、
裁判を起こすことは出来ないのだそうです。
ちょっとビックリしました(>▽<)!!!
徹底していますよね。
ではどうぞ!!!
ニュージーランドの事故補償制度に学ぶ
富山大学経済学部教授
浅井尚子
日医ニュース 第1052号 平成17年7月5日
http://www.med.or.jp/nichinews/n170705j.html
日医は,現在,「医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会」で,障害が発生した場合の患者さんへの補償をどのようにすべきか,無過失補償制度を含めて検討しているところである.そこで,今回は,無過失補償制度をすでに導入しているニュージーランドの実情について,検討委員会の副委員長でもある浅井尚子氏に話をしてもらった.
刑事はさておくとして,民事裁判には三つのヒロウ(費労=金がかかる,日労=時間がかかる,疲労=疲れる)があるといわれる.さらに,加害者の過失の証明は困難であり,また立証に成功し勝訴したとしても,相手に資力がなければ,まったく無意味である.
保険をあらかじめ付保しておくことで,被害者は確実に損害賠償を受け取ることができ,加害者は突然の損害賠償による経済的負担から逃れることができるが,責任保険は,加害者である被保険者に過失があって初めて損害賠償としての給付が被害者に支払われるものであるから,過失割合の認定や保険金額で,必ずしも満足のいかないことが多い.
また,保険料の高額化も大きな経済的な負担である.この煩わしさを避けて,萎縮診療・防衛医療に走る医師も少なくないといわれ,また,問題が起こりがちな産婦人科などの分野では,医師のなり手がないという嘆きも聞かれる.
ここで紹介するニュージーランドの事故補償制度は,百ドルの勝訴を得るため,六十ドルのコストがかかるといわれ,被害者のうち少数の者のみが巨額の賠償を得ることから,“富籤”と揶揄された損害賠償制度を,公正で効率的な人身被害救済制度に作り替えた一つの例である.
事故補償制度 とは?
ニュージーランドの事故補償制度は,裁判によらず,あらかじめ集められた基金を原資とする社会保険制度によって,事故等による人身被害を保護する制度である.内外の国民はもとより,滞在中の外国人に対してもこの制度は適用される.対象となる傷害については,原因を問わず(もちろん自損事故も)救済される.無過失責任主義に基礎をおくからである.
一九七二年,世界に先駆けて創設されたこの制度は,労災分野の一部民営化,その撤回・再国有化を含む数度の新立法や多くの改正法を経て三十年間継続し,今や国民生活に必要欠くべからざるものとなっている.現行法は,「Injury Prevention, Rehabilitation and Compensation Act 2001」である.運営機関であるACC(Accident Compensation Corporation)は,同時にこの制度の愛称とされ,ニュージーランド人は,キウィ訛りで,アイ・シー・シーと呼ぶ.
請求と給付の内容 不服申立
ACCへの請求は,次のように行われる.
傷害を被った人は,その傷害がACCの保護の対象となるかを医師等に相談のうえ,請求書類を作成してもらい,十二カ月以内にACCへ提出する.請求が受理されると,医療費の支払い等の他,休業期間中の所得補償(八〇%まで),所得減額分の補償など,必要とされる定期金給付を受けることができる.他に,事故現場からの救出・搬送費用,通院費,身体的リハビリテーション,就業支援・再訓練,社会復帰のリハビリテーション,自立手当・介護サービス,住居・車の改造費用などが支払われる.また,永久的身体機能喪失については,一括払いの補償が,その程度に応じてなされ,死亡の場合は葬祭料および生存被扶養者への所得補償が支払われる.
ACCの決定への不服申立については,再審査を請求することができ,さらに不満があれば,ACCを相手取って行政訴訟を起こすことができる.
原資運用の実態 モラルハザード
制度の原資は,(1)総所得に基づき支払われる就労者の保険料(2)自動車の所有者が払う年間自動車登録料および燃料税(3)無収入者のための政府拠出(4)使用者,自営業者への賦課金(5)これら基金の投資収益である.
運用についていえば,この三十年間で何度かの財政的危機を経験したが,その都度,社会情勢に合わせた制度の調整で切り抜けてきた.現在,制度の運用は良好で,民間格付け機関による格付もAランクと報道されており,補償は軌道に乗ったとして,リハビリテーションと予防に力点が移されている.
一方,過失への問責がないノーフォルト(無過失責任)の制度では,安全への無関心が生じるといわれ,モラルハザードが問題にされがちであるが,ACC二〇〇四年度年次報告書は,交通事故による死者が,二〇〇三年には,一九七三年のほぼ半数に激減したと述べている.この間,自動車保有台数はほぼ二倍に,人口は当時の三〇%も増えていることから考えても,現実にはモラルハザード発生は杞憂であり,併せて,予防の施策も成果を上げつつある,と考えられる.
おわりに
二百年ほど前,波頭を乗り越え,この島に辿り着いた開拓移民たちは,太古の森を切り開いて牧場とし,作物を植え,この国を世界有数の農牧畜王国としてきた.
激しい労働のなかでけがをし,病を得,労働や日々の生活もままならなくなったとき,だれかの責任を問うことより,まず助け合って生き残る方法を考えるほかなかった.この制度を採用して以来,国民のなかには,万一の場合にも必ず保護がなされるという安心感が生まれたという.
さらに,コスト節約的な制度運営,迅速で効率的な事務処理,徹底した情報開示,公正で現実的な補償,リハビリテーション・予防を補償とリンクして行うことのメリット,保健衛生・警察,労働・教育など,他分野との連携による目標の遂行,請求者の権利実現など,学ぶべき多くの優れた点がある.
わが国でも医療事故が問題にされて久しいが,実効性ある人身被害救済制度の創設は急務であり,現在,日医は検討委員会を設けて,医療事故の現状を把握しつつ,わが国にふさわしい制度を検討中である.
浅井尚子(あさいたかこ)
富山大学経済学部教授.昭和42年東京女子大学文理学部卒業.昭和58年名古屋大学法学部3年次に編入学,昭和63年同大学大学院法学研究科前期博士課程を修了,名古屋大学助手.平成元年富山大学経済学部講師,助教授を経て現職.専門は民法.現在,日医の「医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会」の副委員長を務める.
ニュージーランドの医療事情
(Vol.03) ~ ACC ~
EASTWIND移住メルマガから
http://www.eastwind.co.nz/mailmagazine/2008/0114.html
ニュージーランドで怪我をしてしまったら、もしかしたら入院や通院が必要になって、多額の医療費がかかるのではないか?と思われる方も多いと思います。でも、実は、ニュージーランドには、ACCという制度があり、怪我の場合はほとんどACCが医療費をカバーしてくれるのです。しかも、医療費のみならず、怪我で働けなくなってしまった場合の給与まで保障されます。
このACCとは、Accident Compensation Corporationの略なのですが、怪我の費用を国が負担してくれるとってもありがたい制度です。でも、このACC費用というのは、税金のように目に見えないながらも、なんだかんだ支払っているのです。それらを集めて使っているのですね。
そして、おもしろいことに、このACCというのは、税金などを納めているニュージーランド滞在者に適用されるだけならまだしも、ニュージーランド旅行者にも適用されるのです。たとえば、ツアーで1週間だけニュージーランドにやってきて、転んで腕を折ったりしても、このACCがカバーします。税金を支払っている私たちにしてみればおかしな話だと思いますが、旅行者にとってはびっくりするような嬉しい話ですね。
つまりは、ニュージーランドで起こった事故に関しては、それが誰であろうとカバーしますということですね。ですので、ニュージーランドでは、交通事故で怪我をしたり、亡くなったりしても、それを事故を起こした人へ損害賠償を求める裁判を起こす事はできません。個人が個人を訴えるのことはできず、交通事故はニュージーランドで起きた事故ということで、ACCがカバーするのです。
このACCは大きなものから小さなものまで、要は、病気じゃないものに関しては、かなりカバーされます。たとえばベッドメイキングで腰を痛めたとか、サッカーをしてたら捻挫したとか、包丁で指を切ったとか、そういう小さな怪我もカバーされるのです。
一応、ACCには審査があり、「これはACCで対応」と医者が判断すると、ACCフォームというものを記入しACCへ提出します。殆どの場合これで問題ありませんが、初診の場合は一部を自分で負担するケースが多いです。
でも、それも海外旅行保険でカバーされますので、旅行者の方はなんの心配もいりません。今まで医者がACCと判断したにもかかわらず、ACCから却下されたケースが一度だけありました。それは、お寿司屋さんで働いていて、手が腱鞘炎になってしまったというケースでした。その時には、ACCから連絡があり「これはACCではカバーされません」と言われたのです。それでも、その方が日本で加入していた海外旅行保険でカバーされましたので、お客様は、結局医療費を負担する必要はありませんでした。
他の国にはない制度だと思うので、理解が難しいとは思いますが、お金を支払うことを前提で病院へ行き、無料だったり割引されたら、とてもラッキーですよね。永住者以外の場合は、海外旅行保険に加入していれば、ほとんどすべての怪我や病気は保険でカバーされますが、ACCは保険に加入していなくても、怪我であればカバーされるというとても珍しい制度です。でも、最近はこのACCの負担している金額があまりにも膨大になってきているという報道もありました。いいものをいいかたちで残していけたらいいですね。
外国における医療事故補償制度、英国とニュージーランド
国立国会図書館 社会労働調査室 宍戸 伴久
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200807_690/069004.pdf
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